鈴与
鈴与株式会社(正式商号は鈴與株式会社、すずよ)は、日本の物流業を営む企業である。
持株会社の鈴与ホールディングスは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟する清水エスパルスの運営会社である株式会社エスパルスや静岡空港を拠点とする航空会社フジドリームエアラインズなどを傘下におさめる。
鈴与グループ全体では売上高5,700億円[1]。静岡市に拠点を構える企業としては屈指の規模である。
目次
沿革
1801年、初代鈴木與平(現社名はこの鈴木與平(与平)の名前を略したものが由来とされる)が駿河国清水湊で船舶を利用した物流業「播磨屋」を創業。その後明治時代に日本郵船の母体となる「郵便汽船三菱」と安田火災海上(現・損保ジャパン)の母体となる「帝国海上保険会社」の代理店となった。
1918年(大正7年)には、倉庫部門を「鈴与倉庫株式会社」として分離。その後1990年(平成2年)に同社は、「株式会社富士ロジテック」と社名変更した。同社は現在も、鈴与本体との資本関係はあるものの、鈴与グループからは独立している。
昭和に入ると、1929年に缶詰メーカーの「清水食品」、1933年に石油ガソリンスタンドを開設するなど多角経営をスタート。1936年には株式会社法人の「鈴与商店」に改組。(これを会社設立年度としている)
1941年には清水食品がマグロのインスリンを薬品として利用することを目指した「清水製薬」を設立(2002年に発行済み株式を味の素に完全売却)。戦中~戦後には「鈴与建設」(1944年)「鈴与自動車運送」(1950年)等を設立し、静岡県を代表する総合複合企業へ発展した。
1971年には創業170年記念として企業発祥の地・当時の清水市(現・静岡市清水区)に「清水総合運動場・鈴与記念体育館」を寄贈した。
1991年、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)入会を目指して創設された清水エスパルスの運営母体・株式会社エスラップ・コミュニケーションズ(筆頭株主はテレビ静岡、並びに市民後援会)の運営に参画。また女子サッカークラブ「鈴与清水FCラブリーレディース」を日本女子サッカーリーグ(Lリーグ)に参加させた(1998年にLリーグ脱退、1999年廃部)。
1997年末に株式会社エスラップ・コミュニケーションズが経営危機に陥ったため、鈴与の子会社で出版業を手掛けていたサッカーコミュニケーションズ株式会社を1998年1月7日に株式会社エスパルスへ商号を変更し、同年1月14日に株式会社エスパルスを受け皿会社として株式会社エスラップ・コミュニケーションズより営業権を譲り受けた[2]。
1998年、日本で初めて「セルフ式ガソリンスタンド」セルフ24を開店させる。
2004年、持株会社「鈴与ホールディングス株式会社」を設立。2008年8月29日に、鈴与株式会社が、会社分割によりグループ子会社管理事業を鈴与ホールディングス株式会社に吸収させ、物流商流事業に特化している。
2005年、産業再生機構の支援の下経営再建中の宮崎交通から、同社100%子会社の宮崎中央運輸の営業譲渡を受け、貨物自動車運送事業の路線事業にも進出した 鈴与の子会社による宮崎中央運輸の営業譲受に関しアドバイザリー業務を提供(日本政策投資銀行)。業績が悪化し、2009年3月自主廃業[3][4][5]。
2007年、静岡空港を拠点とするリージョナル航空事業への参入を表明。2008年6月、フジドリームエアラインズを設立し、2009年の静岡空港開港と共に就航開始した。
鈴与グループの主な企業
鈴与ホールディングス株式会社は、2000年に設立。2008年8月29日に、鈴与株式会社が会社分割を行ない、グループ会社管理事業を鈴与ホールディングスに移管させた[1]。これにより、鈴与株式会社は物流商流事業に特化し、鈴与ホールディングスの株主となる(新株530株付与)。
鈴与株式会社の株主は、鈴木家及び鈴与グループ各社で多くを占められている。鈴与ホールディングス株式会社は、鈴与株式会社の株式は2.84%しか保有していない(第9位の株主)[2]。
物流事業
- 鈴与自動車運送株式会社
- 鈴与カーゴネットグループ
- 鈴与カーゴサービスグループ
- 鈴与海運株式会社
- 清水運送株式会社
- 山三石油運輸株式会社
- 株式会社オキツ
- 折戸マリーナ株式会社
- 株式会社静岡ドキュメントセキュリティ
- 甲菱運輸株式会社
- 株式会社くろしおエクスプレス
- 清水長崎運輸株式会社
- 清水ポートサービス株式会社
- シミズメディカルケア株式会社
- 清水木材倉庫株式会社
- 清水リサイクルネット株式会社
- 新星運輸株式会社
- 鈴与シンワ物流株式会社
- シンワ運輸東京株式会社
- 鈴与液体物流サービス株式会社
- 鈴与通関株式会社
- 鈴与DCマネジメント株式会社
- 駿河シッピング株式会社
- 田子浦共同倉庫株式会社
- 東海埠頭株式会社
- 長野輸送株式会社
- 柏栄トランス株式会社
- ハンドリングサービス株式会社
- 富士宮通運株式会社
- 鈴与コンテナエンジニアリング株式会社
商品流通事業
- 鈴与商事株式会社
- 鈴与レンタカー株式会社
- 鈴与ガスあんしんネットグループ
- 清水製薬商事株式会社
- 株式会社イワタ
- 佐賀石油販売株式会社
- 静岡塩業株式会社
- 清水エネルギー株式会社
- 清水特殊容器株式会社
- 名古屋エネルギー株式会社
- ファステム株式会社
- ミナト生コン株式会社
- 山口エネルギー株式会社
- 株式会社山梨エルピーガスセンター
- 由比ガス有限会社
- S-net静岡株式会社
- 鈴与エコサイクル株式会社
建設・ビルメンテナンス事業
- 鈴与建設株式会社
- 静岡ビルサービス株式会社
- 鈴与三和建物株式会社
- 鈴与セキュリティーサービス株式会社
食品事業
情報事業
- 鈴与システムテクノロジー株式会社
- 鈴与シンワート株式会社
航空事業
- 株式会社フジドリームエアラインズ - 静岡空港を拠点としたコミューター航空会社
- 静岡エアコミュータ株式会社
- 株式会社エスエーエス - 静岡空港の地上業務
- 株式会社ドリームスカイ名古屋 - 旧JALスカイ名古屋
- 中部スカイサポート株式会社
地域開発・その他
- 株式会社ベルキャリエール - 人材派遣業
- 株式会社エスパルス(清水エスパルスの運営他)
- ドリームプラザ(エスパルス・ドリームプラザ運営)
- エスパルスドリームフェリー
- 富士山静岡空港株式会社
- 株式会社エフエムしみず(コミュニティーFMラジオ放送局・FMしみずマリンパル運営)
- 鈴与興産 - 鈴与保険サービスと鈴与不動産が合併して誕生
- 株式会社鈴与総合研究所
- 学校法人静岡理工科大学
- フェルケール博物館
- 水口屋ギャラリー
テレビCM
- 関東地方(テレビ朝日)や関西地方(朝日放送)などにおいて、報道ステーション(月曜日)に番組提供を行い、企業イメージCMを放映していたが、2009年3月末をもって、番組提供を降板した。ニュースステーション時代から長年、グループとしての番組提供を続けていたが、地元・静岡地区以外でのテレビCMの放映は打ち切られることになった。
- 静岡県内の民放各局では、上記の企業イメージCMを見掛けることは稀で、駿河湾フェリー・エスエスケイフーズ・清水すし横丁など鈴与グループ各社関係だけでなく、清水エスパルスの次回ホームゲーム告知や後援会募集のCMが流れている。
関連
- 石子順造 - かつて庶務課に在籍していた。
- 清水製薬(現:味の素製薬)- 血液製剤を主体に製造していた鈴与の孫会社(SSK清水食品グループ)。味の素が医薬関連事業を分社化して新設した医薬製造子会社・味の素ファルマに買収された。のち味の素に残る医薬関連事業の一切を企業分割により分社、(実質)3社合同で現社名となる。
- 鈴与スマイルパーソナルカード - 鈴与系ガソリンスタンドにおける個人向けカード(法人向けには鈴与スマイルクラブカード)。信販会社のアプラスにおいて発行している。ガソリンの地域最安値を謳い文句とする他、スマイル加盟店(2012年現在約1,700店舗)でもオリジナルポイントを貯めることができる。
- 株式会社トコちゃんねる静岡 - 2010年11月25日にTOKAIコミュニケーションズの傘下に移る。本社は現在も鈴与情報センタービル内に所在する。
- 株式会社J&Sフリートホールディングス - JX日鉱日石エネルギーと鈴与商事が共同出資する持株会社。傘下でENEOSサービスステーションを運営していた一光と鈴与エネルギーは2013年10月1日にENEOSウイングに統合。
脚注・出典
外部リンク
テンプレート:ウィキ座標2段度分秒- ↑ 鈴与グループ採用ホームページ 2015年度
- ↑ 新会社「エスパルス」スタート 営業権譲渡を契約 朝日新聞、1998年1月15日、2014年4月8日閲覧
- ↑ 宮崎中央運輸が自主廃業3月末めど(宮崎日日新聞)
- ↑ 宮崎中央運輸が廃業112人を解雇へ(西日本新聞)
- ↑ 宮崎中央運輸が自主廃業へ(テレビ宮崎ヘッドラインニュース)