クズ
テンプレート:Redirect テンプレート:統合文字 テンプレート:生物分類表 クズ(葛、学名: テンプレート:Snamei または テンプレート:Snamei var. テンプレート:Snamei)は、マメ科クズ属のつる性の多年草である[1]。日本では、根を用いて食材の葛粉や漢方薬が作られ、万葉の昔から秋の七草の一つに数えられている[1]。
和名は、かつて大和国(現:奈良県)吉野川(紀の川)上流の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。漢字は葛を当てる(「15px」で表記する場合もある)。
形態
地面を這うつるは、他のものに巻きついて10メートル以上に伸び、全体に褐色の細かい毛が生えている[1]。
根もとは木質化し、地下では肥大した長芋状の塊根となり、長さは1.5メートル、径は20センチに達する[1]。
葉は三出複葉、小葉は草質で幅広く大きい[1]。葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びている[1]。
花は8-9月の秋に咲き、穂状花序が立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する花を咲かせる[1]。花色には変異がみられ、白いものをシロバナクズ、淡桃色のものをトキイロクズと呼ぶ[1]。
- Pueraria montana 2.JPG
- Starr 981208-2617 Pueraria montana var. lobata.jpg
- Starr 020913-0039 Pueraria montana var. lobata.jpg
- Kudzu seedpods 6580.JPG
生態
つるを伸ばして広い範囲で根を下ろし、繁茂力が高い。かつての農村では、田畑の周辺に育つクズのつるを作業用の材料に用いたため、定期的に刈り取られていたが、刈り取りを行わない場合は短期間で低木林を覆い尽くすほど成長が早い。伸び始めたばかりの樹木の枝に巻き付くと、それによって樹木の枝が曲がってしまうこともあるため、人工林においては、若木の生長を妨げる有害植物と見なされている。
クズは根茎により増殖するため、地上部のつるを刈り取っても地下に根茎が残り、すぐにつるが再生する。抜本的に除去する方法として、除草剤のイマザピルを使う手法がある。薬剤を染みこませた楊枝状の製品であり、根株に打ち込むことにより効果を発揮する。
様々な昆虫のつく植物でもある。たとえば、黒と白のはっきりした模様のオジロアシナガゾウムシ、マルカメムシはよくクズで見かける。また、クズの葉に細かい虫食いがある場合、クズノチビタマムシであることが多い。
分布
温帯および暖帯に分布し、北海道から九州までの日本各地のほか、中国からフィリピン、インドネシア、ニューギニアに分布している[1]。世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。荒れ地に多く、人手の入った薮によく繁茂する。
北アメリカでは、1876年にフィラデルフィアの独立百年祭博覧会の際に日本から運ばれて飼料作物および庭園装飾用として展示されたのをきっかけとして、東屋やポーチの飾りとして使われるようになった[2]。さらに緑化・土壌流失防止用として政府によって推奨され、20世紀前半は持てはやされた。しかし、繁茂力の高さや拡散の早さから、有害植物ならびに侵略的外来種として指定され、駆除が続けられている。現在ではクズの成育する面積は3万km2と推定されている[3]。
人間との関わり
日本では古くから食用や薬用、材料として用いられていたが、2008年に宮崎大学により、クズ属植物からバイオマスエタノールを抽出する技術が開発された。現在はあまり利用されることはないが、かつては飼料としても重宝された[4]。ウマノオコワ、ウマノボタモチといった地方名があるが、馬だけではなく牛、ヤギ、ウサギなど多くの草食動物が喜んで食べる。
食用
テンプレート:Main 古来から大きく肥大した塊根に含まれるデンプンをとり、「葛粉」として利用されてきた[1]。秋から冬にかけて掘り起こしたものを砕いて洗い、精製する[1]。葛粉を湯で溶かしたものを葛湯と言い、熱を加えて溶かしたものは固まると透明もしくは半透明になり、葛切りや葛餅などの和菓子材料や料理のとろみ付けに古くから用いられている。
薬用
- 葛根
- 根を乾燥させたものを生薬名葛根(かっこん)と呼ぶ[4]。日本薬局方に収録されている生薬である。発汗作用・鎮痛作用があるとされ、漢方方剤の葛根湯、参蘇飲、独活葛根湯などの原料になる[4]。風邪や胃腸不良(下痢)の時の民間治療薬として古くから用いられてきた。薬用として用いる場合の採集時期は、初夏が望ましい[5]。
- 葛花
- 花を乾燥させたものを生薬名葛花(かっか)と呼ぶ。開花初期の頃、房になった花すべてを採取し、風通しのよい場所で速やかに乾燥[6]。有効成分は、イソフラボン[7]。
材料
クズのつるは長いことから、切り取ったつるが乾燥して固くなる前に編むことで、籠などの生活用品を作ることができる。
テンプレート:Main また、つるを煮てから発酵させ、取りだした繊維で編んだ布は葛布と呼ばれる[4]。平安時代ごろから作られていたとされる。江戸時代には『和漢三才図会』でも紹介された。かつては衣服・壁紙などに幅広く使われたが、現在では生活雑貨や土産物として、数少ない専門店によって小規模ながら生産が続けられている。遠州、現在の静岡県掛川市の特産品である。 テンプレート:-
文化
日本においては古くから文化的題材として扱われ、クズ固有の小さな葉を意匠的に図案化した家紋が数多く存在する。また、秋の七草のひとつに数えられるとともに、秋の季語として多くの俳句に詠われている。落語に『葛根湯医者』がある。
近縁種
沖縄には同属のテンプレート:仮リンク (テンプレート:Snamei) がある。全体にクズに似るが、葉の形や花の姿などに若干の差がある。なお、沖縄ではほぼ同様な姿でテンプレート:仮リンクのテンプレート:仮リンク (テンプレート:Snamei) も路傍によく出現する。
脚注
参考文献
関連項目
テンプレート:Sister テンプレート:Sister テンプレート:Sister
- 葛粉
- 葛切り
- 葛餅
- 葛湯
- 葛鰹
- 葛根湯
- 秋の七草
- 救荒植物
- 生薬一覧
- イソフラボン
- マクロビオティック
- 『食道楽』 - 1903年に書かれた小説だが、クズにジャガイモやカタクリがよく混ぜられていることが記されている。
外部リンク
- テンプレート:GRIN テンプレート:En icon
- テンプレート:ITIS テンプレート:En icon
- テンプレート:NCBI テンプレート:En icon
- テンプレート:EOL テンプレート:En icon
- テンプレート:Cite web
- テンプレート:Cite web
- テンプレート:Cite web