キンシコウ
キンシコウ(金糸猴、Rhinopithecus roxellana)は、哺乳綱サル目(霊長目)オナガザル科シシバナザル属に分類されるサル。
分布
中華人民共和国(甘粛省、湖北省、四川省、陝西省)[1][2][3][a 1]
形態
体長66-76センチメートル[1][3]。尾長56-72センチメートル[1][3]。体重オス16.4キログラム、メス9.4キログラム[2]。背や尾の毛衣は暗褐色[1][3]。腹面の毛衣は黄白色や橙白色[1][3]。顔の周囲や胸部、四肢の毛衣は橙色[1]。
種小名roxellanaは、鼻が上向きだったとされるスレイマン1世の後宮ロクセラーナに由来する[2]。眼の周囲や鼻上部は淡青色で、口吻は白い[1][2]。
分類
- Rhinopithecus roxellana roxellana (Milne-Edwards, 1870)
- Rhinopithecus roxellana hubeiensis Wang, Jiang & Li, 1998
- Rhinopithecus roxellana qinlingensis Wang, Jiang & Li, 1998
生態
標高1,200-3,000メートル以上にある森林に生息する[3]。1頭のオスと数頭のメスからなる群れを形成し群れが集合した100-300頭に達する大規模な群れを形成することもあるが、昼間は小規模な群れに分散する[1][3]。
食性は植物食傾向の強い雑食で、主に植物の葉を食べるが、樹皮、果実、種子、地衣類、昆虫、鳥類の卵なども食べる[1]。
人間との関係
骨が薬用とされる[1]。
開発による生息地の破壊、毛目的や食用、薬用の乱獲などにより生息数は減少している[1][3]。
- R. r. roxellana、R. r. hubeiensis、R. r. qinlingensis
雑学
テンプレート:出典の明記 『西遊記』に登場する孫悟空のモデルとなったサルとして知られているが、これは雑誌『アサヒグラフ』1980年7月11日号に掲載された記事の中で、日本モンキーセンター世界サル類動物園長の小寺重孝がそうかもしれないと言った[4]一言が一人歩きしたものである。小寺は後に別の記事で「勘違いであった」と訂正した[5]が、最初の誤った情報が独り歩きしたとされている。そもそも、『西遊記』の中には猿の種類に関する記述は無く、孫悟空の容姿は目が金色で、体は白いとある。
しかし、更に他の見解では、インドの叙事詩『ラーマーヤナ』に出てくる、ハヌマーン神という金の肌に、朱色の顔面を持ち、丈の長い尾を動かし、さまざまな神通力を操る猿の御神がその元ではないかと言う見解もありテンプレート:要出典、また『西遊記』の登場人物である玄奘三蔵法師がインドへ旅立ったことからも何かしらの影響を受けた可能性があることと共に上記の見解を全否定はできず、諸説が混在している状態といえるテンプレート:要出典。『封神演義』の「梅山七怪」の「袁洪」のモデルになったとも言われているテンプレート:要出典。
中国名「金絲猴」は本種を指す(金丝猴、金线猴など表記)。
参考文献
関連項目
外部リンク
テンプレート:Reflist- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 伊谷純一郎監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科3 霊長類』、平凡社、1986年、113-114頁。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 岩本光雄「サルの分類名(その3:コロブスモンキー、ラングールなど)」『霊長類研究』vol.3 No.1、日本霊長類学会、1987年、66頁。
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 3.7 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社、2000年、25、139-140頁。
- ↑ 「話題の珍猿その2 盥絲濮これが孫悟空のモデルだ!?」 『アサヒグラフ』1980年7月11日号 朝日新聞社
- ↑ 「世界の珍猿 金絲猴が中国からやってきた」 『アサヒグラフ』1985年3月29日号 朝日新聞社
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