衛星都市
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衛星都市(えいせいとし)とは、都市圏の中核都市[1]周辺(郊外)に位置し、中核都市に対し通勤・通学や消費者等の流出が多い、または機能の一部を分担している都市のことである。
概略
都市の発達過程で、中核都市の過密によって起こる都市問題により住居や事業所等の宅地を求め周辺の郊外にある小都市、農村等が中核都市からの人口流入、あるいは事業所や機能の移転により衛星都市化することが多く、逆に中核都市の空洞化を招く要因になっている。住宅衛星都市(ベッドタウン)や工業衛星都市などがあり、住宅衛星都市の場合は夜間人口が昼間人口より多い傾向にある。
名称の由来は、中核都市の周辺に衛星の様に存在するためであるが、実際には都市圏の発達や交通機関・交通網の発達によるものが大きく、成熟した大都市の場合には市街地が拡大し一部になっている場合がある。
日本における状況
- 日本では1960年代以降、首都圏周辺の農村等に主要道路や鉄道交通が開通するに至り、さらには近畿圏や中京圏でも衛星都市出現が顕著となった。他の地方都市でもこれら衛星都市を抱えて発展した。
- 1970年代の核家族や1980年代のニューファミリーの比率が高く、賃貸住宅に比べて分譲住宅の方が多い。
- たとえ県庁所在地であろうと近隣の他の都府県に大都市がある場合は、その大都市の衛星都市となることがほとんどである(例:大津市・奈良市)。政令指定都市でも、横浜市・川崎市・相模原市・さいたま市・千葉市・堺市は昼間人口比率100%未満であり衛星都市としての性格が強く、昼間人口比率100%以上の京都市・神戸市も衛星都市としての側面を持つ。
- 大都市の衛星都市であっても、政令指定都市や中核市・特例市の指定を受けるなど人口の多い衛星都市である場合はその都市がさらに衛星都市を持つ場合がある(千葉市に対する八街市、さいたま市に対する蓮田市、岐阜市に対する瑞穂市、奈良市に対する大和郡山市など)。こういったケースは特に近郊電車または新幹線が通じていて大都市への通勤が可能かつ、ある程度離れているため昼間人口比率が高く独自の都市圏を保有するといった性格を持つ、いわゆる準衛星都市(関東でいえば小田原・熊谷・木更津・つくば・小山・宇都宮、中京圏でいえば岐阜・豊橋・四日市、関西でいえば彦根・長浜・姫路・和歌山など)に多い。
都市の傾向
- 多くの場合、大挙して押寄せる住人の利便性要求を受ける形で鉄道交通や商店街、さらに娯楽施設や歓楽街・医療施設などが急速に充実した後、経済的に停滞し易い。
- 都市住人の匿名性等の影響を受け易いため、繁華街から少し離れるだけで農地も見られる牧歌的な地理状況と裏腹に、都市型犯罪が起きやすい傾向も否めず、郊外型犯罪と呼ばれる造語も生まれている。