佐賀市交通局
佐賀市交通局（さがしこうつうきょく）は、佐賀県佐賀市の路線バス事業を担う地方公営企業法に基づく地方公営企業である。通称は佐賀市営バス。1936年（昭和11年）10月10日に事業開始した。交通局事務所及び車庫所在地は佐賀市愛敬町4番23号。
現在は路線バス専業となっており、佐賀駅に隣接する佐賀駅バスセンターを拠点として佐賀市内各方面に路線を持つ。また佐賀市内から佐賀空港への空港連絡バスも運行している。赤字路線が多いため経営は厳しい。累積赤字は6億円を超えており、木下敏之前市長の時代には2009年（平成21年）度までに黒字転換しない場合には民営化、との素案が出されていた。かつては貸切バス事業も行っていたが、民営化への準備の一環として2005年（平成17年）3月31日に廃止された。
秀島敏行現市長への交代後は合理化を徹底した上で市による経営を維持する方向に転換している。但し、地方財政健全化法に基づく「資金不足比率」の計算においては資金不足と判定されたため[1]、2013年（平成25年）度までに資金不足比率を下げるとした経営健全化計画が策定されている。
沿革
- 1935年（昭和10年）11月27日 - 佐賀市が旅客自動車運送事業免許を取得。
- 1936年（昭和11年）10月10日 - 佐賀市交通課として営業開始。当初の免許キロ数18.3キロ、車両は中型14人乗り6台、8人乗り8台の計14台体制。
- 1945年（昭和20年）7月 - 事務所・車庫を赤松町中ノ館に移転。
- 1950年（昭和25年）4月5日 - 事務所・車庫を愛敬町（現在地）に移転。
- 1951年（昭和26年）
- 1952年（昭和27年）10月1日 - 地方公営企業化。
- 1955年（昭和30年）11月1日 - 佐賀 - 柳川間に路線バスの運行を開始（西日本鉄道と相互乗り入れ運行）。これにより福岡県大川市・柳川市・三橋町内にバス路線を持つ。
- 1956年（昭和31年）4月1日 - 改組。佐賀市交通部となる。
- 1966年（昭和41年）4月1日 - ワンマンバス運行開始。
- 1967年（昭和42年）4月1日 - 改組。佐賀市交通局となる。
- 1975年（昭和50年）3月21日 - 全面ワンマン化。
- 1976年（昭和51年）10月18日 - 佐賀駅バスセンター開業に伴い、同バスセンターへ乗り入れ開始。
- 1987年（昭和62年）3月28日 - 国鉄佐賀線廃止に伴う代替バス運行開始。
- 1992年（平成4年）12月1日 - 国鉄佐賀線廃止に伴い運行した急行2便廃止。
- 1997年（平成9年）12月1日 - 初乗り150円、1キロ当たり賃率40円70銭とする運賃改定実施。
- 1998年（平成10年）
- 2001年（平成13年）
- 3月31日 - 「きゃあもんバス」および定期観光バスの運行終了。
- 4月28日 - 中心市街地周遊バス「さがんバス」を運行開始（元「きゃあもんバス」専用車両を使用）。
- 2002年（平成14年）
- 2004年（平成16年）3月31日 - 霊柩車事業廃止。
- 2005年（平成17年）3月31日 - 将来の民営化への準備の一環として貸切バス事業を廃止。
- 2006年（平成18年）12月5日 - 株式会社イズミの費用補助により、ゆめタウン佐賀への乗り入れを開始。これに伴い路線の一部を見直し。
- 2008年（平成20年）
- 6月30日 - 路線の一部見直し及び一部ダイヤ改正。唯一佐賀市外（神埼市）に乗り入れていた62系統 迎島線が廃止。全路線が佐賀市内で完結することになった。
- 10月1日 - 全面ダイヤ改正。時刻表通りの運転ができていない路線の見直しや、通勤・通学時間帯の調整が図られたほか、路線名の変更・停留所の新設・改称が行われた。
- 2012年（平成24年）
- 1月18日 - 佐賀空港に国際線（上海線）が就航したことに伴い、運航日に佐賀空港への直行連絡バス運行開始[2]。
- 2013年（平成25年）
- 4月1日 - 路線の一部見直しを含めた全面ダイヤ改正。一部路線名の変更・停留所の改称も併せて行われた[3]。
- 5月2日 - 佐賀市嘉瀬地区に移転・開院した佐賀県医療センター好生館への乗り入れを開始。また、同日より6か月間の試験運行として、南部・医療センター線が新設された[4]。
- 11月1日 - 南部・医療センター線の試験運行を2014年（平成26年）3月31日まで延長。[5]
- 12月20日 - 佐賀空港への新たな国際線（ソウル線）の就航に伴い、佐賀空港線の直行連絡バス運行便数が増加。
- 2014年（平成26年）
- 1月8日 - 一部ダイヤ改正。佐賀清和中学校・高等学校が佐賀市与賀町から兵庫北地区に校舎を新築・移転したことに伴い、最寄りとなる佐賀清和学園前バス停（兵庫北から改称）を経由する便が、通学時間帯を中心に増加した。[6]
- 4月1日 - 消費税率の引上げに伴う運賃改定を実施。[7]
バス路線
行先番号一覧表
いわゆる系統番号ではないため、同じ路線であっても往路と復路では番号が異なる。特に、佐賀駅バスセンターを終点とする便については、経由地に関わらず共通の行先番号1番を表示している[8]ことから、利用の際には経路の確認が必要である。
佐賀空港線[9]と、試験運行期間中である南部・医療センター線については行先番号が付されていない。
※1番を除き、すべて佐賀駅バスセンターから先の経路を示している。
- 番号なし：（準急）佐賀駅南口→県庁前→県庁舎→博物館前→袋入口→東与賀イオン前→小々森→咾分→野村→佐賀空港[10]
- 番号なし: 諸富ハートフル－早津江－大詫間－川副支所前－東与賀支所前－嘉瀬新町－医療センター好生館
- 1：佐賀駅バスセンター
- 2：佐賀駅バスセンター→県庁前→佐嘉神社前
- 3：県庁前→辻の堂→西田代→佐賀女子短大・高校前
- 4：県庁前→辻の堂→佐大前→佐賀女子短大・高校前
- 5：佐賀学園北→夢咲公園→夢咲コスモスタウン／佐賀清和学園前→ゆめタウン
- 6：県庁前→佐賀城跡（→佐賀城跡東）
- 11：県庁前→佐大前→西与賀公民館前→久富→くぼた特産物直売所前
- 12：県庁前→佐大前→本庄公民館前→上古賀→東与賀支所前→大野
- 18：県庁前→辻の堂→長瀬町→医療センター好生館→嘉瀬元町→森林公園→徳万→くぼた特産物直売所前
- 20：県庁前→片田江→大隈記念館入口→大崎→光法→諸富支所前→諸富橋→早津江
- 21：県庁前→片田江→大隈記念館入口→朝日町→光法→諸富支所前→諸富橋→橋津
- 23：県庁前→片田江→大隈記念館入口→大崎→咾分→川副支所前→犬井道→和崎→大詫間
- 24：県庁前→博物館前→平松老人センター→長瀬町→辻の堂→護国神社前→佐賀駅バスセンター（循環）
- 25：県庁前→博物館前→広江→咾分→川副支所前→犬井道→和崎
- 26：護国神社前→辻の堂→長瀬町→平松老人センター→博物館前→県庁前→佐賀駅バスセンター（循環）
- 27：県庁前→辻の堂→長瀬町→医療センター好生館→嘉瀬元町→嘉瀬新町→久富→くぼた特産物直売所前（→元小路）
- 28：エスプラッツ→県庁前→片田江→材木橋→今宿町→道崎
- 29：県庁前→片田江→材木橋→今宿町→蓮池公園前→橋津
- 30：堀江通→総合体育館前→高木瀬工場団地→尼寺→金立いこいの広場→運転免許センター
- 32：警察署前→二俣→健康運動センター→東千布→金立公民館
- 36：西九大神園前→運輸支局西→高木瀬工業団地→佐賀記念病院
- 50：堀江通→神野公園→鍋島西団地→佐賀大学病院
- 51：電通通り→西九大神園南→卸センター→佐賀大学病院
- 56：佐賀中部病院西→兵庫小学校西→うえむら病院前→徳永→久保泉工業団地
- 58：堀江通→中折→北高前→新栄小西→鍋島駅西→クレオパーク鍋島
- 59：中折→北高前→中折→西佐賀団地→鍋島駅西→医療センター好生館
- 60：佐賀中部病院前→修理田→伊賀屋→川久保→清友病院前
- 63：与賀町→佐大前→佐賀女子短大・高校前（市役所前～辻の堂間は通過）
- 2008年（平成20年）10月1日より11箇所の停留所新設・12箇所の停留所名変更が行われた。特に佐賀大学医学部線に関しては2003年の佐賀大学と佐賀医科大学の統合以降も停留所・路線名共に「医大」のままであったが、すべて「佐大医学部」に変更された。そして、2013年（平成25年）4月1日のダイヤ改正で「佐賀大学病院」に変更された。また、このダイヤ改正では「県立病院東門」が「大隈記念館入口」に、「県立病院前」が「佐賀城跡東」に変更された。（以上2箇所は2013年5月に県立病院が佐賀市嘉瀬町へ移転するのに伴うもの）他に、「佐賀女子短大前」が「佐賀女子短大・高校前」に、（これは、2013年4月に佐賀女子高校が佐賀女子短大のそばの佐賀球場跡地に移転するのに伴うもの）「江頭公民館前」が「鍋島駅北」に、「鍋島農協前」が「JA鍋島支所前」に、「巨勢農協前」が「JA巨勢農協前」にそれぞれ変更された。2013年5月には県立病院が佐賀市嘉瀬町に移転して開院する「佐賀県医療センター好生館」への乗り入れが行われる。
車両
国産4メーカー（いすゞ・日野・三菱ふそう・日産ディーゼル（当時、現「UDトラックス」））全社の車両を使用している。1999年以降、急速な車両代替を図るため東京都営バスの中古車を導入。自局発注車は2001年（平成13年度）よりノンステップを標準とした4メーカーの導入が行われている。2012年9月現在、ノンステップバスは30両（中型ロング5両、中型25両）になり、全車両数66両の約45%となった。また、方向幕は順次LED式に交換が進められている。貸切路線兼用車にもLED表示器が取り付けられており、フロントガラスの上部に大型の表示器が設置されるという特異な姿になっている。
都営バスの中古車は側面表示器が前乗り後降り時代のまま前扉の後ろについているのですぐに判別できる。また1999年からしばらく車体後方の行先表示をしていなかった時があるため、その時期に購入した中古車は後方表示器が撤去されている（他の車両は単に「佐賀市営バス」という字幕を常に掲げていた）。現在は再び行先表示がされるようになっているが、撤去された表示器の再取り付けまでには至っていない。
都営バスの中古車導入は1999年～2002年まで多数行われたが、現在は東京都の方針転換により行われていないほか、他の事業者からの中古車導入もない。自局導入車、旧都営バス車とも車齢20年近いものが現在でも多く走っており、これらの老朽化した車両の補修費がかさんでいることが課題となっている。
「きゃあもんバス」に使用するために投入されたボンネットバス（日産自動車製）も保有している[11]。また、ゆめタウン線には専ら専用広告塗装を施された中型車3両が使用される（この3両はゆめタウンのマークを方向幕に表示するため例外的に方向幕のLED交換は行われていない）。
貸切路線兼用車は3両が在籍し、貸切事業廃止後の現在では主に佐賀空港線に使用されるが同路線は国際線運航日以外は1日4往復しかないため昼間には市内一般路線の運用にも使用されている。
佐賀 - 上海間に春秋航空による国際便が運航開始されたことにより、2012年1・2月には佐賀空港線用のリムジンバスとしてハイデッカーの車両が2両導入された[12]。春秋航空の佐賀 - 上海間およびティーウェイ航空の佐賀 - ソウル間の国際線接続便に使用される。これらはかつて保有していた貸切バスに準じた塗装である。
貸切バスは、すべて競売された。
経営改革について
赤字が続いている市営バス事業の見直しを進めている佐賀市の方針により、運転手の補充は嘱託職員に限っている。既に運転手の半数が嘱託となっており、人件費の削減につながっている。また、2006年末に路線延長の形で開設した5系統：ゆめタウン線の集客が好調に推移し、収支は改善。2007年度（平成19年度）の単年度収支は613万円の黒字となり、5年ぶりに黒字となった（前年度の赤字額約7,100万円から大幅に改善）。今後ともコスト見直しと乗客増に努める、としている。 2008年度（平成20年度）は軽油価格の高騰により再び赤字に転落したが、2009年度（平成21年度）は逆に軽油価格が下がったため379万円の黒字に回復した。 経営健全化計画によれば、2011年度（平成23年度）に運賃値上げ（平均7%）を実施するほか、回数券、定期券の割引率を見直すとしている[13]。引き続き正規職員の採用を凍結し嘱託職員への移行を進める。一方、空港回数券、土日祝フリー乗車券等の新規商品の開発も行い、乗客減に歯止めをかけたい、としている。新たに販売を開始した中高校生向けの夏休み限定のフリーパス券は好評を博しているが、乗客減の傾向には依然歯止めがかかっておらず、今後も地道にバス利用を訴えたい、としている。 なお、平成22年度から平成25年度の4年間で総額6億円強を佐賀市の一般会計から繰り入れ、資金不足比率を下げる、としている。
ちなみに、ホームページ上では国・佐賀県からの運行補助金が支出されている路線10路線の収支状況が公開されている。
運賃・乗車券
一般的な後乗り前降りで、整理券方式である[14]。但し、ゆめタウン線のみ距離が短く全線初乗り運賃区間となるため整理券を発行していない。
回数券のプレミアムは2割である。2,000円で2,400円分乗車できる[15]。また、佐賀県内を走る他の民間バス会社との回数券の共通使用が可能で、佐賀市交通局の回数券は昭和バス、祐徳バス、西鉄バス佐賀、西鉄バス久留米、JR九州バスならびに西肥バス（高速バスを除く）で利用でき、その逆も回数券をカード化している西鉄バス、西肥バスを除き可能。
ICカード導入については、
- 初期投資が1億6000万円と見込まれ、財源の手当てが厳しい。
- 利用客の多くが高齢者でICカードが普及しないことが予想される。
- 費用対効果を考えた場合利用客の増加が明確でない。
として、現在のところ見込みが立っていない、としている[16]。
毎週水曜日は「ノーマイカーデー」として、運転免許証を降車の際に提示すれば運賃が半額となる（10円未満切り上げ、下限100円、現金払いのみ）。誕生日に乗車すると、誕生日を示す公的書類を提示することで運賃が100円となる「バースデー割引」もある。
脚注
外部リンク
テンプレート:SUNQPASS- ↑ 6億5900万円の不良債務（資金不足）を抱えている。県内市町、経常収支比率92.6％ 過去2番目の高さ - 佐賀新聞2009年10月6日
- ↑ このバスは国内線連絡の4往復とは異なり途中の停留所には停車しないほか、便に合わせて2本が運行される。
- ↑ 平成25年4月1日ダイヤ改正のお知らせ
- ↑ 平成25年5月2日一部ダイヤ改正のお知らせ
- ↑ 南部・医療センター線ダイヤ改正のお知らせ
- ↑ 平成26年1月8日に一部ダイヤ改正を行います
- ↑ 消費税率引上げに伴う運賃改定のお知らせ
- ↑ 循環路線である24・26番でも、平松老人センター通過後に行先表示が1番に切り替わる。
- ↑ ただし、準急の佐賀駅バスセンター行きは1番として種別と併せて表示される。
- ↑ 国際線に接続するリムジンバスは「直行」扱いで、途中の停留所には停車しない。
- ↑ 「きゃあもんバス」の運行が終了した現在では定期運用はなく、市街地で開催されるイベント時に臨時バスとして使用される程度となっており、稼働率は低い｡
- ↑ 佐賀市交通局公式HP内「佐賀市営バスブログ」に記述あり。
- ↑ 但し、2012年1月の時点では運賃値上げ等についての具体的な発表はない。
- ↑ 整理券の番号で見分けがつきにくいとされる「6」と「9」については、「9」を「九」と表示させることで対応している場合が多いが、整理券発行機の製造年度により異なる場合がある。2009年度以降の新車の整理券は感熱紙を使用しているほか、車内の運賃表示器が液晶表示となっている。
- ↑ 但し、上記の経営健全化計画には割引率の見直しが謳われている。
- ↑ 市営バスへのICカード乗車券導入について - 佐賀市ホームページ・電子提案箱 平成23年5月23日回答
