ブギーポップシリーズの登場人物

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ブギーポップシリーズの登場人物では、上遠野浩平の小説『ブギーポップは笑わない』をはじめとするブギーポップシリーズおよびその関連作品に登場する架空の人物を列挙する。

なお、各キャラクターが登場している作品名を、上遠野が執筆する他シリーズ、短編も合わせて併記する。


主人公

ブギーポップ
世界の危機に関わる異変を察知した時に、自動的に現れる宮下藤花の別人格。一人称は「僕」。竹田啓司は「彼」を最初「変身ヒーロー」と連想していた。「ブギーポップ(不気味な泡)」という名前は、世界の危機をきっかけにして無意識下から自動的に現れるその性質を、水底から水面へ浮かび上がる泡に喩えた自称。また「死神」や「世界の敵の敵」などとも呼ばれる。
ワーグナーの『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を口笛で吹きながら現れる。他にはピンク・フロイドの『原子心母』なども吹けるらしい。特殊な鋼鉄製のワイヤーを武器として戦い、対峙した敵の多くはそれによってバラバラに切断される。人間の身体能力の限界を引き出している相手や、強力な戦闘用合成人間相手であっても圧倒する程の戦闘能力を示す。更にMPLSが持つ能力の効果外の存在である事が多く、特に心理攻撃に関してはほとんど影響を受けた事がない(影響を受けたのは同種の存在であるイマジネーターと歪曲王のみ)。また音速で移動する敵を速さで上回ったり、最強と呼ばれるMPLSですら苦戦した洗脳能力の解除を洗脳者を一瞬だけ殺すことで解除したり、「無機物に宿った意思を、別の無機物に移す」といった、統和機構すら労力を要する、或いは不可能とされる特殊作業を事も無げに行った事もある。他人の夢の中に侵入するといった芸当も可能。
戦闘においては、あまり武力行使をせずに相手の心理の弱点を的確に把握してそこを追撃するという戦法を行う(能力よりも心理的要因の方が世界の敵としての起因として大きいため)。場合によってそのまま相手を改心させることもある。
シリーズ一作目のタイトル『ブギーポップは笑わない』が示すように、感情を表す(と思われる)時は左右非対称の奇妙な表情(笑顔+その他の感情である事が多い)を浮かべるが、一度だけ「歪曲王」にて笑顔を見せている。これは当初「歪曲王」がシリーズ最終作になるはずだったための演出であった。
本人は「嘘を吐いた事がない」と言っているが、フォルテッシモとの約束を破り「大嘘吐き」と呼ばれた。女子高生の間では都市伝説的な存在として知られている。「その人が一番美しい時に、それ以上醜くなる前に殺す」存在と噂されており[1]、前述した"死神"の他に時折「そういう」"殺し屋"なのではと噂されている事が多い。何の悩みにも縛られず、ただ殺すための存在だが、天色優に辻希美のスケッチブックを渡すなど粋な行動を見せた事もある。またアニメ版スタッフはシナリオ集において、ブギーポップが殿村望都に「早乙女正美を殺した」という事実と異なる発言をしたのは、「彼は優しい人であるため」とコメントしている。
誕生した時期は藤花が瀕死の合成人間スケアクロウに遭遇した頃(宮下藤花が中学生時)であり、その際に出会ったスケアクロウが身に着けていた筒の様な帽子とマントを愛用している。程無くしてフィア・グールと対面した時に、「世界の敵として死ぬときはこんな曲に送られたい」と言われたその曲こそが、いつも口笛で吹いている『ニュルンベルクのマイスタージンガー』である。
霧間凪は彼も「何らかの可能性」の体現であり、彼自身が世界を終わらせる対象とした"世界の敵"と同種の存在である事を示唆した。
世界の敵イマジネーターに相対するため世界が生み出した反発存在とプームプームは見ているが、その反発存在であるイマジネーターが消えた後も彼が残っている理由についてはプームプームにしてみても判らないらしい。
本シリーズと関係の深い『ビートのディシプリン』『ヴァルプルギスの後悔』にも登場し、それぞれの作品の主人公と一時的な対面を行っている。
宮下藤花(みやした とうか)
県立深陽学園に通う女子高校生。初登場時高校二年生。
素直で明るい性格の少女で、時には元気のない友人を多少手荒ではあるが叱咤激励したりする。上級生の竹田啓司に告白し恋人関係にある。同級生の末真和子とは親しい友人で、良く行動を共にしている。口笛は吹けない。
常にブギーポップの衣裳を入れた大型のスポルディング製の鞄を持ち歩いているが、そのことやブギーポップの人格が現れていた間の欠落した記憶は、彼女の無意識下で整合性のある記憶に刷り返られている為、本人は自分がブギーポップだということを自覚していない。『ブギーポップは笑わない』のエピソードの中で後に大学受験に失敗した事が判明しており、アニメ版ではそれは入試中にブギーポップになったせいだという事になっている(ブギーポップもこの事に関しては「悪い事をした」と発言している)。
なお、ブギーポップが都市伝説となっているのは、彼女が無意識の内に吹聴したものが拡散したためと霧間凪は推測していたが、近作では水乃星がブギーポップに対して講じた何らかの"手段"であったと語られた。

レギュラーキャラクター

以下に挙げる2人は多くの作品に登場する、準レギュラー的人物。

霧間凪(きりま なぎ)
炎の魔女」と呼ばれる女子高校生。いわゆる“正義の味方”を目指し、それに伴った活動をしている。
非常に頭の回転が速い事に加え、知識と道具、戦況を駆使する事で恐ろしく高い戦闘能力を有し[2]、加えて瞬間的に対応できる戦術力も兼ね備える。その他に指揮、ハッキング、薬品調合、武器解体などなど様々なスキルを独学で体得していた。容姿も、芸能界からスカウトを受ける程の大変な美少女である。学校側からは不良としての扱いを受ける程生活態度は悪いが、成績は極めて優秀だった様子。
様々な事柄を経たことで「炎の魔女」の呼び名は有名となり(自称した事もある)、他者もその名前を知らずともそれを直感で意識させる風格を携えた人物で、救出対象を「助けるために」多少手荒に扱うなどの描写も見られた。しかし気の置けない弟である正樹には姉弟らしいイジワルをしたりもしており、弟の彼女である綺の事は本当の妹のように可愛がっている。また、料理はかなり上手いらしい事が、調理師学校に通う綺の視点で判明している。テレビ番組や流行りの歌にもそれなりに詳しい描写はあるが、実際に好んでいるのか一般教養としてネットなどで調べているのかは不明。ファッションや絵画、神話の知識に疎く、美術品や絶景などを見ての感動は人より極端に少ない。
正義の味方として自らが信じた戦いを何年も続けており、「世界」の背景に潜む存在に気付き、戦っていた。なお、親友である紙木城直子を失ってしまった一件から、パートナーである羽原健太郎をあくまでサポート役に徹しさせていたが、ある一件で凪の心が折れてしまいそうな事態に、彼の存在によって凪は自らを保ち続けた。
初登場時は高校二年生だが、過去に一年間休学しているので実際には藤花たちより一歳年上である。一人称は「オレ」だが、アニメ版では諸事情により「あたし」となっていた。
中学生の時に急激な“進化”が起こり、これに身体が耐えられず死にかけるが、スケアクロウが持ってきた進化薬によって成長が押さえられ一命を取り留めた。凪が“正義の味方”になろうと考えたのはそのスケアクロウとの会話に始まっている。
精神的・肉体的に圧倒的な強さ誇る彼女の唯一の弱点は「大切な人に先に死なれること」であり、親友であった紙木城直子の死や、義弟である谷口正樹が瀕死の重症になった際は動揺を強く滲ませていた。結果、この弱点が彼女の中に眠る"魔女"を目覚めさせる事となる。
父親は作家の霧間誠一。犯罪心理を扱った書籍の著者として名が知られているらしい。凪は彼の遺産で生活を送っている。
彼女にまつわる物語と運命が描かれた『ヴァルプルギスの後悔』の主人公で、そこでは母・鏡子との関係や、彼女が持つ「運命」そのものが描かれている。
末真和子(すえま かずこ)
県立深陽学園に通う女子高校生で凪のクラスメイト。初登場時高校二年生。また、宮下藤花の親しい友人で、この両方の重要人物と親しい友人関係を築いているのは本作中で彼女だけである(藤花の別人格であるブギーポップとは姿を見せずに一方的語りかけられる形で)。ブギーポップ、霧間凪、オキシジェンなどの主要人物全てから近くて遠い位置に存在している重要人物。
中学一年生の時に自分が連続殺人犯の標的になっていた事を知り、犯罪心理学などに興味を持つようになる(霧間誠一の著書から犯罪心理学を学んだ)。友人からのあだ名は「博士」。友人や後輩からは相談相手として広く慕われていて強い信頼や憧れを抱かれてる。不安を抱えた状態の凪も彼女と会うと安心すると感じている。しかし一方では同級生相手に殺人方法についての詳しい解説を披露して引かれたりもしており、その際は軽く自己嫌悪していた。
何か事件が起こるとそれにすぐさま首を突っ込もうとするが、多くの場合、彼女が実際に事件に関わる際には既に事件が収束している。しかし『ヴァルプルギスの後悔』において彼女も魔女戦争の戦火の渦中に巻き込まれ、常識を逸脱した超常的な現象と対峙することとなる。その際、驚異的な判断力を見せものの数秒で自分の置かれている状況を理解し、助けに駆け付けたカレイドスコープを“優しさ”によって服従させた。
非常に優れた洞察力と推察力、加えて膨大な知識を兼ね備えている。凪をして「自分の知る限り最も頭の良い人物」とされ、飛鳥井仁を相手に心理戦で完勝するという一面も見せた。外伝の『ロンドン・コーリング』では、超然とした存在である事が多い「自動的」な存在の残滓相手に、満足のいく解答を示すなどの活躍を見せている。
『酸素は鏡に映らない』にも大学生となった彼女が登場している。オキシジェンは彼女の特有の"強さ"に感銘すら受け、新たな統和機構の中枢にと考えていた。そして『ヴァルプルギスの後悔』においてそれは果たされつつある。
目覚めた能力は<ムーン・リヴァー>。カレイドスコープのような科学的技法、軌川十助のMPLS能力による心理的死角、イディオティックのMPLS能力による次元間移動とも異なる法則によって姿を隠す事が可能(傍にいる他人も隠せる)で、今挙げた手段ならば一目で看過するヴァルプルギスを以てしてもその正体は不明。ただし、衛星などからのカメラ撮影などでは一切変化は起こらず映像に映る。

『ブギーポップは笑わない』の登場人物

竹田啓司(たけだ けいじ)
宮下藤花とつきあっている県立深陽学園の生徒。初登場時三年生。ブギーポップの唯一の友人でもあり、シリーズ最初の語り部。
進学校である深陽学園では珍しい就職組で、クラスでは若干浮いた存在となっていた。卒業後はデザイナーの道を目指してデザイン事務所に入ったらしい。なお、自分の事を「友達」と呼んでくれた彼に対してブギーポップがどう思っているのかは、『歪曲王』で少し知る事が出来る。
1作目でブギーポップと対峙して以降、大まかな悩みというものが解決されており、デザインの仕事に精を出しているため他の登場人物と比べ生き方において迷いが無い。しかし、ブギーポップとして活動する藤花については心配している。
不定期に発表されている『竹泡対談』では、学校の屋上でブギーポップと二人で毎回様々テーマについて会話を交わす様子が見られる(ブギーポップが切り込み役、竹田がフォロー役という立ち回り)。作者自身の作品についても議論する場面もある。アニメ版では藤花の写真の中のみで登場。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『パンドラ』『歪曲王』『ペパーミントの魔術師』『ジンクスショップへようこそ』『Boogiepop Phantom』『天使篇 真贋について』『沈黙ピラミッド』『竹泡対談』
エコーズ
地球を調査するためにやってきた地球外生命体。地球人に変身して調査をするはずだったが、誤って未来の人類の姿になってしまい、統和機構に捕獲された。結果、彼のデータを元に合成人間がつくられる事となる。名前の由来は「反響する者」の意で、統和機構で便宜上の呼称として付けられた。
その正体は上遠野の作品である『ナイトウォッチシリーズ』等に登場する地球外存在・「虚空牙」によって送り込まれた存在の一つ。彼を含む「天から降りてきた者たち」がもたらした情報によって、遥かな未来に地球には虚空牙が襲来する事となる。統和機構の施設を脱出した後に、ボロボロになって町を彷徨っていた所を紙木城直子に保護される。
またアニメ版では彼が情報を送った際の光の影響によって数々の事件が引き起こされる。その起こした影響については、上遠野の他の作品でも多数発生や影響が見受けられる。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『夜明けのブギーポップ』『Boogiepop Phantom』
百合原美奈子(ゆりはら みなこ) / マンティコア
エコーズを元に統和機構に造られた合成人間。エコーズと同じく変身能力を持ち、また体内で薬物を生成する事ができる。深陽学園の優等生・百合原美奈子を殺害し、その姿を借りている。
人を殺し、捕食する事からブギーポップは彼女を「人喰い(「マンティコア」の語源でもある)」と呼んでいた。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『Boogiepop Phantom』
早乙女正美(さおとめ まさみ)
深陽学園の1年生。自身を含む、あらゆる「生」への根深い憎悪を内包し続けた存在。それのみであれば彼は普通の人間として生きていく事なっていたが、マンティコアに出会う事でその道は大きく歪む。
マンティコアの“簡単に人を殺せる”という性質に魅了され、普通の人間でありながらマンティコアに協力を申し出る。ともに行動し続ける事で、最終的にはマンティコアの方が彼なしでは生きてはいけないという状態となっていた。
学園内部に根付きながら、ブギーポップや凪の捜査力を持ってしても正体を隠し続けており、正体を自ら明かす際にも、凪のほんの僅かな隙を看破し戦闘不能にしている。
彼にとってマンティコアは愛着も何もない道具のような存在であったが、最後はマンティコアを守る意思を見せ、エコーズの攻撃からかばって死亡する。なお、ブギーポップが探していた世界の敵「人を喰うもの」はマンティコアではなく彼の事を指す。これはマンティコアの捕食が自身の生存条件と結びついていたのと異なり、"終点"という発想のないまま、ただただ人を殺し続ける彼の性質に基づいて付けられた呼び名である。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『パンドラ』『歪曲王』『Boogiepop Phantom』
谷口正樹(たにぐち まさき)
凪の義理の弟(凪の実母の再婚相手の連れ子)。帰国子女。『笑わない』では顔見せ程度の登場だが『VSイマジネーター』では主人公を務め、その後の作品でも度々登場する。
性格は温和で人懐っこく、相手への分け隔てなく親切に接するが、その容姿が良い事も合わせて凪には「将来女ったらしになりそうな気がする」と心配されていた。また、命の危険が訪れるような事態には、自分よりも他者の安否を気遣う「考えるより先に体が動く」性質で、その事が彼に危険をもたらす事態もあった。
織機綺とは毎日電話でやり取りするほど相思相愛の仲だが、正樹は寮に入れられているため中々会えない。凪と同様に榊原弦に師事しており格闘技に精通している。同様に榊原を尊敬している高代亨とは兄弟のような関係を築いており、彼に慕われている。姉の親友である末真和子とも親しいらしく、外伝作品ではとある人物を彼女に引き合わせる役目を果たした。水乃星透子と出会い認められた最後の人間でもある。
『エンブリオ浸食/炎上』のラストにおいて高代亨の行った処置により、生命力の回復と同時にエンブリオがもたらすものと同義の「突破」を果たした描写がされている。その際に発揮したのは「死」の概念がイメージとして認識可能(「死」が視える)というもの。その詳細は現在不明である。
『ヴァルプルギスの後悔』において「魔女戦争」に巻き込まれるが、事態に流されるままの立場となる。しかしその結果、凪に近しい全ての人が魔女の運命が弾かれた後も、事態の中心に限りなく近い場所に位置していた。最終的にその"近さ"故に、魔女戦争の終焉において起きた波動の発生時、虚空の中で凪の魂が帰還する為に心の中で探しだしたのは、「家族」である彼の心であった。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『VSイマジネーターpart1/part2』『ロンドン・コーリング』『エンブリオ浸食/炎生』『ロスト・メビウス』『ヴァルプルギスの後悔』
紙木城直子(かみきしろ なおこ)
県立深陽学園の3年生。竹田啓司のクラスメイトであり、凪の親友でもある。
親切で人の気持ちを理解しようとする明るい性格だが、惚れっぽい恋多き一面を見せたりもする。本人に自覚はないが、相手の考えを読み取る能力を持っており、言語を持たないエコーズとも意思の疎通を自然に行っていた。
マンティコアを探し求めていたエコーズを学校内に匿っていたが、同じく学校に潜んでいたマンティコアに殺害される。田中志郎に好意を寄せていた。
アニメ版では凪の回想の中で登場。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『夜明けのブギーポップ』『Boogiepop Phantom』『ヴァルプルギスの後悔』
新刻敬(にいとき けい)
県立深陽学園の生徒。初登場時二年生。風紀委員長をしているが、見た目が幼いため小中学生によく間違えられる。とても真っ直ぐな性格で機転も効く。また洞察力も優れており、歪曲王の持つ矛盾を見抜いたりもした。竹田に恋愛感情を抱いていたが、歪曲王の一件の後、思いを断ち切った。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『歪曲王』『沈黙ピラミッド』
田中志郎 (たなか しろう)
真面目な性格の少年で弓道部のエース。二年生。紙木城直子に告白されるも、その好意を受け止めるべきかどうか悩んでいた。直子の死亡後も自らの中の歪みを抱え込んでいた。最初、直子からの告白呼び出しを上級生からのシメ上げだと勘違いするなど、少々天然と思える性格を見せた。
歪曲王の本体であり、外伝作品『メタル・グゥルー』にも登場している。歪曲王はその行動原理から「世界の敵」とはならず、また本編中では数少ない「自動的」な存在の一人である。
人の精神を"指さす"事で隠された「歪み」を引き出し、別世界に吹き飛ばす事も可能とする能力を持ち、効果範囲は一度に数百人にも及ぶ。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『歪曲王』『メタル・グゥルー』
木村明雄(きむら あきお)
初登場時二年生。素行もあまりよくなく、周りから浮いていた生徒であったが、似た存在であった直子とよく一緒につるんでいた。直子に対して自覚すらしていない特別な感情があったようである。数年後、懐かしくなって学校を訪れた時に、エコーズやマンティコアの戦闘の爪あとを目撃する。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』
木下京子(きのした きょうこ)
県立深陽学園の生徒。初登場時二年生。末真和子の友人で、『笑わない』ではマンティコアが作った薬物を摂取していたが、霧間凪によって止められた。『VSイマジネーターpart1』では衣川琴絵に末真和子を紹介するが、本人は出てこない(『part2』で彼女と思しき人物が衣川琴絵の事で和子に謝る場面がある)。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』『VSイマジネーターpart2』『Boogiepop Phantom』
草津秋子(くさつ あきこ)
早乙女正美に好意を寄せていたが、正美とマンティコアに利用され、薬物によりスレイヴ化してしまう。
登場作品:『ブギーポップは笑わない』
霧間誠一(きりま せいいち)
作家。霧間凪の父親。
彼の著書を読んだ人間がMPLSとして覚醒する危険性があるとして、モ・マーダーによって殺害される。「社会の敵第一人者」を自称しており、生前にまだ子供だった水乃星透子との対話をしていて、彼女に大きな影響を与えた。
本人は小説家として作品を読んで貰う事を望んでいたが、彼の作品で読者に大きな影響を与えたのは全てそれとは異なるジャンルであった。
登場作品:ほぼ全て。著書の名前だけが登場するだけではなく、姉妹作の『事件シリーズ』にも異世界からの漂流物として著書が登場する。

『VSイマジネーターPart1・Part2』の登場人物

飛鳥井仁(あすかい じん)
予備校で講師のアルバイトをしている国立大学の美大生。非常に優秀な頭脳の持ち主で、冷静且つ慎重に行動する。
人の心の形をバラの姿で見ることができ、そのバラの欠落している部分によってその人の心に何が欠けているかが分かる。花びらは”華やかさ”、葉なら”優しさ”や”潤い”、根は”自信”など指す。またそれを直接いじる事で、他者の心理を操作する事もできる(ただし、効果は一時的なもので完全に心を作り変えるわけではない)。なお、本作開始以前までに飛鳥井が見てきた中では、全ての要素を兼ね備えた花を持つ人間は一人もいなかった事が語られている。
水乃星透子と出会い、彼女の意志を継ぐべくイマジネーターとして行動しブギーポップと対峙した。後の物語では軌川十助と出会い友人となったり、亨や凪らと協力して活動しており「提案者」と名乗ってブレイン的な役回りをする姿を見せた。現在は統和機構の中枢と成り代われる可能性が示唆されている。
登場作品:『VSイマジネーター』『ペパーミントの魔術師』『ビートのディシプリン』『オルガンのバランス』『ヴァルプルギスの後悔』
織機綺(おりはた あや) / カミール
統和機構の合成人間。初登場時は中学三年生。
特殊能力を持たない「失敗作」と呼ばれ、合成人間と普通人の交配実験に使われていた。
当初は無口・無表情と感情の起伏が少なかったが、谷口正樹との出会いを通じて、次第に普通の少女らしくなっていく。彼女自身は「決して他人から嫌われてはならない」という意思の元に行動していたが、結果的に末真和子によってその考えは看破される。現在は谷口家に同居して、料理学校に通っている。正樹が瀕死の重傷を負った際は1人で看病するなど献身的な姿を見せた。また凪に対して強い憧れを抱いている。なお彼女は、飛鳥井仁にとって「小さいけれど完全な花」の形として見えていた唯一の人物である。
『ロスト・メビウス』では主人公を務める。『ヴァルプルギスの後悔』では二人の魔女の避けられない対決の運命の間に立つ者として、<リキ・ティキ・タビ>の力を受け継ぐことになる。カレイドスコープによれば、彼女の心は炎でも氷でもない「矛盾」を体現したものであり、<リキ・ティキ・タビ>の完成形としての覚醒の予兆を見せる。力を受け付いて以降は守られる側から守る側に立場が変わったことで多少傲慢な態度を見せるようになる。
アニメ版では一瞬だけ登場。
登場作品:『VSイマジネーター』『夜明けのブギーポップ』『エンブリオ浸食/炎生』『ロスト・メビウス』『Boogiepop Phantom』『沈黙ピラミッド』『ヴァルプルギスの後悔』
スプーキーE(スプーキーエレクトリック)
統和機構の合成人間。人間離れした巨漢の体躯を持つ。
手から電磁波を発生させる事が出来、これを応用して他人の脳に電磁波を流し洗脳や記憶の操作を行う事ができる。飛鳥井仁と対決し、仁の能力で心のバラの刺=攻撃性を奪われ敗北、その後自殺した。スプーキーE自身は『VSイマジネーターPart2』で死亡しているが、後の作品でも回想編などで度々登場し、様々な事件に関わっていた事が明らかになっている。『ペパーミントの魔術師』ではマルコ・ダンブロッシォと名乗っていた。
登場作品:『VSイマジネーター』『パンドラ』『ペパーミントの魔術師』『エンブリオ浸食』『Boogiepop Phantom』『ビートのディシプリン』『沈黙ピラミッド』『オルガンのバランス』
衣川琴絵(きぬがわ ことえ)
飛鳥井仁の親戚で実家が不動産業を営んでいる、裕福な家柄の少女。飛鳥井仁のことを”仁兄さん”と呼び慕っている。ペイズリーパークで遭遇したスプーキーEに洗脳され、手駒として使われてしまう。
登場作品:『VSイマジネーター』
安能慎二郎(あのう しんじろう)
谷口正樹・織機綺と同級生の少年。正樹に対して恋愛感情を抱いているが、自覚していない。正樹と綺の関係が気になり、周辺を探るうちに彼もまたスプーキーEの手駒として使われてしまった。
アニメでは及川小夜子の同級生として登場。
登場作品:『VSイマジネーター』『Boogiepop Phantom』
榊原弦(さかきばら げん)
霧間誠一の友人で格闘家。霧間凪と谷口正樹の格闘技の師匠である一方、誠一との共著で文才も示す。
現在は何らかの問題により国内にいられなくなったらしく、海外を放浪しているらしい。様々な武道に通じている大変な実力を持つ天才であるらしく、上遠野の他作品でも名前が登場した際に、その道では有名な天才武術家である事が判明している。
登場作品:『VSイマジネーター』『パンドラ』『夜明けのブギーポップ』『エンブリオ浸食』『ソウルドロップの幽体研究』『ヴァルプルギスの後悔』
水乃星透子(みなほし すいこ) / イマジネーター
県立深陽学園の生徒。人の死が視え、それを操る能力<ストレンジ・デイズ>を持つ。
ここでいう「死」の概念は、「生とは死の途中でしかなく、死という絶対条件の前提、影響でしかない」というもの(本項では以下「死のエネルギー」として表記する)。転じて「死が存在しなければ生命も意味を成さない」為、人から「死」を抜き出すとその対象は「死んでゆく途中ではない状態」に陥り、時が止まったような状態となる。また、抜き出した命を自らに継ぎ足せば、死のストックが無くならない限り能力者本人は決して死に至る事はないが、その行為で自らの保身に走った場合の可能性も彼女は実験によって知り得ており、自らそれを行う事はなかった(内村杜斗の項参照)。彼女の力は「天から降りてきた者たち」にすら通じるもので、"彼ら"の内の一人の「時」を前述の方法で停止させてしまっていた。
彼女なりの死生観や人生観などの様々な観念は、幼少期からの自己の能力との付き合いで形成されていた。一方で、同級生からは慕われ、とても美しい笑顔を見せていた大変な美少女であったが、普段の生活では伊福部昭の舞踊曲「サロメ」等を聞いていたりと、女子高生としては多少変わった趣味だったらしい。その笑顔は限りなく純粋に「笑う」事を映し出した、この世に二つとないと他者に思わせる美しさであったらしく、作中ではブギーポップとは正反対と表現された。また、既存曲の鼻歌を口ずさむだけでも心からの感動を与えるなど、彼女自身は紡ぎ出す多くの事柄や現象は他者に絶大な影響を与える。故に多くの人間に心からの崇拝と尊敬の念を向けられており、彼等にとっては最早「人以上」(また、彼女を知らない人間が目撃した場合も理解を超えた存在である為、はっきりと知覚できていなかった)の存在であったらしく、上遠野作品の多くで彼女が起こした事の影響が残っている様子が伺える。一方で彼女自身は、この世にある何も信じていない事を自覚していた。また、興味のない存在には非常に辛辣な言葉を吐く。
かつて、穂波顕子などの多くの人間を操り、人を夢の中に閉じ込める実験を行うが、その数年後にブギーポップと対峙した際に自殺。しかしその後は記憶の残滓が実験の仕上げを行い、飛鳥井仁を選出してイマジネーターとしての計画を続行しようとした。彼女は「死」を集める事によって人が"突破"が出来るかも知れない可能性に取り憑かれ、それを探っていたが、飛鳥井の力ではそれには足りないと気付いていた様子で、最終的には敵対する立場にあった谷口正樹にその可能性を見出して姿を消した。なお、上遠野の他作品の主人公も、世界の全てを敵に回しても"突破"しようとする者に対しては、"死神"が現れる以外の対抗手段が存在しない事を示唆していた。
死後消滅した後も、残した影響の大きさが本編、または上遠野の他作品においては度々明かされている。本シリーズにおいて大きなウェイトを占める統和機構や、それに対する者達とは更に立つ位置が異なっており、事実上ブギーポップと二者で全く異なる次元の戦いを行っていた様子。ブギーポップや歪曲王と異なり「半自動的」な存在であり、ブギーポップに対する程の「巨大な世界の敵」と述べられていた。『ロスト・メビウス』では意識だけ登場。ブギーポップに「自分を殺したことで起こり得る反動」を警告した。
上遠野の他作品で、遠い未来における本人の意図とは無関係な再現データとして、更に超越した存在として目覚める。
登場作品:『VSイマジネーター』『夜明けのブギーポップ』『ハートレス・レッド』『ロスト・メビウス』『沈黙ピラミッド』『わたしは虚無を月に聴く』『機械仕掛けの蛇奇使い』

『イン・ザ・ミラー パンドラ』の登場人物

海影香純(みかげ かすみ)
鏡や瞳など、景色を映す物の中に未来の景色を見る事が出来る<イントゥアイズ>の能力を持つ。
麻薬が原因で友人を亡くしており、それ以来麻薬やそれを扱う者を激しく憎んでいる。辻の能力がでっち上げである事には気づいていたがあえて深く気にせず、それは彼なりに6人でいる事がとても好きであるという心の現れでもあった。竹田啓司とは中学校時代の、霧間凪とは小学校時代の同級生。
登場作品:『パンドラ』『ホーリィ&ゴースト』
七音恭子(ななね きょうこ)
未来の香りを感じる事が出来る<アロマ>の能力を持つ。
香純に密かな恋心を抱いている。14歳だが、長身で大人っぽく見えるため、香純たちには年齢を隠している。
登場作品:『パンドラ』
天色優(てんじき ゆう)/ユージン
統和機構の戦闘型合成人間。指先から人間の構造組織を破壊する液体を出す<リキッド>の能力を持つ。
MPLSの探索任務中に香純たちに出会い、彼らを監視するために「天色優」という名で仲間となる。未来を予知する能力を持つ香純たちに取り入るため、未来の状況が文字として体に現れる<スティグマ>という能力があると嘘を付いている。香純たちと行動をともにしているうちに、次第に彼らの本当の仲間となっていく。
フォルテッシモ(後述)の元相棒であり、彼に「自分の好敵手になりうる可能性がある」とまで言われて期待されている存在であった。大勢の敵の攻撃を受け生死不明となるが、その後の作品でも名前だけ度々登場する。
登場作品:『パンドラ』『歪曲王』『天使篇 真贋について』『オルガンのバランス』
神元功志(こうもと こうじ)
未来の音を口で再現する<ウィスパリング>の能力を持つ。能力の使用中は本人の意識が無くなるので、未来予知の結果は別の人が聞かなければならない。
両親は新興宗教の教祖で様々な人から金を騙し取っていて、そんな家族が嫌で自立しようとしていた。辻希美(後述)とは旧知の仲。辻を敵の攻撃からかばって死亡したが、死の間際で発動した「ウィスパリング」によってブギーポップが駆けつけ、辻の命を救う事となった。
登場作品:『パンドラ』
辻希美(つじ のぞみ)
未来の光景を描く<オートマティック>の能力を持つように見せかけているが本当は何も特別な能力を持たない普通の少女であり、そのことを香純たちに隠している。小学生の頃から神元功志に恋をしていて、「オートマティック」は功志と共通の秘密を持とうとして咄嗟に作った嘘の能力である。九連内朱巳とは同級生に当たる。
登場作品:『パンドラ』『ハートレス・レッド』
数宮三都雄(かずみや みつお)
未来の状況などを抽象的に感じる事が出来る<ベイビィトーク>の能力を持つ。能力名の由来は、「ふわふわしそう」や「びりびりしそう」など抽象的にしか表現出来ない為に、「赤ん坊がバブバブ言っているのと同じ」という指摘から付けられたもの。香純たちを敵の攻撃からかばって死亡した。
登場作品:『パンドラ』
キト
幼い少女であるが、実際には統和機構と対立する組織が作り上げた生体兵器。
体内にあるウィルスを保有しており、薬品によって人為的に発病させた場合、効果範囲は首都圏等の規模で特定できる。しかしキトの生命活動が停止するとウィルスを抑える免疫抗体が死滅し、恐ろしく感染能力の高いウィルスがばら撒かれ、その場合は人類を全滅させる規模まで広がる。ただし、二次性徴を無事に迎えればキトの身体は生物学的に変化を起こしウィルスは死滅する。彼女は事件後、霧間凪の計らいによって、海外で生活している榊原弦に養子として預けられた。
登場作品:『パンドラ』『ヴァルプルギスの後悔』
羽原健太郎(はばら けんたろう)
ハッカーの高校生。『パンドラ』では苗字は明らかになっておらず、僅かに登場しただけであった。『歪曲王』においては事態の解決に尽力する主人公の一人として本格的に登場する。
霧間凪に惚れており、彼女がいずれ統和機構と全面的に対決する日に向け、『歪曲王』の一件で受け継いだ寺月の遺産である物資を駆使して、凪のサポートを行っている。また、イナズマのように独自に統和機構に関連した者に助力した事もあった。正樹や綺とも家族同然の付き合いをしている。全てにおいて凪を最優先に考え、行動を起こす。体術にも優れているらしく、正樹よりもその技量は上。
登場作品:『パンドラ』『歪曲王』『夜明けのブギーポップ』『エンブリオ炎生』『ヴァルプルギスの後悔』

『歪曲王』の登場人物

寺月恭一郎(てらつき きょういちろう)
巨大企業MCEの社長。その正体は統和機構の合成人間である。統和機構が経済を都合良く操るために会社を設立したが、その規模が大きくなって目立ちすぎるようになったため、統和機構に処分される。死ぬ直前にこの作品の舞台となるムーンテンプルを建設する。合成人間であるため老化のスピードが遅く、世間にそれをごまかすため化粧をして年相応に見られるようカバーしている。『歪曲王』では若い顔しか書かれていないが、コミック版の『メモリアノイズ現象』では初老に近い顔で登場している。
彼の残した影響は、本シリーズのみならず、上遠野の他作品にもその影響が見て取れる。
登場作品:『歪曲王』『ペパーミントの魔術師』『メモリアノイズの流転現象』
橋坂静香(はしざか しずか)
ムーンテンプルに訪れていた親子連れの母親。厳格な母親に反発して若いころから男遊びを繰り返していた結果、20歳の時に父親が分からない子供を妊娠する。その際、交際のあった男性のうち寺月に父になって欲しいと迫った。寺月は自分の子供ではないと一笑にふしたが(寺月は生殖能力を持たないため。静香との関係も、自身の正体を隠す為のカモフラージュ)、静香の気概を気に入り養育費として莫大な金を渡された。その後は遊びをきっぱりと止め、女手一つで真を育てる。内心では自分が本当に母親として相応しい存在なのか不安に思っている節があり、その歪みを歪曲王に引き出される。
登場作品:『歪曲王』
橋坂真(はしざか まこと)
5歳。静香の息子。父の姿を全く知らず、自分の想像の中で父は怪獣だと思い込んでいる。これは母親の静香が「父親」の事を話す際の態度から、子供が持つ特有の想像力で人物像を形成していった為であり、彼の心の中のみ存在しうる怪物であった。
ゾーラギ
真が想像した自分の父。歪曲王の力で実体化し現れる。身長数十メートルはある巨大な六つ足の怪獣の姿をしており、町を破壊して回る。ブギーポップと互角に戦い、ブギーポップに手傷を負わせた(シリーズ中でブギーポップに傷を負わせたのはこのゾーラギのみである)。他の作品には登場していないが、『夜明け』においてブギーポップとエコーズの残滓が会話を交わしているのは、ゾーラギが破壊した世界である。
子供の持つ信じる「心の強さ」と、歪みながらも芯の通った存在であったため、引き出された「歪み」の大きさは圧倒的であった。その為、ブギーポップですら手傷を負い、一度怪獣を打ち倒した隙に、真に「立ち向かうヒーロー」の姿勢を見せて説得しなければならなかった。名前は「GOZIRA」のアナグラムだと思われる。
歪曲王の事件が終わった後も事件被害者の心を渡って精神世界に存在し続けている。その影響で反発存在チャリオット・チューグルが誕生することとなる。
登場作品:『歪曲王』『チャリオット・チューグル』
道元咲子(みちもと さきこ)
事故で無くした親友に対し、罪悪感を抱えている女性。歪曲王の力で「歪み」を引きずり出されて別世界に飛ばされ、そこで死んだ友人と再会する。歪曲王の実験の成功例で、過去に打ち勝ち心に“輝けるもの”を獲得できた人物。
登場作品:『歪曲王』
篠崎譲(しのざき ゆずる)
イベントの客整理のバイトをしている私立大学生。『メタル・グゥルー』序盤にも端役として登場している。
登場作品:『歪曲王』『メタル・グゥルー』『しずるさんシリーズ
歪曲王(わいきょくおう)
主体が無い、ブギーポップと同種の「自動的な」存在。人それぞれの「隠された歪み」を引っ張り出す能力を持つ。「歪み」とは人間の心残りとなっている対象であり、歪曲王はその人物の姿をとって各個人の精神に現れる。そのため、歪曲王の姿は人の数だけ存在する。それらは共通して恐ろしいほど光がない目をしている。ムーンテンプルでの行動目的は、人がその歪みに立ち会った上でそれを受け入れ、更に心の有り様を高める事が可能であるかを確認する「歪みを黄金に変える」ための実験であった。
短編作品『メタル・グゥルー』『チャリオット・チューグル』にも登場している。
登場作品:『歪曲王』『メタル・グゥルー』『チャリオット・チューグル』『しずるさんシリーズ』

『夜明けのブギーポップ』の登場人物

黒田慎平(くろだ しんぺい) / 岸田一朗(きしだ いちろう) / スケアクロウ
統和機構の合成人間。人の顔色を見るだけでその人の健康状態を知る事ができる能力をもつ。MPLSの探索が任務で、探偵事務所を隠れ蓑にしている。
寺月恭一郎の身辺調査中に入院中の凪に出会い、何度か言葉を交わした。後の凪の生き方に大きな影響を与えることになる。“進化”により死にかけていた彼女を救うため統和機構の施設から薬品を盗み出す。これにより凪の命は助かったが、スケアクロウ自身は反逆者としてモ・マーダーに殺害される。死の間際、初めて出現したブギーポップと邂逅する。
その後、アニメ版では如月真名花の能力によって凪の身辺を「岸田一朗」の名で探っていた瞬間の彼が復活。記憶をなくしながらも凪と邂逅するが、マンティコア・ファントムに乗っ取られてしまい、最後は再びブギーポップと邂逅、記憶を取り戻し、マンティコア・ファントムを道連れにする形で消滅する。また、オープニングアニメーションでは藤花や凪と同等にメイン扱いされている。
彼の殺害後、隠れ蓑として使っていた探偵事務所は霧間誠一の著作権等を管理する事務所として、霧間凪が借りている。また、アニメ版では東京にも事務所がある(シナリオ集にて「黒田ほどの探偵なら、他に事務所を持っていてもおかしくない」とスタッフが発言している)。
登場作品:『夜明けのブギーポップ』『Boogiepop Phantom』『ヴァルプルギスの後悔』
来生真希子(きすぎ まきこ) / フィア・グール
県立総合病院の精神科の新米医師。スケアクロウが持ち出した薬品(進化薬)を拾い、それを自らに使用し超人的な肉体と相手の弱点を見抜く能力を手に入れた。その能力を活かして他人を思いのままに操り、最終的には統和機構に影響を及ぼすまでになっていた。
他人の“恐怖”を喰らうようになり、特に精神的に強い人間が恐怖に染まった時の脳髄を求めて連続猟奇殺人を引き起こす。凪の脳髄を求めて凪を襲うが、逆に凪の高圧スタンガンで致命傷を受け逃走、ブギーポップにとどめをさされた(世間的には連続猟奇殺人事件の最後の被害者とされる)。また、アニメ版では進化薬を様々な人間に使用していた。
登場作品:『夜明けのブギーポップ』『Boogiepop Phantom』『ロスト・メビウス』
佐々木政則(ささき まさのり) / モ・マーダー
統和機構の戦闘型合成人間。手から振動波を発する能力を持つ。暗殺を主な任務としており、これまでに霧間誠一、スケアクロウ、キョウ兄ちゃんなどを殺害している。凪を監視するためだけに凪の「連続猟奇殺人事件の調査」に手を貸すが、来生真希子が凪を狙っていることを知り、これを食い止めるため来生真希子を襲撃するが失敗、逆に殺害される。なお、来生真希子が罪を被せる偽装工作を施したこともあって、彼女が起こした一連の事件は彼が犯人という事にされている。『ビートのディシプリン』ではピート・ビートの戦術指導役として登場。アニメ版では黒田の回想で彼を殺害する姿がシルエットで登場している。
『ビートのディシプリン』の主人公ビートの教官でもあり、一時期はある少女と三人で同居生活を送っていた事もあった。
登場作品:『夜明けのブギーポップ』『エンブリオ浸蝕』『ビートのディシプリン』『Boogiepop Phantom』
ピジョン
統和機構の合成人間。高速移動の能力を持つ。スケアクロウに対して淡い恋心を抱いており、彼を殺害したモ・マーダーを憎んでいた。そこを来生真希子につけ込まれ、来生を狙ったモ・マーダーの攻撃を引き受けるための壁として利用され死亡した。普段は女子高生の姿をしていた。合成人間としての能力は恐らく高速移動、もしくは人の死角をつく能力と思われる。
登場作品:『夜明けのブギーポップ』
篠北周夫(しのきた ちかお)
糖尿病で県立総合病院に入院していた会社員。『夜明けのブギーポップ』では下の名前は出てこない。入院中は恐怖喰らいと化した来生真希子によって恐怖を味わわされる日々を送っていたが、実は彼女に肉体を改造され合成人間と同等の身体能力を獲得していた(なお、この設定が登場する『ビートのディシプリン』以前に放映されたアニメ版でも、来生は様々な人物に進化薬を使っていた)。
登場作品:『夜明けのブギーポップ』『ビートのディシプリン』

『ペパーミントの魔術師』の登場人物

軌川十助(きがわ とすけ)
統和機構の合成人間で「ノトーリアスI.C.E.」(悪名高い失敗作の意、I.C.E.はIncomplete Errorの略)と呼ばれる失敗作。緑色の肌をしていて血が青い。驚異的な再生能力と怪力、痛みという感情について強い拘りがあり、それを起因とした「人が自分自身で見ないようにしてきた心の痛みと同化する」能力を持つ。これはブギーポップシリーズの中でも最も強いMPLS能力の一つ。
経緯は不明だが、軌川典助に幼少の頃から保護されていた。彼の外見の問題から典助は自分の家の部屋から全く外に出さなかった(もっとも、このことは本人も納得していた)。その為か世間知らずで子供っぽい性格だが、アイスクリーム作りには天才的な才能を見せる。そこを寺月恭一郎に見込まれ、アイスクリームチェーンメーカーの社長になる。その後、起きた様々事件を乗り越えたこと(事態に巻き込まれたようで、実際には彼の持つ「運命」の強さが全てを巻き込んでいた)で精神的に成長をみせた。
ブギーポップは彼を”世界の敵”になりえる危険人物として監視していたが、彼に「世界に対して能力を行使する気が無い」ことを見抜き、彼を見逃した。死神すら裁かれないという事実を知り、生まれて初めて心の痛みを知ることとなる。
登場作品:『ペパーミントの魔術師』『ビートのディシプリン』
楠木玲(くすのき れい)
お菓子作りの天才で、若いながら様々な経験をつんだ女性。十助に負けず突飛で、押しの強さも負けない程気の強い性格だった。十助のパートナーとして、見いだされ、後に副社長になる。十助とは仲が良かったが、いきなり退社してしまう。
登場作品:『ペパーミントの魔術師』
蝉ヶ沢卓(せみがさわ すぐる) / スクイーズ
統和機構の戦闘型合成人間。見えない攻撃をほぼ無音で正確に狙撃できる。蝉ヶ沢卓という名で社会に溶け込んでいる。プロのデザイナーとして活躍しており(業界では有名人)、この時はオカマ口調で喋る。なお、『ハートレス・レッド』で彼は表の仕事(デザイナー)を好んでおり、統和機構の仕事を片手間だと語っている。竹田啓司が尊敬し、師事している事務所の先生とは彼の事である。
登場作品:『ペパーミントの魔術師』『エンブリオ浸蝕』『ハートレス・レッド』『天使篇 真贋について』
景山(かげやま) / キャプテン・ウォーカー
統和機構の殲滅型合成人間。自らの気化した汗で人間の生体組織を破壊する能力を持つ(無論、普段は制御している)。密集した所なら一瞬でその場にいる人間を皆殺しに出来る。景山という名で軌川十助の側近を演じていたが、実際には監視する役割だった。
内に秘めた傲慢さを持つ。彼にとって世界や人間は破壊の対象でしかない。
登場作品:『ペパーミントの魔術師』
軌川典助(きがわ のりすけ)
成功して裕福な男。独身で十助以外の家族もいなかった。この作品は彼の死から始まり十助の回想以外にはほとんど出番が無い。十助と接触を続けるうちに彼の能力の影響を受け、誰も傷付けられない性格となっていた。ある程度統和機構と繋がりを持った社会的実力者であったと描写がされている。
登場作品:『ペパーミントの魔術師』
律子(りつこ)
十助のアイスクリームチェーン店のアイスが大好きなただの女子高生。巻頭と巻末に少しだけ登場する。
登場作品:『ペパーミントの魔術師』

『エンブリオ浸蝕』『エンブリオ炎生』の登場人物

穂波顕子
県立深陽学園の生徒。
かつて水乃星透子の「巫女」として行動を共にしていたが、彼女が死んだ際に記憶の大半を道連れにされたため本人はそのことを覚えていない。その数年後にエンブリオと出会った事で、水乃星透子の能力で仮託されていた<ストレンジ・デイズ>が一時的に復活する。確固たる理由もなく「守りたいという意思」に従おうとエンブリオとともに逃走するが、高代亨と弟の弘の安否を確認するため事件の渦中に姿を現しブギーポップと対峙することになる。その際、ブギーポップに殺される危険性を侵しながらもエンブリオを庇い続け、彼女の願いを聞き入れたブギーポップにエンブリオを託す。
高代亨にほのかな気持ちを抱いていたが、思いは伝えられないまま高代は姿を消した。
登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『ハートレス・レッド』
穂波弘
穂波顕子の弟。危機的状況に陥っても思考は冷静で、事件中は気性の荒いフォルテッシモの反感を買うことなくその場に順応して行動していた。「エンブリオ」を持って逃げてきたサイドワインダーに直接接触した少年。その時エンブリオの影響を受けた事で、周囲の物事が彼に差し障りのない様に流れる無意識の能力<タイトロープ>を発現させ、意図せずに姉やフォルテッシモの運命にブギーポップを介入させ、姉の顕子の心に巣くっていた<ストレンジ・デイズ>の能力を引き出し、枯渇され消滅させることに成功させることで姉を守り抜いた。
登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』
高代亨/イナズマ
ものの「弱点(隙)」「死線」が見える能力<イナズマ>を持つ19歳のフリーター
「弱点(隙)」は空中に浮かぶ線として見え、その線をなぞるように攻撃することで、相手の反撃・防御・回避行動をかいくぐって最も脆い部分を的確に攻撃できる。「死線」もやはり空中に浮かぶ線として見え、「危険が存在する位置」を示している。たとえば銃で狙われているときに、その銃弾が発射後に描く軌道が線として(事前に)見える。簡単に言うと「どう攻撃すれば壊せるか」「どこに危険があるか」がわかる能力。そのためそれ自体には物理的な干渉力のない、感覚に限られた力でありながら、非常に戦闘向きの能力となっている。
予知のような力ではあるが、「線」からわかるのは「位置」だけで、線上で具体的にどのようなことが起きるかは(実際に起きるまで)わからない。しかし逆に言うと「よくわからない」「見えない」ものであっても、それが持つ「弱点」「危険」は「線」として視認することができる。例えば穂波顕子の<ストレンジ・デイズ>が伴う危険(死のエネルギーの消耗)も(具体的なことは分からなかったが)「死線」として視認できた。これは「弱点」についても同様であり、「死のエネルギー」そのものは見えなくても、「弱点」がどこにあるかは把握できるし、「弱点」を攻撃すれば破壊することもできる。作中ではそれを応用して、自身の「死のエネルギー」を切断し、わざと流出させることで他人に分け与えている。なお、「弱点」「死線」ともに空間上の存在に過ぎず、空間そのものを切断するフォルテッシモの能力には対応できない。空間切断の位置を「死線」で読むことはできないし、「弱点」を突いて攻撃しようとしても空間切断で「線」ごと破壊されてしまう。
尚、亨の事例からすると、「死のエネルギー」を他人に分け与えた場合、肉体的な生命力や体力や寿命が衰えるわけではなく、「何かあった時に死に到る可能性」が増えるらしい。加えて、亨自身はイナズマの能力で死の可能性の増幅には対応できるらしく、水乃星の行った実験と併せ考えると因果律及び、死にまつわる因果そのものを指している事が解る。
性格は温和だが、憧れの存在である榊原玄のような「サムライ」を目指しており、武道にも精通している。榊原の弟子である正樹と出会った事で、自身の信じた道は間違っていなかったと確信に至るも、フォルテッシモとの初戦でそれら全てを自らの弱さにより失ってしまう。結果、彼は高潔な強者である「サムライ」ではなく、身を落とした只の「イナズマ」として再びフォルテッシモに戦いを挑んだ。最強と名高いフォルテッシモと戦い、勝利した唯一の人物(ただし、場所や状況環境面に大きく影響を受ける)。
イナズマという名前の名付け親はフォルテッシモ。由来は本名の「亨」の読みが「とおる」なので、それを北欧神話の「雷神トール」に掛けて「イナズマ」とした。
他シリーズである『ビートのディシプリン』において登場した際には飛鳥井仁らと協力して動いており、統和機構とは対する立場になっていた。またその際のフォルテッシモとの再戦時には、フォルテッシモを翻弄する戦術を披露するも、攻撃を当てるには至らなかった。『ヴァルプルギスの後悔』では氷の魔女アルケスティスに立ち向かえる程の胆力と精神力を見せるものの、成す術なく敗れた。
登場作品:『エンブリオ侵食/炎生』『ビートのディシプリン』『ヴァルプルギスの後悔』
リィ舞阪 / フォルテッシモ
統和機構において「最強」の名を冠しているMPLS。「リィ舞阪」は本名であるかは不明。
自身もそのことを自覚しており、とにかく強い存在と戦うことを望んでいる。その事もあってブギーポップと対決を迎えそうな局面も見られたが、結果かわされてしまっている。性格は好戦的で大胆不敵。また真に強い相手(能力の有無、合成人間であるかに関わらず)には敬意を払うが、戦闘能力の高い相手であっても、精神的な弱さを露呈した者には興味すら持たない。また、九連内朱巳のように独特の強者論を持つ相手を苦手とする。「最強」であるが事件後の事情聴取などの雑用に駆り出されることもある、その際は明らかにやる気のない態度を取る。
空間の罅割れを見る事ができ、更にそれを指で広げることが出来る<ザ・スライダー>の能力を持つ。これはあらゆるものを切断でき、生物を切断すれば肉体のみならず生命(死のエネルギー)そのものが切り裂かれるため、攻撃を受けた対象は同じ「生命の力」が補充されない限り傷は塞がらなくなる。同時にこれは攻撃を防ぐ盾にもなり、その効果は物理的な絶対防御は勿論、生命体であれば避ける事の出来ない魔女の波動すら遮断していた(詳しくは『ヴァルプルギスの後悔』参照)。他にも自らの足元の空間を切り刻み続けての高速移動や、体内に入った毒物の排除、ジェット機のような加速から、人の脳内の血管を斬り出す事まで、幅広く応用が利く。弱点は(無意識下でセーブしているため)射程距離が短いことと、攻撃と防御を同時には行えないこと。その点をイナズマに突かれ、フェイントとカウンターの合わせ技を食らって倒される。
彼の持つ真の資質は「無意識のレベルで油断をしない(出来ない)事」そのものであり、それゆえ強大な能力を完全に制御下に置く事を無意識下で常に行っている。イナズマとの戦いにおいても能力そのものを全開にしておらず、『ビートのディシプリン』でのビート&朝子との戦いにおいて、生まれて初めて自身の制御化から外れる程の力を発現させ、ザ・スライダーの秘められた力の一端を見せた。普段は隙だらけであるらしいが、それが問題にならない位の反応速度を備えている。オキシジェンとは顔見知りであるが、彼が中枢であることは知らない。
イナズマを見出し、その後も因縁を持つ相手となる。イナズマとの勝負後は『ビートのディシプリン』の主人公であるピート・ビートに強者の可能性を見出し、最終的に対峙する事となったが、戦いを終えた後ビートに対しては自身の気持ちに決着をつけた。
また『竹泡対談』では、ブギーポップによって『ナイトウォッチ三部作』に登場する「人類の守護者」「鉄仮面」「星に触れる者」と呼ばれる存在、マイロー・スタースクレイパーとの邂逅が示唆されている。
登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『ビートのディシプリン』『沈黙ピラミッド』『化け猫とめまいのスキャット』『竹泡対談』『私と悪魔の100の問答』『ヴァルプルギスの後悔』
パール
統和機構がエコーズをコピーして生み出したマンティコアタイプの合成人間。
外見は若く美しい女性の姿であるが、エコーズ・マンティコア等と同様に変身能力を持つ(原理は異なる)。異名は「百面相(パールズ)のパール」。統和機構内における「マンティコア・ショック」と呼ばれるマンティコア逃亡事件・マンティコア型合成人間粛清の際に統和機構から命を狙われたために組織を裏切り、反統和機構組織「ダイヤモンズ」に逃げ込む。自らの力量を知り、豊富な実戦経験を積んでいる事から非常に立ち回り方が上手く、あらゆる危機的立場に対して柔軟に対応する。
現在は変身の基盤である幼い少女の姿をとり、ジィドと共にアルケスティスと行動を共にし、その下で動いている。
エンブリオとの接触によってMPLS能力に目覚めており、能力名は不明だがその力は「終点の引き出す力」というもの。これは触れる事で、対象の潜在能力を引き出す事が出来るという、統和機構にとっては厄介な能力であった。
登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『ビートのディシプリン』『ヴァルプルギスの後悔』『オルガンのバランス』
瀬川風見 / スワロゥバード
統和機構のエージェントの一人。表向きの職業は女優。相手の表情を見て心理を読むことに長けている。ピジョンとは友人同士。外伝『死神を待ちながら』では主人公を務めた。「瀬川」の名前は名家らしく、彼女も名前のみが『メモリアノイズの流転現象』にも登場している。
登場作品:『死神を待ちながら』『エンブリオ炎生』
サイドワインダー
この物語のきっかけとなる人物。統和機構からエンブリオを持ち出し、裏切り者としてフォルテッシモによって処分される。しかし死の間際、弘にエンブリオを託す。エンブリオの声が聞こえる者に自動で届ける能力を持つ。
登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』
ジ・エンブリオ
卵型の携帯ゲーム機に宿る意識体。モ・マーダー(佐々木政則)が採取した「キョウ兄ちゃん」の脳波を基に、統和機構が造りあげた存在。人の持つ殻を打ち破らせ、“突破”させる力を持つ。オリジナルの記憶や面影は無く、賑やかで口数が多い悪態つきで事あるごとに自殺願望を口にする。穂波顕子と行動を共にするうちにその性格は丸くなり、生きるという行為に目を向けるようになる。現在はエジプト十字型のアクセサリーに移動し、フォルテッシモと行動を共にしている。彼の声が聞こえる=MPLSの素質を持つものであるためフォルテッシモ自信の仕事に少なからず役立っている。
登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『化け猫とめまいのスキャット』『ビートのディシプリン』
本木三平
父と喧嘩して家出していた臆病なうえに不運な運命を持つ少年。穂波顕子が手にしていたエンブリオの声を聞き、恐怖や焦燥が最大限になった時にその感情を周囲の他人に感染させる<カウントダウン>の能力を開花にしたが、その能力を危惧したブギーポップに能力のみを殺され、その自覚しないまま能力を失った。
登場作品:『エンブリオ浸蝕』
キョウ兄ちゃん
本名不明。他人の才能を開花させることのできるMPLSで、物語の始まる7年前モ・マーダーに殺された。その後、彼の脳波はモ・マーダーにコピーされてエンブリオとなる。生前、穂波顕子に死神の話をしていた。また死の間際にモ・マーダーに語った言葉は、彼の生涯に大きな影響を与える事になった。
登場作品: 『夜明けのブギーポップ』『エンブリオ浸蝕/炎生』

『ハートレス・レッド』の登場人物

九連内朱巳(くれない あけみ) / レイン・オン・フライディ / 傷物の赤(ヴァーミリオン・ハート)
幼い頃より両親から”気味の悪い子”と疎まれていた少女。 両親が借金を苦に夜逃げした際、自身は一人家に留まり、取り立てに来た借金取りを話術のみでたじろかせる。その子供とは思えない程の鮮やかな心理操作技術からMPLS能力者との疑いが持たれ、以降はミセス・ロビンソンの娘として統和機構の監視下に置かれることとなるが、彼女のそれは本人曰くただの技術であり、何か特別な能力を持っているというわけでではない。自分の身の安全を確保し、且つ機構の中でそれなりの地位を保つために<レイン・オン・フライディ>というコードネームをさも能力名であるかのように利用している。しかし実際に、相手との駆け引きや心理操作を含めた話術全般の才能、どんな危機的状況にも冷静に対処できる胆力等は常人離れしており、中学生時代にはその能力を使う事の代償で、同校生から500円玉を受け取っていた(理由と詳細は不明)。
性格は不遜で冷静。また、激昂している様子を凪にも気付かれない程の演技力を持つ。大変な”嘘つき”を自称しており、それは彼女の能力、生きる姿勢、他者への接し方にも強く表れている。統和機構中枢からは自らの後継者候補の一人と認識されているが、実際は密かに統和機構の意思に反する工作を行ったり、同じく統和機構の意思とは異なった動きを見せる飛鳥井仁らと手を結ぶ事となる。また彼女の工作により、霧間凪の存在は統和機構には秘されてきた。
霧間凪の後継となるヴァルプルギスの『器』。最終的には凪さえも凌ぐであろう存在になれる可能性を持っていた。
登場作品:『ハートレス・レッド』『ビートのディシプリン』『ヴァルプルギスの後悔』
九連内千鶴(くれない ちづる) / ミセス・ロビンソン
手から”触れるモノを蒸発させる液体”を発する<ワイバーン>の能力を持つ間接戦闘型合成人間、戸籍上朱巳の母親を名乗る。
任務上の偽装のはずが、いつしか朱巳という少女自身のありかたとその未来を意識するようになってしまう。朱巳の母親であることを望み、実は朱巳自身もそのことを望んでいた。
登場作品:『ハートレス・レッド』
内村杜斗(うちむら もりと) / フェイルセイフ
九連内朱巳のクラスメイト。普段はおどおどしているが、その正体は水乃星透子から<ストレンジ・デイズ>の能力の一部を授けられたMPLS。自己保身の塊で、臆病でこそあるが本質では人を道具としか見ていない。
<ストレンジ・デイズ>を応用した能力<フェイルセイフ>を持つ。これは抜き出した「死のエネルギー」を自らの中にストックし、死んでもストックしたそれを使って蘇生することができるというもの。ストックできる回数は最大で蘇生13回分。そのため「何度も死に続ける状況」に置かれると本当に死んでしまう。また「死のエネルギー」そのものを切断できるフォルテッシモとは相性が悪いらしい。蘇生時にはある程度傷も回復するが、器官を再生させるほどの力はなく、腕を切断されればそのままとなり、首を刎ねられれば首だけで生きている状態になってしまう。また、「死のエネルギー」を抜かれて抜け殻になった生物を操ることもでき、それを用いて自らを脅かす者を抹殺してきた。
水乃星透子を裏切り、自己保身のために<ストレンジ・デイズ>を使用していたが、実際には水乃星透子の思惑の中で踊っていたに過ぎなかった(<ストレンジ・デイズ>を保身のみで使用した場合どうなるかの実験台とされていた)。
統和機構に潜入するため九連内朱巳を利用しようとするが逆に返り討ちに遭い、穂波顕子にその能力を奪い返されてしまう。実際にはこの時点で既に肉体は滅んでいたがそれに気付かず、最後はブギーポップに自らの死を告げられて、"無為"を体現した"世界の敵"として死ぬ事になる。
また、本物の内村杜斗は家族もろともすでに殺されており、偽名としてこの名を名乗っているにすぎない。本名不詳。
登場作品:『ハートレス・レッド』

『ホーリィ&ゴースト』の登場人物

濱田聖子 / ホーリィ
特殊能力を持たない普通人。結城玲治ともに「スリム・シェイプ」の眼にとまり、犯罪コンビ「ホーリィ&ゴースト」として活動を始める。「ホーリィ」は「聖子」の「」を英語化したもの。
登場作品:『ホーリィ&ゴースト』
結城玲治 / ゴースト
普通人で「ホーリィ&ゴースト」の片割れ。ホーリィが「ゆうきれいじ」を「ゆうれい」と聞き間違えたのが、「ゴースト」の名の由来。
登場作品:『ホーリィ&ゴースト』
スリム・シェイプ
通信を介してホーリィ&ゴーストおよびタル、ジェスを動かす人物。全身を包帯に包まれたコミカルなイタチのキャラクターとして、カーナビやPCの画面に現われる。正体は重症の入院患者「江守譲」であり、唯一動く左手でコンピュータを操る凄腕プログラマー。霧間凪とは旧知の仲。
登場作品:『ホーリィ&ゴースト』
ドクター
戦時中軍医として働いていた人物。寺月恭一郎の遺産の一つで、地面に植えつけると急激な勢いで何をも貫き根を広げる統和機構産の植物「ロック・ボトム」で世界を破壊しようとしていた。だが、それ故にブギーポップに殺される事となった。
登場作品:『ホーリィ&ゴースト』
宇治木貢
寺月恭一郎の遺産の三分の一を管理していた人物。その遺産の中にロック・ボトムがあった。
登場作品:『ホーリィ&ゴースト』
雨宮世津子 / リセット
実姉である「雨宮美津子」と共に統和機構に属するMPLS。その高い戦闘能力からしばしばフォルテッシモと並称される。表の顔は警察官僚内で警視総監ですら恐れるほどの権力を持つ人物。理由もつけずに自分の前から去ってしまった姉の美津子の行方を追っている。その手の中から投げる、ないしは発射した物の着弾時の威力を自由に変える事が出来る「モービィ・ディック」という能力を持つ。その異名通り、その能力で「全ての事象を取り消し(リセット)」する。威力を最大にした場合の物理的な破壊力は巡航ミサイルすら上回る統和機構最大のものであり、逆に威力を絞れば鍵開けのような隠密の工作も自在に行える。作中では披露されていないが、優れた回避能力も備えている模様。
魔法使い「アウトランドス・ダムール」を巡る戦いの中、遂に姉と再会を果たす。そして姉が世界を滅ぼす早く世界を支配することを心に誓う。
登場作品:『ホーリィ&ゴースト』『ビートのディシプリン』『ギニョールアイの城』『ロスト・メビウス』『オルフェの方舟』『アウトランドスの戀/ポルシェ式・ヤークトティガー』『オルガンのバランス』『騎士は恋情の血を流す』『化け猫とめまいのスキャット』『ヴァルプルギスの後悔』
ピート・ビート
統和機構の合成人間。『ビートのディシプリン』シリーズの主人公で、本作では名前のみ登場。詳しくは『ビートのディシプリン』を参照。

『ジンクスショップへようこそ』の登場人物

楢崎不二子
ある資産家の娘で、街でオキシジェンの能力を目の当たりにして商売に使えないかと考え、「~するとよい」「~してはいけない」といったジンクスを売る店を開く。上遠野の他シリーズ作品である『ソウルドロップの幽体研究』にも名前が登場している。
登場作品:『ジンクスショップへようこそ』『ソウルドロップの幽体研究』
柊 / オキシジェン
統和機構の中枢(アクシズ)と呼ばれる存在。その立場と反し、酸素のように存在が希薄で人に認知されないことが多い。無感情で機械的を通り越して空気のような話し方をする。酸素を「生命が存在する上で絶対不可欠な要素である」と同時に、広大な宇宙空間で天文学的な確率で生物を発生させる要因を担った「劇薬」と定義しており、それを象徴する存在である。
自然に偏在する運命の糸そのものを視る事が出来る能力を持つ。一種の未来予知能力だが(正確には近い未来に起こるはずの事象を現在に引き寄せる力)、百発百中というわけではなく、加えてMPLS能力でありながら世界に変革をもたらさない力であるため、本人は最も無意味なMPLSであると評している。それでも「統和機構は全世界を支配している」という幻想を作り出し、実際に統和機構を統和機構たらしめている能力でもある。通常の未来視であれば可能性を全て潰すという対策が成せるが、オキシジェンは運命を自ら紡ぎ出す事は出来ない代わりに選択操作(因果律操作)が可能で、婉曲的になっても自分の望む形の未来へと繋げる事ができる。これは自衛や攻撃にも利用可能で、敵意を持って攻撃された場合、その規模に応じて運命操作が発動、攻撃相手のカウンター攻撃に用いられる。事象の規模は数十億分の一程度から、天文学的確率までと幅広い。
肉体そのものは既に死んでおり、MPLS能力と魂によって中枢としての運命のみで生きている。次期中枢を探しており、末真和子を最有力候補として選び出した。ブギーポップの存在を認識しているものの面識は無い。なお、その髪型はゲゲゲの鬼太郎のようだと作中で評されている。
初登場時は茶髪だが、『酸素は鏡に映らない』では黒髪になっている。
登場作品:『ジンクスショップへようこそ』『ビートのディシプリン』『酸素は鏡に映らない』『ヴァルプルギスの後悔』
カレイドスコープ
現在の中枢、オキシジェンの身を守る為に存在する合成人間。自らの解像度を変化させる<カレイドスコープ>の能力を持つ、システムでも最も強力なエージェントの一人。常に中枢に付き従っている為「副王」と綽名される存在。また、特徴として左右の目の色が違う(金銀妖眼。作中の描写では右目が黒、左目が青)。それを隠すために、常にサングラスを掛けている。
能力は「万華鏡」の意味を持つ自身のコードネームと同一のもので、皮膚細胞の振動から空気を操作する能力。それを直接的な攻撃ではなく、光の屈折変化、体臭や音の斜断、足跡の偽装などに用いて自身の姿を完全に消し去る。中枢を守護する事に完全特化したものであるが、消えた状態での暗殺も勿論可能となっている。
登場作品:『ジンクスショップへようこそ』『ビートのディシプリン』『酸素は鏡に映らない』『ヴァルプルギスの後悔』
伊東谷抄造 / シェイムフェイス
楢崎家に仕える家令。相手が自分に向ける気配、視線を跳ね返す<シェイムフェイス>の能力を持つ。跳ね返された相手はただひたすらに自分が自分であることがどうしようもなく恥ずかしくなる。また特殊な呼吸法を習得しており、それによって一時的に身体能力を増強することもでき、先の能力と合わせて隙だらけになった相手を駆逐する。ブギーポップ共々ギミーシェルターの罠に嵌められ、動死体(ゾンビー)に囲まれる事になるが、ギミーシェルターを発見させるためにブギーポップとの共同戦線を解除し、命を落とす。最後まで、主である不二子の事を気にかけていた。
登場作品:『ジンクスショップへようこそ』
澄矢雅典 / ホワイトライアット
統和機構の対立組織の一員。相手の焦燥感の歯止めをなくす<ホワイトライアット>の能力を持つ。しかし、ブギーポップに世界の敵として葬られた。ブギーポップ曰く、戦闘能力や生き方の方向性など“世界の敵”の典型と言うべき存在。
登場作品:『ジンクスショップへようこそ』『ビートのディシプリン』
小宮山愛 / スイッチスタンス
血液を付着させた他人の意思、精神力を奪い操る<スイッチスタンス>の能力を持つ。柊の正体を知り、統和機構そのものの頂点に立とうと画策する。終盤でオキシジェンの意思を奪おうとしたが、その際彼の精神に接触して世界のあり方の真相を知り、最期はその事実に絶望してデパートの屋上から墜落、仲村紀美香を巻き添えにして死亡した。オキシジェン曰く小物。
登場作品:『ジンクスショップへようこそ』
仲村紀美香 / ギミーシェルター
相手の体に自らの頭髪を植え付ける事で相手の精神、ひいては肉体、生死をも支配する<ギミーシェルター>の能力を持つ。能力が貧弱であるが故に、敵に見つからないことに徹底した戦術で敵を始末する。"世界の敵"である事を自覚し、自らの能力で様々な人間を操り、自分に危険が降りかかる前に排除しようとしていたが、伊東谷の犠牲的な行動によってブギーポップに発見され、考えられる限りの防御策を根こそぎ潰されて満身創痍の状態で追い詰められる。最後は能力が消え去ったため、ブギーポップからは見逃されたが、既に彼女の命運は尽きており、後にデパート屋上から墜落してきた小宮山愛の巻き添えとなり命を落とした。
その際、小宮山と戦っていたオキシジェンは小宮山の死は予知していたものの、因果律の上でありえない彼女の事故死を目撃したことで死神の存在を確信することとなる。
登場作品:『ジンクスショップへようこそ』『酸素は鏡に映らない』

『ロスト・メビウス』の登場人物

蒼衣秋良 / コールドメディシン
統和機構とは別の組織が作り出した合成人間。他者の細胞を活性化させる「コールドメディシン」と呼ばれる能力をもつ。困惑や空虚感を即座に怒りに変換する性格で怒りを原動力にし様々な困難に対処する。しかし、思考そのものは冷静で推理力に長けている。
統和機構とも元いた組織とも関係のない所で、母と二人で普通の人間として生活していたが、母の交通事故死によって孤児となる。そこで統和機構に発見された事で、システムに所属、しばらくは末端のエージェントとして活動していたが、あるきっかけで一度出会った来生真希子の死について疑念を抱き調べているうちにブギーポップの存在を知り、またリミットとの出会いを通じてやがてブリックの事件に巻き込まれていくことになる。リミットが姿を消した後は統和機構に加入し、リセットの部下として、統和機構直下の公的機関「オカリナ」で働いている。「オカリナ」では外回り担当であり、以前は毛嫌いしていた友人を作るという行為に抵抗がなくなっており、性格が幾分丸くなっている。
登場作品:『ロスト・メビウス』『オルフェの方舟』『騎士は恋情の血を流す』
雨宮美津子 / リミット
雨宮世津子の双子の姉。あらゆる攻撃を遮断する<エアー・バッグ>という絶対防御能力をもつ。正確には「触れた物体を変質させて絶対的防御力を持つ盾にする」という能力で、普段は空気を変質させて盾にしている。(乗っている自動車を変質させて盾にしたりもできる。)「盾」はあらゆる攻撃を跳ね返すが、跳ね返す方向はランダムなので、攻撃者に正確に反射するのは難しい。また変質した物体はある程度操作可能であり、空気で敵を押しつぶしたりできる。
牙の痕でイデオティックと出会い、自ら統和機構と対立する道を選び、ブリックを手に入れ逃走。その後、魔法使い「アウトランドス・ダムール」を巡る戦いの中で妹の世津子と再会する道を選ぶ。しかし、その決断は姉妹の絆をより深く決別させる結果となり、妹が世界を支配するより早く世界を滅ぼすべく、再び妹の前から姿を消す。
登場作品:『ロスト・メビウス』『戦車のような彼女たち』
長谷部京輔/イディオティック
統和機構でも特殊なポジションにいる男性。過去にオキシジェンと中枢の座を争い敗北した。オキシジェン同様生命は停止しており死ぬことはない。その名と同じ<イディオティック>と呼ばれる能力を持つ。これは空間の隙間(異次元)に入り込んで身を隠すというもので絶対の回避能力を誇るが、異次元は時間の流れが違う為に退避中は現実であっと言う間に時間が流れてしまう。
霧間凪とは叔父と姪のような関係で、彼の血縁である長谷部鏡子は凪の実母にあたる。凪に対し、彼女の運命に関わる忠告を残して消えた。『ヴァルプルギスの後悔』にて再び登場し、統和機構の新たな中枢争いに関わる。
登場作品:『ロスト・メビウス』『ヴァルプルギスの後悔』
ブリック
天から降りてきた者たちの一人。赤い肌を持つ赤子だったものが急激に成長し、少年の姿をとった。人の心にある物を引きずり出し爆弾にすることができるが、彼の自意識や感情そのものは全くあらわにはならない。牙の痕で織機綺、蒼衣秋良と共に行動していたが、現在は統和機構を離反したリミットが赤ん坊の状態で所有。
登場作品:『ロスト・メビウス』

『オルフェの方舟』の登場人物

須磨貞夫
クレイムクラブの構成員。自分の運命を変えた統和機構を探っている。幼い頃は心臓を患っており、とても病弱だった。幼馴染の杉乃浦春海を鬱陶しいと思いつつ実は何よりも大切に思っている。
登場作品:『オルフェの方舟』
杉乃浦春海 / ワン・ホット・ミニット
分子運動を活性化させることで、あらゆる物体を発火させる能力<ワン・ホット・ミニット>を持つMPLS。その能力は、世界そのものを燃やし尽くすほどの激情の顕れ。幼い頃から、自分が世界に相容れない存在であると自覚していたが、貞夫と出会ったことにより世界への見方が変化した。彼女には知らせずにクレイムクラブで危険な仕事に手を出しているらしい須磨貞夫の身を心配している。普段は自分の力を抑えつけていたが、貞夫の不審な行動をきっかけに感情が暴走、能力を使って世界そのものを自分基準に書き換えるという暴挙を行い、街の一画を焼き尽くす。しかし、多くの犠牲者を出しながらも勝ち取ろうとした愛と命は、ブギーポップの前に死という形で儚く燃え散ることとなる。
登場作品:『オルフェの方舟』
相川靖子 / ティアジャーカー
合成人間。幼い頃に強盗に一家を惨殺され、彼女も瀕死の重傷を負った。その際に統和機構により改造されたが、合成人間としては改造前の記憶が残っているという失敗作。能力は体内波動を集束させて、身体能力や耐久力などを一時的に強化する<トリーズン・リーズン>。ある事情から六嶺と協力し、春海を狙う。
登場作品:『オルフェの方舟』
六嶺平蔵
クレイムクラブ主催者。会の趣旨は統和機構の活動への「異議申し立て」等ではなく、中立を保ってそこから利益を吸い上げることだが、本人には妻に関係する別の目的があった。
登場作品:『オルフェの方舟』
六嶺美登里 / フォーリン・グレイス
六嶺平蔵の妻。分子運動を停止させあらゆる物体を凍結させる<フォーリン・グレイス>の力を持つMPLSだが、その能力に意思を飲み込まれかけている為、感情や意思が全くなく、体も凍りついていて自由が利かない状態である。杉乃浦春海の能力の影響で体の自由を取り戻したが、彼女の心には、もはや平蔵への愛情は微塵も存在せず、普通に生きる人間全てに対する妬みだけに取りつかれた怪物と化していた。
しかし、目覚めて直ぐにブギーポップと遭遇。早急に処分され、ただの氷屑と化す。能力は使い方によっては人の弱った部分を凍結させて悪化を防ぐこともできる。ブギーポップ曰く”雪女”。
登場作品:『オルフェの方舟』

『沈黙ピラミッド』の登場人物

館川睦美
深陽学園の元生徒。初登場時高校三年生。在学中、同級生の竹田啓司に片想いをしていたが、告白しないうちに籐花に先を越されたことを後悔している。大学入試が終わり時枝と喫茶店で会話をしていた際、時枝の撮った写真の一枚にブギーポップのような影を見つけたことから写真の影を追い、結果としてメロー・イエローと遭遇することになる。メロー・イエローに脅される形で協力する形となるが、本人はあまり危険意識がない。
登場作品:『沈黙ピラミッド』
小守時枝
睦美の小学生時代からの親友。中学の頃幹也に片想いをしており、今でもその気持ちに変わりは無い。写真を撮る事が趣味で、気に入った構図や風景を見つけては被写体にレンズを向け撮影している。その内の一枚に写った筒のような影を睦美が見つけたことから彼女もまたメロー・イエローと出会い、その運命に巻き込まれていく。写真の腕は趣味という範疇では収まりきらず、睦美曰く「心の動く写真」を撮るプロ並の腕前。
登場作品:『沈黙ピラミッド』
真下幹也
睦美と時枝の中学時代の同級生。睦美に片想いをしていたが告白はできずに高校に上がる。喫茶店で話している二人と久しぶりに再会し、共にメロー・イエローのブギーポップ探しを手伝うが、次第にブギーポップを探すということに既視感を覚え始める。
彼の正体は本物の真下ではなく、メザニーンによって真下の記憶を移され、容姿すら変化したセピア・ステインであった。
登場作品:『沈黙ピラミッド』
メロー・イエロー
空気を操る<ブレス・アウェイ>の能力を持つ、“スーパービルド”の部類に含まれる統和機構の戦闘用合成人間。
組織の裏切り者や危険対象を処分する刺客の仕事を与えられることが主で、その際に抹殺理由を相手に伝えてから仕事に取り掛かるため「死にたがりのメロー」という別名が付けられた。フォルテッシモのことを「先生」と呼び慕い、常に彼を目標としている。見た目は幼女なのだが風貌は異状そのもので、しかし彼女に最も似合ったものでもある。パスタを代表に麺類に対しかなりのこだわりを持っている。
登場作品:『沈黙ピラミッド』
ダウン・ロデオ
三年前までは「ブーメラン・チーム」の戦闘員だったが、セピア・ステインの暴走事件以来統和機構の刺客から逃れるため、現在ではフィクス、ブーメランと共に身を潜めている。しかし街でブギーポップの名を耳にした時、三年前の謎に近付くため彼もまた死神を追う。能力は物質を一瞬で劣化させる能力、<タイアード>。
登場作品:『沈黙ピラミッド』
フィクス・アップ
「ブーメラン・チーム」の一人。物体の熱反応を読み取ったり、物質に熱反応を起こし爆発させることの出来る<ヘビー・ヒート>を操る。遠隔での起爆も可能であり、相手は攻撃を予測できても避けられずに終わる事も多い。
登場作品:『沈黙ピラミッド』
ブーメラン
「チーム」のリーダー。女性。三年前の事件でセピアの暴走に巻き込まれ重傷を負い半身不随になる。近くにいる者の記憶などから新たな情報を箴言として読み出す<ピクチャレスク>を持つが、いわばMPLS的な能力のため統和機構からは常に警戒されている。
登場作品:『沈黙ピラミッド』
セピア・ステイン
「チーム」内で最強の戦士。敵を結晶化させる能力<ストーンズ・キャスト>を使う、いわば"とどめ"役。危険要素のあるブーメランをいざというとき始末させるため統和機構が彼女の側に配置した。“死者が蘇る場所”の調査中に能力の暴走で死亡したと思われていたが、ミイラ化した死体(その後ロデオにより埋められた)は実際には真下幹也のものだった。
登場作品:『沈黙ピラミッド』
メザニーン
それのことを“彼女”が気まぐれで半端な性質を「中二階」に例えてそう呼んだ時、自我が生まれた存在。数千年の時をかけて集められた人の過去のある想いのエネルギー集積体で、MPLSのその能力のみが残ったもの。生きる時代や場所によっては神と呼ばれていたこともあった。自分を見下した“彼女”を見返すために人々から悲しみの感情を吸収し、その能力の拡大を目論んだ。
自分の能力によって自身の正体を見失った相手を見下していたが、かつて逃げ切ったブギーポップと再び対峙した際、自分の正体を聞かされ、自分自身の存在を見失い永遠の疑問を持ったまま消滅する。
登場作品:『沈黙ピラミッド』

『化け猫とめまいのスキャット』の登場人物

輪堂進(りんどう すすむ)
音梨中学の生徒。写真部の部員。常に自由でありたいと思っている。
ある日から黒いマントと帽子を身につけ、「ぶぎい」と鳴く奇妙な猫が見えるようになる。
登場作品:『化け猫とめまいのスキャット』
真駒以緒(まこま いお)
音梨中学の生徒。進とは幼馴染の少女。写真部に所属しているが、機械オンチなので撮影しても全てピンぼけ写真になってしまうという理由でマネージャーを担当している。
進と同じマンションの、すぐ隣の部屋に住んでいる。毎朝自室で霧間誠一の本を朗読しており、その声で起こされるので進には迷惑がられている。
登場作品:『化け猫とめまいのスキャット』
相原亜子(あいはら あこ)
音梨中学の生徒。進らの先輩で、写真部の副部長でもある。投げやりな性格。
部の活動には熱心ではなく、部長の座が空席になっているにもかかわらず、よその部長達がみんな嫌いという理由で現在も副部長のまま通している。
末真和子の知人。
登場作品:『化け猫とめまいのスキャット』
無子規憐(むしき れん)
音梨中学に転校してきた生徒。無愛想だが美少女故に一目を引き、テニス部に勧誘されていたが、進の話を聞き写真部に入部する。
ブギーポップを探しており、不思議な猫を見かけた進に特別な眼を持っているとして興味を持つ。
登場作品:『化け猫とめまいのスキャット』
スキャッターブレイン
音梨町に君臨しているMPLS。対象にイメージを投影・定着させる、人が人である限り決して逃れることのできない「無敵」の能力を持っている。世界の敵。
幼少の頃に能力に覚醒して以来、自らの精神の安定のために周囲のあらゆるものを能力で利用しつくしながら暮らしてきた。
不要な過去を全て他人に押し付けてきたので、本人でさえも自らが何者であるのか分からず、自らをスキャッターブレインと称する。現在の姿もとある人物のイメージを借用しているものである。
登場作品:『化け猫とめまいのスキャット』
セロニアス・モンキー
統和機構に所属する戦闘用合成人間。破壊の波動を手のひらに収束させ、空気のナイフの如く飛ばす<モンクス・ムード>という能力を持つ。
MPLS探索の任務についており、音梨町に一般人として潜伏していた時にスキャッターブレインによる異変に気づく。そしてこれを調査していたが、返り討ちに遭って機構との連絡を絶ってしまっている。
外見は少女のそれだが、最も危険度の高い任務を任される一人であり、ユージン程ではないとしながらもその実力はフォルテッシモにも評価されていた。
手書きの日記を記す趣味があり、偏食家である。
登場作品:『化け猫とめまいのスキャット』

『壊れかけのムーンライト』の登場人物

中条深月
女子高生。藤花、雪乃とは同じ中学の同窓生で友人。年頃の男子を冷やかな目で見ている大人びた女子。「世界の敵」に対する相対存在「プームプーム」(ブギーポップと同種の存在)が浮かび上がらせており、"世界の敵"「バッド・ダンス」と対する自動的な存在。
的場百太
中条深月と同じ高校に通う男子高校生。落ち込んだ相手や、女性と話すのが若干苦手な縁がある。同じ高校に通う深月に片思いしている。警戒心のない浸し見やすい性格であるが、必要以上に他人に気を使う節がある。
弓原千春
百太、万騎の友人。3人の中で盛り上げ役的な立ち位置にあり、女子にセクハラ的な発言が目立つ。"左右対称"の物を見るとどうしても破壊したくなってしまうという特殊な性癖の持ち主。
歌上雪乃
女子高生。正体は統和機構のエージェント「メロディ・クール」で、戦闘用合成人間。能力名は<スティル・クール>。
身長が167cmあり、運動神経も面倒見も良いが競争心がなく、人に厳しくあたるのが不得意。食べ物ではカレーライスが苦手。
深月、藤花という2人の友人を何よりも大切に思っている。
矢嶋万騎
百太、千春の友人。統和機構のエージェント「ホーニー・トード」だが、普通の人間を素体とし"投薬"によって進化を促進させられたタイプ(これも合成人間の範疇に含まれる)。合成人間としては珍しい特に達観した価値観などない家族、友人を思いの少年。女性陣曰く「キザ」。能力名は<レッグ・ミール>で、足裏から生体波動を放出し、その気になればダムを一撃で破壊可能。脚力の増加にも応用できる。

アニメ版『Boogiepop Phantom』の登場人物

ブギーポップ・ファントム
百合原美奈子と同じ顔でブギーポップと同じ服装を身に着けている謎の人物。進化した人々を捕らえ、彼らが本来いるべき時代に目覚めるよう仮死状態にして保護していた。その正体はエコーズが光になった際に電磁的に干渉縞として定着した「マンティコアのトラウマ」。マンティコア・ファントムとは電磁場の量子振動を共有しており、片方が消えるともう一方も消滅する事になる。
マンティコア・ファントム
早乙女正美と同じ姿をした謎の人物。その正体はエコーズが光になった際に電磁的に干渉縞として定着した「マンティコアの記憶」。ブギーポップ・ファントムとは電磁場の量子振動を共有しており、片方が消えるともう一方も消滅する事になるはずだったが、同じく電磁場の量子振動で存在していた岸田一朗(黒田慎平)の身体を乗っ取り逃亡し、その後再び事件を引き起こす事になる。
如月真名花(きさらぎ まなか)
過去を呼び起こす「光の蝶」と戯れている謎の少女。実年齢は5歳だが、外見は15,6歳。彼女の純粋な思いが“世界の危機”を呼び起こすこととなる。
プームプーム
ハーメルンの笛吹き男の格好をした謎の少年。現実を嫌悪する若者から過去の姿をした幻影を取り出し(抜き取られた相手は抜け殻のような状態になる)「王国」を作ろうとする。
真名花によって実体化された及川鎮の過去の幻影が、小島茜の生み出したキャラクターの姿を借りたもの。中条深月の「プームプーム」とは違う固体である。
森田巡査 / スネークアイ
交番勤務の警官だが、その正体はMPLSを始末するために派遣された統和機構の合成人間。及川兄妹を襲撃し返り討ちにあう。
目を見た相手の記憶を消す能力を持つほか、攻撃時には蛇のような軟体の体になる。
殿村望都(とのむら もと)
潔癖症な少女。早乙女正美の中学時代の同級生で彼に思いを寄せていた。マンティコア・ファントムと出会う。
鈴木康子
望都の親友。『ブギーポップは笑わない』作中にて語られた早乙女正美の昔の彼女。
城之内久志
来生真希子に与えられた進化薬の影響で、人の心に巣食う「虫」がみえるようになった。人助けのつもりでその虫を捕食するうちに中毒になる。
有藤美鈴
通称「パヌルー」。亡き親友、恵の「世界のすべてを肯定し受け入れる」という生き方「世界愛」を実践しているが、実際は親友を失った絶望をごまかすための欺瞞でしかなかった。
マンティコア・ファントムに媒介として利用される。中途半端な能力だったため、ブギーポップ・ファントムに保護される事もなく、スネーク・アイに殺される。
遠山恵
美鈴の親友(故人)。フィア・グールに殺された犠牲者の一人。
「世界愛」という生き方の発想者であり、「パヌルー」も本来は彼女のあだ名だったが、脚本家の水上清資は彼女自身も原型であるアルベール・カミュの作品を正しく理解しているとは限らないとしている。
なお、彼女の両親は『パンドラ』に登場した神元功志の両親の新興宗教にのめりこんでいたという裏設定がある。
菅沼洋次
美少女ゲーム好きなオタク。マンティコアの薬物の影響で、バイト先の後輩とゲームのキャラを混同するなど現実と妄想の区別がつかなくなり、壊れてゆく。
若狭静枝
フィア・グールによって引き起こされた殺人事件の被害者。『夜明けのブギーポップ』でも名前が出ている。
若狭幸子
静枝の母。行き違いがあった中で娘を亡くし、心をいためていたが、「光の蝶」により彼女の思いを知る。
及川鎮
「分解」という行為に執着する少年。エコーズの影響で自分に念じた対象を分解する能力があると思うようになる。
及川小夜子
鎮の妹。エコーズの影響でMPLSとなる。
吉沢早紀
音大志望だったがピアノ講師に能力不足と否定され絶望していたところを、プームプームによって幼少時の自分を引き出される。本人はその後幼児退行の末自殺。
田畑良樹
エコーズの影響で読心能力を得るが、その結果同級生たちが友達面で自分を利用していると知り、自分に友達がいないことを知る。プームプームによって幼少時の自分を引き出され、電話を通じてその輪を広めようとする。
小島茜
藤花の友人。進路を考える時期で童話作家という昔からの夢をあきらめようとしていた矢先に真名花とプームプームと出会う。
その後凪によって救い出され、藤花の励ましを受け童話を書き続けることを選んだ。
山本巡査
森田の同僚。彼の「統和機構の存在を教え、その後能力で記憶を消す」という退屈しのぎの対象となる。
如月真弓
真名花の母。来生とは顔見知り。妊娠中に来生に統和機構の薬を与えられたため、娘はMPLS、自身も記憶に障害を負う。

漫画版『ブギーポップデュアル』の登場人物

ブギーポップ
小説版と同じく世界の危機に関わる異変を察知した時に自動的に現れる不気味な泡。ただし宮下藤花ではなく秋月貴也の別人格として現れ、ブギーポップかと問われた際「たしかーそう呼ばれた事もあったかな」と答えている。武器もワイヤーではなく、主に蹴りと強烈な衝撃波を使い攻撃する。また、『崩壊のビート』 (DIS BEAT DISRUPTS) を察知する事が出来るが、それは「世界の敵」と呼ばれる者達が共通して発するモノなのか、単に今回の敵の能力名だったのかは不明。
秋月貴也(あきづき たかや)
やや気の弱い男子高校生。自分の中にある別人格(ブギーポップ)を自覚しており、その存在と行動を周りに理解してもらえず悩んでいた。彼自身は何の力も持たないが、唯一の理解者である五十嵐初佳を助けるため、自ら『世界の敵』と対決する。
全編通して「秋月」と呼ばれており、名前が「貴也」である事が判明したのは最終話のラスト1ページである。
五十嵐初佳(いがらし もとか)
高校の保健教諭。気が強く大雑把な性格で、相当な酒飲みでもある。病院の屋上で秋月貴也と出会い、後に自分の勤める高校へ入学する事を勧めた。彼女自身もかつてブギーポップを宿した事があり、世界の敵である加納と対決しているが敗北している。恋人である本上の死とそれに関連する高校時代の記憶を<自らの泡の記憶と共に>深く沈めて忘れてしまっている。
加納(かのう)
新任の高校教師。生徒の悩みをよく聞いてくれる先生として人気があるが、心にどんなささいなものでも傷(敗北の記憶や諦めの気持ち)を持つ人間を、例外無く崩壊させ狂わせる事の出来る『世界の敵』。昔から自分の能力で実験を繰り返し、惨劇を起こした。高校生の頃にブギーポップと戦った事があるが、そのブギーポップは女子高校生の姿をし、特殊なワイヤーを使っていた。秋月に宿ったブギーポップを見て「器が違うが同じ感触」と評する。一度はブギーポップを打ち破り、二度目のブギーポップとの対決もその能力(勝てないかもしれないという不安さえも武器になるため、一度勝った相手には絶対的な有利を得る)ゆえにブギーポップを再び追い詰めるも、それを悟ったブギーポップのある行動と、心の弱さを乗り越えた秋月に敗北した。
古賀雪絵(こが ゆきえ)
秋月貴也のクラスメート。悪質なストーカーに襲われた時にブギーポップに助けられた。この事件がきっかけで秋月にほのかな好意を抱くが失恋し、加納につけ込まれる。
本上(ほんじょう)
五十嵐初佳の高校生時代の担任。後に恋仲になるが、加納の実験に巻き込まれ死亡する。

脚注

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  1. 解りやすい例では来生真希子や、杉乃浦春美を殺した場面。
  2. 体術の技量も達人をも凌駕するレベルではあるが、肉体面での彼女の真の強さはヴァルプルギスが「"経験"の蓄積」であると話している。また、自らよりずっと強い相手にも立ち向かい続けてきた事はそれを更に補強する形になっている。