茶色

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茶色(ちゃいろ)は、の一つで、の実のような色。の中間色でもある。茶を染料として使った時に出る色に由来する。化学の世界や、他の色と対比したり、熟語を作る際には褐色(かっしょく)と称する(例:赤色→紅色)。栗色(くりいろ、りっしょく)ともいう。

なお、日本語や五行思想では、「黒砂糖」「黒パン」というように「brown」と「black」が混同されることがあるが、本項目においては“brown”を茶色褐色、栗色)、“black”をとして明確に区別する。

色名としての茶色

茶色は一般的に、木の枝幹、の実、チョコレートの色としても表現される。室町時代より茶の葉の煎じ汁が染料として使われはじめ、それにともない茶色の名が生まれる。茶染めの服は江戸時代に一般に広まることにより、この名も一般的になる。ただし、当時は「鶯茶」「青茶」など、現代とちがって緑がかった色の名前にも使われていた。『日本歴史大事典』には、「江戸では抹茶に似た色、京坂では煎茶の煮がらしの色をいう」とある。

また、褐色と呼ばれる場合もある。上記のように土の色や木の幹の色を表現するが、コーヒーの色や、日焼けした人の皮膚の色のように、「茶色」とは呼ばずに「褐色」と表現するものもある。ただし褐色は茶色と区別して焦茶色を指す場合もある。また、茶色であることを強調するため茶褐色という言葉もある。褐色の「褐」は、(くず)のような繊維でできた、ごつごつしたみすぼらしい衣服を意味する字である。この衣服の土で汚れたような色が「褐色」と呼ばれた。現在の中国語では、茶色は「褐色」と表現される。

派生色の一種にも「褐色」が使われている。黄色がかった褐色を黄茶(きちゃ)あるいは黄褐色(おうかっしょく)、赤のかった褐色を赤茶(あかちゃ)あるいは紅褐色(こうかっしょく)という。

なお、日本古来の色に、「褐色」と書いて「かちいろ」と読む色があるが、これは紺色の一種である。詳しくは勝色を参照。

また、栗の実の色であることから、スペイン語では茶色を「Marrón」と呼ぶ。

「茶色」「褐色」「栗色」の英語訳としてbrownが充てられる。この語はゲルマン語系であり、語源は(bear)に由来するという。

光源色としての茶色

テンプレート:Infobox webcolor ウェブカラーではbrownが定義されている。色指定するときに"brown"と記述すれば16進数表記で#A52A2Aとして配色される。右表を参照。ただしこの色はすべてのブラウザで問題なく指定できる色ではないので、同系色で安全なものを選択する場合、基本16色の1つとして定義されている"maroon"(マルーン、16進数定義では#800000)を利用するのがよい。

物体色としての茶色

テンプレート:Infobox jiscolor テンプレート:Infobox jiscolor テンプレート:Infobox jiscolor テンプレート:Infobox jiscolor JISの規格では、茶色とブラウンが同色として定義されている。一方褐色は茶色とは異なる色として定義されていることが多い。またJISはこげ茶色も定義しており、この定義も褐色と異なる。それぞれの色については右表を参照。

茶色の色材

天然のから生産される顔料が知られている。シェンナアンバー等がその代表的なものである。このような顔料を総称して、アースピグメント、土壌顔料[1]等と呼ぶ。かつてはイカの墨から作られたセピアも用いられたが、今日のセピアは合成品である。他方で様々な合成有機顔料は、現在でも使われている。

茶色に関する事項

  • 目立たない色であり、景観を損なわない効果もある。例えば、京都市のあるマクドナルドの看板は赤色ではなく茶色を使用している。
  • の幹の色。
    • 茶色は、のイメージから「豊穣」「豊沃」を、季節では「」を表すことがある。これは、黄色にも同じ傾向がある。
    • 地図上、等高線の色分けでは海抜200メートル以上がこの色合いで示され、低い標高では白っぽい色調だが高くなるほど濃くなる。
  • 茶色い毛色のを「赤犬」というように、茶色を「赤」「あか」という例もある。
  • 灯火管制で薄暗くすることを、ブラウンナウト(brown out)という。
  • 政治的には、茶色はナチ党の民族社会主義(ナチズム)を象徴する。これは、ナチ突撃隊(SA)の褐色の制服に由来する。例:フランク・パヴロフ作「茶色の朝」(=独裁国家の始まり)
  • 茶色がかった髪・肌・目を持った人(特に女性)をブルネット(brunette)という。
  • 東京地下鉄(東京メトロ)副都心線のラインカラー。10000系に茶色の帯が入る。
  • 阪急電鉄大阪市交通局大阪市営地下鉄堺筋線でも路線のシンボルカラーとなっている。他にもJR西日本223系、近鉄の通勤車両にも使用されている。
  • 国鉄の旧型車輛はその大半が車体色としていた。その理由は蒸気機関車による煙の汚れを目立たなくするためである。詳しくは葡萄色の項を参照。
  • 西鉄の一般車はかつて茶系の塗色で、濃淡の上下ツートン色だった。
  • 東武日光線方面の優等・団体列車用電車も、かつては茶とベージュのツートン色だった。
  • ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)のコーポレートカラーである。

茶(色)および褐色を含む言葉

近似色

関連項目

出典

  1. 鶴田 榮一「顔料の歴史」

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