ずんだ

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ずんだは、枝豆(未成熟な大豆)またはそら豆をすりつぶして作る緑色ペーストのこと。「づんだ」「じんだ」「じんだん」「ヌタ」とも呼ばれる(以下、「ずんだ」を用いる)。北東北南部の秋田県横手盆地岩手県南部、南東北宮城県山形県福島県、および、北関東栃木県北西部において郷土料理に用いられる。

甘味のずんだ餅、あるいは、塩味の和え物として利用するのが伝統的である。近年、さまざまなずんだ料理や新製品の開発が進み、甘味のものはずんだスイーツと括られるようになってきた。さらに、塩味のスナック菓子や料理にも使われ、ひとつの料理のジャンルと化して来ている。

概要

ずんだの元となる青ばた豆はに収穫されるため、ずんだは季節料理、特にずんだ餅はお盆お供えとして認識されている面もある。その鮮やかな緑色は、ずんだを食する地域では風物詩でもある。例えば、仙台においてずんだ餅を販売する店は仙台七夕あたりからお盆までが繁忙期であり、年間のずんだ餅販売数の約半分をこの時期に売り上げる店もある。

現在は、冷凍技術の発達から、冷凍食品の枝豆を用いて年中家庭や食品工場でずんだを作ることが出来るようになっている。また、業務用に通年入手可能なずんだ餡や枝豆ペーストがすでに開発されていたが、2008年(平成20年)になり、お湯を注ぐとずんだ餡に戻る粉末が山形県で開発され[1]、さらに、真空条件下で枝豆のペーストやジャムを生産する技術が宮城県で開発される[2]など、これら画期的な技術開発によりずんだ業界に変革がもたらされると期待されている。

近年、あずき餡や抹茶粉末と同様に、和菓子に限らず洋菓子にもずんだを用いる試みが行われており、ずんだスイーツと呼ばれるジャンルが形成されてきている。他方、塩味のずんだ料理の開発も進んでいる。さらに仙台市では、ずんだ餡に黒豆竹炭を加え、もちにも黒米を加えて作られた黒色のずんだ餅が開発され、「ずんだは緑色」との既成概念を崩す試みがなされている[3]。これは、ずんだ独特の青臭さを苦手とする人にも、ずんだを食してもらうための試みでもある[4]

一方、山形県・庄内地方の「だだちゃ豆」や宮城県の「仙台ちゃ豆」など、特産の枝豆をずんだに用いて、製品の差別化を狙う動きも見られる[5]

また、萩の月で著名な菓匠三全がずんだスイーツ専門店の「ずんだ茶寮」を仙台圏首都圏空港百貨店に展開するようになり、全国へずんだを広める足掛かりとなったと評価されることもある。ずんだのイベントとして、宮城県角田市角田駅前広場で10月上旬頃に開催される「角田ずんだまつり」がある。

名称・語源

名称の分布

地域によっては複数の呼称が存在するが、概ね以下のように名称が分布している。

最近では、旧仙台藩領域での呼称「ずんだ」が仙台経済圏での訴求力によりデファクトスタンダード化し、旧仙台藩領域以外でも枝豆ペーストを利用したものは「ずんだ」と呼ばれる傾向が見られる。

語源・発祥

「ずんだ」「じんだ」の語源として、以下のような説がある。

  1. 「豆を打つ」ことから『豆打』(ずだ)と言われ、「豆打」に転訛したとする説。
  2. 伊達政宗が、出陣の際に『陣太刀』で枝豆を砕いて食した」とのエピソードに由来するとする説。『陣太刀』(じんたち)は、東北方言では「じんだづ」「ずんだづ」などと発音されるが、これが「じんだ」または「ずんだ」に転訛した。
  3. 甚太(じんた)という百姓が伊達政宗へ献上するために考えた餅が政宗に気に入られ「じんた餅」と言われたという説。
  4. 古くはぬか味噌または五斗味噌[† 1]のことを「糂汰(じんだ)」と言った[† 2]が、枝豆をすりつぶした当料理にも名称を拡大適用したとする説。

1.の「豆ん打」説が著名である[6]。しかし、いずれの説にも典拠となる文献はない。

また、伊達家の料理を記した『料理集[7]』では、青大豆に少量の砂糖を加えたを「ぢんた[† 3]」と呼んでおり、仙台古典料理研究家の佐藤敬三が「ずんだの原形」と見ている。ただし、ずんだの由来かどうかは分かっていない。

その他の呼称については語源は不明。

作り方

ずんだ(枝豆ペースト)の作り方

  1. 枝豆(青ばた豆)の大豆をゆでる。
  2. 豆をさやから取り出す。
  3. 薄皮を取り除く。
    • 一般的には薄皮を取り除くが、商品化されているずんだでも取り除いていないものもまれに見られる。
  4. すり鉢を使い、ペースト状になるまで潰す。
    • 宮城県では、多少粒が残る程度(細かいひき割りに近い状態)が好まれるが、山形県では、完全にすり潰したこし餡に近いものもしばしば見られる。

ずんだ餅に用いる場合は、このずんだ(枝豆ペースト)に適量の砂糖と塩少々を加え、よく混ぜ合わせる。少量の味噌を隠し味として加える場合もある。

ずんだの和え物に用いる場合は、このずんだ(枝豆ペースト)にだし汁などを加えて味を調える。

ずんだを用いた料理

甘味(ずんだスイーツ)

和菓子のみならず、洋菓子にも使用されるようになってきたため、「ずんだスイーツ」と総称されることもある。

伝統的なもの

ずんだを用いた伝統的な和菓子
  • ずんだ団子
  • ずんだ
  • ずんだのぼたもち
    • ※実際には、ずんだぼたもちやずんだおはぎとは呼ばれず、これも、ずんだ餅と呼ばれる。お盆などのお供えには、これが用いられることが多い。
  • ずんだばっと

仙台の団子屋では、「ずんだ」・「あずき」・「ごま」・「くるみ」・「しょうゆ(みたらし)」の5種類の味の団子が揃えてあるのが一般的である。その他、もちに絡める場合には、大根おろし干しエビを混ぜたものや納豆もちなどもしばしば売られている。

新規に開発されたもの

「ずんだ餡」を用いるもの
「ずんだクリーム」あるいは「ずんだムース」を用いるもの
その他

塩味

枝豆をすりつぶしたものに砂糖を入れず、塩味にして用いる。

伝統的なもの

ずんだを用いた伝統的な郷土料理
  • ずんだの和え物
  • ずんだ汁
    • 呉汁」(水にうるかした大豆をすり潰して味噌汁に入れたものを)のこと。北海道道南地方や岩手県ではこれを「ずんだ汁」と言う。この場合の「ずんだ汁」は茶色をしている。
    • 呉汁の製法において、大豆の代わりに枝豆をすり潰して入れたものは「枝豆呉汁」「青呉汁」あるいは「ずんだ汁」と言う。この場合の「ずんだ汁」は緑色をしている。

新規に開発されたもの

スナック菓子
食事用
地元の料理研究家が提案しているもの

「緑色」以外

新規に開発されたもの

ずんだ餡に別の色の材料を加えて色を変えたもの
  • 黒ずんだもち(ずんだ餡には黒豆竹炭を加え、もちにも黒米を加えている)
    • ※「黒ずんだ」色ではなく「真っ黒」である。

キャラクター商品

ずんだ・ずんだ餅・枝豆を擬人化したキャラクター商品がいくつか存在する。

ずんだをモチーフにしたキャラクターとして、宮城県のテレビ局である東日本放送が開発した「ずんだっち」と「ずんだり〜な」が販売されている[10]

また、やなせたかしが作画した「ずんだ&もちこ」というキャラクターもおり、やなせたかし作詞・作曲の「ずんだもちのデュオ」でCDデビューもしている[11]

東日本大震災からの復興支援を目的に、「東北ずん子」というずんだをモチーフにしたキャラクターも生まれた。

その他、ずんだ餅をモチーフにしたこけし[12][13]ご当地キティの「ハローキティ 宮城 仙台ずんだもちバージョン」、枝豆をモチーフにした「ずんだキューピー」などもある。

評価

  • 河北新報インターネット上で行った好きな餅についてのアンケートでは、「ずんだ」が最高の支持率を集めた[14]
  • 宮城県民に聞いた「全国にアピールしたい宮城県の食べ物」では、「ずんだ餅」が1位となった[15]

脚注

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注釈

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出典

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関連項目

外部リンク

  • お湯注ぐと「ずんだあん」に 米沢の「おたまや」が新商品山形新聞 2008年8月16日)
  • 「ずんだ」真空加工でジャムなどに 色や風味長持ち河北新報 2008年10月10日)
  • 黒ずんだもち(餅処 おもちのきもち)
  • 仙台の「黒ずんだもち」話題に-地元和菓子店が考案、仙台名物目指す(仙台経済新聞 2009年4月9日)
  • 夏は「ちゃ豆」スイーツ カウ・ベル、県の依頼受け開発(河北新報 2009年8月6日)
  • 仙台市歴史民俗資料館による。
  • 1733年享保18年)橘川房常
  • ファミマが地域限定「ずんだ」スイーツ-東北6県と新潟で販売(仙台経済新聞 2009年4月14日)
  • MOS BURGER 玄米フレークシェイク ずんだ小豆モスバーガー
  • 宮城ご当地キャラクターグッズ発売開始!(東日本放送「裏影」)
  • ずんだ&もちこ関心空間
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  • この中でいちばん好きなもちは?(河北新報 2004年2月24日)
  • 宮城県民に聞く「全国にアピールしたい宮城県の食べ物は?」朝日生命 2006年10月20日)

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