ジャワ語
ジャワ語 (Basa Jawa, インドネシア語: bahasa Jawa) は、インドネシア・ジャワ島の中央部から東で話されている言語である。
ジャワ語は、オーストロネシア語族に属し、従って、インドネシア語、マレーシア語と非常に関係が深い。ジャワ語話者の多くは公的な場面で、また仕事の上で、インドネシア語を話す。
敬語が発達していることでも知られる。
概要
ジャワ語は、オーストロネシア語族のマレー・ポリネシア語群の西マレー・ポリネシア語群のスンダ語群に属する。言語学的に見て、マレー語、スンダ語、マドゥラ語、バリ語と深い関係がある。また、スマトラ島やボルネオ島の諸語、マダガスカル語といくらかの関係がある。
ジャワ語は中央ジャワから東ジャワにかけて話されている。また、西ジャワの北海岸でも同じように用いられている。マドゥラ島、バリ島、ロンボク島、および西ジャワのスンダ語地域において、文語として用いられる。パレンバン、南スマトラでの宮廷では、18世紀の終わりにオランダによって侵略されるまで宮廷語であった。
ジャワ語は、世界でも伝統のある言語のひとつと見ることができる。12世紀以上にわたって、多くの文学作品が書かれている。学者は、ジャワ語の発達を四つの段階に分けている。
- 古ジャワ語 - 9世紀以降
- 中期ジャワ語 - 13世紀以降
- 新ジャワ語 - 16世紀以降
- 現代ジャワ語 - 20世紀以降(この段階はあまり一般的でない)
ジャワ語は現在、どこの国の公用語でもないが、ジャワ語を母語として用いる人の数は、オーストロネシア語族の中で、断然一位である。およそ八千万人がこの言葉を話すかまたは理解する。少なくともインドネシアの総人口の 45% は、ジャワ語の家系であるか、ジャワ語が支配的な言語である地域に住んでいる。1945年以降、インドネシア大統領の五人に四人までがジャワ語の家系である。従って、インドネシアの国語でありマレー語の新しい方言であるインドネシア語の発展に、ジャワ語が大きな影響を与えていることは、驚くべきことではない。
方言
ジャワ語には中央ジャワ方言、東ジャワ方言、西ジャワ方言の、三つの主要な方言がある。
- Tembung (jav-tem)
- Jawa Halus (jav-jaw)
- Pasisir (jav-pas)
- Manuk (jav-man)
- Indramayu (jav-ind)
音韻
母音
前舌 | 中舌 | 後舌 | |
---|---|---|---|
狭 | [i] | [u] | |
半狭 | [e] | [ə] | [o] |
半広 | [(ɛ)] | [(ɔ)] | |
広 | [a] |
子音
両唇音 | 歯音/ 歯茎音 |
そり舌音 | 硬口蓋音 | 軟口蓋音 | 声門音 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
鼻音 | [m] | [ɳ] | [ɲ] | [ŋ] | |||
破裂音/破擦音 | [p b̥] | [t d̥] | [ʈ ɖ̥] | [tʃ dʒ̊] | [k ɡ̊] | [ʔ] | |
摩擦音 | [ʂ] | [h] | |||||
接近音 | 中線音 | [ɽ] | [j] | [w] | |||
側面音 | [ɭ] |
両唇音 | 歯音 | 歯茎音 | そり舌音 | 硬口蓋音 | 軟口蓋音 | 声門音 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
破裂音 | p b | t d | テンプレート:Br | [ʈ] [ɖ] | [tʃ] [dʒ] | k g | ʔ |
摩擦音 | s | *[ʂ] | h | ||||
接近音 | w | l | r | j | |||
鼻音 | m | n | テンプレート:Br | *[ɳ] | [ɲ] | [ŋ] |
文字
ジャワ語は、インドのブラーフミー文字の流れをくむテンプレート:仮リンク、アラブ・ジャワ文字、ジャワ語に適化したアラビア文字(ジャウィ文字)、ラテン文字で書かれる。
大文字 | |||||||||||||||||||||||||||
A | B | C | D | E | É | È | F | G | H | I | J | K | L | M | N | O | P | Q | R | S | T | U | V | W | X | Y | Z |
小文字 | |||||||||||||||||||||||||||
a | b | c | d | e | é | è | f | g | h | i | j | k | l | m | n | o | p | q | r | s | t | u | v | w | x | y | z |
以下の文字はヨーロッパの言語やアラビア語からの借用語で使用される。