スチュワーデス物語
テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『スチュワーデス物語』(スチュワーデスものがたり)は、日本航空(JAL)の客室乗務員[1]訓練生を描いた、深田祐介の小説、およびそれを原作としてTBS系列で放送された大映テレビ・TBS製作のテレビドラマである。テレビドラマは、1983年10月18日から1984年3月27日まで毎週火曜20:00 - 20:54に放送された。
目次
概要
日本航空のパイロットであった今は亡き父親の思い出を胸に、スチュワーデスへの道を進みだした高校卒の日本航空のスチュワーデス訓練生である松本千秋が、3か月に渡る厳しい訓練を受ける中で、風間杜夫演じる教官との恋愛や、教官の元婚約者や継父による嫌がらせ、同じ訓練生寮「くれない寮」に住む訓練仲間との友情や対立を通じて一人前のスチュワーデスになるまでの経緯を、日本航空の全面協力の下で計22回(+スペシャル1回)の放送で描いた作品。
日本航空の全面的な協力を得たこともあり、要所要所で本物の訓練所や客室モックアップ、ボーイング747やマクドネル・ダグラスDC-10などの旅客機や現役教官が出演している上、フランスやイタリアなど日本国外でのロケも行われている。
当時のアイドルであった堀ちえみが主役を演じた。全23回の放送を通じた平均視聴率が約20%、最高視聴率は26.8%を記録するなど高い視聴率を確保したほか、ドラマ内の台詞が当時の流行語になった。
原作は、元日本航空社員(放映当時は嘱託社員)の直木賞作家、深田祐介が日本航空の新人スチュワーデスの奮闘を描いた小説『スチュワーデス物語』(1983年新潮社刊、1984年新潮文庫刊、1991年文春文庫刊)である。しかし、大げさな台詞と衝撃的なストーリー展開を特徴とする大映テレビが制作した為(大映ドラマ)、原作とは似ても似つかないストーリー展開となっている。
(社)全日本テレビ番組製作者連盟(ATP)による第1回ATP賞テレビグランプリ(1984年5月31日)にて、「人気番組賞」を受賞したドラマである[2]。
くれない寮
劇中で日本航空のスチュワーデス訓練生が、地上訓練期間に住んでいた寮。所在地は東京都大田区西嶺町29-5。
撮影に使用した寮は、1997年に閉鎖売却されるまで実在した日本航空西嶺寮である。なお、1970年に同じくTBS系列で放映されたドラマ『アテンションプリーズ』においては、この寮は実名の「西嶺寮」で登場した。跡地は、「パークハイム西嶺町」と称するマンションになっている。
青い門、青い手すりのある螺旋階段を上った2階から入る構造になっていた。個室ではなく相部屋で、ロビーなどに公衆電話が置かれていた。
登場人物
メインキャラクター
- 松本 千秋(主人公/478期) - 堀ちえみ
- 明るく優しい女の子だが、自ら「ドジでノロマな亀」と言うほどの落ちこぼれ生徒。一方で他の478期生のことは「利口で速い兎」と喩えており、彼女達の妹分でもある。
- 村沢 浩(478期担当教官) - 風間杜夫
- 訓練生たちの憧れの的。特に千秋からは立場を越えた恋心を抱かれる。
- 新藤 真理子(浩の元婚約者) - 片平なぎさ
- スキー中の事故で両手は義手となり、ピアニストの夢を断念した。
- 柿野 竜太(客室訓練部課長) - 石立鉄男
- 浩の兄貴分・訓練生たちの父親がわりを自称。
- 火山 さと子(479期担当教官) - 秋野暢子
- 自慢したがりな性格。彼女によると478期は「ズッコケ組といわれる」とのこと。
千秋の同期生
- 石田 信子(小樽出身) - 高樹澪
- 478期生一の優等生だが暗めの性格。出身地の方言ではなく標準語を話す。478期生の長姉的存在。
- 木下 さやか(実家は浅草のそば屋) - 山咲千里
- 千秋の寮でのルームメイト。おっちょこちょいでお調子ものだが、何かと千秋に目をかけている。
- 寺本 はるえ - 百瀬まなみ
- 鈴野 はなえ - 片山理子
- 中島 友子(両親とも日本航空関係者) - 白石まるみ
- ぶりっ子口調で話す。千秋・さやかと仲がよい。寮では信子・克美と同室。
- 池田 兼子(大阪出身) - 春やすこ
- 常に関西弁で話す。寮では千秋・さやかと同室だが、本人曰く「千秋をいびるのが楽しみ」とのこと。さやかとも仲が悪く、互いにライバル視しあい、乗客役として彼女に対するやりとりでも、口喧嘩になることが多い。
- 落合 克美(博多出身) - 松岡ふたみ
- 常に九州弁で話す。兼子の腰巾着的存在。乗客役としてのやりとりでは、千秋につっかかることがしばしばある。
千秋や同期生の家族など
- 松本 誠治(千秋の継父) - 長門裕之
- 松本 弓子(千秋の実母) - 吉行和子
- 木下 徳造(さやかの父) - 前田吟
- 木下 富子(さやかの母) - 朝丘雪路
- 小堀 庄介(さやかの実家「そば徳」の従業員) - 田山涼成
- 村沢 章一(浩の父) - 河原崎長一郎
- 村沢 冬子(浩の母) - 南田洋子
- 江原 三郎(主人公の幼馴染み 魚屋) - 光石研
- 中野 孝(信子のフィアンセ) - 金田賢一
- 松永 一郎(さやかのボーイフレンド) - 井上純一
- 中島 第一運航整備課長(友子の父) - 井川比佐志
- 松本千秋の実父(故人/生前パイロット) - 佐々木敏(訓練センター医務室の医者の配役も担当)
- 石田信子の父(中学校校長/作中で死去) - 内藤武敏
その他のキャラクター
- 岩倉 ハナ(ビューティーレッスン担当教官) - 奈美悦子
- 益岡 康夫(客室訓練部英語教官) - 益岡康夫
- 現役の英語専門教官による直演。日本語の発音が特徴的で、日本人の男性教官では唯一、訓練生を呼び捨てにしない。
- ジョン・マキャバレー(客室訓練部英語教官) - ジョン・マキャバレー
- 岩崎教官(救難訓練専門教官) - 中島久之
- 新藤 久之(真理子の父) - 鈴木瑞穂
- 南 洋子(機内で自殺を図る女) - 中島唱子
- 自殺を図った理由は恋人が留学先のフランスでその国の女性にとられたため。年齢は千秋と同じ19歳。
- 本田 まさお(南洋子の恋人) - 原亮介
- 留学先に追ってきた洋子と元の鞘に収まり、その後結婚。挙式の後で洋子とともに重傷を負い、ともに千秋に助けられる。
- 総合最終試験試験官 - 高畑淳子
スタッフ
- プロデューサー:野添和子、野村清
- 監督:國原俊明、瀬川昌治、合月勇、江崎実生
- 脚本:安本莞二、加瀬高之、増村保造
- 音楽:菊池俊輔
- 美術:杉川広明、仲美喜雄
- 照明:内田浩三
- 音響効果:佐々木英世(東洋音響効果グループ)
- MA:辻井一郎(アオイスタジオ)
- タイトル:デン・フィルムエフェクト
- 現像:東洋現像所
- 協力:デサント、BMWジャパン
- 製作:大映テレビ、TBS
主題歌・挿入歌
- 主題歌「ホワット・ア・フィーリング」
- 歌:麻倉未稀
- アメリカ映画『フラッシュダンス』の主題歌「Flashdance... What a Feeling」の日本語バージョン。原曲自体が『フラッシュダンス』のヒットと同時に世界中で大ヒットしたが、日本では本作の主題歌として使用されたこともあり、「『スチュワーデス物語』の曲」とも呼ばれることもある。
- 挿入歌「100℃でハートビート」
- 歌:風間杜夫
- 風間杜夫の歌手としての代表作。ドラマ内では、訓練生一同がこの曲に合わせて踊りまくるというシーンが繰り広げられた。原曲はサバイバーの「AMERICAN HEARTBEAT」。
サブタイトル
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 監督 |
---|---|---|---|---|
1 | 1983年10月18日 | 先生好きですッ! | 安本莞二 | 國原俊明、増村保造 |
2 | 1983年10月25日 | 憎らしい先生 | 國原俊明 | |
3 | 1983年11月1日 | とんでもない噂 | 加瀬高之 | 瀬川昌治 |
4 | 1983年11月8日 | ショックなラブシーン | 安本莞二 | |
5 | 1983年11月15日 | 先生と二人だけの旅 | 合月勇 | |
6 | 1983年11月22日 | 先生が離れて行く | 増村保造 | 國原俊明 |
7 | 1983年11月29日 | 卒業までの恋 | 増村保造、安本莞二 | 合月勇 |
8 | 1983年12月6日 | 初めてのキッス | 増村保造 | 江崎実生 |
9 | 1983年12月13日 | ダンス!ダンス!! | 安本莞二 | 國原俊明 |
10 | 1983年12月20日 | 娘は度胸よ! | 増村保造 | |
11 | 1983年12月27日 | ラブレターで事件 | 増村保造、安本莞二 | 合月勇 |
総集編 | 1984年1月10日 | (スペシャル) | 安本莞二 | 國原俊明 |
12 | 1984年1月17日 | 恥知らずなウソ! | 増村保造 | 江崎実生 |
13 | 1984年1月24日 | 意外なプレゼント | 安本莞二 | 瀬川昌治 |
14 | 1984年1月31日 | やっぱり失恋 | 増村保造 | 江崎実生 |
15 | 1984年2月7日 | 娘たちは怒ったぞ | 安本莞二 | 瀬川昌治 |
16 | 1984年2月14日 | 意地悪なささやき | 増村保造 | 國原俊明 |
17 | 1984年2月21日 | こわい手紙 | ||
18 | 1984年2月28日 | やるっきゃない恋 | 安本莞二 | 瀬川昌治 |
19 | 1984年3月6日 | カメの大失敗 | 増村保造 | 國原俊明 |
20 | 1984年3月13日 | ないしょ話 | 増村保造、安本莞二 | 瀬川昌治 |
21 | 1984年3月20日 | 恋のゆくえ!! | 國原俊明 | |
22 | 1984年3月27日 | さよなら!! | 増村保造 |
放送局
ロケ地
日本航空の全面協力の元に制作されたため、羽田空港内にある客室乗務員訓練センター(のちに空港内の整備場駅近辺に移転)や成田空港のオペレイションセンター、成田空港ターミナルの北ウイングなどが使用された。また当時の日本航空の寄港地であったイタリアのローマやフィウミチーノ空港、アッシジ、フランスのパリなどでの日本国外ロケも盛り込まれている。
基本的には羽田空港の訓練センター周辺でのロケが多く、羽田東急ホテル(2004年9月閉館)や穴守稲荷神社、京浜島などが登場する。なおドラマ内で重要な役割を担った「くれない寮」は実際には存在せず、当時存在した日本航空の西嶺寮を使用した。
また、BMWジャパンとのタイアップにより、BMWの3シリーズや5シリーズなどの各車が日本国外ロケを含め主要な場面に数回登場した。
担当する路線
- ヨーロッパ線
登場する機体
エピソード
- 松本千秋は当初小泉今日子が演じる予定であったが、スケジュールの調整が付かず断念した[3]。
- 片平なぎさが演じる新藤真理子は、「ピアニストを目指していたが、スキーに行った際、婚約者の村沢浩と衝突してしまう。その時両手の指を粉砕骨折してしまい、手首から先を義手にせざるを得なくなりピアニストの道を諦めざるを得なくなった」という設定で両手に手袋をしている。ドラマでは両手袋を歯で引っ張って外すシーンが毎度の恒例となっていた。片平は非情な悪役を演じていたため、プライベートで街を歩いているときなども番組ファンからたびたび石を投げられたこともあり苦悩したという。2006年公開の映画『トリック劇場版2』に片平が霊能力者の役で出演したが、本作でも披露していた「口で手袋を外す」という往年のシーケンスを見せている。
- 本物の日本航空の英語教官の益岡康夫やジョン・マキャバレー(両人ともにのちに定年退職)などが実名で登場しており、放送終了後20年以上経っても撮影中の逸話を訓練生によく話していたという。
- 1983年7月に、堀ちえみが成田空港に駐機中のボーイング747-246型機(JA8161)の機内でロケーション中に、同じTBSで当時放送されていた人気歌番組『ザ・ベストテン』の中継が入り、客室乗務員の制服を着用したまま機内のファーストクラス付近で、当時の新曲である「青い夏のエピローグ」を歌った。
- 2011年12月31日に放送された『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 絶対に笑ってはいけない空港24時』の中のパロディドラマ『キャビンアテンダント物語』(主演は千秋)の最後の部分で堀ちえみ本人が登場した。
- サントリーフーズ「なっちゃん」CA編(2006年)で、堀ちえみが新人客室乗務員(堀北真希)を叱咤激励する先輩客室乗務員役で出演し、つまづいて転倒した堀北に「私も昔はよくやった」と語りかけるシーンを演じた。
- 台本に目を通した堀は物語の設定や役付け、台詞回しに違和感を覚えていたが口を挟む間もなく、周囲はさも当たり前であるかのように次々と収録が進み、とてもではないが一介の新人が異を唱えるような雰囲気ではなかったと回想している。
- 2013年9月7日 にBS朝日にて放送された『極上空間』第125回に風間と堀がゲスト出演し、本作の思い出話を披露した。また、羽田空港内のロケ地にも訪れた。
グッズ
放送当時、ドラマの中で訓練生が実際に着用していたものと同一のTシャツや帽子が、日本航空の機内誌『Winds』(現・『SKYWARD』)内の通販コーナーで「スチュワーデス物語公式グッズ」として個数限定で販売されていた。また、全22話がDVD化されエイベックス・エンタテインメントから発売されている。
DVD
- スチュワーデス物語 前編 ASIN: B0002IJPCY
- スチュワーデス物語 後編 ASIN: B0002IJPD8
脚注
関連項目
- 政府観光局
- トップスチュワーデス物語
- スチュワーデス刑事
- スチュワーデスの恋人
- フライング☆ラビッツ
- デッドヘッド
- アテンションプリーズ - 本作と同様に客室乗務員を題材にしたドラマで、日本航空が協力している。
外部リンク
- スチュワーデス物語(TBSチャンネルの番組詳細情報)
- くれない寮
- avexnet「大映テレビドラマシリーズ」
- ↑ 当時は「スチュワーデス」と呼ばれていた。
- ↑ 全日本テレビ番組製作者連盟(ATP) 第1回ATP賞受賞作品一覧
- ↑ 芸能界ピンチヒッター裏・物語(1) - アサ芸+