サイボーグクロちゃん
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『サイボーグクロちゃん』は、1997年9月号から2001年12月号まで月刊コミックボンボンにて連載された横内なおきの漫画作品、およびそれを元にしたテレビアニメ作品。
目次
概要
コミックボンボン増刊号での読み切り連載を経て、後に本誌で本格的に連載となった。二足歩行のネコが武器を片手に町を破壊し、暴れまわるというハチャメチャさ、テレビアニメ化もされた。原作は全56話、単行本全11巻。また、原作者監修の下、内田じゅんたによって『サイボーグクロちゃん 番外バトル』という番外編的漫画(開始当初は4コマ漫画だったが後に普通の漫画になる)を連載していた。単行本全2巻。
この横内流スタンスやギャグは次作である連載版『ウッディケーン』にも引き継がれた。
1998年(平成10年)頃からフィギュアやキーホルダーなどが発売され、テレビマガジンでもアニメ化以前に、フィギュアを使用した絵本調の物語が連載された。アニメ化以降はさらにその商品の規模を拡大し、着ぐるみショーを開催するところまで存在していた。
本作品は、コミックボンボンの中でも数少ない完全オリジナル作品であり、一時期は看板キャラクターのような扱いを度々されていたほど人気が高かった。連載が終了し、クロちゃんが雑誌でほとんど取り上げられなくなった後も、度々イラストコーナーではクロちゃんのイラストが投稿されていた。他のボンボン作品(タモリはタルの『ロボットポンコッツ』など)に度々ゲスト出演しており、クロちゃんが本来関係ないはずのボンボン関連ゲームにおいても、隠し要素として登場していた。
2001年(平成13年)に、奥村遊機から本作品を題材にしたパチンコ機『CRサイボーグクロちゃん』がリリースされている。低年齢向け作品、しかもパチンコ業界とアニメや漫画のタイアップ機が少なかった当時では、かなり異例だった。
2012年(平成24年)に、『復活!サイボーグクロちゃん ガトリングセレクション』と、『復活!サイボーグクロちゃん ガトリングセレクション リローデッド』が発売。
あらすじ
雑種の黒猫「クロ」は生意気な暴れん坊だが、飼い主の老夫婦への恩返しを忘れない、忠義な猫でもあった。しかし悪の科学者ドクター剛がクロを使って世界征服をしようとたくらみ、勝手にサイボーグにしてしまう。それから次々と一癖も二癖もあるキャラクターがでてきて、クロをトラブルに巻き込んだり、逆に巻き込まれたりしていく。そんな毎日をうんざりしたり楽しんだりしながら、サイボーグクロちゃんは今日も暴れ回る。
登場人物
武器・道具・舞台
武器・武装
- ガトリングガン
- クロやミーくんがいつも使っている武器。弾は6000発装弾可能。空き缶大。原作初期には四砲身の物も使っていたが、後に五砲身に統一される。発展型としてホワイトウッズの戦いで使った「ダブルガトリング」や、デビル復活で使った「バルカン砲」、手回し式の「スーパーガトリング」などがある。砲身の形を変えて、「スーパーナパーム弾」を使用したこともあったため、弾薬もある程度種類がある様子。
- 初期は弾薬の装填経路が不明だったが、ホワイトウッズの刑務所を襲撃した際に、クロの腹部の襲撃スペースに弾薬ベルトを補給している場面が見られる。何度か破損・破棄もされている。
- なんでも斬れる剣
- ミーくんと初対決で初登場した近接用の武器。剛の作ったネコ型サイボーグは必ず所持している。それぞれ形が(アニメでは色も)違う。ゲームでは「きょだいけん」になっている。名前の通り、何でも切れそうな切れ味であるが、実際には斬れないものも多かった。デビルはパワーアップした「レーザーソード」や「デビルソード」を持っている。
- ミサイル
- クロなどのしっぽ・腹・脚などに格納されたミサイル。追尾機能を備えている。コタローのクロちゃんスーツにも似たような物が装備されている。装弾数3発。終盤ではあまり使われなくなった。
- レールバスター
- 名称は、同型のゲーム登場武器から。ダンク編でトラックを吹き飛ばされてキレたクロが、ターミネーターの真似をして暴れたときに披露した「とっておきのコレクション」。デフォルメされているが、アサルトライフルに近い形状を持つ。原作では威力に関して明確な描写はないが、強力な連射性能を持ち、ゲーム内では最強の武器の1つである。上部マガジンから大量のミサイルを同時発射する機能も併せ持っていた。
- ツインキャノン
- 異世界サバイバル編において、異世界の金属を用いて剛が新たに開発した兵器。ガトリングガンと同じ程度の大きさだが、異世界の金属の特質によるものか非常に軽い。名称は本編中には登場せず。
- ガトリングガンと違い、グレネードガンのような大口径の銃口が2本くっついたような形の銃。発射する弾や仕組みについて詳しくは言及されなかったが、榴弾のような弾でバイスのボディを粉砕した。
- 悪魔のチップ
- ミーくんに内蔵された、いろんなものと合体するためのチップ。オーサム初登場の時には性能が落ちていたらしい。クロとの合体のときによく使うほか、その用途は様々。これによってミーくんは背中から多数のアームを出すことができる。
- また、ミーくんの思考回路そのものであるような描写もされた。
- バトルボーグ
- 元々はトミーの作ったオリジナル玩具だったが、後に原作へ一度だけ逆輸入された(鈴木やダンクから「トミーの宣伝か?」と疑われている)。平たく言えば「腕のついた戦車」である。原作版は二足歩行であり、むしろロボットの方向性が強いが、元々の玩具は戦車型で、左右の腕が武器と化している。また、原作は片方がアームでもう片方に武器を装備できる。アニメと原作に登場したのはクロとミーのみだったが、玩具版にはマタタビ版も存在する(マタタビ版は腕がチェーンソになっている)。
- 原作、アニメともに、ミニガンやミサイルを装備していた。GB版の通信対戦モードにも登場したが、こちらでは武器を自由に取り付けられた。
- なんでも溶かす液
- 名前の通り、あらゆるものを溶かす化学兵器。粘性の強い液体で、剛の作ったロボのうちオーサムコサムとヒロスエが搭載していた。
- 吐いているオーサムコサム自身のボディすら溶かすほどの強い溶解力を持ち、自衛隊の戦車なども一瞬にして溶かしてしまうが、なぜか人を含む生物の身体とその衣服には効果がないという都合の良い性質も併せ持っている。
- 鈴木ジム2
- ロミオとの鬼ごっこにおいて一度だけ使用された。鈴木が乗っている中古の軽トラをクロがあり合わせの工具で改造した機体。強力なブースターによる推進力と鋭いコーナリング性能を兼ね備えており、鈴木をして「最高」と言わしめた。武器は、召し遣ってから爆発する「対召し使い用爆弾」、鼻がもげるまで鼻を回す「ノーズハリケーン」。これに加えてアニメでは、野球ボールをひたすら投げる「嵐の千本ノック」も搭載している。
- クロちゃんスーツ
- コタローがクロにあこがれて自分で作ったスーツ。顔の部分以外はクロとそっくりになっているが、防弾、絶縁加工が為されている。またクロのお面もあり、装着すると大きさ以外では見分けがつかなくなる。
- 無限エネルギー装置
- コタローの父が発明したスケールの大きい装置。長さ1m、幅40cmほどの小さな機械。
- 原理は不明だが、父曰く「これを上手く使えばクリーンなエネルギーを無尽蔵に生み出すことができる」。だが、冗談交じりではあるものの「悪用すると地球が一つ消し飛ぶ」と発言するなど、相応の危険性も持ち合わせている。悪用を避けるため、装置の核となる「X装置」だけは開発されておらず、父が設計図を暗記しているのみで、それも生涯世に出すつもりはない。これは彼が、自分の生きている間にはこの装置を有効利用することは人類には不可能だと予測しているからであり、子であるコタローに全てを任せる決意をしている。
- 一度はコタローによって、分解されてゴミの島にばら撒かれるという形で封印されたが、最終決戦において回収され、無限にエネルギーを吸収するという新機能を搭載した「コタローバージョン リバース機能付き」として完成した。
- ナナちゃんの電車
- クロが見つけた廃車になった電車。原作とアニメ前半では2ドアの中間車だが、アニメ後半では国鉄205系電車のようになっている。中はロングシートで、冷房装置もついている模様。電車だが、電力供給無しに道路上を走り、レール無しに曲がることができる。地下鉄駅に突っ込んだことがあった。
舞台・地名
- 桜町
- サイボーグクロちゃんの舞台となる町。原作では、異世界サバイバル編冒頭で北海道にあると判明した。アニメでは不明瞭で、東京から北海道へ向かう図が示されたこともあるが、冬に豪雪が降り積もるなど北国的な描写もなされている。
- 中心街には大王デパートやナカトミ銀行などの高層ビルが立ち並んでおり、複線の鉄道も通っているが、貨物輸送用のディーゼル機関車しか確認されていない。またゲームでは地下鉄が複数確認されている。郊外に行くと住宅が広がっていて、フジ井家や鈴木の勤める桜小学校などがある。桜町内かどうかは明かされていないが、近くには剛たちの住むゴミの島があり、クロ達が引き起こす騒動に"免疫がない"、港湾部の街も確認されている。
- フジ井家
- ジーサンバーサンが住む木造庭付き一階建ての家。クロは大抵ここの縁側で昼寝をしている。庭にはジーサンが育てていると思われる盆栽がいくつかある。マタタビは家を建て直したときにいろんな場所にこっそりと仕掛けを施しているらしい。築年数の高い家であったが、マタタビ登場時に壊されて以来、幾度となく倒壊(破壊)されるようになり、そのたびにマタタビが立て直すようになる。
- ジーサンバーサンが小金を溜め込んでいるため空き巣に幾度となく狙われている、という設定があったが、第1話以外に特にそのような描写はない。
- 桜小学校
- 鈴木の勤めている小学校。校舎が何度も破壊されたり、鈴木の担当クラスの生徒全員がゲーセンで補導されたり、遠足で遭難したりとトラブルが多い。
- ゴミの島
- 剛たちの住んでいる島。いろいろなスクラップが捨ててあり、中にはデビルの封印されたファンシーケースや、ゾンビウィルスが入った試験管などの危険なものまで混じりこんでいる。剛たちはこの中からスクラップパーツを集めて、自身の住居を始め、数々の武器やロボットを製作している。
- ゴッチのシマ
- 廃工場街。ゴッチがボスを務める野良猫軍団の住処だった。最終話で、桜町からあまり離れていないことが明確に描かれた。
- 非常に入り組んでおり、老朽化も進んでいる。当初、迷い込んだクロが、サンカク・ホクロから逃げ回った結果、コンクリートを崩して心ならずも2匹を殺害することになった。また、少し離れたところに、人間が生ゴミを不法投棄して行く場所があり、ゴッチ達の食料源となっていた。
- ゴッチ達がカラス達を迎撃した際、中心部の焼却炉に詰め込まれたガソリンで爆破され、炎上。ゴッチ達はここをシマとすることを諦め、桜町の方へ旅をした。
- その後もひっそりと存在していたらしく、最終話では、粗大ゴミの不法投棄に最適の場所として一部の人間の間で有名になっていた。また、かつての軍団を髣髴とさせるカラス達が住み着いていた。ゴミ処理トラックに巻き込まれたナナはここに迷い込むが、クロが救援に駆けつけ、2人でひと時を過ごすところで原作は終了した。この時、クロは自分の過去を回想し、「一人ぼっちの自分を受け入れてくれた場所」と話した。
- 異世界
- 見渡す限り砂漠が広がる謎の世界。雪かきの間にロミオとジュリエットがミサイルを焚き火にくべて大爆発を引き起こした結果、空間に亀裂が入り、クロたちはこの世界へ迷い込むこととなった。
- 砂漠と言っても、構成する砂の粒子が非常に細かいため、徒歩で行動しようとすると体が沈んでしまう。そのため、異世界の人々の移動手段は船・軍艦しかなく、さらにはサイボーグの魚達が泳いでいるなど、実際には海に近い。木々などの自然はタブーにしか存在せず、人々がどのように食料を調達しているのかは不明。また、空母が存在するのにもかかわらず飛行技術の一切が失われている。砂漠の全容は長らく不明だったが、コタローの想像図によると、ちょうど中心部にタブーが存在していた。
- 砂漠の歴史については異世界の人々もよくわかっていない。数年前までは、統治能力に優れた偉大な王がおり、平和な時代が続いていたが、彼が死んだことで2人の息子が王位を巡って戦争を起こしており、クロたちが迷い込んだ時には、人々はそれに巻き込まれていた。
- バイスによると、その正体は、「クリエイター」という存在によって300年以上前に作り上げられた人工世界である。実態は、地球平面説をそのまま再現したかのような平らな世界であり、タブーを中心にした円形の、いわば“地の果て”が存在する世界である。「クリエイター」が、人々からニューワールド=新世界を隠すために作り上げ、人々を閉じ込めたとされる。この砂漠世界は新世界の地下に建造されており、砂漠世界の天井を突き破ることで新世界に到達できる。空は、人工のスクリーンに映し出された偽物であり、天頂部の明かりが太陽と月を兼ねていた。飛行技術が失われたのは、このスクリーンに激突する事故が多発したためだった。地の果てでは、地球平面説の海のように、砂が流れ落ち続けている。「レッドライン」と呼ばれるラインがあり、これを超えると砂の流れが激しくなって帰ってこれなくなるということだけは砂漠の人々も知っていた。コタローが王の資料を纏めた結果、そのレッドラインはちょうどタブーを中心とした円形(地の果ての手前)を描いており、彼の研究を裏付けることになった。
- シスカとコタローがタブーの秘密を解き明かし、装置を作動させたことで、崩壊。人々は、タブーに乗って新世界へと脱出した。
- タブー
- 禁忌の名を持つ、円錐型の遺跡。砂漠の中で、この遺跡だけは自然が生い茂っていた。周囲には激しい砂嵐が起こっており、300年の間、人々の侵入を拒み続けていた。
- その正体は、新世界へと脱出する、人型の巨大な飛行機械。砂嵐は、「クリエイター」が起こした人工のものだった。管理はバイスに任されていたが、兄弟の戦争が最終局面を迎え、自身もクロという好敵手を見つけたのを機に、管理を放棄。クロ達の前で300年続いた砂嵐が止むことになった。
- 先代の王は、このタブーにこそ人々が幸せになる鍵があると信じ、研究を続けていた。その息子2人は、タブーを手にしたものが王位を手にすると勘違いしていたが、上述の通り実際は全く違うものであった。コタローによって王の資料が纏められ、その秘密を暴かれた。
- シスカとコタローが作動させたことで、砂漠を崩壊させ、人々を乗せて新世界へと脱出する。装置作動スイッチの前には、砂漠の人々に立ち去れと命令する、「クリエイター」のメッセージが遺されていた。
- 軍艦島
- 異世界の砂漠に浮かぶ、数十隻の空母と軍艦によって構成された島。甲板の上はビルが立ち並ぶ街となっており、1000人の軍人と2500人の民間人が生活している。「砂漠のオアシス」と呼ばれており、異世界の住人達のほとんどが住む街だったが、すでにかなり老朽化が進んでおり、結局、後に戦闘によって分解させられてしまう。住人の台詞から、数年ないしは数十年の間に建造された、比較的新しい島であった様子。
組織・その他の用語
- 民間自衛隊
- アニメのみの設定。原作だと中松達は正真正銘の自衛隊だが、アニメでは株式会社である。陸上自衛隊のほか、中松の兄が隊長を勤める航空部隊もある上、海上用の装備も整っている。
- 中村曰く義勇軍だが、アニメのナレーションでは「趣味で平和を守っている部隊」。しかし、隊長の中松の個人名義で核兵器(アニメでは表現の配慮により『メガトンミサイル』)を保有している上、堂々と使用しようとする場面が多く見られる。
- ネオかくれんぼ
- ゴローとコサムが編み出した謎の遊び。マタタビ命名。考案直後とその後でルールが違う。
- まず一方が「もういいかい?」らしき呼びかけをする。これは前半も後半も共通である。考案直後ではこの後、もう一方は思い思いの方法で自分の姿をアピールする(巨大化、周辺のものを掲げるなど)。そして呼びかけをした方も同様にアピールして(一度相手に攻撃を浴びせてからの場合もある)、お互い同時に攻撃を仕掛け、次のセットと思わしきフェイズへ移行する。
- 後半では呼びかけはゴローに固定されていた。ゴローが呼びかけをした後、コサムが何らかの周辺物を掲げてアピールする。判断基準は不明であるものの、それによってゴローが何らかの反応を示す(ビルに攻撃を加える、巨大化)。
- 剛たちによっていくつかのケースの勝敗が判明(バスと冷蔵庫では引き分け)したり、マタタビがその一端を掴んだ(カーネルサンダースの像を見せると巨大化、「通りすがりのコギャル」では一旦縮んだ後巨大化)こともあったが、結局勝敗を決する基準はコサムとゴローしか知らず、勝敗を争っているということ以外は一切不明の遊びである。
番外バトル
作画が内田じゅんた、監修横内なおきによる番外編。横内が単行本一巻ではゲストとして久々にクロちゃんを描いている。『帰ってきたサイボーグクロちゃん』の発売と連動するように連載が始まり、『コミックボンボン』にて2002年12月号から2005年12月号まで掲載された。
最初のうちは雑誌の中心部や後ろのカラーページで4コマ漫画連載されていたが、後に通常の漫画となる。内田はその昔、ボンボンにイラストを送ってきたクロちゃんのファンの一人であり、単行本では「イラストを送っていたのが自分で漫画描くとは思っていませんでした」と驚きを語っていた。
単行本は全2巻。前述のカラーページ掲載分も単行本では白黒になっている。
テレビアニメ
1999年10月2日から2001年1月6日までテレビ愛知発・テレビ東京系列各局で全66話放送された。パブリック&ベーシック(PiBi)が講談社からアニメ化権利を獲得し、『サイボーグクロちゃん製作委員会』を設立したことから同委員会(主幹事はPiBi)が製作を担当した。当初の製作費用は2億3400万円。システムサコムのベンチャー、ドリームプロジェクト沖縄が、製作委員会に出資することを目的とした「サイボーグクロちゃん制作ファンド組合」を那覇市で設立して沖縄県内企業の出資を募り、テレビ放送権などをライセンス供与するという試みが行われ[1]、TXN系列外の沖縄テレビ放送(FNS)で時差ネットされた。
ナレーションは龍田直樹。コタロー・ナナ登場の回のみ、タイトルコールをそれぞれ新登場するキャラクターが務めた。
原作の様々な残酷な描写や過激な台詞は柔らかなものに描き変えられており、キャラクターの生死もいくつか変更されているものもある。また、原作後半で登場したゴローは登場していない。剛くんとミーくんは最終回を除いて全話に登場し、本来彼らが登場しない原作エピソードにおいてもメインに関わってくるなど、メインキャラクターとして捉えられていた。第24話は制作会社にテレビ東京から号外FAXが届くほどの視聴率で、シリーズとしても最高視聴率は5.9%、平均は3.6%を記録しており、人気が高かったことから当初の予定よりも放送が延長され[2]、最終的には全78話の放送が予定された。
エピソードの約半分はアニメオリジナルが占め、オリジナルのキャラクターや武器、そして姿なども多数登場している。原作と同様、以前の設定とその後の設定とで噛み合わない部分も出てきており、特にキャラ同士の呼称は原作以上に安定していない。
テレビ放送の中止
しかし、2001年1月に制作会社のパブリック&ベーシックおよび実製作を請け負った関連会社の「スタジオボギー」が倒産状態に陥ったことで制作が不可能になり、66話までの放送で未完に終わった[3]。残りの12話分の放送枠はセレクションと題した再放送で埋められた。実質の最終回である第66話の関東圏の本放送時は、次回へ続くことを示すナレーションの部分からカットされ、次回予告も流されず、セレクションの放送が伝えられた。ただし一部地域では次週予告を放送していたため、第67話をごく一部だが見ることができた。それ以降はタイトルのみが公開されており、それらの内容は不明である。
ドクター剛役の古澤徹は、本人曰くいろいろ深刻な時期での起用だったといい、自分の演じていたキャラクターである剛を非常に気に入っており、続編を切望している[4]。だが、後に発売されたPSゲーム版においては起用されていない。その後原作の連載も終了してレンタルビデオリリースも打ち切られ、テレビ放送されたエピソードでも収録されていない作品が10話以上残っている。
再放送
2010年4月から2011年4月17日までテレビ愛知で49話まで再放送されていた(毎週日曜 朝6時30分 - )。本来は2011年4月3日で終了予定だったが、4月17日に「ニャンニャンランド」が放送され、番組最後に番組終了が字幕で伝えられた。このほか、過去にアニマックスなどで再放送したことがあった(第66話だけ未放送)。
ビデオソフト
メディアファクトリーが販売。発売元である企画制作元のパブリック&ベーシックが倒産したため途中でビデオ化が打ち切られ、第54話から第66話まではソフト化されていない。また、DVDは発売されていない。
- サイボーグクロちゃん
- VHS全9巻
- 第1巻のみ2話収録、他は各3話収録。第1話から第27話。
- サイボーグクロちゃんGreat(グレート)
- VHS全9巻(レンタル専用)
- 各3話収録。収録話数は第27話から第53話。なのだがなぜか53話が攻撃ヤーヤーヤー星人の回に誤って収録されている。
スタッフ
- 主要スタッフ
- 原作 - 横内なおき
- 企画 - パブリック&ベーシック
- 監督 - 高本宣弘
- シリーズ構成 - 山本優
- キャラクターデザイン - 島袋美由紀
- メカニックデザイン - 飯村一夫
- 美術監督 - 宮前光春
- 色彩設計 - 田中直人
- 撮影監督 - 沖野雅英 → 小林慎吾
- 音響監督 - 松浦典良
- 音楽 - 若草恵、荒川敏行
- 音楽プロデューサー - 斎藤裕二
- 制作プロデューサー - 木下真弓、土屋貴彦
- プロデューサー - 高柳明史、松浦公基
- アニメーション制作 - スタジオボギー
- 製作 - テレビ愛知、サイボーグクロちゃん製作委員会(パブリック&ベーシック)
- 各話スタッフ
- 脚本 - 山本優、四辻たかお
- コンテ・演出 - 高本宣弘、日下部光雄、秦義人、岡崎幸男、福本潔、吉永尚之、雄谷将仁、高田耕一、ほか
- 作画監督 - 飯村一夫、土屋英夫、丸英男、村上勉、浅沼昭人、小林一三、ほか
曲
- オープニングテーマ「ぐるぐるクロちゃん」(第1話 - 第66話)
- 作詞・作曲・歌 - LADY Q / 編曲 - M. Kamishiro
- エンディングテーマ「ポジティブ ヴァイブレーション」(第1話 - 第61話)
- 作詞・作曲・歌 - シスター・K / 編曲 - M. Kamishiro
- エンディングテーマ「パラパラクロちゃん」(第62話 - 第66話)
- 作詞・歌 - きゅう / 作曲・編曲 - ながいけん
各話リスト
クロちゃんの代名詞であるガトリングの効果音は、第1話から第3話までは軽い音だったが、第4話以降は変更された。当初の重たい効果音は、当初発射音の間隔が絵の見た目より多少離れていたため、後半以降はその間隔が短縮され、よりガトリングの音らしいものになった。昔の間隔はアイキャッチのガトリングの音で毎回聞くことができた。1話から3話のアイキャッチでの効果音も軽いガトリングの音だった。
原作者の横内なおきが解説役のキャラクターとして、何度か登場している。その際のキャストは名前のなおきにちなんで、ナレーターの龍田直樹が担当した。
話数 | サブタイトル | 話数 | サブタイトル | 話数 | サブタイトル | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 最強のニャンコ誕生! | 25 | コタローの父かえる | 49 | ニャンニャンランド | ||
2 | ニャンニャンアーミー | 26 | 世界征服計画開始?! | 50 | 真・暴走クロちゃん | ||
3 | 地獄のハイウェイ | 27 | 異世界・事のはじまり | 51 | クロ・ミーゲーム対決 | ||
4 | 空とぶ親子ロボ出現! | 28 | 砂漠に浮かぶ都市 | 52 | 転校生は超能力者?! | ||
5 | ミーくんの初恋 | 29 | 異世界・崩壊のあと | 53 | 宇宙からのメッセージ | ||
6 | ミーくん誘拐事件 | 30 | 終末から新世界へ | 54 | 攻撃ヤーヤーヤー星人[注 1] | ||
7 | 史上最大のオニゴッコ | 31 | ミーくん誕生のヒミツ | 55 | 地球最後の日来たる! | ||
8 | クロミーアイドル勝負 | 32 | ハネムーン大戦争!? | 56 | 恐怖のベイビー誕生! | ||
9 | 学校の裏伝説 | 33 | 学校でオバケ退治 | 57 | クロとナナのけんか | ||
10 | 裏山の一ツ目地底人 | 34 | 宝クジ大バトルレース | 58 | また来たヤーヤーヤー | ||
11 | 天才少年コタロー登場 | 35 | マタタビの大修行?! | 59 | ナナお姫様になる? | ||
12 | デビルミーあらわる | 36 | チビネコたちを守れ! | 60 | マタタビからの挑戦状 | ||
13 | 檻の中の戦い | 37 | ノンストップバス旅行 | 61 | 筋肉美女大バトル!? | ||
14 | 剛とコタローの大実験 | 38 | 白い怪物との大バトル | 62 | 鈴木のプレゼント作戦 | ||
15 | マタタビ参上! | 39 | ミーくん2号登場! | 63 | スクラップキング登場 | ||
16 | クロちゃんの家出 | 40 | ナナちゃんがんばる! | 64 | 宇宙からの宅配便 | ||
17 | 雪の中の大決闘! | 41 | 復活! デビル再登場! | 65 | コタローのクリスマス[注 2] | ||
18 | 美少女消防士! めぐみ | 42 | 決戦! クロ対デビル | 66 | 買い物デート大決闘![注 3] | ||
19 | 爆走! バトルボーグ | 43 | クロの家にお引っ越し | (67) | 謎の雪男現わる! | ||
20 | クロ、パパになる!? | 44 | コタローいなくなる? | (68) | ライバルはコタロー? | ||
21 | ハチャメチャ大争奪戦 | 45 | 恐怖の大ウイルス!! | (69) | キンタローのリベンジ | ||
22 | 鈴木の初デート | 46 | マタタビとの出会い | (70) | コスプレ少女カグヤ[注 4] | ||
23 | へビビンガーあらわる | 47 | カラスとの戦い!! | (71) | 悪魔になった? 剛くん | ||
24 | コタローを救え! | 48 | キッド最後の戦い!! | テンプレート:Small |
- 各話リスト注釈
放送時間
- テレビ東京系:毎週土曜朝8時00分 - 8時30分(14話のみ水曜朝7時30分 - 8時00分)
オリジナル・サウンドトラック
- 『サイボーグクロちゃん:最強打ちまくり音楽大図鑑 TV ― オリジナル・サウンドトラック』(コロムビアミュージックエンタテインメント)2000年6月21日
原作とテレビアニメ版の相違点
- 残酷描写や過激な台詞、核や原子力にまつわる物は全体的にカットされている。他にも、原作でよく見かける「殺してやる!」や「死ね!」などの暴言もカットされ、改変されている(例として「あのハゲ殺したい」が「あの馬鹿取っちめたい」)。また原作で稀にある下ネタもカットや緩和されている。
- なお味方(ミッキー6型の子分やニャンニャンアーミー18号。など)を殺害するネタも全体的にカットされている。
- いくつかのパロディ風刺ネタがカットされている。ただし、鈴木の愛称がジムだったり、ロミオとジュリエットの名前はそのまま使われたり、台詞では「アムロ、いきまーす!(機動戦士ガンダム)」「今のパンダはたれてなくちゃ駄目(たれぱんだ)」「機械の身体は欲しくないかい?(銀河鉄道999)」などのパロネタはそのまま使用された。
- 登場人物を理不尽に襲うネタは色々と変更や緩和されている。
- 例として、滝沢が生徒を襲わない、コタローの父の初登場回でラストにクロが襲うのが偽警官になっている、など。
- 一話にて燃料切れの際に飲んだ燃料が原作ではラジコン、アニメではバイクになっている。
- 原作ではプーリィは野良犬だが、アニメでは飼い犬となっている。物語終了後飼い主が引っ越してしまい、プーリィともその後会えなくなるという結末だった。この時クロちゃんは原作にて剛くんに矢で射られ瀕死の状態にさせられるが、アニメではハンマーで気絶させられる。
- 地獄のハイウェイで、ミーくんは本来チップを残して影も形もなくなるが、アニメでは頭一つで残っている。その後首が取れるという描写はなくなった。
- 原作のキッド編の1話で、ネコが突然失踪する事件を「ネコ狩り」と呼んでいたが、アニメでは「ネコキャッチ」になっている。その際チンピラが使う銃も改造拳銃ではなくトリモチ弾となっている。さらにこの事件を引き起こした黒幕が天童ということになっている。
- ナナがアルバイトをする回では、原作だとクロは最後のページでようやくナナを見つけるが、アニメでは脅迫しているシーンでナナが強盗犯だと気づき、最後には警察に攻撃している。
- 原作では、がんばれミーくん2号を壊そうとしたときにチエコがデートを台無しにされたことになっているが、アニメでは真・暴走クロちゃんが暴れているときにデートを台無しにされたことになっている。
- 原作では、スモールライターで二回目にコタローと剛を小さくするときに、全員に「急げ」と殴られているが、アニメではミーくんが怒った後ナナがミサイルで脅している。
- 原作で、ドッチはマタタビに対して「俺も道具ぐらい使えるんだぜ」と言った後ナイフで刺しているが、アニメでは「俺だって二本足で立てるんだぜ」と言った後マタタビを突き落としている。
- 原作ではあまり合体しなかったが、クロとミーが合体する話が全体的に増えている。(アニメオリジナルの話では、ほぼ毎回合体している)
- 本来原作ではミー、剛、コタローの3名が登場しない回であっても、あえて出演させているエピソードがあり、登場する回では話の内容が大きく改変されている。例としてヘビビンガー登場編でクロは本物の鷹に捕まり、銃で脅して手伝わせているが、アニメでは鷹が剛の作った搭乗型飛行メカということになっている。また、コタローが登場していない初期のエピソードのいくつかが後回しにされたため、それらのエピソードにおいて剛やミーに混じってコタローが登場する回がある。反面、マタタビは原作で登場する回であっても出演がないという回があったり、登場しても台詞がないということがあった。
- 玩具やゲームとのタイアップで、アニメでは原作では使用しない武装が数多く存在した。真・暴走クロちゃんはその代表格である。
うちまくりクロちゃんシリーズ
アニメ化以前より展開していたクロちゃんの玩具シリーズ。針金を内蔵した手足により、自由な可動範囲を実現している。
うちまくりというだけあって、武器は基本的にBB弾を撃ち出すものとなっており、マタタビが発売された際は本来彼が持っていない「ショットガン」が付属された。後に「ブーメランマタタビ」など、コレクションズというシリーズ中における亜種(BB弾発射武器が付属しない)も登場した。
コレクションズは後にどんどん進化していき、ダンクの頭の文字会話機能をつけかえる玩具や、異世界編における最後の敵バイスなど、様々な商品展開がなされた。
最後に発売されたのは真・暴走クロちゃん(スペシャル改造BOX3)。コミックボンボンの情報においては、「ニャンニャンアーミー」が発売される予定であると報じられ、頭のパーツを差し替えることによって全てのニャンニャンアーミーを再現できるというものだったが、実現には至らなかった。
- 単体
- クロちゃん(ガトリング砲)
- ミーくん(ガトリング砲)
- マタタビ(ライフル)
- コタロー(ガトリング砲)
- 連射クロちゃん(ライフル)
- コック ミーくん(包丁)
- デビル ミーくん
- ブーメランマタタビ(マント付き)
- 剛くん(デビル吸収器)
- 合体クロ&ミー(なんでも切れる剣)
- ぐるぐるクロちゃん(目玉取替え)
- ニワトリクロちゃん(ガトリング砲)
- コンバットクロちゃん(ライフル)
- サイボーグダンク(コタロー)
- ズタボロクロちゃん(ダブルキャノン)
- 賞金稼ぎバイス(丸ノコギリ)
- スペシャル改造BOX
- 暴走クロちゃん(マジギレバージョン)
- 合体クロ&ミー(ジオラマ、的付き)
- ミーくん
- 真・暴走クロちゃん
ゲーム
CRと併せて合計4作が製作された。
サイボーグクロちゃん〜デビル復活〜
テンプレート:Infobox ゲームボーイカラー用ソフト。2000年(平成12年)3月23日発売。復活したデビルを倒すため、クロちゃんが立ち上がるという内容のストーリー。アニメでも、構成が違うものの同内容の話が放映された。また、TVCMも放映された。
- システム
- 攻撃方向を示すマーカーを動かし背景のビルを全て破壊して破壊率を稼ぎつつ、目の前に現れる敵も倒していく。プレイヤーキャラは基本的にジャンプと攻撃しかできない。
- また、破壊した敵や建造物から出てくる全320種類のクロポン(クロちゃんウェポン)の収集要素も存在する。ボス戦はアクションとシューティングを組み合わせた構成となっている。
- 当時発売されていたクロちゃんのカードゲームに書かれていたパスワードを入力することによって、通常手に入らないクロポンや隠しキャラが使えるようになる。しかし2回連続でパスワードを間違えるとクロポンが半減する。通信対戦も可能で、負けた相手からクロポンを1つ奪える。
サイボーグクロちゃん2〜ホワイトウッズの逆襲〜
同じくゲームボーイカラー専用ソフトで、第1作目の続編。だが、ストーリー面でのつながりはない。ホワイトウッズ戦で助けたブッチ達に助けを求められ、再びホワイトウッズとの戦いに挑みにいくという内容。当初はバイスが登場するという話もあり異世界編ステージも導入されたが、登場しなかった。また、人気キャラクターであるマタタビが登場しなかった。コミックボンボン読者から応募したクロポンを採用しており、エンドクレジットには採用者名が書かれている。当時アニメーションが放送されていたにもかかわらずテレビCMは無く、目立った宣伝は『コミックボンボン』誌上でしか行われなかった。
- システム
- 前作と同様に破壊率システムを搭載し、全400種類にも及ぶ豊富なクロポン収集を目的としている。基本システムも前作と同様。通信対戦面は多少演出が強化された。
帰ってきたサイボーグクロちゃん
GB版から約2年後、アニメ終了から1年ほど経って発売された、シリーズ初のプレイステーション専用ゲーム。コナミ39シリーズとして発売され、3900円というゲームボーイソフト以下の低価格で買えるゲームだった。アニメ版キャストによるほぼフルボイス化となっており、メインの3匹はアニメ版と同様のキャストが使われたが、他のキャスト(ドクター剛やコタローなど)は別の人物があてられた。今までプレイヤーとして使用できなかったマタタビが使用可能になった。また、今までテレビアニメ版映像の流用だったゲームパッケージは、原作者横内なおきの書き下ろし。
- システム
- GB版とは違ってシューティング要素を一切排除。またクロポンシステムも排除され、プレイヤーはクロ・ミー・マタタビのどれか一匹を選んでラストまで決まった武器(メイン装備・格闘装備・火炎放射系・レーザー系・ハンマー系・バズーカ系)を使ってプレイする。クロポンシステム排除の代わりに、パワーアップアイテムをとって使うことにより、武器を強化することができるシステムを導入。武器・キャラ性能のパワーアップは最大5段階ある。また、パワーアップすると武器の形・またはその武器自体がかわり、5段階全て違う武器(たとえばマタタビなら廃材ブーメラン→すてるすブーメラン)が用意されている。
- また、一度クリアしたデータをスタートさせると、サイボーグ姿の暴走クロちゃんが使用可能となり、全能力・全武器がMAXパワーアップ状態でスタートさせることができた。
- キャスト
CRサイボーグクロちゃん
奥村遊機より2001年(平成13年)2月に発表され、同年4月頃に導入されたCR版。リーチアクションが多数あり、公式サイトではリーチアクションのムービーも見ることができた。大当り画面では、アニメ版の主題歌が流れ、映像もOP映像でクロちゃんとミーくんが撃ちまくっているものが流れる。
クロちゃんのゲスト出演ゲームソフト
- 『ロボットポンコッツ』(ゲームボーイカラー用ソフト、ハドソン、1998年(平成10年)12月4日)
- 大電波塔に出てくる「ニャン」というロボポンに赤外線を当てるとクロに進化する。
- 『ロボットポンコッツ ボンボンバージョン』(ゲームボーイカラ用ソフト、ハドソン、1999年(平成11年)12月24日)
- 『ロボットポンコッツ MOONバージョン』(ゲームボーイカラー用ソフト、ハドソン)
- 『ロボットポンコッツ64 〜七つの海のカラメル〜』(NINTENDO64用ソフト、ハドソン、1999年(平成11年)12月24日)
- クロの入ったデータでプレイすると登場。