二子玉川
二子玉川(ふたこたまがわ)は、東京都世田谷区の地区名・通称地名。東急田園都市線・大井町線の二子玉川駅周辺を中心とした地域の通称である。「フタコ」、「ニコタマ」という愛称で呼ばれることも多い。
町丁としての玉川(たまがわ)は、東京都世田谷区の町名。現行行政地名は玉川一丁目から玉川四丁目。住居表示実施済み。2007年9月1日現在の人口は9,613人[1]。面積は0.949平方キロメートル、人口密度は10,130人/平方キロメートル[2]。郵便番号158-0094。
目次
概要
世田谷区の南西に位置し、北に緩やかな丘陵、南に多摩川を抱える区域で比較的緑が多く自然環境が残されている。そこに住宅地を中心とした街が形成されているが、二子玉川駅近辺は玉川高島屋S・Cを初めとした商業施設が建ち並んでいる。さらに近年では駅の東側を中心に再開発が進められ、2011年には大型商業施設である二子玉川ライズショッピングセンターが開業するなど、賑わいを見せている。現在も再開発は進行中である。今後、映画館などができる予定である。
二子玉川の街は元々、江戸時代にこの地に存在した渡し船(「二子の渡し」)により地域一体が栄えた事に始まり、後に世田谷随一の歓楽街、東京有数の行楽地へと変貌していったという歴史を持つ。現在では下北沢、三軒茶屋と並び、世田谷区の「広域生活拠点」に位置づけられており、比較的豊かな自然環境をベースに住宅街及び商業地帯を発展させた区域として成長している。
なお、毎年8月に開催される大規模花火大会(通称「二子玉川花火大会」)も、この地域では風物詩の一つとなっている。
二子玉川の範囲
行政上「二子玉川」という町名は存在しないため「二子玉川」の範囲は明確に区画できないが、一般的には行政地名としての東京都世田谷区玉川・瀬田の一部を指す。 但し場合によっては、二子玉川駅を最寄とする世田谷区岡本、同鎌田、同宇奈根、また隣接する同上野毛・野毛の一部(国分寺崖線下~多摩川沿線付近)といった周辺地域を含んで使用される場合もある。
二子玉川の名の由来
「二子玉川」の名は、かつて多摩川を挟んで川崎市側に存在した「二子村」と世田谷区側の「玉川村」に由来すると言われている。また、同地付近にあった「二子の渡し」にも深い関連がある。 なお、現在も多摩川の対岸にあたる神奈川県川崎市高津区には「二子」(ふたご)という町名が存在するが、一般的に「二子玉川」と呼ばれる区域の対象には含まれない。町名は当時同地にあった二子塚古墳に因んで大井町線(現:東急大井町線)開業時に目黒蒲田電鉄が名付けた[3]。
地価
住宅地の地価は、2014年(平成26年)1月1日の公示地価によれば、玉川4-27-10の地点で51万円/m2となっている。[4]
郊外SCの先駆・玉川高島屋S・C
駅西口前に大型ショッピングセンター(SC)である玉川高島屋S・Cが存在する。同店は1969年11月11日、日本初の郊外型SCとしてオープンした。通称「タマタカ」。
当時高島屋は出店地の選定にあたり、東京の城南方面を商圏としてカバーしたいと考えていた。城南方面からの各路線が集中する渋谷への出店を検討したが既存の建物で埋め尽くされており出店の余地がなく、ほかの街を探すことになる。しかしあくまで都内にこだわり、神奈川県内への出店は全く考えていなかった。これは多摩川を一歩渡っただけで店舗価値・ブランド力が大きく下がると高島屋は考えたためである。
そこで自由が丘と二子玉川が候補になったが、多摩川の眺望の良さや、当時の地価がそれほど高くなかったこと、また当時は当地に二子玉川園を主体とした施設があり多くの城南方面の家族連れで賑わっていたことなどが決め手となり、二子玉川への出店が決定された。なお、1996年10月4日の新宿高島屋タイムズスクエア開業まで、高島屋系列で城南方面をカバーする店舗は当S・Cのみであった。
日本でショーウィンドーを早くから採用した同店は、郊外SCの先駆となり、昭和50年代に入ると同店を参考にした郊外SCが爆発的に増え始めた。現在では、駅西口周辺はこの高島屋を中心として街が形成されている。なお、週末になるといわゆる都内城南区域を中心とした地域からの来店客で賑わい、近隣の住宅地(特に隣接する鎌田、岡本、成城、上野毛、等々力、深沢、駒沢、自由が丘、九品仏、田園調布、桜新町、用賀など)からの自家用車での来店が目立つ。その為高島屋周辺は週末になると慢性的な渋滞を引き起こしている。
- Tamagawa Takashimaya S.C. Main Building.jpg
高島屋本館
- Tamagawa Takashimaya S.C. South Building.jpg
南館
二子玉川の今後
東地区再開発
再開発の計画
かつて二子玉川駅東口周辺は、西口側の繁栄に比べると人通りも少なく、特に1985年3月31日に二子玉川園が閉園してからは活気を失っていた。また東口周辺の道路の多くが狭隘道路であり雑然としていた。こういった事情を打破するため、閉園後二子玉川園跡地を中心とした区域の再開発が計画された。その後計画の見直しや反対運動[5]などを経て、20年経過した2005年3月に東京都より第1期事業施行地区の事業認可を得た。名称は「二子玉川東地区第一種市街地再開発事業」で、東京都より認可され東急不動産などが主体となった組合「二子玉川東地区市街地再開発組合」が施行する。
再開発のテーマは「国分寺崖線の豊かな緑を基とした自然と都市の調和」。計画面積は11.2ha(うち第1期は8.1ha)で、民間再開発としては都内最大規模である。対象区域は駅周辺から南東方向に多摩川に平行する形状で、東西の長さは約1キロとなっている。総事業費は約1,500億円。[6]
駅ビルと、駅ビルに隣接する3つの商業棟と1つのオフィス棟の合計4棟を軸としたI街区、超高層の商業棟とホテルを軸としたII街区、3棟の超高層マンション(最高150m)を軸としたIII街区が計画され、施工完了した街区より順次開業している。またIII街区の南東側隣地、かつて自動車教習所(東急自動車学校)やゴルフ練習場があった場所には、地域住民の憩いを目的とした6.3haの規模を誇る大規模公園「二子玉川公園」が一部完成し、今後も拡張がなされる予定である。公園は多摩川河川敷に近接している。なお、I街区からIII街区の先である二子玉川公園までは将来的に1本の陸橋「リボンストリート(仮称)」で結ばれる予定であり、周辺施設利用者やIII街区居住者などの利便性が確保される予定である。
また狭隘化していた東口周辺道路の多くは、多摩堤通りや駒沢通り(多摩美大交差点より西に続く世田谷区道部分)などを中心に拡幅整備され、更にI街区とII街区の間にバスターミナルを中心とした駅前交通広場が整備されるなど、広範囲に渡って交通アクセスの向上が図られた。
再開発の工事
工事は二期に分かれて行われる。第一期工事は、まず2007年には立ち退きに同意した建物の解体工事が行われ、駅入口付近などに立ち退いた商店の仮設店舗が開業した。同年末にはI-b街区の予定地にあった建物はほとんど解体され、翌年1月にIII街区の基礎工事が開始された。同年6月ごろまでにはIII街区の基礎工事はほぼ完了し仮設バスターミナルや周辺道路の整理を行い、I-b街区の基礎工事を開始した。その後2009年7月にIII街区の高層棟が上棟。2010年5月にIII街区の高層棟の引渡しを開始、同年7月に低層棟も引渡された。2011年3月には、Ia街区、Ib街区の竣工を迎え、第一期工事を完了した。[7]。
続く第二期工事では、残るII街区の工事が2015年の竣工を目指して進み、同時に隣接する二子玉川公園の工事も2013年4月に一部分開園に続いて2014年4月にも膨張され、2014年度末の全体開園に向けて本格的に始まるものとされる。
二子玉川ライズ
東側再開発の対象地域全体は、「二子玉川ライズ」と命名された。
まず2010年4月にはIIb街区が「二子玉川ライズ・バーズモール」として、およびⅠb街区の北棟が「二子玉川ライズ・オークモール」として先行オープンした。続く5月からはIII街区が「二子玉川ライズタワー&レジデンス」としてオープンし順次入居が開始された。そして2011年3月には、Ia街区が「ドッグウッドプラザ」として、およびIb街区が「二子玉川ライズ・ショッピングセンター」「二子玉川ライズ・オフィス」として、Ⅰa街区とⅠb街区の間にあり二子玉川駅改札口の前の高架下に当たる場所の鉄道街区が「二子玉川ライズ・ステーションモール」としてオープンした。今後は、残るIIa街区が2015年に開業する予定である。
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建設中の再開発区域のようす。
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二子玉川ライズ・ショッピングセンターを南側より望む。
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再開発により誕生した高層マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」。
二子玉川の自然
二子玉川の周辺には多摩川とその河川敷、さらに生活圏内には砧公園や等々力渓谷など、都会では貴重な自然が比較的多く残っている。コイやナマズといった淡水魚、鴨や白鷺といった鳥類の姿も見られる。緑地には運動場のほか整地されていない原野(原っぱ)もある。特に河原にある兵庫島公園周辺にはそのような緑地が多い。釣りも楽しめるので釣り人の姿もある(ただし入漁料を払う制度となっている)。写真にある兵庫橋は野川に掛かる橋で、駅から緑地に行くための主なルートのひとつとなっている。春から夏・秋にかけては、河原周辺でバーベキュー等を楽しむ人の姿も多く見られる。特に二子橋の橋梁下付近では、土日になると早朝から大勢の人が詰めかけ大変混雑する。
- 二子玉川緑地.JPG
二子玉川の緑地
- Hyougobashi.JPG
兵庫橋と野川
一般道路
- 国道246号(玉川通り)
- 東京都道11号大田調布線(多摩堤通り)
- 駒沢通り
鉄道路線
関連項目
- 多摩川
- 玉川地域
- 国分寺崖線 - 武蔵野台地の一部。
- 二子玉川駅
- 二子玉川園 - 1985年閉園。
- 二子玉川タイムスパーク - 二子玉川園閉園後、再開発計画地に暫定的に建設された施設。2006年閉園。
- 二子橋
- 多摩川花火大会 (世田谷区・川崎市) - 毎年8月に二子玉川で開催される花火大会。俗に「二子玉川花火大会」とも。
- 前川紘毅 - 「二子玉」というシングルCDを発表した。
- ROOKIES 二子玉川が舞台となっている熱血野球漫画
脚注
外部リンク
大規模施設・再開発全体概要関連
地域情報サイト・その他
- 二子玉川情報局
- 二子玉川経済新聞
- 二子玉川経済新聞公式Twitter
- 二子玉くん - エリアガイド
- 二子玉定食 - 地域飲食店店舗情報
- ニコタマネット - (再開発地区の定点観測写真を掲載)
- 二子玉川日和 - 二子玉川ウェブマガジン
- ↑ 男=4,539人、女=5,074人、町内世帯数=4,987世帯、平均世帯人員=1.93人/世帯。世田谷区ホームページ・玉川地域の人口と世帯(2007年9月14日 (UTC))
- ↑ 人口密度=10,130人/平方キロメートル。世田谷区ホームページ・玉川地域の人口と世帯(2007年9月14日 (UTC))
- ↑ 東急社史などの説明より。当地は二子の渡しの渡船場跡地でもあった。
- ↑ 国土交通省地価公示・都道府県地価調査
- ↑ 住民が中心となった二子玉川東地区再開発を考える会など。
- ↑ 二子玉川東地区第一種市街地再開発事業・二子玉川東第二地区第一種市街地再開発事業ウェブサイト内[1]ページ下部参照。
- ↑ 工事進捗速報