宮本太郎
宮本 太郎(みやもと たろう、男性、1958年7月13日 - )は日本の政治学者、博士(政治学)。現在、中央大学法学部教授[1]。過去に、立命館大学政策科学部教授、北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター長、日本比較政治学会副会長、内閣府参与等を歴任。専攻は比較政治、福祉政策論。とくに福祉政策および福祉国家の比較分析が研究テーマ。比較分析の主軸としてスウェーデンに注目してきた。最近は、欧州におけるソーシャル・ インクルージョン政策の多様な展開に関心をもっている。
2013年4月より、中央大学法学部に異動[2]。
日本共産党中央委員会幹部会委員長・日本共産党中央委員会議長を歴任した宮本顕治は実父。
経歴
東京都出身。日本共産党書記長の宮本顕治と大森寿恵子(顕治の元秘書)との間に長男として生まれた[3]。志位和夫は、東京大学工学部在学中に家庭教師を務めたことがある。2007年には、宮本顕治の密葬で喪主を務めた[4]。中央大学法学部の学生時代は、日本共産党の学生支部に所属していたが、現在は距離を置いている[5]。社会民主党の学習会でも講演し、同党の機関紙「社会新報」にも掲載されたことがある。
- 中央大学法学部政治学科卒業
- 1988年 - 中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学、法政大学社会学部講師・中央大学講師
- 1990年 - 立命館大学法学部助教授
- 1993年 - ストックホルム大学客員研究員。
- 1995年 - 立命館大学政策科学部助教授に配置換え
- 1998年 - スウェーデン労働生活研究機構客員研究員。
- 2000年 - 立命館大学政策科学部教授に昇格
- 2001年3月 - 中央大学博士(政治学)(博士論文「福祉国家という戦略」)
- 2002年10月 - 北海道大学大学院法学研究科教授に就任
- 2004年4月 - 北海道大学大学院公共政策学連携研究部教授(公共政策大学院)教授に配置換え
- 2004年10月 - 日本比較政治学会副会長
- 2008年 - 社会政策学会幹事・国際交流委員会委員長
- 2008年4月 - 北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター長
- 2009年4月 - 内閣官房・安心社会実現会議委員(麻生内閣)
- 2009年10月 - 総務省顧問(鳩山由紀夫内閣)
- 2009年12月 - 内閣府参与
- 2010年9月 - 内閣官房国家戦略室・新成長戦略実現会議委員(菅内閣)
- 2012年11月 - 社会保障制度改革国民会議委員
- 2013年4月 - 中央大学法学部教授
その他、日本学術会議連携会員、財団法人生協総合研究所理事長、社団法人北海道地方自治研究所理事、特定非営利活動法人非営利・協同総合研究所いのちとくらし理事、公務公共サービス労働組合協議会良い社会をつくる公共サービスを考える研究会幹事などを歴任。
麻生内閣時代の安心社会実現会議に委員として参加したのは[3]、当時財務大臣だった与謝野馨の推薦によるものである。与謝野が宮本を知ったのは、宮本の著書『福祉政治―日本の生活保障とデモクラシー』を政務秘書官に薦められて読んだのがきっかけだという。連合は、雇用や社会保障問題のブレーンとして宮本を起用していたため、同じく安心社会実現会議委員を務めた連合会長の高木剛は、「なぜ与謝野さんは宮本氏を知っていたのか」と不思議がっていたという。宮本は、共産党の宮本顕治の息子であるため、「そんな人を首相直属の有識者会議に入れていいのか」と主張する与党(当時は自民党と公明党)幹部もいたが、与謝野は「誰であろうが、優れた意見を言う研究者なら何が問題があるのか」と突っぱねたという[6]。後に与謝野が菅内閣に経済財政政策担当大臣として入閣した時も、宮本は新成長戦略実現会議委員に起用されたほか[7]、同内閣の社会保障改革検討本部の有識者検討会では座長を務めた[8][9]。
政治学者の加藤哲郎教授のゼミナールにかつて参加していた。門下生に一橋大学准教授の田中拓道がいる。
著書
- 単著
- 『福祉国家という戦略―スウェーデンモデルの政治経済学』(法律文化社, 1999年)
- 『福祉政治―日本の生活保障とデモクラシー』(有斐閣, 2008年)
- 『生活保障―排除しない社会へ』(岩波書店[岩波新書], 2009年)
- 共著
- (岡沢憲芙)『比較福祉国家論――揺らぎとオルタナティブ』(法律文化社, 1997年)
- (岡沢憲芙)『スウェーデンハンドブック』(早稲田大学出版部、1997年/第2版, 2004年)
- (新川敏光・井戸正伸・眞柄秀子)『比較政治経済学』(有斐閣, 2004年)
- (山口二郎・中島岳志・雨宮処凛・湯浅誠)『脱「貧困」への政治』(岩波書店[岩波ブックレット], 2009年)
- 編著
- 『講座・福祉国家のゆくえ(1)福祉国家再編の政治』(ミネルヴァ書房、2002年)
- 『比較福祉政治 - 制度転換のアクターと戦略』(早稲田大学出版部、2006年)
- 『政治の発見 第2巻 働く』(風行社、2011年)
- 共編著
- (山口二郎・坪郷實)『ポスト福祉国家とソーシャル・ガヴァナンス』(ミネルヴァ書房、2005年)
- (山口二郎・小川有美)『市民社会民主主義への挑戦 - ポスト「第三の道」のヨーロッパ政治』(日本経済評論社、 2005年)
- (神野直彦)『脱「格差社会」への戦略』(岩波書店、2006年)
- (辻康夫・松浦正孝)『政治学のエッセンシャルズ - 視点と争点』(北海道大学出版会、2008年)
- 訳書
- G・エスピン-アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界 - 比較福祉国家の理論と動態』(ミネルヴァ書房、2001年)
脚注
テンプレート:Reflist- ↑ http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20130516.htm#profile
- ↑ 北海道新聞2012年2月7日
- ↑ 3.0 3.1 テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 例えば、消費税率引き上げには、共産党は一貫して反対し続けているが、宮本は肯定的な見解を表明している。
- ↑ 『民主党が日本経済を破壊する』与謝野馨:著、文春新書、2010年、p220~222参照
- ↑ テンプレート:Cite news
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