吸魂鬼

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吸魂鬼(きゅうこんき、ディメンター、Dementor)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズ、及びその派生作品に登場する架空の生物である。

概要

外見

全身がマントに覆われている為、黒い人影のように見える。また、とても背が高い。頭巾をすっぽりと被っているので顔を見た者はそうそういない(映画『不死鳥の騎士団』では被っていない)。なぜなら、見た者の全て(例外あり)が、“キス”を施されている為である。眼のあるはずの所に口がある。そこから“キス”をする。

但しこのように見えるのは魔法が使える人間のみで、マグルスクイブはその姿を見ることはできない(霧のように感じる)。ただし、スクイブであるアラベラ・フィッグは、見えなくても吸魂鬼の仕業であると分かるだけの知識を持っていると作者が説明している。

能力

地上を歩く(実際には滑っているが、便宜上このように表現)生物の中で一番忌まわしきものの1つと言われており、人間の心から発せられる幸福・歓喜などの感情を感知し、それを吸い取って自身の糧とする。その影響力は凄まじく、吸魂鬼が周囲にいるだけで人間は活力を失ってしまう。特に、ハリー・ポッターのように過去に悲惨な記憶を持つ者ほど、吸魂鬼の影響を受けやすい。

但し、吸い取ることが出来るのは前述の感情のみで、それ以外の感情(妄執など)は吸い取ることができない。人間ほど感情が複雑でない為か動物の感情を吸い取ることもできず、また目が見えないため(眼窩は存在するが目玉がない)、動物もどきが動物に変身してしまうと感情を吸い取れなくなる。

前述の能力に加えて、吸魂鬼は普段隠されている口を使って人間の魂を直接吸い取ることができる(吸魂鬼の接吻)。この時、魂を吸い取られた人間は廃人状態となり、時を経て吸魂鬼と化してしまう。

防衛法・その他

吸魂鬼に向かって「守護霊の呪文(パトローナス・チャーム)」を使用すると、吸魂鬼を追い払うことができる。また、ルーピン曰く、鬱になったときはチョコレートを食べると気分が良くなる。

物語での役割

前述の能力から、吸魂鬼は魔法界で非常に恐れられており、長くアズカバンの看守を務めてきたが、5巻初頭でハリーを罠にかける為にドローレス・アンブリッジの命令でハリーを襲撃し、近くにいたダドリー・ダーズリーを昏倒させた。5巻終盤でヴォルデモートに与し、アズカバンを棄てた(アルバス・ダンブルドアは当初からこのことを予見していたため、吸魂鬼をホグワーツに入れることに反対した)。6巻では吸魂鬼がイギリス中に現れた為、イギリス全域が霧に覆われる始末になっている。また、7巻では死喰い人が吸魂鬼を呼び出しており、完全に悪の組織の一員となってしまっている。

豆知識

  • 吸魂鬼の設定は、ローリングがうつ病に罹患した時の心理状態を基に考え出したとされる。映画『アズカバンの囚人』DVDのメイキングでは、「十代のころ、黒いフードを被った人影の夢を見た」と語っている。
  • 「吸魂鬼」という訳語は、松岡佑子吸血鬼を基に考え出した造語である。日本語版では「吸魂鬼」の記述が多く用いられているが、ルビは「きゅうこんき」「ディメンター」双方あり、統一されていない。映画版の日本語吹き替えでは「ディメンター」で統一されている。

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