13階段

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13階段』(じゅうさんかいだん)は、2001年講談社から発行された高野和明の長編ミステリー小説。同作者のデビュー作である。2003年に同題で映画が公開された。仮釈放中の青年と定年間近の刑務官が、冤罪の可能性がある死刑囚を救うため、10年前に起こった殺人事件の謎を追う。第47回江戸川乱歩賞受賞作品。

概要

本作は高野和明のデビュー作であり、江戸川乱歩賞を選考委員の満場一致で受賞したことから話題となった。40万部を売り上げ、乱歩賞受賞作品の中でもっとも速く高い売り上げ記録を達成している。

ストーリーは2年前に人を殺め服役していた青年とベテラン刑務官が、10年前に起こった冤罪の可能性がある事件の真相を解くというものであるが、死刑制度を含めた刑の重みや刑務所の機能(服役者の更生)などがテーマとなっている。

あらすじ

仮釈放した服役囚・三上純一に、定年間近の刑務官・南郷正二がとある仕事を持ちかける。それは10年前に起こった殺人事件の再調査であり、犯人とされる死刑囚・樹原亮の冤罪を晴らせば多額の報酬が貰えるというものであった。刑事罰は比較的軽く済んだものの、民事賠償で家族が困窮を窮めていた三上はその話を受ける。

事件は10年前、千葉県中湊郡で起こり、ベテランの保護司夫婦が惨殺されたというものであった。犯人とされる樹原亮は、事件現場近くでバイク事故を起こし意識を失っていたところを発見され、状況証拠によって犯人とされ死刑判決を受けていた。ところが、樹原自身はバイク事故の影響で「階段を上っていた」というおぼろげなこと以外、事件前後のことを思い出せなくなっていた。

死刑執行まであと約3ヶ月。樹原の言う「階段」をヒントに三上と南郷は中湊郡で調査を始める。やがて、三上と事件の意外な共通点が浮かび上がってくる。

登場人物

三上純一
2年前に傷害致死事件を起こし松山刑務所に服役していた青年。出身は東京。仮釈放後、南郷と共に10年前の殺人事件の真相を追う。
2年前まで父の工場で働いていたが、工作機械の展示場で出会った佐村恭介を殺害したことで生活が一変する。被害者から襲い掛かってきたこと、三上に殺意がなかったこと、十分に反省していることから傷害致死で懲役3年6ヶ月の刑を受け、模範的だったため2年で仮釈放される。民事で多額の賠償責任を負い家族は困窮している。
10年前、共に未成年の木下友里と中湊郡へ家出し、補導された過去を持つ。時期と地理的には樹原が起こしたとされる殺人事件と符合している。
南郷正二
松山の刑務官。階級は看守長。がっしりした体にいかつい顔をしているが、実直で人情に厚く、頭も切れる。
杉浦弁護士から樹原亮の事件調査依頼を受け、近々仮出所予定の三上を助手に迎える。退任間近であり、調査の報酬は退任後に開きたいパン屋の原資にしようと考えている。
三上とはあまり面識は無かったが、刑務所内での態度と10年前の中湊郡での補導歴から助手に迎える。三上を信頼し、中盤で匿名の支援者から彼を捜査から外すように命令を受けてもこれを無視している。
東京に双子の兄がいる。
佐村光男
2年前三上に殺害された恭介の父。中湊郡で工務店を営む。息子を殺した三上が傷害致死、懲役3年6ヶ月という比較的軽い判決を受けたことに納得がいかない。ただし、民事では多額の賠償金を勝ち取っている。
三上は出所後、まず光男の家に謝罪しにいったが茶を出す形式的な対応に留まる。
佐村恭介
2年前三上に殺害された青年。父・光男の工務店で働いていた。三上とは同い年。先に因縁を付け襲ってきたのが恭介の方であったため、三上は殺人罪ではなく、傷害致死として比較的軽い判決を受けた。
樹原亮
死刑囚。10年前、自身の保護司であった宇津木耕平とその妻を殺害した容疑で死刑判決を受ける。事件発生直後に現場近くでバイク事故を起こし、それが逮捕のきっかけとなっている。だが、その事故によって前後の記憶を喪失しており、自分が宇津木夫婦を殺害したのかどうか覚えておらず、自分が起こしたかどうかもわからない罪で裁かれることを恐れている。
宇津木耕平
10年前、樹原が起こしたとされる殺人事件の被害者。長年、保護司を務めてきたベテランで人格者として周囲からの評判は高かった。犯人とされる樹原の記憶が曖昧なため、殺害された動機も不明である。
木下友里
三上の元恋人で10年前に三上と中湊郡へ家出し補導された少女。精神を病んでおり、何度か自殺未遂を起こしている。
安藤紀夫
ホテル「陽光」のオーナー。地元の名士。10年前、保護観察中の樹原を雇用していた人物で、彼の身を案じている。樹原の冤罪調査を依頼した匿名の支援者とは安藤ではないかと南郷は推測している。
室戸英彦
宇津木夫妻に保護観察を受けていた男。無期懲役で14年間の服役生活を送った。刑務所生活が身に染み、布団をきっちり畳むなど、今でも同じ生活スタイルでいる。
杉浦弁護士
弁護士。南郷に冤罪の調査を依頼する。なお、杉浦はあくまで仲介者であって調査費や報酬は、匿名の支援者が出している。

映画版

2003年2月8日公開。

キャスト

スタッフ

外部リンク

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