三つ首塔
テンプレート:基礎情報 書籍 『三つ首塔』(みつくびとう)は、推理作家の横溝正史が1955年に著した長編推理小説。
本作を原作として、2014年3月現在、映画1本、テレビドラマ4作品が制作されている。
ストーリー
13歳のときに両親を亡くし、伯父の某私立大学文学部長で英文学者である上杉誠也にひきとられた宮本音禰(みやもとおとね)は、昭和30年9月17日、突然、遠縁に当たる佐竹玄蔵老人の百億円に近い財産を、高頭俊作という見知らぬ男と結婚することを条件に譲られることになっていることを告げられる。
その1ヵ月後の10月3日。上杉伯父の還暦祝いの夜に、連続殺人の最初の事件が起こる。その連続殺人事件は、玄蔵老人が、かつて死に追いやった2人の男と自らの合せて3人の首を供養するために建てたという蓮華供養塔「三つ首塔」に起因していた。
解説
本作は、ヒロイン音禰による回想手記の形をとっている。そのため『八つ墓村』同様、金田一耕助の出番は少ない。つねに合理的解決を厳守する横溝正史としては、やや珍しい終わり方をする。また、「月曜ドラマスペシャル・三つ首塔」(古谷一行)はまったく異なるストーリーとなっている。
登場人物
- 金田一耕助(きんだいち こうすけ)…私立探偵
- 等々力大志(とどろき だいし)…警視庁警部
- 宮本音禰(みやもと おとね)…「私」、百億円の遺産相続人に選ばれる
- 佐竹玄蔵(さたけ げんぞう)…大富豪、音禰に遺産を相続させようとする、偽名は陳和敬
- 佐竹彦太(さたけ ひこた)…玄蔵の長兄、故人
- 佐竹善吉(さたけ ぜんきち)…玄蔵の次兄で音禰の曾祖父、故人
- 宮本省三(みやもと しょうぞう)…音禰の父、国文学者、故人
- 宮本節子(みやもと せつこ)…音禰の母で善吉の孫、故人
- 上杉和子(うえすぎ かずこ)…節子の姉で音禰の養母、善吉の孫、故人
- 上杉誠也(うえすぎ せいや)…和子の夫で音禰の養父、某私立大学の文学部長
- 上杉品子(うえすぎ しなこ)…誠也の姉
- お茂(おしげ)…上杉家女中
- 佐竹建彦(さたけ たてひこ)…節子の弟で音禰の叔父、善吉の孫
- 武内大弐(たけうち だいじ)…山師、玄蔵に殺される
- 武内潤伍(たけうち じゅんご)…大弐の孫
- 高頭省三(たかとう しょうぞう)…玄蔵の共同出資者、大弐殺しの罪を着せられ打ち首になる
- 高頭俊作(たかとう しゅんさく)…高頭省三の曾孫
- 高頭五郎(たかとう ごろう)…高頭省三の曾孫で俊作の従兄弟
- 笠原薫(かさはら かおる)…彦太の曾孫、アクロバットダンサー、芸名はナンシー笠原
- 笠原操(かさはら みさお)…彦太の曾孫で薫の妹、アクロバットダンサー、芸名はカロリン笠原
- 島原明美(しまばら あけみ)…彦太の曾孫、バー「BON・BON」のマダム
- 古坂史郎(ふるさか しろう)…明美の愛人
- 佐竹由香利(さたけ ゆかり)…彦太の曾孫、オリオン座の芸者
- 鬼頭庄七(きとう しょうしち)…由香利の養父
- 根岸蝶子(ねぎし ちょうこ)…彦太の曾孫で花子の双子の姉、紅薔薇座の芸者、芸名はヘレン根岸
- 根岸花子(ねぎし はなこ)…彦太の曾孫で蝶子の双子の妹、紅薔薇座の芸者、芸名はメリー根岸
- 志賀雷蔵(しが らいぞう)…紅薔薇座支配人、蝶子と花子の愛人
- 黒川(くろかわ)…黒川法律事務所所長
- 法然(ほうねん)…蓮華供養塔(三つ首塔)の和尚
- 岩下三五郎(いわした さごろう)…私立探偵
映画
1956年版
『三つ首塔』は1956年4月25日に公開された。東映、監督は小林恒夫・小沢茂弘。主演は片岡千恵蔵。
テレビドラマ
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1972年版
『いとこ同志』は、日本テレビ系列の「火曜日の女シリーズ」(毎週火曜日21:30 - 22:26)で1972年8月22日から9月26日まで放送された。全6回。
- キャスト
1977年版
『横溝正史シリーズI・三つ首塔』は、TBS系列で1977年5月28日から6月18日まで毎週土曜日22:00 - 22:55に放送された。全4回。
- キャスト
- ※遺産の額が百億円ではなく十億円となっている。
1988年版
『名探偵・金田一耕助・三つ首塔』は、テレビ朝日系列の2時間ドラマ「土曜ワイド劇場」(毎週土曜日21:02 - 22:51)で1988年7月2日に放送された。
- キャスト
1993年版
『名探偵・金田一耕助シリーズ・三つ首塔』は、TBS系列の2時間ドラマ「月曜ドラマスペシャル」(毎週月曜日21:00 - 22:54)で1993年7月15日に放送された。
- キャスト