南鳥島

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テンプレート:Infobox 南鳥島(みなみとりしま)は、小笠原諸島本州から1,800 km離れた日本の最東端としても知られている。行政上は東京都小笠原村に属する。

日本の島としては唯一日本海溝の東側にあり、日本で唯一太平洋プレート上にある。さらには、日本の実効支配の及ぶ島では唯一、他の島と排他的経済水域を接していない島でもある。マーカス島マルカス島(-とう、Marcus Island)[1]とも呼ばれる。

地勢

地形

一辺が約2kmのほぼ正三角形の形をしている平坦な島であり、最高地点の標高は9 mしかない。また島の周囲はサンゴ礁で浅くなっているが、潮流が速いので泳ぐのは危険とされる。この海域は北西太平洋海盆に含まれ、島の周囲は深い海に囲まれている。サンゴ礁の外側はすぐに水深1,000 mの断崖となる。

気候

ケッペンの気候区分でいうサバナ気候 (Aw) に属する。月平均気温2月21.6テンプレート:℃ - 7月28.4テンプレート:℃、年間平均25.6テンプレート:℃と温暖。降水量は日本国内では少なめ。日本では南西諸島と南鳥島を含む小笠原諸島のそれぞれ一部が熱帯に属しているが、南西諸島はアジア大陸からの距離が近いため寒候期(10 - 3月)にはシベリア気団の大きな影響を受ける。同じ熱帯でも、南西諸島南部(石垣島西表島与那国島宮古島など)は年中降水量が多いので熱帯雨林気候 (Af) に属する。これに対して、南鳥島は大陸からの距離が大きいため年間の気温差が小さいが、日平均気温年較差が約6.8テンプレート:℃あり、寒候期には北極方面からの寒気の影響があることを示している。極値は、最低気温が1976年2月10日 13.8テンプレート:℃、最高気温が1951年7月17日 35.6テンプレート:℃、積雪記録はない。

テンプレート:Marcus Island weatherbox

歴史

ファイル:Marcus Island attack Aug1943.jpg
南鳥島への空襲(1943年8月31日)

現在

ファイル:Ogasawara Minamitorishima.png
日本本土との位置関係

一般市民の定住者はなく、飛行場施設を管理する海上自衛隊硫黄島航空基地隊南鳥島航空派遣隊気象庁(南鳥島気象観測所)、関東地方整備局(南鳥島港湾保全管理所)の職員が交代で常駐する。

往来・補給のために1,380 m滑走路があり、島の一辺は滑走路だけである。船の波止場もあるが、浅いサンゴ礁に阻まれて大型船は接岸できないため、大型船は沖合いに停泊し、そこから船積みの小型ボートで島にやってくる。

かつては、アメリカ沿岸警備隊が電波航法施設ロランC局を運用していた。1993年海上保安庁千葉ロランセンターが業務を引き継ぎ、213 mのアンテナから1.8 MWの送信出力でロランパルスを発信していたが、ロランパルスを使用する船舶が減少したため2009年5月に廃止が決定。同年12月1日午前をもって廃止された[4]

島に駐在する職員のため、航空自衛隊C-130H輸送機が月に一度、海上自衛隊のYS-11が週に一度、食料の補給や荷物の逓送のために飛来する。また、不定期で海上自衛隊のUS-1、US-2飛行艇や航空自衛隊のC-1輸送機が利用されることもある。物資等の輸送だけではなく、交代の職員もこれらの飛行機を利用する。硫黄島と共に日本郵便株式会社より「交通困難地[5]の指定を受けており、南鳥島の住所を記載しても郵便は届かない。

所要時間はC-130輸送機が厚木基地からの直行で約4時間、YS-11が厚木基地から硫黄島を経由して約7時間。但し、絶海の孤島で周囲に緊急着陸が可能な飛行場が存在しないために、何らかの理由で着陸ができないと帰路に燃料不足の懸念がある。よって、確実に着陸可能である状況でしか飛んでこない。

太平洋戦争の際に戦闘を想定して島を要塞化していたため、今もなおその時代の戦車大砲の残骸などが残っている(アメリカ軍による空襲はあったものの上陸・戦闘は起きなかった)。

作家の池澤夏樹が南鳥島に行きたいと要望し、補給船に乗って1日だけ上陸したことがある。この時の状況は彼の著作「南鳥島特別航路」に書かれている。

レアアース

2012年6月28日東京大学の加藤泰浩ら研究チームは当地付近の海底5600mにおいて、日本で消費する約230年分に相当するレアアースを発見したと発表。日本の排他的経済水域である南鳥島沖の海底の泥に、レアアースの中でも特に希少でハイブリッド車 (HV) のモーターなどに使われるジスプロシウムが、国内消費量の約230年分あるという推定がなされた。これにより、掘削技術を提供している三井海洋開発と共同で深海底からの泥の回収技術の開発を目指す[6]

2013年3月21日海洋研究開発機構と東京大学の研究チームは、深海底黒泥中には最高で中国鉱山の30倍超の高濃度レアアース(希土類)があることが分かったと発表。今回の調査で、同大学の加藤泰浩は「230年分以上、数百年分埋蔵している可能性がある」と話している。なお、陸上レアアース鉱山で問題になる放射性トリウムは深海底黒泥中には含まれていなかった。

経済産業省は来年度から南鳥島沖の調査を本格化し、3年間で約40カ所を試掘する予定で、政府は商用化に向けた技術開発も急ぐ。

海外の反応

世界のレアアースの主な輸出国である中国は、日本のレアアース報道について、「わが国を煽り立て、牽制(けんせい)することが目的だった可能性がある」として、否定的な反応を示している[7]。また日本国内からも、南鳥島のレアアース採掘は経済合理性に欠けており、一連の報道は単なる牽制目的なのではないかという指摘もある[8]。以上のことから、国際関係上、資源外交についての今後が注目される。

生物

ヤモリ科の一種ミナミトリシマヤモリが生息している。日本国内ではここと南硫黄島にのみ生息が認められ、ミクロネシア方面から流木などに乗って分布を広げたものと考えられている。

人体に有害な寄生虫を持つアフリカマイマイが多数生息する。

その他

  • 設置されている飛行場については南鳥島航空基地を参照。
  • 気象通報の観測地としても知られる。
  • 同島と与那国島の間が、日本国が実効支配している領土間で最長の大圏距離を取ることができる地点である。(約3140km)
  • 日本国が実効支配している領土では、元旦の初日の出の時刻が、5時27分と一番早い[9]

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

  • 池澤夏樹 『南鳥島特別航路』 新潮文庫、1994年。ISBN 4101318123、「南鳥島―」は内1章。
  • 米内金治 『鳥を釣った話―父島・南鳥島気象観測所長の思い出』 翰林書房、1996年3月。ISBN 4906424880
  • 山本皓一 『日本人が行けない「日本領土」―北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記』 小学館、2007年6月。ISBN 9784093897068

関連項目

  • 中ノ鳥島 - 存在が確認できなかったにもかかわらず、日本国の領土として海図などにも記載されていた架空の島。仮に存在していたならば、南鳥島よりも東にある日本最東端の島だった。

外部リンク

テンプレート:Sister テンプレート:伊豆・小笠原諸島の島々 テンプレート:日本の極地

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  1. アジア歴史資料センター 収蔵資料一覧
  2. 南鳥島でレアアース発見 日本は資源大国になれるのか
  3. 南鳥島のレアアース、一部で中国の約20倍
  4. テンプレート:PDFlink
  5. テンプレート:PDFlink
  6. テンプレート:Cite news
  7. 南鳥島のレアアース発見報道は「わが国を煽り、牽制のため」=中国
  8. 中村繁夫「 南鳥島レアアース開発は30年かけても難しい
  9. 日出没・正中時刻及び方位角・高度角計算 - テンプレートに記載の経緯度を入力すると、日の出・日の入り時刻が検索できる