芸術
テンプレート:未検証 テンプレート:出典の明記 芸術(げいじゅつ、テンプレート:Lang-el-short、 techné、テンプレート:Lang-la-short、テンプレート:Lang-en-short)とは、表現者あるいは表現物と、鑑賞者とが相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動。文芸(言語芸術)、美術(造形芸術)、音楽(音響芸術)、演劇・映画(総合芸術)などを指す。藝術の略式表記[1]。
目次
語源
ギリシャ語の「τεχνη techné(テクネー)」やその訳語としてのラテン語の「ars(アルス)」、ドイツ語の「Kunst(クンスト)[2]」などは元々は単に「人工(のもの)」という意味であり、元々「技術」という訳語が当てられるものであった。
現在でいうところの芸術の概念は近代まで、単なる技術と特に区別して呼ぶ場合「よい技術、美しい技術」(schöne Kunstなど)と表現され、むしろ第二義的なものであり、後に(現在の辞書の配列にも現れているように)芸術の意が第一義となった。
表記(藝術・芸術)
日本語における「藝術」という言葉は、『後漢書』5巻孝安帝紀[3]の永初4年(110年)2月の五経博士の劉珍及による「校定東觀 五經 諸子 傳記 百家蓺術 整齊脫誤 是正文字の「蓺術」から来ており、明治時代に西周によってリベラル・アーツの訳語としての意味を付加された。いまではアートの同義として使用されている。
漢字制限(当用漢字、常用漢字、教育漢字)により、「芸術」と書くようになった。この「芸」の字は、もとは「ウン」と読む別の字であったが、「藝」の略字として使用されている。
テンプレート:Sister藝の原字は「埶」で「木」+「土」+「丸」の会意文字で両手を添える様を示し、植物に手を添え土に植えることをもとは意味した。のち、さらに「艸」を添え、「蓺」として、植物であることが強調された。「芸」は「云(ウン)」を音符とし、「たがやす」に意を持った別字であったが、後に混同された。
佐久間象山は「東洋道徳西洋芸術」という言葉を遺している(全文:「象山先生七絶 : 題地球儀詩 / 象山 [撰]」[4]が、ここでいう芸術は技術のことである(和魂洋才と同様の意味)。
概説
テンプレート:独自研究 R.G.コリングウッドは『芸術の原理』において、今日は本来のあり方を外れた擬似芸術に覆われているとし、それらは人生のための芸術である魔術芸術と芸術のための芸術である娯楽芸術という類型に分けることができるとした。魔術芸術とは芸術がもたらすさまざまな感情の刺激によって人々を実際の政治や商業などの実際的な狙いを持つ活動へと仕向ける種類の芸術と定義され(例えば教会のための芸術や軍楽などを含む)、娯楽芸術とは実際的な狙いがない活動へと仕向ける単に感情を高揚させるだけの芸術である。ヨーロッパの美術史ではこの魔術芸術と娯楽芸術が拮抗してきたとコリングウッドは概括し、真の芸術がその両方から脅威に晒されてきたと考えた。本来の芸術とは魔術や娯楽から分離されたもので、表現的で想像上の、ある種の言語であるとした。
詩人・批評家のボードレールは、絵画論においてそれまでの歴史画を批判し、マネの平面性などに「近代性(モデルニテ)」を見出した。フーコーは、このボードレールの批評に近代芸術の発祥をみている[5]。
ダダイズムの影響をうけたマルセル・デュシャンは既成の商品であった便器を逆さに展示して「噴水」と名付けた作品を発表し、「芸術」がひとの観点によることなど、その定義、芸術という概念そのものを問い直した。以降、20世紀を通じて、「反芸術」「コンセプチュアル・アート」なども産まれた。
ある活動や作品が芸術であるか否かについて、必ずしも誰もが同意する基準があるとは限らない。表現者側では、その働きかけに自分の創造性が発揮されること、鑑賞者側ではその働きかけに何らかの作用を受けることなどが芸術が成り立つ要件とされる。これに関して、表現者側では、自分の作品を構成するにあたり、先人の影響を受けたり、既に様式が決まっている表現方法、媒体を用いたりすることはよく行われるので、必ずしも表現の内容が完全に自分の創造性にのみよっているとは限らない。また鑑賞者側が、その表現が前提としている様式の暗号を知らないと働きかけはうまくいかない。
「権威に認められた高尚な活動」が芸術であると誤解されることがあるが、そうではない。権威とは芸術作品を世に広めたり後世に遺したり芸術活動を推奨することを目的とした組織であり、そのために特にその価値がある芸術作品を認め知らしめるだけで、芸術を定義しているものではない。
日本では「藝術(芸術)」が明治期になって新しい語として使用されるようになったため、近代以前の『伝統藝術』を芸道と呼んだり、また芸能とも呼ばれ、「藝術」とは意味が異なるものとして想定される場合もあり、語用統一されていない。
なお芸能は、芸術の諸ジャンルのうち、人間の身体をもって表現する技法と定義され、職業として芸能に携わる者を芸能人と呼ぶとされるが[6]、これは「身体藝術」とも「舞台藝術」ともまた異なる概念である。
分類
表現者が、どのような手段、媒体を用いるかによって、芸術を多くのジャンルに分けることができる。下記は、芸術の表現方法のうち、歴史的に比較的様式の定まった例に、現代の分類を加えたものである。
文芸
美術
音楽
総合芸術
- 映像芸術
デザイン
- デザイン(応用芸術)
- ファッション
- 衣服
- テキスタイル
- グラフィック
- 工業デザイン
- インダストリアルデザイン
- インタラクションデザイン
- プロダクトデザイン
- ユニバーサルデザイン
- メカニズムデザイン
- カーデザイン
- CAD(コンピューター・デザイン)
- ストラクチャーデザイン
- スペースデザイン
- 空間デザイン
- インテリアデザイン
- ランドスケープデザイン
- アーバンデザイン
- ベーヴメントデザイン
- 構造デザイン
- 商業デザイン
- グラフィックデザイン
- ビジュアルデザイン
- パッケージデザイン
- キャラクターデザイン
- ウェブデザイン
- ゲームデザイン
- タイポグラフィ
- エディトリアルデザイン
- ブックデザイン
- ジャケットデザイン
- 情報デザイン
- インテリジェント・デザイン
- 環境デザイン
- フラワーデザイン
- ガーデンデザイン
- エコロジカルデザイン
- エクステリアデザイン
- サウンドデザイン
- 音響・デザイン
- 照明・ディメンション・デザイン
- フードデザイン
- コミュニケーションデザイン
- キャリアデザイン
- ライフデザイン
- プロセスデザイン
- ペルソナデザイン
- ボディデザイン
- メカニズムデザイン
- メカニックデザイン
- メタデザイン
- ユーザーエクスペリエンスデザイン
- 参加型デザイン
- 先端デザイン
- パブリックデザイン
- トータルデザイン
その他
他の分類
上記分類は、表現者が一定の枠内に収まった表現方法を用いた場合に分類可能となるというだけであって、表現者がこれらの枠に収まらない表現を用いる場合や、複数の表現を組み合わせたりする場合なども多い。より包括的な分類方法として「空間芸術」・「時間芸術」・「総合芸術」などもある。
空間芸術とは、物を用い、空間に形を表現する芸術であり、二次元(絵画・平面装飾など)的なものと三次元(彫刻・建築など)的なもの、その複合も存在する。その空間だけで一瞬ですべてを表現する芸術である。
時間芸術とは、文芸・音楽・演劇・映画など、ある一定の時間をかけて(物語性のあるものを)鑑賞する芸術。時間芸術と空間芸術は対義語であるといえる。
総合芸術とは各種芸術が協調・調和した形式でオペラ(歌劇)・映画などがこう呼ばれる。
また、ある作品や活動の程度が非常に高いとき、これを芸術と呼ぶ場合がある。この用法では、作品や活動の独創性は要件に入らない。
用語
- 退廃芸術 - ナチスが近代美術を、道徳的・人種的に堕落したもので、ドイツの社会や民族感情を害するものであるとして禁止するために打ち出した芸術観
- 反芸術 - 伝統的な展覧会の文脈の中で展示されながら、真剣な芸術をあざ笑うかのような内容を持つ作品、また芸術というものの本質を問い直し変質させてしまうような作品
- 教祖祭PL花火芸術 - パーフェクト リバティー教団(PL) の宗教行事
解説
雑誌・書籍
- 映画芸術 - 日本の映画雑誌
- レコード芸術 - 音楽之友社が発行するクラシック盤音楽の月刊誌
- ステレオ芸術 - 1982年12月まで発行されていたクラシック音楽のレコードの月刊誌
- 世紀末芸術 - 1890年代から20世紀初頭にかけて、おもにヨーロッパの都市を中心に流行した諸芸術のなかで一定の傾向を示す一群
- 女人芸術 - 女性の文芸雑誌で1928年(昭和3年)7 月から1932年(昭和7年)6月まで48冊を出した
- 第二芸術 - 、『世界』1946年11月号に掲載された桑原武夫の論文
- 今日の芸術 - 岡本太郎による美術評論書
- 複製技術時代の芸術 - ドイツの文化評論家ヴァルター・ベンヤミンが1935年に著した評論
脚注
- ↑ 下記節「表記」参照
- ↑ ドイツ語では、Kunst(芸術)、Kunstwissenschaft(芸術学)、allgemeine Kunstwissenschaft(一般芸術学)、Kunstverhalten(芸術態度)、Kunstwollen(芸術意志)などの用語分岐もある。
- ↑ テンプレート:Cite wikisource
- ↑ 早稲田大学図書館古典籍総合データベース http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/chi06/chi06_03890_0185/index.html
- ↑ 『マネの絵画』筑摩書房
- ↑ ウィキペディア項目「芸能」参照