ブリティッシュ・エアウェイズ

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ブリティッシュ・エアウェイズテンプレート:Lang-en)は、イギリス航空会社ヨーロッパでは3位、世界では9位の規模を誇る大手航空会社であり、イギリスのいわゆる「フラッグ・キャリア」である。なお、かつて日本では「英国航空(えいこくこうくう)」と呼ばれていた。

概要

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Waterside ブリティッシュ・エアウェイズの本部

航空連合の一つであるワンワールド創立メンバーの1社である。ロンドンヒースロー空港をメインハブとし、2004年11月現在、世界75ヵ国、159都市に就航している。

1952年には世界最初のジェット旅客機であるデ・ハビランド DH.106 コメットを就航させたり、1976年には世界最初の超音速旅客機であるコンコルドを就航させるなど、最新技術を果敢に取り入れることでも知られる。

前身

1924年5月、ハンドリー・ページ・トランスポート(世界初の機内食提供)やダイムラー・エアウェイズ(前身のAT&Tは世界初の国際定期便開設)など4社が合併してインペリアル航空となった。

1939年、インペリアル航空とブリティッシュエアウェイズ(1935年設立)が合併し、国営の英国海外航空 (BOAC、British Overseas Airways Corporation) が誕生。

1946年に国内線と欧州域内の国際線を担当する英国欧州航空 (BEA,British European Airways) を設立し、BOACは長距離国際線を運航する会社となったが、1974年にBOACとBAEが再合併し、現在の社名となった。

民営化

1979年、当時の首相マーガレット・サッチャーが民営化することを発表。しかし、組織改革、倒産したレイカー航空との訴訟、政府との対立により遅れ、1987年2月、ロンドンとニューヨーク証券取引場への上場により民営化された[1]

その翌年の4月にはイギリス第2位の規模を持つ航空会社であるブリティッシュ・カレドニアン航空を吸収合併した。それ以降急激に業績が回復し、世界最大の航空会社の一つとなる。

名称

日本国内では、2000年代初頭から「ブリティッシュ・エアウェイズ」の名称を使用して営業等を行っており、「英国航空」の名称は使用されていない。

イベリア航空との統合

2009年11月、かねてより交渉中であったイベリア航空との統合で基本合意。2010年末までにブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空の両者が共同で持株会社インターナショナル・エアラインズ・グループ」を設立し、経営統合した。

コードデーター

保有機材

現在

2014年7月現在

ブリティッシュ・エアウェイズは、ボーイング747-400型機の世界最大のオペレーターである。なお、当初導入について否定的だったエアバスA380型機12機を発注し、この機材はボーイング747の後継として機材更新中である。世界最大のボーイング747-400オペレーターにも関わらず態度が一転した理由として、ボーイング747-8型機は搭載するエンジンにイギリスのロールスロイス社製を選択できず、アメリカのGE社製のみに限られることが挙げられる。

同社は、イギリス企業のためロールス・ロイス plc社製のRB211シリーズトレントを採用歴が多く、エアバスA380型機はエンジンにトレントを採用することが可能であるからである。ただし近年はエンジンメーカーのこだわりも薄れ、B777-200ERの中にもGE90を搭載したものやB777-300ERなどといったエンジンがGE90に限られている機種も採用している。

同時期にボーイング787も24機(+オプション18機)と大量発注している(こちらもロールス・ロイス社製のトレントを選定、またある意味記念となる通算生産数「787」機目を受領する予定である)。

2008年8月にはボーイング777-300ERを2機発注し、2010年6月試験飛行の後、2011年3月より成田 - ロンドン線に投入され、12機まで増備される計画。

この他にワールドエアカーゴ(貨物部門)でボーイング747-8Fが3機運用に就いていたが、機材と運航はアトラス航空による運航。2014年4月中には同社での運航を終了し[2]、機材を返却した。

ブリティッシュ・エアウェイズが発注したボーイング社製航空機の顧客番号(カスタマーコード)は36で、航空機の形式名は747-436, 767-336ER, 777-236, 777-236ER などとなる。

過去

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ブリティッシュ・エアウェイズ コンコルド

フランチャイズ

なお、かつてフランチャイジーだったブリティッシュ・メディタレニアンエアウェイズ(BMED)は、2007年10月28日bmiに吸収合併された。[3][4]

子会社

過去に存在した子会社

なお、かつてあったBritish Asia Airways(英亜航空公司)は、中華民国線を運航するための名義のみで、日本アジア航空のような別会社ではなかった。

就航都市

日本への乗り入れ

乗り入れ開始

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DH.106 コメット Mk.4
ファイル:B747-436 G-CIVR.jpg
ボーイング747-436
ファイル:P8220017 british airways B777-300ER.JPG
ボーイング777-336ER 主に東京成田 - ロンドン・ヒースロー線を中心とした長距離国際線で運航されている。

日本には英国海外航空時代の1948年3月19日にイギリスの南海岸のプール - 香港線を延長し、当時連合国軍による占領下であった日本の占領にあたっていた駐日イギリス軍への物資補給を目的に、岩国基地ショート・サンドリンガム「プリマス型」飛行艇で乗り入れた。

コメット就航

同年11月には東京国際空港(羽田空港)への乗り入れも開始し、さらに1952年には世界初のジェット旅客機であるデハビランド・DH106 コメットIによる南回りヨーロッパ線での乗り入れを開始した。なお、日本へのジェット旅客機の乗り入れはこれが初めてであった。

その後、乗り入れ機材をブリストル・ブリタニアやDH.106 コメット Mk.、ヴィッカース・VC-10、ボーイング707などに変更した他、1960年代より北回りヨーロッパ線での乗り入れも開始した。その後大阪国際空港(伊丹空港)にも乗り入れを開始し、1971年からはボーイング747での乗り入れも開始した。

乗り入れ引き継ぎ

1974年に路線がブリティッシュ・エアウェイズに引き継がれたものの、しばらくの間は英国海外航空の塗装に、ブリティッシュ・エアウェイズのロゴを入れただけの機体で運航されていた。

その後使用機材をボーイング747に統一し、1980年代以降は伊丹空港1994年9月4日より関西空港)や名古屋空港福岡空港(伊丹経由)にも乗り入れたが、採算性の悪化などを理由にその後廃止となる。

現在

現在は長年親しまれたボーイング747-400からボーイング777-300ERへと変わり、ロンドン・ヒースロー空港から成田国際空港へ1日1便、東京国際空港(羽田)へ毎日1便がボーイング777-200ERで運航している。

2008年12月までは成田まで1日2便運航だったが、世界同時不況の影響を受けた需要減を受けて減便されたものの、羽田空港国際化で日系航空会社に遅れること2011年2月20日から週5便で就航し、2014年3月31日に同じ欧州のエールフランスルフトハンザドイツ航空が就航するまで、羽田就航の欧州系航空会社では唯一の存在であった。一方、成田空港ではこれまでは第1ターミナルを使用していたが、2010年11月に他のワンワールド各社と同じ第2ターミナルに移転している。

2012年10月1日からは日本航空との共同事業開始に伴い、両社の東京 - ロンドン線の全てと日本航空が運航するフランクフルト、パリ線もコードシェア便として運航される[6]

  • 東京/成田 - ロンドン/ヒースロー : 1日1便
  • 東京/羽田 - ロンドン/ヒースロー : 1日1便 (2011年2月20日から2014年3月30日まで週5便、2014年3月31日から4月9日まで週6便に順次増便された[7]

荷物の紛失率がトップに

欧州民間航空会社の業界組織AEAや英国の航空運送利用者協議会(AUC)の調査によると、2006年の預託荷物の紛失に関する統計では、ブリティッシュ・エアウェイズが乗客1000人当たり23個の荷物を失い、協会加盟24航空会社中、最悪の記録だったと発表されている。

エピソード

  • 1990年8月2日に行われたイラクによるクウェート侵攻の際に、既にイラクによるクウェート市内への侵攻が始まっていたにも拘らず、イギリス特殊部隊の隊員を降ろすためにBA149便をクウェート国際空港に寄港させた。その結果、特殊部隊の隊員を除く乗客乗員は全員イラク軍に捕らわれイラクへ連行された。当初ブリティッシュ・エアウェイズは故意に戦地へ着陸させたことを否定したものの、その後真実が明らかになり外国人被害者への補償を行うことを余儀なくされた(詳細は「ブリティッシュエアウェイズ149便乗員拉致事件」を参照)。
  • ブリティッシュ・エアウェイズの客室乗務員が、香港などで購入した偽物の時計や香水を、本物とすり替えてロンドン東京便や香港便などの機内で免税品として販売し、差額を着服していた事件が1999年9月に明らかになった。なお、乗客からの苦情に対してブリティッシュ・エアウェイズは、代金を弁償すると同時に「事件を公表しない」との同意書にサインを求めたが拒否された[8]
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「ワールドイメージ」キャンペーン実施時のボーイング767
  • 1997年、世界各国のアーティストが制作した一機ごとに異なるデザインを垂直尾翼に施す、「ワールドイメージ」キャンペーンを行った。これは、ブリティッシュ・エアウェイズが世界的な航空会社であることを表現する目的で導入され、航空ファンの注目を集めたが、社内や地元イギリスの利用客から「イギリスの航空会社らしくない」「どこの国の航空会社か分からない」と評判が悪く、2001年から全てをユニオン・ジャックをモチーフにした「チャタム・ドックヤード・ユニオン・フラッグ」に塗り替えた[9]
  • ライバルのヴァージン・アトランティック航空が製作協力を行った映画007 カジノ・ロワイヤル」のマイアミ国際空港のシーンに、同社の航空機とともに同社会長のリチャード・ブランソンカメオ出演しているが、ブリティッシュ・エアウェイズの機内でこの作品が放映された際には、一瞬しか映っていないにもかかわらず、このシーンがカットされている。
  • いすみ鉄道社長・鳥塚亮は元社員(旅客運航部長を務めた)。
  • ロンドン五輪の聖火専用輸送機として、機体の塗色を黄色の専用機を用意している。愛称は公募により「the firefly」に決定した[10]

サービス

長距離路線で使用している一部の機材については、ファーストクラスビジネスクラス「クラブ・ワールド」、プレミアムエコノミー「ワールド・トラベラー・プラス」、エコノミークラス「ワールド・トラベラー」の4クラスないしファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスの3クラスかビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスの実質3クラスにより運航されている。ファーストクラスの座席は180度フルフラットベットになるヘリンボーン式、ビジネスクラスは180度フルフラットになるスタッガード式座席で構成されている。また全席に個人用モニターを装備し、最新のエンターテイメントシステムを提供している。

なお、ヨーロッパ圏内路線ではビジネスクラス「クラブ・ヨーロッパ」、エコノミークラス「ユーロ・トラベラー」の2クラスで、一部のイギリス国内線ではエコノミークラスのみで運航されている。

機内食

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ブリティッシュ・エアウェイズの機内食

長距離路線は、英国式の食事を中心に一部クラスでフランス料理が提供される。午前中にイギリスから出発する便では、英国の伝統的な朝食かコンチネンタル・ブレックファストを、午後以降の出発便ではケーキやアフタヌーンティーが提供される。イギリス国内線ではスナックと飲み物、ヨーロッパ圏内路線ではスナックやバーサービスが用意されている。

この他、特別機内食も用意されているが、その殆どはヨーロッパ圏内の路線に限定される[11]

マイレージサービス

マイレージサービスの「Executive Club」は、ワンワールドに加盟している航空会社の他に以下の航空会社と提携している。

関連項目

脚注

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外部リンク

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  1. 柴田匡平『ブリティッシュ・エアウェイズの経営 民営化・国際展開とアエロポリティクス1981-2000』中央書院
  2. Atlas Air Worldwide, British Airways to Pursue New Opportunities
  3. largest-ever expansion of bmi route network as 17 new routes go on sale - bmi公式サイトより。
  4. 旧ブリティッシュ・メディタレニアンエアウェイズの運航路線は合併後にbmiが継承し、ブリティッシュ・エアウェイズはコードシェアで路線を維持している。
  5. ブリティッシュ・エアウェイズ、成都線に就航 2014年に787を投入へ FlyTeam 2013年9月24日付
  6. JAL、ブリティッシュ・エアウェイズ 2012年10月1日より共同事業の開始を決定 ‐ 日本航空プレスリリース
  7. ブリティッシュ・エアウェイズ、5月から羽田/ロンドン線をデイリー運航 FlyTeam 2013年12月11日付
  8. 共同通信ニュース速報」 1999年9月12日 http://www.azaban.com/news/old/74.txt
  9. チャーリー古庄著『デザインで選んだ世界のエアライン100』2007年 枻出版社 142頁および月刊エアライン』2009年6月号「エアライナー カラーリング大全」、イカロス出版 2008年6月1日発行 52頁
  10. テンプレート:Cite news
  11. インフォメーション お食事とお飲み物 特別機内食 ブリティッシュ・エアウェイズ日本語ホームページ