ペチュニア・ダーズリー

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ペチュニア・ダーズリー(Petunia Dursley)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズ、及びその派生作品に登場する架空の女性である。

概要

ハリー・ポッターの伯母で、育ての母。ハリーを冷遇する一方、実子のダドリーを溺愛している。

魔法に関しては、その存在を一切認めないような態度を取っており、ハリーに対しては冷たくあたった。しかし実際には、魔法界についても断片的な知識を有し、物語の鍵を握る人物でもある。

登場巻

全巻

人物

髪はブロンドで、瞳は灰色。痩せ型で、馬のような顔と長い首が特徴。妹:リリーとは全く似ておらず、お世辞にも美人とは言い難い。マグルであり、魔力も持たない。「ペチュニア」という名前はリリー同様、花にちなむ。

いわゆる「親バカ」であり、ダドリーに対しては客観的な欠点をも長所と解釈するほどの溺愛ぶりを見せる。その様子はダンブルドアから「虐待」と評されるが、本人たちは全く自覚していない。

噂話が好きで常に体裁を気にしており、長い首で近所を覗き見ることが趣味となっている。潔癖な一面もあり、寝る前にキッチンを磨いているため、キッチンにはしみ1つなく、5巻でトンクスに「清潔すぎて不自然」と評されたほどである。

略歴[1]

1950年代後半、マグルのエバンズ家に生まれる。姉妹仲は非常によく、リリーからは「チュニー」(Tuney)と呼ばれていた。しかし、リリーが魔法力の兆候を示し、セブルス・スネイプ[2]と親友になったことで徐々に悪化する。

魔法を毛嫌いする態度を見せる一方、1971年夏、リリーの元にホグワーツ魔法魔術学校の入学案内が届いた際には、当時校長職にあったダンブルドアに「自分も入学させて欲しい」と手紙を送り、返事も受け取っている[3]。同年9月、両親とともにリリーの見送りにキングス・クロス駅へ行くが、ダンブルドア宛の手紙をリリーとスネイプに知られていると知って激しく動揺し、リリーを「生まれそこない」(原文:Freak、奇人・変種の意)と罵しり[4]、姉妹間の亀裂が決定的なものとなる。

1970年代後半、ロンドンでタイピングの講座を受講し、後に就職。そこでバーノン・ダーズリーと知り合って交際を始め、後に彼からのプロポーズを受け入れる。ペチュニアは妹のリリーが魔女であり、ホグワーツ魔法魔術学校の最終学年に在籍していることを打ち明けるが、バーノンはペチュニアを責めることはなかった。

当時もリリーとの交流は続いていたが、仲は良好とはいえず、バーノン、リリー、ジェームズとの食事ではバーノンと共に途中退席してリリーを泣かせていたり、バーノンとの結婚式ではリリーが花嫁付添人になることを拒否し、リリーとジェームズの結婚式には出席しないことを選ぶ。

1980年6月23日ダドリーが誕生。その後、妹夫妻から7月31にハリーが生まれたとの知らせの手紙を貰うが、ペチュニアはその手紙を捨てる。以降リリーから手紙は貰っていないが、クリスマスには、リリーに対し「悪趣味な花瓶」を贈っている。夫と違ってハリーの名前は正確に覚えていたものの、ダーズリー夫妻の間でも妹夫妻の話題はタブーになっていた。

1981年10月31日、ヴォルデモートの襲撃によってリリーとジェームズ・ポッター夫妻が死亡。このとき、リリーの命を懸けた「愛の魔法」がかかり、ハリーはエバンズ家の血を引くペチュニア一家に預かられることでヴォルデモートの魔手から保護されることになった。このため、ダンブルドアは周囲の反対を押して、ダーズリー家の玄関前に、ハリーと事情を説明した手紙を残した。11月2日朝、ハリーの存在に気付き、引き取った際、夫妻は魔法族と縁を絶つことを誓い合う。以後、ダドリーを溺愛する一方、ハリーを幼少時代から徹底的に冷遇したが、それでも11歳になるまで自宅で育てた。

1991年7月、ハリーに入学案内が届くと、夫妻は可能な限り逃亡するが、最終的に入学を認める。以後も、ハリーは休暇の度に帰省し、17歳(魔法使いの成人年齢)になるまで、ダーズリー家が「実家」であった。

1995年7月、ダドリーが吸魂鬼に襲撃された際、口が滑って吸魂鬼の知識を口に出す。ヴォルデモートの復活を実感すると、恐怖に満ちた表情を見せる。バーノンはハリーを追い出そうとするが、ペチュニアはダンブルドアからの「吠えメール」を受け取った後、頑ななまでにハリーを家に置くことを主張した。

1997年7月、リリーが遺したハリーの保護魔法が切れることに伴い、家を離れ「不死鳥の騎士団」の保護下に入る。ハリーとの最後の別れのとき、何かを言いたそうな様子で立ち去ったが、これについて作者は「ペチュニアはハリーの幸運を願おうとし、魔法界への嫌悪は嫉妬によるものだと言おうとしたが、まともが一番という振りを長年してきて頑固になってしまったため、言えなかった」とコメントしている[5][6]。物語終了後の消息は不明。

人間関係

妹:リリーとは非常に仲が良く、スネイプが魔法界の話題を通じて親しくなったことに、嫉妬したような行動を見せるなど、ややシスターコンプレックス気味であった。リリーのホグワーツ入学後は姉妹関係が著しく悪化する。

近隣の住人では、アラベラ・フィッグと交流があり、よくハリーを預けていた。この他、友人にイボンヌ(名前のみの登場)がいる。

血縁関係

姉妹の長幼の順について

英語においては、日本語・中国語・韓国語などのように親族の長幼の順を区別する意識は薄く、原書においては長らくハリーのおば(Aunt)であることしか記述されていなかった。2007年7月に刊行された原書7巻33章ではじめてペチュニアが年上とはっきり記述した[7]

日本語版では、当初、松岡佑子の判断でペチュニアを姉としたが、その後「著者に確認を取った上で」リリー=姉、ペチュニア=妹と訳し、携帯版・映画版ともすべて統一されていた。7巻の問題部分は、こうした邦訳の経緯から、2008年7月発売の静山社版では正確に訳出せず、曖昧にした。

なお、2000年6月初版の中国語繁体字[8]及び2000年9月初版の中国語簡体字[9]では、1巻4章にてペチュニアがリリーのことを「妹妹」と呼んでおり、姉妹の長幼の順が、正しく訳出されている。

映画

炎のゴブレット』、『謎のプリンス』以外の6作に登場。フィオナ・ショウが演じた。また「死の秘宝 PART2」では幼少期をアリエラ・パラダイスが演じた。日本語版の吹き替えはさとうあい、少女時代の声は諸星すみれが担当した。

脚注

テンプレート:Reflist

テンプレート:ハリー・ポッターシリーズen:Dursley family it:Dursley sv:Harry Potters släktingar no:Herr og Fru Dumling

pt:Familiares de Harry Potter
  1. 一部『ポッターモア』からの情報
  2. 5巻2章でディメンターのことに言及した際、「とんでもない若造」(原文:That awful boy)が昔リリーに対して説明しているのを聞いたからだと説明したが、7巻33章にて「若造」とはスネイプのことであったことが判明する
  3. 5巻2章でダンブルドアがペチュニアに吼えメールを送った際、ハリーを預けた時の置き手紙のことを「私の"最後"の(手紙)」と表現したのも、6巻でダンブルドアが「手紙をやり取りしていた」と発言したのも、この一件を前提にしている。
  4. ペチュニアがリリーのことを指して用いた"freak"は、1巻4章では「奇人」、映画版では「化け物」と訳された
  5. [1]
  6. また、「死の秘宝 PART1」の未公開シーンでは、別れ際にハリーと会話しており、「彼らが何をするか、私が知らないとでも思っているの?あの晩ゴドリックの谷失われたのはあなたの母親だけでなく、私も妹を失ったの。」とリリーの死を惜しんでいる様子が描かれている。[2]
  7. 原書7巻33章より抜粋引用</br>There was undisguised greed in his thin face as he watched the younger of the two girls swinging higher and higher than her sister. “Lily, don’t do it!” shrieked the elder of the two.</br>※ 二人のうち年上の少女(=姉のペチュニア)が、ブランコで遊んでいる年下の少女に「リリー」と呼びかけている
  8. 「哈利波特 神秘的魔法石」皇冠文化出版、彭倩文 訳、P65
  9. 「哈利・波特与魔法石」人民文学出版社、蘇農(苏农) 訳、P32