網干総合車両所
テンプレート:Redirect テンプレート:車両基地 網干総合車両所(あぼしそうごうしゃりょうしょ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の車両基地および車両工場である。
本項では、前身である網干電車区についても記述する。
目次
概要
1968年10月に明石電車区網干派出所として開設したが、1970年3月に網干電車区として明石電車区から独立した。その後、2000年4月に阪神・淡路大震災復興に伴う再開発に敷地を提供するため、鷹取工場・明石電車区の検修部門と網干電車区を統合して、網干総合車両所となった[1]。
2009年6月に加古川鉄道部の検修部門を統合、2012年6月には組織改正により宮原総合運転所などを統合している。
本所
兵庫県揖保郡太子町にあり、山陽本線網干駅の西方に位置している。敷地面積は約130,000m²である。網干電車区時代は山陽本線上下本線間に挟まれた配置になっていたが、網干総合車両所への拡充にあたり下り本線が移設され、下り本線の南に位置する現在の形となった。なお、0番線(網干総合車両所の一番南の線路)はかつての下り本線である[2]。
検修庫は3つあり、「第1検修庫」では221系以降のJR形式電車、「第2検修庫」では国鉄型電車・客車・気動車の全般検査・要部検査を行うが、JR形式電車で短編成のものは「第2検修庫」を使用する場合もある。「第1検修庫」には8両編成までまとめて持ち上げることができるジャッキが設置されている。「第3検修庫」では交番検査・仕業検査・臨時検査が実施される。構内配線は、仕業線・電留線14本、洗浄線3本、試運転線1線、入換線(転削線)1線となっている。
主な検査車両は、自所配置の車両の他、岡山電車区の電車、宮原支所の客車、姫路鉄道部・亀山鉄道部の気動車を担当している。
宮原支所
大阪府大阪市淀川区木川東にある車両基地で、新大阪駅の西隣にある。かつての宮原総合運転所を継承している。2012年6月の組織改正により、宮原支所には以下の派出所が設けられた。
野洲派出所
滋賀県野洲市の東海道本線(琵琶湖線)篠原駅 - 野洲駅間に位置している車両基地。かつての野洲電車区で、京都総合運転所野洲派出所を継承している。
米原派出所
滋賀県米原市の東海道本線(琵琶湖線)米原駅に隣接している車両基地。かつての京都総合運転所米原派出所を継承している。電留線のみ設けられている。 テンプレート:-
明石支所
兵庫県明石市の山陽本線(JR神戸線)明石駅 - 西明石駅間に位置している車両基地で、かつての明石電車区の検修部門を継承している。敷地面積は約63,000㎡で、上下電車線に挟まれる形になっている。
構内配線は、仕業・電留線10本、電留線6本、洗浄線2本となっており、交検庫では主に交番検査・仕業検査および臨時検査が行われている。
2000年4月に明石電車区の検修部門と統合して網干総合車両所明石支所に改称、2004年6月に網干総合車両所明石品質管理センターに改称した[3]が、その後網干総合車両所明石支所に戻されている[3]。
明石支所には以下の派出所が設けられている。
加古川派出所
兵庫県加古川市にある車両基地で、加古川線厄神駅北隣に位置している。2009年7月の組織改正で加古川鉄道部が廃止されたのに伴い、同鉄道部の厄神基地が統合されて、網干総合車両所加古川派出所となった。
構内配線は、仕業・電留線2本、洗浄線1本、電留線5本となっている。
高槻派出所
大阪府高槻市にある車両基地で、東海道本線(JR京都線)高槻駅 - 島本駅間に位置している。かつては高槻電車区として発足した。その後は宮原電車区や京都電車区の派出所としていたが、1993年から吹田工場高槻派出所になり、同派出所を継承している。 テンプレート:-
放出派出所
大阪府東大阪市川俣にある車両基地で、片町線(学研都市線)放出駅の南東、おおさか東線放出駅 - 高井田中央駅間に位置している。森ノ宮電車区放出派出所を継承しており、かつては淀川電車区(二代目)として車両も配置されていた。京橋派出所
大阪府大阪市城東区にある乗務員のみの組織。
過去に存在していた組織
- 網干総合車両所鷹取支所
車体に記される略号
- 整備済み車両に記される略号
- 網干総または AB と記されている。
- 配置車両の車体に記される略号
- 所属組織の略号と、網干の電報略号である「ホシ」から構成されている。
国鉄分割民営化後は近ホシ(「近」は近畿圏運行本部の意味)で、その後の組織改正により「本ホシ」(「本」は本社直轄の意味)となり、1993年6月の神戸支社発足により「神ホシ」(「神」は神戸支社の意味)を経て、2010年12月の組織改正により近ホシ(「近」は近畿統括本部を意味)に戻った[4]。
- 各支所
- 宮原支所
- 電車及び客車は近ミハ、機関車は宮と表記される
- 明石支所
- 近アカ
現在の配置車両
アーバンネットワークのうち、東海道・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)・福知山線(JR宝塚線)・JR東西線・片町線(学研都市線)・湖西線で運用されている電車が集中的に配置されている。
区所 | 電車 | 気動車 | 機関車 | 客車 | 貨車 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
本所 | 891両 | 0両 | 0両 | 0両 | 0両 | 891両 |
宮原 | 135両 | 0両 | 8両 | 53両 | 0両 | 196両 |
明石 | 760両 | 0両 | 0両 | 0両 | 0両 | 760両 |
加古川 | 20両 | 0両 | 0両 | 0両 | 0両 | 20両 |
全体 | 1,806両 | 0両 | 8両 | 53両 | 0両 | 1,867両 |
本所
- 221系(152両)
- 8両編成(A編成)7本、6両編成(B編成)14本および4両編成(C編成)3本の計24本が所属している。
- 東海道・山陽本線(琵琶湖・JR京都・JR神戸線)の快速・普通に運用され、C編成には東海旅客鉄道(JR東海)区間の大垣駅まで乗り入れる運用がある。
- 1997年から、223系・225系の増備に伴い、奈良電車区(現・吹田総合車両所奈良支所)や京都総合運転所(現・吹田総合車両所京都支所)への転出が続いている。
- 223系(652両)
- 1000番台・2000番台・6000番台が所属し、合わせて8両編成(W編成)39本、6両編成(J編成)14本および4両編成(V編成)64本の計117本が所属している。
- 2000番台の一部の車両は、221系との連結運転を前提に、221系と同等の運転性能とする改造がなされている。これらは6000番台が付与されており、221系C編成との共通運用となっている。
- 東海道・山陽本線(琵琶湖・JR京都・JR神戸線)の新快速や快速(普通)を中心に運用され、V編成は播州赤穂駅・上郡駅・近江塩津駅・敦賀駅やJR東海区間にも乗り入れる(但し、近江塩津駅や敦賀駅への乗り入れる列車は6000番台を除く。)。また、J編成もJR東海区間に乗り入れる。
- V・J編成は、応援の運用として岡山地区や広島地区での運用実績がある。
- 225系(68両)
- 103系(18両)
- クモヤ145形(1両)
- 事業用車両の牽引車で、1108の1両が配置されている。
- 221-c15-.jpg
221系
- Jrw223-2000.jpg
223系2000番台
- JRWSeries225-HoshiI3.jpg
225系0番台
- JRW103 3508.jpg
103系3500番台
宮原支所
電車
- 225系電車(42両)
- 225系のうち、6000番台の6両編成(ML編成)5本と4両編成(MY編成)3本の計8本が配置されており、福知山線(JR宝塚線)で運用されている[6]。全車が本所からの転属車である。
- 223系電車(88両)
- 205系電車(4両)
- クモヤ145形電車(1両)
- 事業用車両の牽引車で、1004の1両が配置されている。
- JRW series225-6000 Takarazuka.jpg
225系6000番台
- JRW series223-Takarazukajpg.jpg
223系6000番台
- JRW series113-Takarazuka.jpg
113系
- JRW series205-Kobe.jpg
205系0番台
客車
- 24系客車(31両)
- 寝台特急「トワイライトエクスプレス」用10両編成3本など、31両が配置されている。
- 12系客車(12両)
- 14系客車(8両)
- ジョイフルトレイン「サロンカーなにわ」7両編成1本、ジョイフルトレイン「あすか」編成のうち1両の計8両が配置されている。
- マイテ49形客車(1両)
- オヤ31形客車(1両)
- 建築限界測定用試験車。
機関車
- DD51形ディーゼル機関車(5両)
- 客車やJR西日本の工事列車を牽引している。
- DE10形ディーゼル機関車(3両)
- うち1両はジョイフルトレイン「きのくにシーサイド」の牽引機であった。
- 運転所内の入換作業に使用されている。
明石支所
- 321系(273両)
- 207系(480両)
- 7両固定編成(F編成)1本、4両編成(Z編成22本・T編成30本・H編成16本)68本および3両編成(S編成)67本の計136本が所属している。このうち3両編成1本(S18編成)は運用から外れているため、実運用数は135本(477両)となっている。
- 2010年3月13日改正までは、F編成以外は京田辺駅で3両編成の分割・併合を行い、京田辺駅 - 木津駅・奈良駅間は4両編成で運用されていたが、片町線全駅のホームが7両編成でも対応できるようになったため、4両編成と3両編成のペアを組んでおり、常に連結状態の7両編成で運転されている。
- 東海道・山陽本線(琵琶湖・JR京都・JR神戸線)加古川駅 - 野洲駅間、平日ダイヤでの湖西線京都駅・山科駅 - 近江舞子駅間、福知山線(JR宝塚線)尼崎駅 - 篠山口駅間、JR東西線・片町線(学研都市線)、関西本線(大和路線)木津駅 - 奈良駅間で運用されている。2011年3月11日夕方から、尼崎駅からJR東西線・片町線(学研都市線)・おおさか東線・関西本線(大和路線)を経由して、奈良駅までの直通快速の運用に就いている。
- 1000番台登場当時は6両+2両編成であり、当時は吹田電車区高槻派出所所属だったが、1997年3月のダイヤ改正(JR東西線開業)で宮原・淀川両電車区の車両を集約して現行の編成(4両 + 3両)になっている。
- 103系(6両)
- 和田岬線用の6両編成(R編成)1本が所属している。
- 和田岬線用の車両は、日中は乗務員の訓練車両としても使用されている。1編成のみのため、検査などで運用を離れると前述の207系が代走する[12]。
- クモヤ145形(1両)
- 事業用車両の牽引車で、1109の1両が配置されている。
- WestJapanRailwayCompanyType321-1.jpg
321系
- JRW series207 Gakken.jpg
207系
- JRW series103 Wadamisaki.jpg
103系
加古川派出所
- 103系(16両)
- 125系(4両)
- 1両編成(N編成)4本が所属している。ワンマン運転対応。西脇市駅 - 谷川駅間は全列車がこの系列での単行運転となっている。
- JRWest1033550.JPG
103系3550番台
- JRW kumoha125-12.jpg
125系
過去の配置車両
国鉄時代は113系電車のみが配置されており、7両基本編成(K編成)と4両付属編成(F編成)が所属していた。JR化後に115系電車が転入し、113系と同様の編成を組んで東海道・山陽本線で運用された。
2000年4月1日付で、明石電車区の検修部門と車両配置を明石支所として、鷹取工場を鷹取支所としてそれぞれ統合したため、201系電車、205系電車、キハ35・キクハ35形気動車が新たに所属するようになった。
1989年から221系電車が、1995年からは223系電車が投入され、2004年10月16日ダイヤ改正で113系電車および115系電車は運用を離脱し、一部車両は他線区に転用された。また、201系電車と205系電車に関しては、2005年から行われた321系の投入によって森ノ宮、奈良、日根野の各電車区(いずれも現・吹田総合車両所の支所)に転属した。なお、和田岬線で運用されていたキハ35・キクハ35形気動車は、同線の電化に伴い廃車となった。
歴史
網干総合車両所の発足
- 1965年(昭和40年)6月 - 用地買収開始。
- 1968年(昭和43年)10月 - 明石電車区網干派出所として使用開始。
- 1969年(昭和44年)2月 - 増強工事開始。
- 1970年(昭和45年)3月1日 - 明石電車区から独立して、網干電車区として発足[13]。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道に継承。
- 2000年(平成12年)4月1日 - 網干電車区に鷹取工場の機能を移転統合し、網干総合車両所に、明石電車区の検修部門を統合して網干総合車両所明石支所になる[14]。鷹取工場内にあった和田岬線車両の車庫は網干総合車両所鷹取支所として残された。
- 2001年(平成13年)7月1日 - 和田岬線の電化により、網干総合車両所鷹取支所が廃止。
- 2004年(平成16年)6月1日 - 網干総合車両所明石支所が網干総合車両所明石品質管理センターに名称変更[3]。
- 2007年(平成19年)7月1日 - 明石品質管理センターが明石支所に改称[3]。
網干総合車両所の拡大
- 2009年(平成21年)7月1日 - 加古川鉄道部が廃止され、鉄道部の車両・検修関係が統合されて、網干総合車両所加古川派出になる[15]。
- 2010年(平成22年)12月1日 - 近畿統括本部の管轄になる。
- 2012年(平成24年)6月1日 - 組織改正により以下のように変更。
- 宮原総合運転所が網干総合車両所に統合され、宮原支所になる。京都総合運転所野洲派出所・米原派出所はそれぞれ宮原支所の派出所になる。
- 森ノ宮電車区放出派出所と吹田工場高槻派出所はそれぞれ明石支所の派出所になる。
- 明石支所加古川派出は明石支所加古川派出所になる。
参考文献
- 鶴通孝「アーバン輸送の基幹を支える網干総合車両所の機能を見る」『鉄道ジャーナル』2009年10月号、鉄道ジャーナル社。
- 『運転協会誌』2012年6月号、日本鉄道運転協会、p.1 - p.3。
- ジェー・アール・アール編『JR気動車客車編成表 2012』交通新聞社、2012年。ISBN 978-4-330-29212-0。
脚注
関連項目
テンプレート:西日本旅客鉄道近畿統括本部- ↑ 網干総合車両所の発足及び鷹取工場の操業終了について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2000年2月16日
- ↑ 鶴通孝「アーバン輸送の基幹を支える網干総合車両所の機能を見る」『鉄道ジャーナル』鉄道ジャーナル社、2009年10月号、p.48。
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 ジェー・アール・アール編『JR電車編成表2014夏』交通新聞社、2014年。pp.166 - 182。ISBN 978-4-330-46614-9。
- ↑ 組織改正などについて - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2010年11月16日
- ↑ 「JR旅客各社の車両配置表」『鉄道ファン』2014年7月号、交友社。ただし電車については『JR電車編成表』を優先
- ↑ テンプレート:PDFlink - 西日本旅客鉄道福知山支社プレスリリース 2011年12月16日
- ↑ 『鉄道ダイヤ情報』2011年2月号、交通新聞社。
- ↑ 【JR西】広島地区で223系による乗務員訓練実施- 鉄道ホビダス ネコ・パブリッシング RMニュース 2012年12月10日
- ↑ 『鉄道ダイヤ情報』2011年3月号、交通新聞社。
- ↑ 「大阪中心部のJR線事情」『鉄道ダイヤ情報』2011年5月号、交通新聞社、p.17。
- ↑ 【JR西】阪和線の話題 - 鉄道ホビダス(2013年3月18日)
- ↑ 和田岬線に207系が入線 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年8月7日
- ↑ 『近畿地方の日本国有鉄道 -大阪・天王寺・福知山鉄道局史』大阪・天王寺・福知山鉄道局史編集委員会、2004年、p.372。
- ↑ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2010年夏』交通新聞社、2010年、p.171。ISBN 978-4-330-14310-1。
- ↑ ジェー・アール・アール編『JR気動車客車編成表 2011』交通新聞社、2011年。ISBN 978-4-330-22011-6。