王家の紋章

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テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible lists王家の紋章』(おうけのもんしょう)は、細川智栄子あんど芙〜みんによる日本漫画作品。

概要

秋田書店発行『月刊プリンセス1976年10月号より連載開始、2013年10月現在、第29部進行中、2013年6月に最新単行本58巻が刊行された(単行本は年1回6月頃のペースで刊行されている)。文庫本は21巻まで刊行。

第36回(平成2年度)小学館漫画賞少女部門受賞。

現代と古代、エジプトを舞台とする3000年の時を経た恋と壮大な歴史ロマンの物語。

本作品を長年にわたり掲載してきた『月刊プリンセス』は2005年新年特大号にて創刊30周年を迎え、また2006年9月6日発売の10月号で本作品は連載30周年を迎えた。それらを記念して、『プリンセス』誌では付録を付けるなどの様々な催しが行われた。

2006年11月現在の累計発行部数は4000万部[1]に達する。

あらすじ

エジプトに留学中の主人公―キャロル・リードは、日々熱心に考古学を学ぶ16歳のアメリカ人。ある日、リード家が貢献する事業の一環として若くして暗殺された古代エジプトファラオ)―メンフィスの墓を暴いた為、彼女は神殿の祭祀であったメンフィスの姉―アイシスの呪術により、古代エジプトにタイムスリップしてしまう。

古代エジプトで途方に暮れるキャロルだったが、金髪碧眼に白い肌がエジプト宮廷の人々の目に留まり、21世紀[2]の人間としての倫理観や考古学の知識が「尊い予言」と判断され、古代エジプトを助ける慈悲深い“ナイルの娘”“黄金の姫”として崇められるようになる。やがて度重なる暗殺から救ったメンフィスと愛し合い、晴れて王妃となってその子を身籠る。が、現代人としての英知やエジプトを狙って、または可憐な容色も兼ね備えたキャロルを見初めて奪取を画策する者、アイシス一派を始めとしたキャロル抹殺を企む者など、諸国の王族までが入り乱れ、2人の間には数々の危機が立ち塞がる……。

登場人物

キャロル・リード
- 潘恵子
リード・コンツェルンの社長令嬢(ライアンの世襲後には令妹)で、16歳の主人公。メンフィスの王妃となる。
アメリカ人ながら大好きな考古学の為にエジプトに留学し、カイロ学園に在学中の一家の末っ子。メンフィスの墳墓の発掘隊に同行していた事で、墓を暴いた報いとして、アイシスの呪いで古代エジプトにタイムスリップしてしまう。迷い込んだ古代エジプトで、考古学への深い造詣を始めとした幅広い現代知識と金髪碧眼に白い肌の美しい容姿から“ナイルの娘”“黄金の姫”と崇められるようになる。当初は恐れていたメンフィスを次第に深く愛するようになり、古代に留まって添い遂げる事を決意する。朗らかで、現代人らしく何人の命も尊ぶ心を持ち、残虐を持って力としていた古代人に臆する事なく苦言を呈する場面も多く、国民や臣下から篤く慕われるようになる。しかしその好奇心旺盛さや人の良さから来る迂闊さ、様々な利用価値の高さ、王達の恋心を掻き立てている事で、多くの野望の的としてその身を狙われている。リビアのカーフラ王女とカプターの策略でメンフィスが第二の妃を迎えるとの話を聞いて絶望し、自ら現代に戻るが、メンフィスの子を宿している事を知り、船の事故を機に再び古代へ戻った。流れついた先でマシャリキという青年に献身的な介助を受け、キャロルが現れたという情報を得たイズミル王子に攫われたが、キャロルが身ごもっている事を悟った王子は、キャロルの身を案じあえて夜中に逃げ出すキャロルを見逃した。逃亡中にウナス、ルカと無事再会をした時に、第二の妃を迎えるというのが嘘(大神官の陰謀)だったと聞き、再びメンフィスとの愛を確認したキャロルは、急ぎエジプトを目指すが、たどり着いた下エジプトの神殿には、戦争の混乱に乗じ神殿を乗っ取っていたアイシスが待ち構えていた。自分を憎むアイシスに我が子を殺されないよう隠し通そうとしたが、懐妊に気付いたナフテラとの会話をアリに聞かれてしまい、激昂したアイシスに死海に落とされ流産してしまう。子を失った罪悪感とショックで体力が激しく消耗し意識不明の重体になるが、ちょうどミノアからキャロルに助けを求めに来ていたユクタス将軍とミノアの兵の助力によってついに下エジプトの神殿から脱出する。意識不明の状態で再会したメンフィスによって、意識の回復を祈る祈祷の儀式の中、アリ達によって火の海の中に取り残されるが、マシャリキを追ってエジプトに潜んでいたエレニーの薬によって意識が覚醒し、ついに愛するメンフィスと再会を果たした。
メンフィス
- 神谷明
古代エジプト王国の王(ファラオ)で、17歳の少年王
長い黒髪に女と見紛うばかりの美貌ながら、火のように激しい気性と勇猛果敢さで、残忍で冷酷な切れ者として名を知られるエジプトの統治者。21世紀人ならではの英知、白い肌に金髪を有する容姿、明るく優しいが王者たる自分にも屈しない強い心を見せ、自らを助け続けたキャロルに惹かれ、いつしか熱愛するようになり、幾多の障害を乗り越えて妃にする。
アイシス
- 杉山佳寿子
古代エジプト王国の第一王女で下エジプト女王と呼ばれている、メンフィスの異母姉。
神殿の祭祀としての魔力と、妖艶な魅力とを併せ持つ絶世の美女。幼い頃からメンフィスを熱愛し妃となる事を望むが、復讐の為に自分が連れて来たキャロルによってメンフィスを奪われた憎悪から、ミタムン(古代ヒッタイトの項目参照)殺害の濡れ衣を着せようとする等、あらゆる手を使ってキャロル抹殺を目論む。が、後に謀をメンフィスに知られ、益々距離を置かれる事になる。バビロニア王国の王―ラガシュ(その他の古代人の項目参照)にキャロルを殺す約束と引き換えに嫁ぎ、バビロニア王国王妃となる。王妃となったあとも、弟メンフィスの事を忘れられず、いつかエジプトに帰りたいと常に願っている。エジプトとバビロニアの戦争の中、古代に戻ったキャロルを待ち構え、キャロルの懐妊に逆上し死海に落として流産させている。のちにラガシュ王の子を身ごもっていることが発覚した。

古代エジプト

ミヌーエ
古代エジプト王国の将軍。女官長―ナフテラ(後述)の息子。
幼い頃から常にメンフィスに従い守って来た、片腕とも言うべき忠臣。武勇に優れた徳のある将軍として、民にも知られている。
ごく初期にはアイシスに恋を打ち明ける描写が見られたが、手厳しく撥ね付けられて後は全くその様子は見られない。逆に近年では、アイシスの危険思想を警戒するのみで、思慕していたという設定は無かった事のようになっている。
ウナス
ミヌーエに次ぐメンフィスの忠臣として、キャロルの護衛(兼見張り)を務める古代エジプト王国の武官
黒髪を坊ちゃん刈りにした、生真面目で責任感の強い青年。幼少時に濡れ衣で処刑され掛けた所を助けられて以来、メンフィスに絶対の忠誠を誓っている。職務上、その傍近くでキャロルの英知を目の当たりにし、多くの感嘆と信頼を寄せているものの、苦労させられる事もしばしば。が、キャロルとメンフィスの為には一命を賭す覚悟で仕え、隊長となる。
ルカ
間者ながら、メンフィスの元でキャロルの護衛(兼見張り)を務める古代エジプト王国の武官
ソバージュの長髪を後ろで一纏めにした、イズミル(古代ヒッタイトの項目参照)の腹心。キャロル及びエジプトを狙うイズミルより、宮廷内を探るという命を受けて潜入し、キャロル始めエジプト内の人々にはその正体を一向に悟られず、ウナスと共にキャロルを幾多の危険から守ってきた。イズミルへの忠誠心は人一倍強い反面、キャロルを敬いながらもそのお茶目な一面を微笑ましく思う等、幸せを願いつつある自分に葛藤する。因みに、ルカの衣装は初登場時から一度も変わっていない。
テティ
古代エジプト王国の、キャロルのお付きの侍女
ふくよかな体に明るい性格で、主人であるキャロルとも仲が良い。ミノア編以降常にキャロルのそばで、一緒にお忍びで下町へ繰り出したり、料理を作ったりしている。
ナフテラ
古代エジプト王国の宮廷侍女たちを統率する女官長であり、ミヌーエ将軍の母。
キャロルが母のように思っている女性。
イムホテップ
古代エジプト王国の名宰相。
ソバージュの長髪に顎髭をたくわえた賢い老人で、キャロルの英知と心根をいたく気に入り、王家の新たな血として王妃となる事を賛成した。
ハサン
砂漠を渡る古代の商人
背が高く痩身で、飄々とした男。当初は金儲けの為にキャロルに近付いたものの、その人柄に触れ、後に騎士道的精神でキャロルを守るようになる。キャロルの命令しか聞かないと、心に決めている。エジプト王妃であるキャロルにもいたって気さくに接し、ハサンが授けた旅から旅への豊富な経験と薬草に関する知識は、幾度もキャロルを助けた。
アリ
アイシスの乳母で腹心の女官。
あらゆる毒物を操り、手を尽くしてキャロル暗殺を実行してきたが、全て失敗している。アイシスの幸せを心から願っている為、最近ではキャロルの事よりも、アイシスに夢中なラガシュとの仲がうまくいく事を思い、アイシスの懐妊を喜んでいる。
カプター大神官
神事を司る、禿頭の神官長。
高潔であるべき地位にありながらその心は非常に俗で、数々の黄金の美術品を秘密の部屋に収集しては愛でている程に、黄金に目が無い。キャロルを最も尊ぶべき生きた黄金とみなしており、いつか我が手にと狙っている。キャロル自身は大神官の魂胆は知らぬものの、彼を薄気味悪く思っており、後のカプターとカーフラの計画をきっかけに酷く嫌うようになる。初登場時より徐々に丸まった体系になり、小太りな男になっている。

古代ヒッタイト

イズミル
- 塩沢兼人
古代ヒッタイト王国の第一王子。
近隣国にもその令名を謳われる、聡明な長髪の美丈夫。宿年のライバルであるメンフィスの戴冠式に、名代としてエジプトへ赴いた妹―ミタムンが殺害され、復讐の為に誘拐したキャロルだったが、熱愛してしまう。キャロルを妃に迎えたいと密かにルカを送り込み、動向を探っては何度も奪取・拉致を試みる。魔女の力により催眠状態にしたキャロルと無理矢理結婚式を挙げるなど、強引な手段を取る一方で、自己犠牲さえ厭わずキャロルの身を守ろうとする真摯さを抱いている。
ミタムン
古代ヒッタイト王国の第一王女で、イズミルの妹。
戴冠式の為に名代として赴いたエジプトで、メンフィスに好意を持つ。が、嫉妬したアイシスにより殺害され、イズミルのエジプト復讐の原因になってしまう。
ヒッタイト王
大変な女好きなヒッタイト王国の王で、イズミルの父。キャロルを狙っていたが、キャロルを捕まえた後に手放す。
ヒッタイト王妃
ヒッタイト王国の王妃でイズミルの母。夫のヒッタイト王と正反対に非常に思慮深く子供思いの優しい女性。
ウリア
ヒッタイト王の姉で、ジダンタシュの母。
息子を王にするため、イズミルの命を狙っている。
ジダンタシュ
イズミルの従兄弟。
母―ウリアとともにイズミルの命を狙う大男。

古代アッシリア

アルゴン
- 加藤精三
古代アッシリアの王。
非常に好色で残酷な君主として名高く、先王の皇太子を殺して王位を奪った。エジプトを狙い、キャロルをおびき寄せて強引に妃にしようと画策するが失敗。激怒したメンフィスによって城を落とされ、右腕を切断された。いつも舌がペコちゃんのように出ている。
ジャマリ
アッシリアのアラゴン城後宮の女官で、アルゴン王の寵姫。キャロルの出現で寵愛を失い、その復讐に、メンフィスを虜にしようとエジプトへ旅立つが…

古代バビロニア

ラガシュ
古代バビロニアの王で、アイシスを妃に迎える。
頭の切れる狡猾な人物で、アイシスの美貌に魅了され、キャロル殺害を請け負うのを条件にアイシスをバビロニア王妃として迎える。後にキャロルにも得がたい価値を見い出し、バビロンの塔に監禁する。懐妊に大喜びしたり、『まだメンフィスを想っているのか』と妬いたりと、アイシスの事は心から愛している模様。常に頭の被り物を外さない。

古代ミノア

ミノス
ミノア王国の14歳の病弱な少年王。
黒いソバージュヘアを後ろで一纏めにした、気弱で優しい少年。長く過換気症候群という病を患っていたが、王国に招いたキャロルの看病の甲斐あって、完治する。しかしそれをきっかけとしてキャロルを想うようになったあまり、ミノスを長く従えていた母親―王太后により昏迷状態にされたキャロルを強引に妃にしようとしたが失敗する。
アトラス
ミノア王国の隠された第一王子。ミノスの兄。
黒く波打つ長髪に大きな体、不可思議な肌の色をしたその醜い姿の為に出生を秘され、ミノア王国地下でラビリンスのミーノータウロスのように暮らす王子。キャロルに恋して求愛するが拒まれた事で憎み、殺そうとしたが、失敗して負傷する。
フォティア
ミノスの世話係で、王太后お気に入りの貴族の娘。
ミノスを慕っている。ミノスに毒を盛ったとの濡れ衣を着せられて処刑されそうになったが、キャロルに助けられる。その後の出番はない。

その他の古代人

アマゾネスの女王
アマゾンの女王。
女でありながら、男にも負けない力を持つ勇猛な女王。キャロルを二度程助けた事があり、信頼を寄せて重体の妹―ヒューリアを託す。
ヒューリア
アマゾネスの女王の妹。
ヒッタイト王により瀕死の重体であったが、キャロルの看病によって回復する。その後、帰国。
マシャリキ
古代アビシニア王国の「青の王子」。
キャロルには好意を持っているが、メンフィスを憎んでいる。
カーフラ
リビア王国第一王女。
メンフィスの第二妃になろうと画策し、断られるも諦めていないようである。
シンドゥ
古代インダスの王子。
キャロルに自国の運命を予知させるが、その結果に憤慨し、キャロルを逆恨みしている。
アルシャーマ
メディア国の王。
アルシと名乗り、エジプト王宮に出入りしている。
ネバメン
メンフィスの弟だと名乗ってエジプト王宮に出入りする、元死刑囚。

現代人

ライアン・リード
リード家長兄にして、後にコンツェルンの社長となる。
肩まで伸びた黒髪の、クールな青年実業家。博識で敏腕、卓越した経営能力で会社は纏めているものの、溺愛している妹―キャロルの度重なる行方不明事件に翻弄されている。ジミーには、事業の鬼・氷のライアン・アメリカのライオンなどと恐れられ、敬遠されている。
ジミー
キャロルの考古学の師―ブラウン教授の孫であり、現代での恋人&婚約者。
キャロルに夢中だが、度々行方不明になっては長く発見されないキャロルは、王の墓を暴いた事で“王家の呪い”に侵されているのではないかと身を案じている。ライアンの事が苦手らしい。連載当初、キャロルと両思いで将来を約束していただけに、報われないキャラクターでもある。
ブラウン教授
カイロ学園で教鞭を取る考古学者。キャロルの考古学の師であり、ジミーの祖父。
度々行方不明になっては長く発見されないキャロルの状態を、“王家の呪い”かも知れないと推測している。
ロディ
キャロルの二番目の兄で、ライアンの弟。殆ど登場しない。
アフマド
アラブの石油王
キャロルの為ならどんな危険も厭わない、勇敢な青年。地中海で溺れていたキャロルを救出し、以来惚れ込んで追い掛けるようになる。キャロルがメンフィスの子供を身ごもって現代へ帰ってきた際、世間の批判から守る為、キャロルの相手として進んで名乗り出た。

登場する国など

派生作品

CD版

王家の紋章 イラスト・ストーリー・ビデオ・オリジナル・サウンド・トラック
株式会社モモアンドグレープスカンパニー(復刻版CD ABCA-5067(2004年9月25日))
製作 - 「王家の紋章」製作委員会
音楽 - 久石譲
王家の紋章 Part 1
ポニーキャニオンCD(PCCG-00104(1990年12月15日))
王家の紋章 Part 2
ポニーキャニオンCD(PCCG-00105(1990年12月15日))

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

  • ナイルの娘』 - 『王家の紋章』(劇中では「ナイルの娘」)に熱中する台湾人少女を主人公とした、侯孝賢監督の1987年の映画。

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  1. 女性自身」(2006年11月21日号)より
  2. 連載開始当時は“20世紀”の設定だったが、連載中に21世紀に突入した為に変更。近年増刷・発売されたコミックス及び文庫版では、初めから“21世紀”と設定。