ボーイング787

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テンプレート:Infobox 航空機 ボーイング787 ドリームライナーBoeing 787 Dreamliner)は、アメリカ合衆国ボーイング社が開発・製造する次世代中型ジェット旅客機ボーイング757767777の一部の後継となる。

中型機としては航続距離が長く、今までは大型機でないと飛行できなかった距離もボーイング787シリーズを使うことにより直行が可能になる。このため、需要がさほど見込めず大型機では採算ベースに乗りにくい長距離航空路線の開設も可能となった。

名称

愛称の「ドリームライナー」は、公募後に2003年6月のパリ航空ショー期間中に発表された。研究段階ではY2、開発段階では7E7(EはEfficiency=効率)と呼ばれ(ボーイング社は最終的には、「"E" は単に "Eight" の頭文字」だとした)[1]2005年1月28日シアトル時間)に従来の命名方式を踏襲した787に変更された[2]。また、ボーイング777型機に次いで開発されたという意味でも、「787」となることは予想されていた。

開発経緯

1995年に就航開始した777に次ぐ機種の開発を検討していたボーイングは、将来必要な旅客機は音速に近い速度(遷音速)で巡航できる高速機であると考え、2001年初めに250席前後のソニック・クルーザーを提案した。しかし、2001年9月のアメリカ同時多発テロ事件後の航空業界の冷え込みの影響などから少しでも運航経費を抑えたいという航空会社各社の関心を得ることができず、2002年末にこのソニック・クルーザー開発を諦めて通常型7E7の開発に着手した。この通常型7E7は、速度よりも効率を重視したボーイング767クラスの双発中型旅客機であり、2003年末には航空会社への販売が社内承認された。

2004年4月、全日本空輸が50機発注したことによって開発がスタートし、呼称も787に改められた。その後、日本航空も発注したほか、ノースウエスト航空(現・デルタ航空)、コンチネンタル航空(現・ユナイテッド航空)(ともに発注契約も引き継がれている)など多数の大手航空会社が発注している。開発当初のスケジュールでは、2007年7月のロールアウト(完成披露)、8月から9月ごろに初飛行、その後に試作機6機で試験飛行を行い、連邦航空局(FAA)の型式証明取得は2008年5月を予定して、取得しだい最初の発注者である全日本空輸に引き渡される予定であった。全日本空輸では、2008年6月に国内線に投入・同年8月の北京オリンピック開催時には東京/羽田 - 北京/首都間のチャーター便に使用する、と発表していた[3]

開発の遅延

当初の予定では初飛行は2007年9月末・引渡しは2008年5月としていたが、2007年10月11日にスケジュールの遅れが発表され、初飛行は2008年第1四半期末、引渡しも当初の予定から6か月ほど遅れるとした[4]

2008年1月16日、1号機の納入を2009年に延期すると発表した。コスト軽減により開発・生産の委託先でトラブルが起こり、解消しなかったためである。さらに「センター・ウイングボックス」の設計やり直し[5]などの理由で、2008年4月9日に、初飛行を2008年第4四半期、引き渡しを2009年第3四半期とする、延期が発表された[6]。ただし、初飛行から型式証明までを9か月で達成するとした(先代のボーイング777は11か月で達成)。

1号機を受領予定だった全日本空輸は、北京オリンピック開催時の就航も不可能となり、就航計画の変更を余儀なくされた。また、受領予定だった1号試験機-3号試験機について、試験機が量産型に比べ機体重量が増加してボーイング787本来の性能が得られないことから受領を拒否し、遅延に関する損害賠償を請求した[7]他、日本航空も同様の請求を検討すると発表した。

現地時間2008年9月6日にボーイングで最大の労働組合がストライキを決行した[8]。この57日に及んだストライキと、さらに組み立て中の機体のファスナーに新たな不適合が見つかったなどの理由で、2008年12月11日に、初飛行を2009年第2四半期、納入開始を2010年第1四半期に延期すると発表した[9]

2009年6月の報道によると、シアトル北部のエバレット工場で1号機の各種テストが進行中であり、近い時期の初飛行が予定されているとされたが、「主翼と胴体の結合部分に補強の必要性が現れた」として、テスト飛行は延期された[10]。「Section 12」と呼ばれ、日本の三菱重工業が担当の部分である。この箇所の改造に伴い主翼のストレステストのやり直しが必要で、さらに数か月の遅延となった。

結局、787が初飛行を行ったのは、当初の予定から2年以上遅れの2009年12月15日であった。ボーイングが旅客機の初飛行にこれほど手間取ったことはかつてない。

2010年8月2日、全日本空輸の機材などに装着されるロールス・ロイス社のTrent1000型エンジンがテスト中に爆発し、エンジンハウジングを貫通して部品が飛散し同社のテスト施設が破損する事態が発生[11][12]、これを受け8月27日に、ボーイング社は「最終段階となる今秋の飛行テスト用のエンジン供給状況を精査した結果」を理由に、第1号機の納入時期が、2011年1 - 3月期に遅れると発表した[13][14]。その後8月28日に、ロールス・ロイス社は「テスト中の破損と供給状況の問題には関係がない」と発表した[15]

2010年11月9日、2号機(ZA002、全日本空輸塗装テンプレート:Refnest)の試験飛行中に電気室内の配電盤で火災が発生し、機内に煙が充満し主電源がダウン。コックピットの表示の一部とオートスロットルが作動しなくなった。ラムエア・タービンによって操縦に必要な電源が確保され、消防隊が待ち受ける中ラレド空港に緊急着陸に成功したが、緊急脱出の際に1人が軽傷を負った[16][17]。このインシデントにより、さらに開発が遅れることとなった[18][19]

これほどまでに開発に時間を要したのは、後述の、新素材による胴体や、新機軸を採用したエンジンなど、多くの新設計によるものと考えられる。

2013年5月23日 中国民用航空局(CAAC)は長期にわたり先送りしていたボーイング787の中国国内における運航を許可した。 これにより、納入が遅れていた製造済みの中国向けの同型機の納入が開始される見込みとなった。 なお、今回の認可についてCAACは先送りされたことと後述のバッテリートラブルとの関係を含め詳細については発表していない。

日本でのテスト飛行

テンプレート:Double image aside

ローンチカスタマーの全日本空輸とボーイング社により、日本の空港設備との適合性検証(SROV)を行うこととなり、2011年7月3日にシアトルから787-8型機(全日本空輸塗装機、登録記号:N787EX)が羽田空港へ初来日[20]

7月5日から10日まで、羽田空港と中部大阪(伊丹)・関西・岡山・広島の各空港を往復し、搭乗橋の接続や給油など実際の就航を想定したテストが行われた[21]

2011年9月25日、全日本空輸はボーイングのエバレット工場で初号機の引き渡しを受け、翌26日に祝賀式典を行った[22]

2011年9月28日、初号機となった全日本空輸向けの第1号機(登録記号:JA801A)が羽田空港に到着した。ロールアウトから実に4年越しのできごとであった。10月12日から23日にかけて乗員慣熟飛行を行った[23]テンプレート:-

引き渡し、就航

ファイル:All Nippon Airways Boeing 787-8 Dreamliner JA801A OKJ.jpg
岡山空港に着陸するボーイング787-8型機(2011年10月16日・JA801A)

2011年10月26日、全日本空輸が成田-香港間で、B787型として世界初の商業運航を行った。11月1日、羽田 - 岡山・広島線で国内線定期便運航を開始した。なお全日本空輸では1, 2号機については特別塗装を施し、3号機以降は通常塗装とするが、ボーイング787であることをより判りやすくするため、機体前方に巨大ロゴ「787」をペイントすることになった[注 1]

ただし、2014年2月以降に受領する機体には「787」のロゴはペイントされていない。

2012年1月14日、全日本空輸は、羽田 - 北京線で国際線定期便運航を開始した。使用されたのは前述の3号機(JA805A;長距離国際線用)である。なお、同社は2012年夏期より国内線専用機(座席仕様2クラス制:プレミアムクラス12席・普通席323席、計335席)の導入を予定している。国内線専用機の導入が進むと同時に、羽田 - 福岡鹿児島線、そして羽田 - 熊本線にも順次投入され、2012年秋から羽田 - 札幌線にも就航した[24]

ファイル:Japan Airlines Boeing 787-846 Dreamliner Kustov.jpg
モスクワ(ドモジェドヴォ)に到着した、日本航空のボーイング787-8型機(2012年5月17日・JA826J)

2012年4月22日、日本航空は新規開設となる成田 - ボストン線に787-8(JA822J)を就航させた[25]。これは日本航空にとって787の初就航路線となった。また成田とボストン間の直行便は史上初のことであった。日本航空は当分の間は787の特性を最大限に生かせる国際線のみに就航させる予定であると発表している。

2012年5月1日、日本航空は成田 - ニューデリー線での運航を開始した。さらに同月7日にはモスクワ線と羽田 - 北京線での運航も開始した。

2013年1月4日、ユナイテッド航空がロサンゼルス - 成田線に787を就航させた。これは外国航空会社として初めての日本への乗り入れとなった[26]

2013年1月16日、LOTポーランド航空が同社、国際線のワルシャワ - シカゴ線に就航したが、当日、全世界的に同機の運航停止が決定したため、同路線は就航日に往路のみの運航となり、復路は欠航となった。

2013年5月以降、ボーイングによるバッテリーユニット改修の目処がつき、製作し滞留していた納入待ちの機体が多かったので日によっては連日納入、引き渡しをするような状況になっている。

2013年5月30日、トムソン航空はバッテリートラブルによる運航停止、再開後、遅れていた同社およびイギリスの航空会社に対する初号機を受領、翌5月31日には二号機を受領し、同年7月8日に就航予定となっている。

2013年5月31日、中国南方航空はトムソン航空に続き同社および中華人民共和国に対する初号機を受領、6月2日に広州 - 北京線で就航。

2013年6月27日、ブリティッシュ・エアウェイズがロールス・ロイス社製トレント1000を装備した初号機を受領。

機体

中型のワイドボディ機で、ナローボディのボーイング757やセミワイドボディのボーイング767、およびボーイング777の一部の後継機と位置づけられている。特にターゲットとなる767より、航続距離や巡航速度は大幅に上回るとともに、燃費も向上している。炭素繊維を使用した炭素繊維強化プラスチック(カーボン)等の複合材料の使用比率が約50%テンプレート:Refnestであり、残り半分が複合材料に適さないエンジン等なので、実質機体は完全に複合材料化されたといえる。

概要

胴体は767、あるいはエアバスA300クラスより太く、客室の座席配列はエコノミークラスで2-4-2の8アブレストが基本であるが、3-3-3の9アブレストでも従来の旅客機、737や747のエコノミークラスとほぼ同等の座席幅を確保でき、実際に9アブレスト仕様で発注している航空会社はかなり多い。この太い胴体のため、床下貨物室にLD-3コンテナを2個並列に搭載可能である(床下にLD-3が並列搭載できないことは、A300やA330と比較した時に767の重大な欠点であった)。

客室は従来より天井が20cm高くなっている。面積比で767の約1.2倍、777の約1.3倍、A350の1.65倍の大型の窓が採用され、窓側でなくとも外の景色を見ることができるという。また窓にはシェードがなく、代わりにエレクトロクロミズムを使った電子カーテンを使用し、乗客各自が窓の透過光量を調節することになる。客室内はLED光により、様々な電色が調整できる。[27]トイレには、日本航空の主導で、TOTO株式会社、株式会社ジャムコ、ボーイング社との共同開発による、日本で一般に普及している温水洗浄便座がオプションとして採用され[28]、全日本空輸もこれを国際線用機に採用した。

主翼はじめ、機体に複合材料を使用しているが、これによって耐腐食性等の問題が解決され、ボーイング777ではコックピットのみへのオプション装備だった加湿器が、初めてキャビンに標準搭載される。また、「気体フィルター」と呼ばれる技術を使用した新型フィルターを搭載する事により、従来のHEPAフィルターでは除去できなかった気体分子も除去できるようになった。これにより、少なくとも乾燥が原因で発生する健康上の症状は半減するとしている。

コックピットは、777のようなLCDを多用したグラスコックピットをさらに進化させたものになり、ヘッドアップディスプレイ(HUD)も付く予定である。エレクトロニック・フライトバッグ(EFB)も標準装備される。なお開発当初、パイロット用酸素マスクは欧米人向けの形になっていたが、全日本空輸の要請により、東洋人の顔つきに合わせたマスクも作られることになった[29]

補助動力ユニットの始動と非常時のバックアップ用途にジーエス・ユアサ コーポレーションリチウムイオン電池を民間航空機で初採用[30][注 2]テンプレート:Refnest

テンプレート:Multiple image テンプレート:-

性能

巡航速度はマッハ0.85となり、マッハ0.80の767、マッハ0.83程度のA330、A340より長距離路線での所要時間が短縮されるとされる。

航続距離は基本型の787-8での航続距離は最大で8,500海里(15,700km)、ロサンゼルスからロンドン、あるいはニューヨークから東京路線をカバーするのに十分であり、東京からヨハネスブルグへノンストップで飛ぶことも可能である。機種性能としてETOPS180の取得は可能である。

767と比較すると燃費は20%向上するとされている。これはCruise FlapsやSpoiler Droopなどによる空力改善・複合材(炭素繊維素材)の多用による軽量化・エンジンの燃費の改善・これらの相乗効果によるものだという。軽量化によって最大旅客数も若干増加している。 なおランディングギアにはブリヂストン製のタイヤが使用されている。 テンプレート:-

エンジン

ファイル:B787-2139.jpg
ロールス・ロイス トレント1000

エンジンはロールス・ロイス plcトレント1000ゼネラル・エレクトリックGEnxが用意されている。これらのエンジンも国際共同開発である。電気接続のインターフェースを標準化したため、これら2種類のエンジンの交換が可能とされており、将来の技術進歩により高性能エンジンが開発された際には異なるメーカーのエンジンと取り替えることが可能になった。

エンジン始動と発電の両方を行うスタータジェネレータを採用し、従来ブリードエアとスタータタービンにより行っていたエンジン始動の電動化、エアコンや翼縁解氷装置などもブリードエアを使わず電気化する(エンジンナセル(エンジンポッド)の防氷については、他の機種同様にブリードエアを使用)などにより、エンジンコンプレッサからの抽気(ブリード)をほとんど廃止することで燃費向上を図ることができたとされる[31]

外見からも判る、エンジンナセル後端のギザギザのシェブロンパターンは、「シェブロンノズル」と呼びファン流と燃焼ガス流をうまく混合し騒音を低下させる効果を狙ったものである。

なお、ローンチカスタマーの全日本空輸はロールスロイス製エンジンを選択した[32]が、ボーイングの旅客機でアメリカ製以外のエンジンを搭載した仕様によるローンチは、過去にはボーイング757の事例があるのみである[33]

国際共同事業の推進

ボーイング787は機体の70%近くを海外メーカーを含めた約70社に開発させる国際共同事業である。これによって開発費を分散して負担できるとともに、世界中の最高技術を結集した機体になるとしている。参加企業は下請けを含めると世界で900社に及ぶ。イタリアイギリスフランスカナダオーストラリア韓国中華人民共和国といった国々が分担生産に参加しており、日本からも三菱重工業を始めとして数十社が参加、日本企業の担当比率は合計で35%とアメリカ以外で最大かつ過去最大の割合である(767は15%、777は20%を担当)。この35%という数字はボーイング社自身の担当割合と等しい。ボーイング社外で製造された大型機体部品やエンジン等を最終組立工場に搬送するため、貨物型のボーイング747を改造した専用の輸送機が用いられており、日本では生産工場が名古屋近郊にある関係で中部国際空港に定期的に飛来している[34]

三菱重工業は747X計画時の2000年5月にボーイングとの包括提携を実現しており、機体製造における優位性を持っている。すでに1994年には重要部分の日本担当が決定しており、三菱は海外企業として初めて主翼を担当(三菱が開発した炭素繊維複合材料は、F-2戦闘機の共同開発に際して航空機に初めて使用された。この時、アメリカ側も炭素系複合材の研究を行っていたものの、三菱側が開発した複合材の方が優秀であると評価を受けたため、三菱は主翼の製造の権利を勝ち取っている)、川崎重工業が主翼と中胴の結合部と中央翼、富士重工業がセンターボックスと主翼フェアリングに内定していた。計画は747Xからソニック・クルーザーを経て787となり、三菱が主翼、川崎が前方胴体・主翼固定後縁・主脚格納庫、富士が中央翼・主脚格納庫の組立てと中央翼との結合を担当している。エンジンでも、トレント1000に川崎、GEnxにIHI、両エンジンに三菱(名誘)が参加している。

機体重量比の半分以上に日本が得意分野とする炭素繊維複合材料(1機あたり炭素繊維複合材料で35t以上、炭素繊維で23t以上)が採用されており、世界最大のPAN系炭素繊維メーカーである東レは、ボーイングと一次構造材料向けに2006年から2021年迄の16年間の長期供給契約に調印し、使用される炭素繊維材料の全量を供給する[35]

派生型

2014年時点で、ボーイング787は3つの派生型を売り込んでいる。

787-3 
航続距離3,500海里(6,500km)、交通量が多い路線を的にした296座席(2クラス制)の短距離型。発注していたのは日本の航空会社である全日本空輸と次いで発注した日本航空のみで、事実上日本専用モデルと化していたが、開発スケジュールの遅れのためにこれらの発注は787-8に振り替えられ、2014年7月現在での787-3の発注数は0機である。そのため、2014年時点では製造が中断されているが、発注する航空会社が現れれば製造を再開する見通しである。
787-8 
座席数223座席(3クラス制)であり航続距離8,500海里(15,700km)の787型機の基本型であり、最初に開発されたモデルでもある。2007年7月8日にロールアウト[36]し、同年9月末に初飛行する予定であったが、上述の通り初飛行は1年以上遅れ、結果として全日本空輸に初号機が引き渡されたのは3年以上遅れの2011年9月だった。
787-9 
胴体延長の座席数259座席(3クラス制)。2013年7月27日にロールアウト。2013年9月に初飛行[37]。ローンチカスタマーはニュージーランド航空で、初号機(ZK-NZE)は2014年7月9日に受領[38]。続いて全日本空輸の初号機(JA830A)が同年7月27日に受領された[39]。なお、世界初の787-9型定期便運航は全日本空輸となり、同社の東京 - 福岡線で2014年8月7日から運航を開始した[40][41]
787-10 
座席数290席のさらなる胴体延長型。エアバス社のA350-900に対抗するために計画されたモデル[42]。同社の777-200ER777-8Xと競合している。2013年6月のパリ航空ショーで正式ローンチが発表された[43]。製造はサウスカロライナ州ノースチャールストン工場のみで行う[44]

※なお、ボーイング787の貨物専用機の開発計画は具体化していないが、787-8旅客型による貨物専用便は東京国際空港 - 佐賀空港那覇空港間で全日本空輸が運航している[45]

仕様

出典:ボーイング社Webサイト[46].

787-10の仕様は一部推定値を含み、また787全体も開発が完了していないので、仕様は変更される可能性がある。

項目\機種 787-3
(開発中断)
787-8 787-9 787-10 767-300ER
(参考)
767-400ER
(参考)
777-200ER
(参考)
全長 56.7m 62.8m 68.3m 54.9m 61.4m 63.7m
全幅 52.0m 60.1m 47.6m 51.9m 60.9m
全高 16.9m 15.8m 16.8m 18.5m
胴体最大幅 5.74m 5.03m 5.03m 6.19m
客室最大幅 5.49m 4.70m 4.70m 5.86m
最大離陸重量 170,000 kg 219,540 kg 244,940 kg 不明 186,880 kg 204,120 kg 297,560 kg
座席数 290 - 330(2クラス) 210 - 250(3クラス) 250 - 290(3クラス) 約300(3クラス) 218(3クラス) 245(3クラス) 301(3クラス)
座席数
導入例
- ANA国内線335(12+323)
ANA国際線158(46+112)
169(46+21+102)
222(42+180)
240(42+198)
ANA国内線395(18+377) - - - -
貨物量 16トン 不明 10トン    
エンジン GE GEnx
RR Trent 1000
GE GEnx
RR Trent 1000
GE CF6-80C2
P&W PW4062
または
RR RB211-524H
GE CF6-80C2
P&W PW4062
GE GE90-94B
P&W PW4090
または
RR Trent 895
巡航マッハ数 マッハ0.85 マッハ0.85 マッハ0.80 マッハ0.80 マッハ0.84
航続距離*1 5,650km 14,200 - 15,200km 14,800 - 15,750km 不明 11,306km 10,454km 14,316km
最大巡航高度 13,000m 13,000m 13,000m 13,000m  
最大燃料容量 48,600 L 127,000 L 127,000 L 不明 90,770 L 90,770 L 171,160 L
離陸滑走距離 1,650m 1,650m 1.650m 1.650m 1.650m 1.650m 1.650m
着陸滑走距離 1,730m 1,730m 1,730m 1,730m 1,730m 1,730m 1,730m
初飛行 未定 2009年 2013年 未定 1986年 2000年 1997年
  • *1:最大積載(旅客および貨物)時

受注状況

最新の情報はテンプレート:Interlangやボーイング社のホームページにて閲覧可能[47]

  • 2014年7月時点
    • 787-3型機 : 0機
    • 787-8型機 : 483機
    • 787-9型機 : 435機
    • 787-10型機 : 139機
    • 787型機 全機種合計 1057機

事故・故障

試験飛行中の火災などのみならず、2011年11月の就航当日より機材トラブルによる遅延や運休が度々見られていた[48][49]。2013年に入り、ブレーキの不具合[50]、バッテリーからの出火[51]、燃料漏れ[52]、潤滑油漏れ[53]などのトラブルが相次いだ。バッテリーからの出火事故では、連邦航空局 (FAA) が耐空性改善命令を発行し、1979年マクドネル・ダグラスDC-10以来の[54]、運航中の同型機すべてが世界中で運航停止になるという事態となった。改修されたバッテリーシステムは、2013年4月25日にFAAと欧州航空安全局 (EASA) が、4月26日に国交省航空局が承認した。そして4月27日、エチオピア航空が運航停止後、世界で初めて商業運航をアディスアベバナイロビ行きで再開した。運航再開後は、2014年1月14日に日本航空の機体から白煙が発生し、機材を変更するトラブルが発生した[55]。 2014年3月8日 (UTC) には右エンジンの油圧の圧力と、油圧が低下し、ホノルル国際空港に左側のエンジンだけで緊急着陸した[56]テンプレート:See also

2013年7月12日、エチオピア航空の機体でロンドン・ヒースロー国際空港に到着し全電源を落とした数時間後に火災が発生。テンプレート:仮リンク (AAIB) は、先のバッテリー出火事故との関連性を否定[57]ハネウェル社製の航空機用救命無線機 (ELT) が出火原因となった可能性が高いとの報告書を公表し、FAAなど各国航空当局に対して耐空性が確認されるまでは問題のELTの電源を切る通達を出すよう勧告した[58]。これを受けFAA、JCAB、EASAそれぞれの当局は当該ELTについて、点検または取り下ろしのいずれかの措置を求める通告を発表している。

2013年11月23日、日本航空は国際線の一部路線において使用機材をボーイング787から別機種へ変更することを発表した。これは、GEnx-2Bエンジンを搭載している他社のボーイング747-8型機が積乱雲が発生している空域を飛行した際に、一時的にエンジン推力が減少する事案が発生したためである[59]

このように2014年の時点でなお、機体の信頼性が安定していないのも事実である。

運用状況

2014年6月現在 21社・147機  下記の羅列は保有機数の多い順に記載。

テンプレート:Flagicon 全日本空輸 : 28機 (2011年9月25日 受領)
テンプレート:Flagicon 日本航空 : 15機 (2012年3月25日 受領)
テンプレート:Flagicon エア・インディア : 15機 (2012年9月6日 受領)
テンプレート:Flagicon カタール航空 : 13機 (2012年11月12日 受領)
テンプレート:Flagicon ユナイテッド航空 : 10機 (2012年9月22日 受領)
テンプレート:Flagicon 中国南方航空 : 9機 (2013年5月31日 受領)
テンプレート:Flagicon エチオピア航空 : 7機 (2012年8月14日 受領)
テンプレート:Flagicon 海南航空 : 7機 (2013年7月4日 受領)
テンプレート:Flagicon ブリティッシュ・エアウェイズ : 6機 (2013年6月27日 受領)
テンプレート:Flagicon LOTポーランド航空 : 6機 (2012年11月11日 受領)
テンプレート:Flagicon ラン航空 : 5機 (2012年8月31日 受領)
テンプレート:Flagicon トムソン航空 : 4機 (2013年5月30日 受領)
テンプレート:Flagicon ロイヤルブルネイ航空 : 4機 (2013年10月3日 受領)
テンプレート:Flagicon ビジネスジェット : 2機 (2014年2月5日以降 順次受領)
テンプレート:Flagicon ノルウェー・エアシャトル : 2機 (2013年6月28日 受領)
テンプレート:Flagicon アエロメヒコ航空 : 1機 (2013年8月16日 受領)
テンプレート:Flagicon ジェットスター航空 : 1機 (2013年10月7日 受領)
テンプレート:Flagicon ジェットエアフライ : 1機 (2013年12月4日 受領)
テンプレート:Flagicon ケニア航空 : 1機 (2014年4月4日 受領[60]
テンプレート:Flagicon エア・カナダ : 1機 (2014年5月18日 受領[61]
テンプレート:Flagicon アークフライ : 1機 (2014年6月5日 受領[62]

787の展望

テンプレート:複数の問題 787の開発開始を受けて、2005年にライバルのエアバス社は787に対抗するための機材としてA330に大幅に手を加えたA350を発表した。発表当初の目標性能では「A350の方が航続距離、旅客数ともに増加している」とされているが、ボーイング社は「787は全く新しい旅客機のため、A330をリファインしても当機を超えることはできない」と主張した。

実際に、その後A350は受注数が伸び悩んだことから各航空会社にヒアリングを行った結果、2006年のファーンボロー航空ショーでエアバス社は、A330から大きく設計変更した新機種のA350XWB (eXtra Wide Body) を立ち上げ、787に迫る受注を獲得している。

両社ともに、将来的な航空旅客の増加を予想している点においては共通するが、その対処の手法についての考え方には違いがあり、それが新型機の開発コンセプトにも影響している。すなわち、エアバス社は「ハブ空港間で運用する新型大型機(A380)を開発し、ローカルへは持ち駒豊富な自社の単通路機での乗客の振り分け」(ハブ アンド スポーク)を想定しているが、これに対しボーイング社は「乗客は面倒な乗り換えを好まず、中型機による直近の空港への乗り入れを求めるようになる」(ポイント トゥ ポイント)とする予測を立てている。ちなみに787は2011年就航当初ETOPS-180を取得していたが2014年5月28日にFAAからETOPS-330を取得した。

なお、機材のラインナップとしては両社とも、大型機(ボーイング747-8エアバスA380)・中型機(ボーイング787とエアバスA330)および小型機(ボーイング737とエアバスA320等)をそれぞれ用意している。

競合機種

脚注

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出典

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関連項目

  • ボーイング747-400LCF型 - 各国で製造したボーイング787の部品輸送専用機。「ドリームリフター」の愛称がある。

外部リンク

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