怪獣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

怪獣(かいじゅう)とは、正体のわからない怪しいを意味する日本語俗称である。この場合の「獣」は、本草学上の「」や生物学上の哺乳類(獣)のみを指すわけではなく、広義では動物全般を指す。

ただし、怪獣映画などサブカルチャーの世界での用法は、動物のように動く、動物以外の生命体[注 1]が当たり前のように存在する世界観ゆえに、このような定義からはみ出す部分が多分にある(※詳しくは後述)。

怪獣と怪物

ネッシーのような未確認動物 (UMA) は「モンスター(怪物)」とも呼ばれるが、この種の存在を「怪獣」と呼ぶことがある。また、怪物タラスクジェヴォーダンの獣のような伝説上の「モンスター(怪物)、ビースト(獣)」も、ときとして「怪獣」と表現される(翻訳される)場合がある。 初期の怪獣映画はネッシーのような巨大モンスターを映像化したものであるが、怪獣映画が増えるに連れて「怪獣」の言語的適用範囲は曖昧になり、ファンタジーSF作品に登場する架空の生命体や、ときとして、生命があるかはっきりしない存在までも怪獣と呼ぶようになった。 このように、「怪獣」と「怪物モンスター」は、狭義と広義のいずれでも語義的に重なる部分が多いとは言え、なみはずれた競技者や異端児・風雲児などといった規格外の個人の二つ名としても使われる[注 2]など、後者にはさらなる広義での用法があり、両者は完全に一致するものではない。

テンプレート:Anchor日本の創作作品における怪獣

二義的には、第二次世界大戦後日本において、円谷英二らにより多数製作された怪獣映画や、ウルトラシリーズ(類似のテレビ番組を含む)に登場する、巨大で強力な生物を指す(そのためか恐竜=怪獣というイメージも誕生した)。最も代表的な存在はゴジラである。その多くは、近代兵器によって殺傷することが難しく、人類の科学では解明できない特殊能力(例えば、破壊光線を口から放射する)を持っている。怪獣は架空の存在ではあるが、劇中ではしばしば、太古に存在した生物、あるいは伝承としてのみ伝えられる生物が未開の地域に生息しており、文明の発達によって人間の生活圏が拡がって怪獣の生息域と接触した結果、人間社会に現れるという形で描かれる。

これらの映像作品では、「怪獣」「大怪獣(だいかいじゅう)」などと称する架空の巨大かつ強暴な生物が活躍し、その人気により、二義的な意味での「怪獣」の観念が広く受け入れられるところとなった。映像作品における類似のジャンルに「怪人」などもある。

また、様々なキャラクターが創出されてゆくなかで、「小さい」「可愛げがある」「(見た目からして)可愛い」「弱い」「危険性が無い」「友好的」などといった、元来のイメージとは正反対の特徴を持つ怪獣も考え出されてきた。例えば、特撮番組『ウルトラマン』に登場する小さくて友好的なピグモンも、アニメおらぁグズラだど』に登場する愚図で泣き虫のグズラも、子供向け特撮番組『クレクレタコラ』に登場する凶暴ながらまぬけで愛嬌があるタコラも、怪獣である[注 3]

海外

ハリウッド映画など日本以外の国で製作された映像作品では、二義的な意味での怪獣の描写に成功したものはほとんど無い。その多くは、巨大な恐竜や既知の生物が巨大化したもの(キングコングや巨大なクモなど)として描かれており、二義的な意味での怪獣の概念とは異なる。例えば、トライスター・ピクチャーズが製作した映画『GODZILLA』に登場するゴジラ(『ゴジラ FINAL WARS』で「ジラ」と呼ぶ)は、日本の同種の作品に登場する怪獣ゴジラと同じ名前ではあり、人間よりはるかに巨大で強力ではあるが、最終的にはミサイルなど通常の現用兵器で十分対処可能な生物として描かれている。これは、日本で製作される同種の作品では見られないことである。

しかし最近は2008年の映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』など、日本的な人知を超えた形質・能力を持つ怪獣の描写も行われている。2013年の『パシフィック・リム』では、従来兵器の通用しない怪獣に対して、人類が(これも日本のロボットアニメ的な)巨大ロボット兵器を開発している。

怪獣は英語で言うと "monster(モンスター)" といったところであるが、日本で言う「怪獣」は前述のとおり人知を超えた巨大生物として描かれることが多く、同義とはいいがたい。『パシフィック・リム』ではそのまま「KAIJU」と呼称されている。

属性と分類

怪獣(特に日本製の怪獣)には「☓☓怪獣」というように、出生や能力などを示唆する代名詞が付けられる場合が多い。また、その代名詞がそのまま怪獣の属性を示し、分類の目安にもなっている。その代表的な例を以下に列記する。

  • 地底怪獣

地中から山を突き崩して現れる怪獣。新発見された洞窟から現れるものも、これに含まれる。地中を掘り進む能力に優れ、胴体も四肢も太いものが多い。『フランケンシュタイン対地底怪獣』のバラゴン、『ウルトラマン』のテレスドン、マグラーなどが代表的。

  • 海底怪獣

海中から現れるもの、または海中を主な生活圏とするもの。「深海怪獣」とも言う。そのほとんどが上陸し、地上でも暴れまわることが出来る。蟹やタコ、魚などの水生生物の形態に近いものが多く、東宝のゴジラや『ファイヤーマン』の怪獣のように恐竜型のものは海底怪獣としての属性に言及されることは少ない(古代怪獣とされる場合が多い)。

  • 古代怪獣

先史時代の地球に生息していた怪獣や、恐竜などの古生物の生き残りが怪獣化したもの。「原始怪獣」とも言う。現在まで地底や氷の中で眠っていたものが人間が原因で蘇り暴れまわるものが多く『ウルトラマン』のゴモラなどが代表的。

地球外から来襲するもの。地球を襲わなくとも地球外に生息していれば「宇宙怪獣」と呼ばれる。地球外の生物だけに常識を超えた超能力を持つものが多く、その形態も不条理であったりする。また『ウルトラセブン』の登場怪獣の様に、高度な知性を持つ宇宙人に侵略兵器として使役される物も多い。なお、東宝キングギドラは桁外れに強大であるため、しばしば「宇宙超怪獣」などと呼ばれる。ゼットンガイガンなど一部の宇宙怪獣は「宇宙恐竜」という種族にに分類される。

  • 冷凍怪獣

出生や生息地を示すというより、特殊な能力を言い表したもの。すなわち、あらゆる物体を瞬間冷凍させる能力を有する怪獣群である。『ウルトラQ』のペギラや『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』のバルゴン、テレビドラマ版『ジャイアントロボ』のアイスラーなどがこの種類の最初期のキャラクターである。ただし、瞬間冷凍能力があるからといって必ずしも寒冷地に生息しているとは限らず、バルゴンなどはニューギニアのジャングルが生息地と設定されている。

  • 昆虫怪獣

文字どおり昆虫をモチーフとして創られた怪獣キャラクターの総称。放射能や工業廃水の影響で突然変異したものもあれば、宇宙から来たものもある。宇宙から来たものは「宇宙怪獣」とも呼べるが、その形態および生態があまりにも昆虫的である場合にはこちらに含まれてしまう。特に『ガメラ2 レギオン襲来』に登場したレギオンなどは微妙なところである。

  • ロボット怪獣

東宝のメカゴジラなどに代表される巨大ロボットの総称。

食性と生態

欧米の映画作品では「怪獣(または怪物)が人や家畜を襲って食べる」という場面がよく見られるが、日本の怪獣が人畜を捕食することはほとんど無い。これは日本の「怪獣」というものが英語で言う「monster」の概念を遥かに超えており、戦車、ミサイル、ジェット戦闘機などの在来兵器では歯が立たないほどの強大な超能力まで持っているため、そうした能力を発揮するのにふさわしいような「特殊な食性と生態」を設定されているからである。たとえばガメラは炎や溶岩の熱エネルギー、電力などを吸収し、それを火炎噴射や飛行能力のエネルギーに変換する。かつては太古の恐竜類とよく似た生物だった筈のゴジラも、水爆実験によって眠りを覚まされて以後「放射性物質(主にウラン)を食べる」ということになっている。その他にも『ウルトラマン』のペスターのように石油を飲む怪獣、『ウルトラQ』のカネゴンのように現金を食べ続けないと死んでしまう怪獣、さらにグドンバードンの様に他の怪獣を捕食する物など、常識を超えた食性を示すものが多い。日本の怪獣は「人間を襲う存在」ではなく「人類をおびやかす存在」として描かれる場合が多く、それ故に文明の崩壊や経済の疲弊を連想させるような食性のものが大半である。また、そのような特殊な食性のせいか、或る程度の生態描写があったとしても「排泄」まで表現されることはほとんど無い。ただ、例外的なものとしては『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』に登場したダイゴロウが挙げられる。この怪獣は「母親を亡くし、人間に飼育されている雑食性の巨大生物」という設定で、およそ人間と同じく肉・魚・野菜・果物・穀類を食べ、専用の巨大便器で用をたすという描写まであった。いずれにしろ、日本の「怪獣」は欧米の「monster」とは違った概念でとらえるべきであり、独自の発展をとげた「キャラクター文化」として見るべきである。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

テンプレート:Reflist

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:参照方法

関連項目

テンプレート:Sister

外部リンク


引用エラー: 「注」という名前のグループの <ref> タグがありますが、対応する <references group="注"/> タグが見つからない、または閉じる </ref> タグがありません