目玉焼き
目玉焼き(めだまやき)は卵を使った料理のひとつで、フライパンで卵を割り入れて焼いたものである。 卵は主に鶏卵を使用する。2個または1個を使う[1]。黄身と白身が共に平円状となり、見た目が目玉のようになることからそう呼ばれる。
英米系の卵料理であり、江戸時代の『万宝料理秘密箱』には記載されていない。
作り方
フライパンでサラダ油などの油を熱し、フライパンが暖まったところで割った生卵を投下、適度に固まったところで少量の水を入れ蓋をして蒸し焼きにする[2]。しっとりとしたものに仕上げたい場合は、樹脂加工のフライパンに油をひかずに卵を割りいれ、極弱火で焦げないように加熱する。
カリカリしたものに仕上げたい場合は、フライパンを強火で加熱しながら多めの油がかぶるように焼き上げると白身が焦げてカリカリした食感と香ばしさが味わえる。焦げ付かないよう鍋に油をなじませるのがコツであるが、鉄のフライパンなどではそれなりの技術が必要である。
オーブントースターやオーブンレンジを使用し、耐熱容器・アルミホイル・アルミホイル製容器に卵を割り入れて、その熱源によって焼く方法もある[3]。
目玉焼きそのものは至極単純な料理で、料理の初心者が最初に作る料理としても最適だが、単純であるだけに美味しく作るには熟練を要する。また、焼き方・焼き加減・使用する調味料によって、目玉焼きにも多くの種類が存在する。卵を熱源に投下する高さによって、熱した後の硬度が大きく違ってくる。低く投入することで卵黄球をつぶさずに熱することができ、非常に柔らかくすることができる。黄身と白身を分けて熱する手法もある。電子レンジを使用し、その電磁波により加熱させる方法もある[4]。しかし、電子レンジの出力や使用する容器の形状、卵のサイズ・量によって加熱時間をうまく調節しないと卵が破裂しやすくなるため、注意を要する。これを防止するには、割った生卵を一度容器に移し替えて黄身の部分に小さな穴を空け、ラップを掛けてから電子レンジに入れる方法がある。他に、容器に卵を割り入れた後に破裂防止のため、卵が浸る量の水を入れて加熱する調理法もある[5]。また、電子レンジ専用で目玉焼き調理用に特化した調理器具も存在する[6]。これらの調理法で作った目玉焼きは、通常焼き目や焦げ目ができないが、機能を持った電子レンジ専用調理器具を使用すれば、焼き目や焦げ目のある目玉焼きを電子レンジで作ることが可能[7]。
焼き方による分類
- 片面焼き(サニーサイドアップ = sunny-side up)
- 両面焼き(ターンオーバー)
- 調理の途中で卵を裏返し、両面を焼く方法。まんべんなく火が通るが、両面に焼け跡が付くため片面焼きのものとは見た目が異なる。調理時間を短くしようとして黄身を壊すことも多い。
サンドウィッチの具にする際には両面が加熱され強い膜ができることからターンオーバーが向いている。
- オーバー・イージー(over easy) - 白身はやわらかく、黄身もほとんど液状。オーストラリアなどはサニーサイドダウンsunny-side downという。アメリカではover easyが一般的。
- オーバー・ミディアム(over medium) - 黄身は半熟。
- オーバー・ハード(over hard) - 黄身まで固焼き。
- 調理の途中で卵を裏返し、両面を焼く方法。まんべんなく火が通るが、両面に焼け跡が付くため片面焼きのものとは見た目が異なる。調理時間を短くしようとして黄身を壊すことも多い。
焼き加減による分類
- 半熟
- 火を半分ほど通したもの。半分生であるため、生卵に近い滑らかな喉越しを味わえる。
- 固焼き
- 火を完全に通したもの。弁当などにも使用する。
食べ方
目玉焼きは手早く作れて栄養価も高いことから、朝食のメニューによく用いられる。味付けには醤油、塩、ウスターソースなど様々な調味料が用いられる。
伊丹十三 の『女たちよ!』所収のエッセイに「目玉焼きの正しい食べ方」があり、白身から食べるか、黄身から食べるか、黄身に白身をつけて食べるかの葛藤が描かれている。映画『家族ゲーム』の冒頭には伊丹自身によるパロディがある。アニメ「目玉焼きの黄身 いつつぶす?」でも、主人公と恋人が目玉焼きの食べ方をめぐって対立する様子が描写される。
目玉焼きに使用する主な調味料
味付けをせず食べる人もいるが、多くの場合は好みにより調味料を使用して食べる。特に醤油派とソース派は多数派なのか[8]、しばしばバラエティ番組や雑誌のアンケートなどでどちらがどの地域に多いかを調査する企画が見られるが、人によってまちまちであり種類が多い。 ※総務省大臣官房管理室が主催した「インターネット博覧会」における、「目玉焼きに何かける?」の2001年5月2日から5月31日まで実施された投票による[9]。
以下は、「コショウ」・「マヨネーズ」・「ケチャップ」・「なにもかけない」が続いている。
応用料理・他料理
目玉焼きを利用したり、目玉焼きを応用した料理も多い。焼きそばや焼きうどん、ハンバーグなどさまざまな料理の付け合わせとして、多くの場合、メインとなる料理のうえに乗せて利用される。
- ベーコンエッグ
- 薄切りベーコンを軽く炒め、その上に乗るように目玉焼きを作ったもの。ベーコンと目玉焼きを別々に作った物もある。
- ハムエッグ
- ハムを用いてベーコンエッグと同様の調理を施したもの。
- 目玉焼き丼
- 米飯の上に載せた丼物。ベーコンエッグやハムエッグにする場合もある。鉄道の現場では、食堂車で車掌用の賄いメニューとされており、「ハチクマライス」と呼ばれていた[10]。
他に、荷包蛋・ロコモコ・焼豚卵飯・ナシゴレン・ラピュタパン・横手焼きそば・天窓など多数がある。
脚注
関連項目
外部リンク
前日のおかずが変身!大人用ホット弁当 / 目玉焼き All About 2002年10月6日
テンプレート:PDFlink 北海道教育委員会
やじうまミニレビュー / スケーター「電子レンジで作るカンタン目玉焼きメーカー(60秒)」 家電Watch 2009年7月17日
やじうまミニレビュー / 伊野商会「備長炭入り たまごっち~ん」 家電Watch 2010年1月27日