藤村忠寿
藤村 忠寿(ふじむら ただひさ、1965年5月29日 - )は、日本のテレビディレクター(肩書は、スペシャリスト エグゼクティブディレクター)。北海道テレビ放送(HTB)コンテンツ事業室に所属。
HTBが制作するバラエティ番組やテレビドラマの演出が本業だが、特に全国のテレビ局で放送されているバラエティ番組「水曜どうでしょう」のチーフディレクター・ナレーターとして知られる。
目次
人物
愛知県新城市生まれ、名古屋市出身。実家は喫茶店[1]。血液型O型。名古屋市立御幸山中学校、名古屋市立向陽高等学校、北海道大学法学部卒業後、1990年HTB入社。
1995年秋に東京支社の営業部から本社の制作部(のちにコンテンツ本部報道制作センター制作グループに改組)に異動し、当時の深夜番組「モザイクな夜V3」の制作チームに配属。何も知らない状態からテレビ番組を制作していった。
締め切りが近づいてしまい、構成作家・タレントのコネがなかったために初めて制作したVTRは「藤村自身が裸で股間にゾウさんのじょうろをつけて踊る」というものであった。これを見た出演者の鈴井貴之は「とんでもないやつがやってきた」と語っている。編集作業も何も知らずに「2秒の素材を1秒にしてくれ」と、後に「水曜どうでしょう」でも組むことになる音効の工藤哲也に伝えたところ「そんなことはできない」と怒られたこともあった。その後は出たがりディレクターとして雅楽戦隊ホワイトストーンズなど、自分が担当する番組の企画に頻繁に出演することとなった。
同じ「モザイクな夜V3」に出演していた、当時一大学生であった大泉洋の才能や将来性をいち早く見出した。「水曜どうでしょう」立ち上げに当たり、芸歴がほとんどない大泉の起用を決めたのは藤村である。
1996年10月、「モザイクな夜V3」の後番組の一つとして放送を開始した「水曜どうでしょう」のチーフディレクターに就任。同番組(もしくはそのシリーズである「どうでしょうリターンズ」・「水曜どうでしょうClassic」)は、地方ローカル番組としては異例の全国放送・DVD全国発売・インターネット放送・番組本、写真集発売等、様々な事業を展開している。
HTBの番組(「水曜どうでしょう」など)や舞台に出演しているほか、北海道新聞夕刊のコラム連載や雑誌出演、コンピューターゲーム「対決列島」タイピングゲームにも出演する等、「出たがりディレクター」として名を轟かせている。2007年にはアニメ『茄子 スーツケースの渡り鳥』において、大泉演じるペペが所属するチームの監督・アメデオ役を演じるなど、声優業にも進出している。
学生時代はラグビー部主将で、ポジションはフッカーをしていた。
HTBをモデルとしたテレビ局を舞台にした、佐々木倫子の漫画「チャンネルはそのまま!」に、容貌・性格とも非常に類似した「小倉部長」というキャラクターが登場している。
またアニメ映画「秘密結社鷹の爪 THE MOVIE3~http://鷹の爪.jpは永遠に~」 のオーディションの審査司会役として、 同ディレクター嬉野雅道と一緒に出演している。
会社員として
HTBに入社した動機は、大学生時代HTBでアルバイトをしていた時に「テレビ見て笑っていられる仕事」をしたいと思ったからと語っている。また、藤村自身、入社前からバラエティ番組が好きであったとも語っている。
入社後、5年間はHTB東京支社営業部に所属し、CM営業に携わる。このことがその後の視聴率を重視する番組制作につながっていく。
出世について、大泉洋は2004年の「水曜どうでしょうDVD全集」の中で「藤村Dは労働組合のリーダーを務めて、会社に反抗的だから出世できない」と述べている。また、「ドラバラ鈴井の巣」担当ディレクターの多田健(通称:ただけん)をはじめとする後輩のランクが上がってきていることに対して、同期入社の杉山順一(『ハナタレナックス』チーフディレクター)とともに戦々恐々としている。
「水曜どうでしょう」放送開始以後、基本的に同番組関連業務を嬉野雅道とともに専任で務めている。だが、スノーボードイベント「TOYOTA BIG AIR」の出場者紹介VTR制作や「ドラバラ鈴井の巣・なんてったってアイドル!」(最終話、2004年12月16日放送)、北海道厚生年金会館からのステージ生放送中継ディレクター、特番「気合一番!YOSAKOIソーラン祭り 審査会場独占生中継!」の中継演出(2002年から。2003年よりプロデューサー。2006年のNo.1決定戦の特番はBS朝日を通じて、全国に生中継された)、HTBスペシャルドラマ「歓喜の歌」(開局40周年記念作品)「ミエルヒ」の監督などHTB全社を挙げて取り組む番組の制作にも携わっている。「ミエルヒ」は、HTBの制作番組としては初めてギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、照明技術賞(テレビドラマ・Vシネマ部門審査委員特別賞)、放送文化基金賞(番組部門テレビドラマ番組賞)を受賞している。
「オートバックスM-1グランプリ2005」の北海道予選で審査員を務めた[1]。ちなみに親交のあるオクラホマはこの予選で敗退している。
「水曜どうでしょう」のチーフディレクターとして
- 「水曜どうでしょう」ではチーフディレクターとしての仕事の他、ナレーター(後述)や、あくまでロケに同行する「しょっちゅう見切れるディレクター」として半ば出演者同様に登場する。番組内で時折顔や全身が映ることがあるが、カメラ担当ディレクターの嬉野雅道が、彼を被写体として意識的に撮っている部分はほぼない模様。しかし、彼の声による「出演」は、もはや同行スタッフの枠を逸脱し、演者としてなくてはならない存在になっている。ちなみに、レギュラー放送最終回やインプレスTVでは「見切れ」ではなく出演登場している。
- 番組のアラスカロケで大泉が描いた藤村・嬉野の似顔絵が現在も番組本編やグッズで登場、「藤やん犬」なる彼の似顔絵をした犬が公式サイトの竜宮城に居ついている。「水曜どうでしょう official website」では電子掲示板の運営管理者でもある。日記を記すときは宣伝を怠らない。どうでしょうグッズの考案にも熱心である。
- テレビ番組制作に愛を持ち、「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「電波少年」シリーズなどをヒットさせた日本テレビの土屋敏男からも「(『水曜どうでしょう』のDVDに関する話題があがり、反響が多かったことから)この番組を作った人は、本当に愛されている」(引用 - 誠実なテレビの答えより)と称された。
- テレビ神奈川(tvk)の『saku saku』とは、ローカル局制作の人気番組同士(しかも『saku saku』は一時HTBでもネットされていた)ということもあって何かと交流があり、何度か同番組に出演している。なお同番組では諸事情により「じむ」の名で呼ばれることが多い(詳しくはsaku sakuの出演者、登場キャラクター#会話の話題に上がった人物を参照)。
どうでしょう班3人との関係について
藤村は、「水曜どうでしょう」で関わり続けている鈴井、大泉、嬉野との関係について、「たまたま同じ(ローカル番組という“小さな”)船に乗って、(全国区という)大海に漕ぎ出してしまった乗組員」としている。数々の過酷なロケを共にし、濃密な人間関係を築いてはいるが、一方で互いは「親友」ではなく、『番組という「利害関係」で結ばれた4人』だと話す。『もう抜け出すことはできないという、十字架を背負った関係であると思うのです。でもその十字架を、もう重いとは思っていません。むしろ「自分は、これさえ背負っていけばいいのだ」と清々しい気持ちでさえあります。』[2]
制作した番組など(HTB関連のメディア)
- テレビ番組
- モザイクな夜V3(HTB 1995年-1996年9月)ディレクター(後期はチーフディレクター)
- Funky mama 今日もすっぴん(HTB)ナレーター
- 水曜どうでしょう(HTB 1996年10月-)チーフディレクター(編集・ナレーション)
- 「どうでしょうリターンズ」・「水曜どうでしょうClassic」
- DVD
- 水曜どうでしょうDVD全集:チーフディレクター(編集・ナレーション・副音声解説)
- プロモーションビデオ
- 演出
- 連続テレビ小説「フィヨルドの恋人」(1999年、HTB・「水曜どうでしょう」内の企画「ヨーロッパリベンジ」より。)
- テレビドラマ「四国R-14」(2000年、HTB)
- 舞台「水曜天幕團旗揚げ公演 『蟹頭十郎太』」(2003年)構成・演出
- テレビドラマ 「素晴らしい世界#スバセカ劇場」(HTB)演出
- 残された2人(2007年)
- キカイな取調べ(2008年)
- HTB開局40周年記念テレビドラマ「歓喜の歌」(2008年)
- このドラマでは大泉が主演、嬉野がプロデューサーとして参加しているため、「どうでしょうスタッフが全国ネットドラマで再結集」として注目が集まった。
- HTBスペシャルドラマ「ミエルヒ」(2009年)
- 作詞
- 雅楽戦隊ホワイトストーンズ~愛のテーマ(鈴井貴之と共同作詞)
出演
- テレビ神奈川(tvk)『saku saku』 ※過去数回出演
- アニメ『茄子 スーツケースの渡り鳥』(2007年)- アメデオ役
- NHK『日本の、これから』 放送記念日特集「テレビの、これから」(2009年3月21日放送)
- 広島ホームテレビ『アグレッシブですけど、何か?』
- 九州朝日放送[3]『木曜ドォーモ』(2013年2月14日放送)
※ドォーモの番組内で以前から一部のVTRコーナーが「水曜どうでしょう」を意識してると視聴者から言われていて、2013年1月10日放送「番地なき島への旅」第一話放送時のtwitterで「『水曜どうでしょう』を意識している」という意見が多く寄せられ、MCの中島浩二らが藤村ディレクターの元に訪れる企画に登場。ちなみに「木曜ドォーモ」のサイドマーク(題字)は藤村の直筆である。 - テレビ埼玉(TVS、テレ玉)『たまたま (テレビ番組)』(2013年4月2日 - )
※親交がある西田二郎(読売テレビ(ytv)チーフプロデューサー、テレビ演出家)とともに出演。系列外の放送局制作番組への出演なので、出演については会社には休日扱いで出演[4]。 - NOTTV『#エンダン』(2013年4月29日)
※前述の西田に誘われて出演[4]。
連載
著書
- けもの道 (2011年4月、メディアファクトリー刊、ISBN 978-4840138833)
- 腹を割って話した (2011年3月、イースト・プレス刊、ISBN 978-4781605708)
- 腹を割って話した(未知との遭遇) (2013年9月、イースト・プレス刊、ISBN 978-4781610597)
- 人生に悩む人よ 藤やん・うれしーの 悩むだけ損! (2012年3月、アスキー・メディアワークス刊、ISBN 978-4048709415)
- 人生に悩む人よ 藤やん・うれしーの 続・悩むだけ損! (2013年9月、アスキー・メディアワークス刊、ISBN 978-4048915960)
- てれびバカ ツッパリオヤジVS小悪魔オヤジ (2013年8月、角川マガジンズ刊、ISBN 978-4047318861)
参考文献
- 水曜どうでしょう写真集(2003年、HTB刊)
- どうでしょう本 創刊号(2004年、HTB刊)
- どうでしょう本 第2号(2005年、HTB刊)
脚注
関連項目
- 嬉野雅道
- Mixx (南日本放送) - 深い影響をうけた番組ディレクターと福岡市のシンポジウムで対談、親交を深めた
- チャンネルはそのまま! - HTBを思わせるテレビ局を舞台とした佐々木倫子の漫画。藤村にそっくりな容貌のキャラクター「小倉部長」が登場している。