阪急6300系電車

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テンプレート:鉄道車両 阪急6300系電車(はんきゅう6300けいでんしゃ)は、阪急電鉄電車(用途については後述)。

京都本線特急運用に充当するために設計・製造され、派生番台である6330形とあわせて8両編成9本計72両が製造された。

本項では、解説の便宜上梅田寄り先頭車+F(Formation=編成の略)を編成名として記述する(例:6350以下8両編成=6350F)。

概要

2800系の置き換えに伴い、当時の標準的な車両であった5300系の電装関係と、既に同車で採用されていた電気指令式ブレーキ(後述・ワンハンドル化)、そして足回りを元に1975年から1978年までに8両編成8本64両が製造された[1]

車体は片側2扉(両開き扉)としたが、2800系と異なり、扉を両端に寄せ、側窓は2800系と同様の2連式の一段下降窓として、特急車としての風格を持たせた。車体寸法は阪急では最大となっており、車両限界の異なる神宝線大阪市交通局大阪市営地下鉄堺筋線には入線することはできない。

運転台主幹制御器は、同時期に落成した2200系と同様にブレーキハンドルと一体化したワンハンドル式が採用された。本系列の導入当時、特急に充当されていた2800系では主幹制御器とブレーキが分離しているツーハンドル式であり、さらに当時の特急の停車駅は梅田側から十三大宮烏丸のみであり、十三 - 大宮間では運転士が約30分もの間左手で主幹制御器を握り続けなければなかった(手を離すとデッドマン装置が作動)ことで、運転操作上安全性に問題があるとされたことから、ワンハンドル式が導入された。導入に際しては開発した東京急行電鉄の協力を得ており、当時の阪急社員が実際に東急で操作を体験している[2][3]。京都線車両では元来、主幹制御器の電源操作は逆転ハンドルの着脱により行われる仕様であったが、ワンハンドル式の採用により、神宝線車両と同様に鍵操作で行われるようになった。また、ワンハンドル車両は電気笛が標準装備され、ハンドル右側に押しボタンが設置されている。尚、ワンハンドルにもデッドマン装置は装備されているが(握り棒下部の灰色のレバーがデッドマンスイッチとなっている)、左右いずれかでハンドルを握っていれば作動しない。

主幹制御器のワンハンドル化にともない、従来車より乗務員室スペースが拡大されたため、乗務員室後部の座席がツーハンドル車の3人掛けから2人掛けとなり、この部分には客室用側窓は設置されなかったが、のちに縦長の窓を設置する改造が施工された。その理由は、「格好ばかりで窓がないのはけしからん」という乗客からの声が新聞の投書欄に掲載されたためである[2]。この部分にはHイニシャルマークが装着されたが、1992年CI導入による新社章制定によりこのイニシャルは撤去されて新社章が貼付された。マークは当初「阪急」と漢字での表記が検討されたが、最終的には阪急百貨店の女性従業員がつけていたブローチをモチーフとしてデザインされた[3]

車体の塗装は、マルーン1色から屋根に近い部分にアイボリーを入れて差別化を図った[4]。また、当初は塗り分け線の位置が20mm程度下だったが、前面の種別・行先表示器部分で途切れて感じが悪かったことから、6351Fは正面塗り分け線の位置変更テストを行ったが、のちに全車に全部の塗り分け線の位置を変更した[2]

前面形状は2200系をベースとするが、貫通扉から前照灯尾灯標識灯回りを飾り付きとして、他車と区別した。当初は前面ガラスをパノラマウィンドウにする案もあった[5]が、実際は従来と同じ形状となった。また字幕式種別・行先表示器も設置されたが、急行の表示については2200系と同様に当初は白地に赤文字で「 急行 」の表示(「 特急 」の反転)であったが、1982年に黒地にオレンジ文字の表示「 急行 」に変更された。しかし、黒地に白文字の「  普通  」表示と区別しにくいとの苦情を受け、「急行」表示は1992年に現行の快速急行と同じオレンジ地に黒文字「 急行 」に変更された。

前面表示器は、左(車掌台側)が行先表示器で、右(運転台側)が種別表示器を配置としているが、これは堺筋線直通車としても運用されている3300系などの行先表示器が車掌台側に設置されているのに合わせたためである。2200系以降の通勤車と前面表示器の位置は全く同じように見えるが、実は違っており、最終の6330F以外は通勤車より20mm程度上に設置されている。前記したように、塗り分け線との位置関係に不満を抱いたことから、6330Fだけ通勤車と位置を同じくした。

ファイル:Hankyu 6300 blue-ribbon1.jpg
阪急初のブルーリボン賞のプレート(1984.1.2梅田にて撮影)
ファイル:Hankyu 6300 blue-ribbon2.jpg
ブルーリボン賞受賞記念列車(1976.8.1正雀にて撮影)

1976年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した。

1984年には、高槻市駅茨木市駅付近の連続立体交差高架)工事による徐行運転のために所要時間が延び、運用本数が1本多く必要になったことから、さらに8両編成1本 (6330F) が製造された。6330Fが製造された時はすでに7300系などの後継通勤車が登場しており、制御装置や運転台へのバイパスブレーキボタン、天井空調吹出し口のラインフロー化、貫通ドアのガラス寸法拡大、界磁チョッパ制御など7300系アルミ車に準じた仕様となっている。また両先頭車は制御電動車とされたため、車両番号は6358/6458ではなく6330/6430とされた。この6330Fはメーカーのアルナ工機から国鉄線甲種輸送された最後の阪急車両でもあった。

1980年代前半まで大宮駅と西院駅ではホーム有効長が7両分しかなかったため、ドアカットスイッチが設けられていた。このドアカットは上り・下りとも進行方向の最後尾車両のみで、ホーム延伸の際に装置は撤去された。ドアカットを実施していた時期には、両先頭車の扉の戸袋部分にドアカットする旨を表示したステッカーが貼付されていた。これはのちの「携帯電話電源オフ車両」のステッカーより一回り大きいサイズである。

2002年には、国土交通省によるモデル調査を受け入れる形で5号車(梅田側から5両目の車両)を女性専用車両とした。当初は、本系列で運転される平日ダイヤ終日の特急・快速特急通勤特急に限って女性専用車両を設定していたが、2008年7月からは、9300系で運転される平日ダイヤの特急・通勤特急にも拡大された。

本系列は優先的に特急運用に充当されていたが、初期車の登場から30年以上が経過し、陳腐化・老朽化が進んだため、新しい特急用車両として2003年10月に9300系が投入された。これは本系列と異なり、扉間にクロスシートを採用したものの3扉車とされた。背景としては、並行するJR京都線の急速な輸送改善や、名神高速道路の拡幅による道路事情の改善など、阪急京都線を取り巻く環境が大きく変化したことが挙げられる。本系列は当初、おもに京阪間ノンストップの特急に充当されていたが、輸送形態の見直しに伴って中間主要駅への停車が徐々に増え、多数の区間利用客が乗降するようになった。2扉車では、扉数が少なく乗降に時間がかかるため、しばしば遅延の原因となっていた。9300系の構造は、このような輸送形態の変化に対応したものである。

2007年3月のダイヤ改正淡路駅に特急が停車するのに伴い、2ドア車の本系列は乗降に時間がかかることから、特に平日昼間時、土曜・休日夜間時を中心に運用が削減された。その後も、特急・通勤特急ともに順次9300系に置き換えられ、6300系による運用は減少していった。

本系列は1975年に登場して以来、一度も車体更新工事が施工されていなかったものの、6351F、6352F、6353Fの3本を4両編成に変更し、内装などをリニューアルした[6]。観光客の利用が多い路線での運用となるため、リニューアル後は2扉セミクロスシートとなった。リニューアル車両は2009年4月2日より嵐山線にて営業運転を開始し、同線で運用されていた2300系を置き換えた[7]

一方で、2008年7月に2007年3月から休車となっていた6356Fのうち、6456を除く7両が代替廃車・解体され、6300系で初の廃車となった[8]

2009年、安全報告書で年度内に京都線で運用されている6300系を9300系に置き換えることが公表され[9]2010年1月8日をもって京都本線の営業運用からいったん外れた。同年2月12日には同年2月末をもって置き換えられることが発表され、『引退記念運行』として2月21日から同月28日まで6350Fが最後の京都本線特急運用に就いた。なお、これを記念したヘッドマークが同年2月24日から28日まで掲出された[10][11]

嵐山線用にリニューアルされた編成以外は、6330Fも含めて(2009年11月廃車済)全て廃車となる[12]と報じられていたが、6350Fについては6両に減車の上、行楽期の梅田 - 嵐山間の臨時快速特急運用に充当されていた(後述)。その後2010年11月には、2011年5月ダイヤ改正後に土曜・休日ダイヤにおいて現行の特急よりも停車駅を削減した京都観光客向けの特急列車を6300系で運行する計画があることが報道された[13]ほか、同年2月21日には阪急電鉄からも公式発表があり[14]3月19日から梅田 - 嵐山間の快速特急(淡路 - 桂間は無停車)で営業運転を開始した。

内装

ファイル:阪急6300系電車車内.jpg
京都線特急運用時代の車内

おもに特急で使用されることから、座席は運転室直後の2人掛けロングシート以外は全席クロスシートとしている。クロスシートは扉に接する部分以外は全て転換式で、終点での折り返しの際には運転室のスイッチ操作で一斉転換が可能である。駅に掲示されている時刻表やポケット時刻表には2扉車である旨(印)の記載があったが、2008年7月以降は女性専用車両の表示(印)に代わっている[15]。また、ラッシュ時以外は扉部分に設けられた補助席を使用できるようになっている[16]。また、切妻部の窓が廃止されて長距離列車の趣きも備える。

座席表地は一般車と同じゴールデンオリーブ(緑)色であるが、段織モケットとして差別化を図った。クロスシート上部にはレザー製のカバーが装着されている。座席の袖はデコラ張りとされたが、6330Fではモケット張りに変更した。

落成当時は車内に吊り広告が設置されておらず、1990年代にようやく設置されたが、広告は他系列[17]と異なり片面1種類のものが使用され、数は一般車が1両あたり6列なのに対し4列と少ない。また、各扉上の広告・路線図掲示スペースは、他系列では出っ張りであるが、本系列だけは窪んでおり、扉上部のカバーを開けて中から取り替えることになっている。

特急停車駅の増加に伴い、各扉周辺で吊り革が増設された。

1987年河原町側先頭車(8号車・6450形、6430形)にカード式の公衆電話が設置された。特別料金不要の列車に使用される車両としては日本初である。

2011年初頭に6354Fが京風の「京とれいん」にリニューアルされた[18]

機器

テンプレート:Soundテンプレート:Sound 主電動機出力140kW (TDK8550-A)・TD平行カルダン駆動方式抵抗制御 (ES767) ・発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキ(HRD-1D、発電ブレーキ併用)は5300系と共通で、車体は普通鋼製。6330形のみ7300系と同様の界磁チョッパ制御 (ES773-E-M) を採用し、主電動機出力も150kW (TDK8580-A)、そして電気指令式ブレーキは電力回生優先ブレーキ付きのHRDA-1となっている。いずれも東洋電機製造製(ブレーキ装置は日本エヤーブレーキ製)。6330形では車両間貫通扉窓の大型化、冷房吹き出しグリルの連続化、そして電動車は編成両端の各2両に組成されるなど、6300系との差異がある。テンプレート:要出典範囲

パンタグラフ

パンタグラフは下枠交差式で、6300系では中間電動車の6800形に、6330Fでは制御電動車の6330形と中間電動車の6830形に各2基が搭載される。

6357Fに組み込まれる6817の集電舟は、先端が一体となる3300系類似の形態となっていた[19]

形式

現有形式

  • 6350形 (Tc)(6350 - 6357、8両)
梅田側の先頭に連結される制御車。6350と6353は先頭部の並形自動連結器密着連結器に交換している。
  • 6450形 (T'c)(6450 - 6457、8両)
河原町嵐山側の先頭に連結される制御車。1987年にカード式公衆電話を連結面側妻部に設置し、屋上に電話用無線アンテナが設けられたが、6451 - 6454は改装される際に電話機を撤去している(アンテナは残されている)。6450と6453は先頭部の並形連結器を密着連結器に交換している。
  • 6800形 (M)(6800 - 6807、6810 - 6817、16両)
6900形とユニットを組む中間電動車。パンタグラフと制御器を搭載。8両編成時は梅田方から2両目 (6800) と6両目 (6810) に連結。6両編成は梅田方から2両目 (6800) と4両目 (6810) に連結。嵐山線用編成では桂方から2両目 (6800) に連結。
  • 6900形 (M')(6900 - 6907、6910 - 6917、16両)
6800形とユニットを組む中間電動車。電動発電機 (MG) と空気圧縮機 (CP) を搭載。8両編成時は梅田方から3両目 (6900) と7両目 (6910) に連結。6両編成は梅田方から3両目 (6900) と5両目 (6910) に連結。嵐山線用編成では桂方から3両目 (6900) に連結。

廃形式

  • 6330形 (Mc)(6330、1両)
6330Fの梅田方先頭に連結される制御電動車。6930とユニットを組む。パンタグラフと界磁チョッパ制御器を搭載。1996年頃に先頭部の並形連結器を密着連結器に交換している。
  • 6430形 (M'c)(6430、1両)
6330Fの河原町方先頭に連結される制御電動車。6830とユニットを組む。MGとCPを搭載。6450形同様、1987年にカード式公衆電話を連結面側妻部に取り付けた。1996年頃に先頭部の並形連結器を密着連結器に交換している。
  • 6930形 (M')(6930、1両)
6330とユニットを組む中間電動車。MGとCPを搭載。梅田方から2両目に連結。6330Fの中間電動車は制御方式、電動機の違いから従来車とは別形式とされており、車体重量もわずかに軽量化されている。6900形と比較すると前後のクーラーの搭載位置が車体中央寄りになっていた。
  • 6830形 (M)(6830、1両)
6430とユニットを組む中間電動車。パンタグラフと界磁チョッパ制御器を搭載。梅田方から7両目に連結。
  • 6850形 (T)(6850 - 6857、6860 - 6867、6950・6960・6970・6980、20両)
付随車。運転に必要な機器は搭載されていない。8両編成時、梅田方から4両目 (6850) と5両目 (6860) に連結されていた。6330Fの付随車は6950番台に区分され、従来車よりわずかに軽量化され、6850形より前後のクーラーの搭載位置が車体中央寄りになっていたが同一形式とされている。梅田方から6950・6960・6970・6980の順で連結されていた。

車体更新車

テンプレート:節stub

京とれいん

ファイル:Hankyu-6354F kyotrain.JPG
京とれいんで運用されている6300系
(2011年5月15日 西京極駅付近)

6354Fは2011年に観光客向けの列車への充当を目的として京風に更新工事が施行され、同年2月18日に出場した[20]

この列車は、乗車した瞬間から京都への旅の期待が高まるような演出を施すため、京都の「和」と「モダン」をコンセプトに、京都の町家をイメージした内装に改造している。

外観

  • 社章は、1992年9月制定以来のステッカー式から旧社章が取り付けられていた跡である車両番号表記の上部に移動してステンレス切抜き式に変更された。
  • 車体には、利用者を旅に誘う、京扇をデザインしたラッピングが施されている。扇型の「京とれいん」ヘッドマークを装着して運行される。

車内・接客設備

  • 乗降扉にはドア開閉予告ランプとブザーが設置された。
  • 6両編成のうち、3号車と4号車を京町家をイメージした車両、それ以外を京唐紙をモチーフにした車両とし、趣のある車内空間を演出している。伝統素材である和紙を用いた「創作和紙ポスター」を車内に掲出し、白系の化粧板を採用している。
    • 京町家をイメージした車両には、客室への車内エントランスとして格子状の飾りを設け、デッキ風のデザインとしたほか、客室は2列+1列の対面式固定クロスシートとし、各ブロックごとに仕切を設け半個室空間の演出が施されている。シート座面には畳の上に座布団を模した作りのクッションが固定されている。座席定員は2両とも39人(車椅子スペース1台分含む)。その他、車内照明の間接照明化、貫通ドアの交換、冷房吹き出し口の交換、日除けの引き下げ式ロールカーテンへの変更などの改修を施している。
    • 京唐紙をモチーフにした車両には、1・2号車の座席デザインを「蘭の華散らし」、5・6号車の座席デザインを「麻の葉」とし、それぞれに京唐紙の伝統柄をモチーフにしている。
  • 天井の広告吊り・車内広告の枠は全て撤去。
  • 6454に設置されていたカード公衆電話は撤去。
  • 各車の妻面に設けられていた補助座席は撤去。
  • 車内の製造銘板が貼り替えられ、製造年の表記のない「ALNA Syaryo」(2008年から採用された新タイプの銘板を使用)のみのものとなった。
  • おもに土休日に定期列車(桂駅 - 淡路駅間無停車の快速特急)として運用するが、平日には貸切列車への運用を考慮し、全座席に座席番号プレートを設置する。
  • 外国人旅行者への対応として、日本語・英語・韓国語・中国語の4か国語による季節ごとの案内放送を行うほか、嵐山への観光喚起を図るため、嵐山に関する観光ガイドも放送する。また、パンフレットラックを設け、上記4か国語(中国語については簡体字版と繁体字版を用意)による祇園・清水地域と嵐山地域に特化した「京都ガイドマップ」を配置する。

変更されなかった点

  • 阪急のほかの多くのリニューアル車で交換されていることが多い冷房室外機ケーシングや乗降扉は交換されていない。
  • パンタグラフや主制御器、主電動機、電動発電機、行先表示板など主要機器は変更されていない。
  • 1・2号車と5・6号車は壁紙と床面の貼り替え(同時に補助椅子の埋込み)と座席モケットと肘置きの交換程度であり、座席本体やつり革、照明器具(蛍光灯カバー)、窓枠(日除けのよろい戸も含めて)などは従来のままであり交換もされていない。

嵐山線

6351F - 6353Fは、2008年から2009年にかけて嵐山線向けに内装を中心に更新工事を施工された。

外観

  • 8両編成から4両編成に変更するにあたり、京都寄り4両の中間車(6850、6860、6810、6910)を脱車。編成から外された車両は廃車となった。
  • 乗降扉は3300系や5300系リニューアル車などと同様の下方向に窓ガラス面積が大きいものに交換。
  • 社章は1992年9月制定以来のステッカー式から、旧社章が取り付けられていた跡である車両番号表記の上部に移動してステンレス切抜き式に変更された。

車内・接客装備

  • 貫通ドアはガラスが下方向に長いものに交換。
  • 乗降扉の窓は複層ガラスで下方向に拡大したものに交換。
  • 窓ガラスはで全て緑がかったUVカットガラスに交換された。
  • 乗降扉にはドア開閉予告ランプとブザーが設置された。
  • 日除けは阪急伝統の鎧戸から下降式ロールカーテンに変更された。これにより日除けを任意の位置で固定することが可能となった。
  • 座席は9300系と同タイプの転換クロスシートと、9000系と同タイプの仕切り板付きのロングシートを組み合わせた変則セミクロスシートに変更され、車椅子スペースも設けられた。ただしクロスシート部は本系列独特の横2列+1列配置となっている。
  • 日焼け対策で妻面や扉部分の木目デコラ板の色は9300系と同じ濃げ茶色のものに変更された。床材は他の床材更新車と同じタイル状の模様が入るものとなった。
  • 荷棚も9300系と同じ形状のものに変更。
  • 窓枠、冷房吹き出し口などの金属パーツは新品に交換された。冷房吹き出し口は以前と同形状だがブロンズ色になっている。
  • 吊り広告は6列に増やされ、掲示スタイルも一般車同様となった。
  • 吊り革は室内全通タイプとされた。
  • 6450形に設置されていたカード公衆電話は撤去。
  • 各車の妻面に設けられていた補助座席は撤去。
  • 車内の製造銘板が貼り替えられ、製造年の表記のない「アルナ工機」のみのものとなった。

変更されなかった点

  • 阪急のほかの多くのリニューアル車で交換されていることが多い冷房室外機ケーシングは、本系列では交換されていない。
  • パンタグラフや主制御器、主電動機、電動発電機など主要機器は変更されていない。

編成

※2012年4月1日現在[21]

テンプレート:TrainDirection 備考
Tc6350 M 6800 M'6900 M 6800 M'6900 T'c6450  
6354 6804 6904 6814 6914 6454 『京とれいん』用リニューアル車
テンプレート:TrainDirection 備考
Tc6350 M 6800 M'6900 T'c6450  
6351 6801 6901 6451 嵐山線用リニューアル車
6352 6802 6902 6452 嵐山線用リニューアル車
6353 6803 6903 6453 嵐山線用リニューアル車
先頭車は密着連結器装備
Tc6350 M 6800 M'6900 M 6800 M'6900 T'c6450  
6350 6800 6900 6810 6910 6450 休車
先頭車は密着連結器装備

用途について

本形式は元々は京都線における名目上の特急用として登場した。一方で2ドアセミクロスシートという点であれば近郊形、8両編成時代に女性専用車両が存在したことや現状では嵐山線の普通列車に充当されていることに着目すれば通勤形となるが、私鉄の車両は鉄道ファンの独断で接客設備や列車種別によって分類することがあるものの、日本国有鉄道JRの車両区分を明確に当てはめることは難しく、本形式を明確に何形などと定義することは難しい。

運用

ファイル:Hankyu6300Series01.jpg
京都線特急運用時代の6300系
(2006年7月22日 南茨木駅付近)

京都線運用

登場当初から京都線車両として、2010年1月8日まで基本的に特急以上の種別(昼間時は特急、平日朝夕ラッシュ時は通勤特急)に充当されていた。また、平日朝ラッシュに茨木市発河原町行快速急行2本、早朝と深夜には桂車庫に入・出庫するための送り込み列車として普通(各駅停車)にも充当された。平日の特急・通勤特急運用時には5号車に女性専用車両が設定された。

前記のとおり、2010年2月28日に『引退記念運行』を実施したが、その後6350Fを6両編成に減車の上、行楽期の梅田 - 嵐山間の臨時快速特急の運用についていた[22][23]。2011年3月19日からは前述の京風リニューアルを施された6354編成(「京とれいん」)が土曜・休日ダイヤでの快速特急運用についている。

嵐山線運用

6351F、6352F、6353Fの4両編成3本が2009年4月2日より、ドアや化粧板の交換、クロスシート部の横2列+1列化などのリニューアル改造を受けた[24]上で線内普通として運行している。これに先立って2008年10月29日に6355Fが中間車を抜いた6両編成で嵐山線に入線している[25]

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Sister

テンプレート:阪急電鉄の車両

テンプレート:ブルーリボン賞選定車両一覧
  1. 第1編成である6350Fは、当時予備車が存在せず、7編成フル運用の状態であった2800系特急車の増備という位置付けで製造された。
  2. 2.0 2.1 2.2 鉄道友の会会報『RAIL FAN』2010年4月号より。
  3. 3.0 3.1 鉄道ピクトリアル』(電気車研究会)2010年8月号増刊・阪急電鉄特集より。
  4. のちに8000系にも採用され、その他の更新車なども同様の塗装となった。
  5. 2010年に梅田・阪急百貨店で開催された「鉄道模型フェスティバル」に図面に基づいたNゲージ模型が展示されていた。
  6. テンプレート:PDFlink - 阪急電鉄 2008年10月24日
  7. 阪急6300系リニューアル車、嵐山線で営業運転開始 - 交友社鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2009年4月3日
  8. 『関西の鉄道 No.55 2008』(関西鉄道研究会)より。なお、先頭車両の6356は戦後の阪急で初めて新製時から前面に種別・行先表示器を装備していた車両の廃車となった。
  9. テンプレート:PDFlink - 阪急電鉄
  10. テンプレート:PDFlink - 阪急電鉄 2010年2月12日
  11. [1] - 阪急京都線から6300系引退 駅員が混乱警戒 共同通信
  12. 鉄道ジャーナル』(鉄道ジャーナル社)2010年5月号より。
  13. 阪急、京都観光誘客へ軸足 嵐山臨時便増など - 日本経済新聞 2010年11月18日
  14. テンプレート:PDFlink - 阪急電鉄 2011年2月21日
  15. 9300系にも設定されるようになったため、この印があっても2扉車とは限らない。
  16. 6330Fのみ補助座席ロック可能となっている。
  17. 神宝線では8000系・5000系で同スタイルの吊り広告が使用されている。
  18. 阪急京都線に「観光特急」 内装「京風」に改装 来春 - 朝日新聞 2010年11月20日
  19. それ以外の6300系編成の集電舟はすべて通常の形態である。
  20. 阪急6300系6354編成が試運転 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2011年2月19日
  21. 「大手私鉄車両ファイル2012」 『鉄道ファン』2012年8月号(通巻616号)付録、交友社
  22. 阪急6300系が6連で臨時快速特急に - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2010年4月30日
  23. 阪急 嵐山への直通臨時列車を運転 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2010年11月2日
  24. 『鉄道ファン』 2009年2月号より。
  25. 阪急6300系が嵐山線で試運転 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2008年10月30日