助詞

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テンプレート:出典の明記 助詞(じょし)とは、日本語の伝統的な品詞の一つである。他言語の後置詞接続詞に当たる。

日本語の助詞

日本語においては、単語に付加し自立語同士の関係を表したり、対象を表したりする語句の総称。付属語活用しない。俗に「てにをは」(弖爾乎波・天爾遠波)か「てにはを」(弖爾波乎)と呼ばれるが、これは漢文の読み下しの補助として漢字の四隅につけられたヲコト点を左下から右回りに読んだ時に「てにはを」となることに因るものである。

日本語の助詞の使い分けには曖昧さがあり、例としては、「海に行く」と「海へ行く」の「に」「へ」や「日本でただ一つの」と「日本にただ一つの」の「で」「に」や「目の悪い人」や「目が悪い人」の「の」「が」、「本当は明日なんだけど」「お言葉ですが」「さっき言ったのに」「終わるの早いし」に見られる終助詞的な接続助詞の使用などが挙げられる。

以下のように分類される(ここでは口語における助詞のみ示した)。

格助詞

主に体言に付いて、文の中での意味関係()を表す。格助辞、格のくっつきとも言う。

最も基本的な格助詞で、動作状態主体要求願望対象を示す。
連用修飾語の動作や状態の主体を表したり、属格(連体格)や連体詞となったりする。
動作の直接的な対象や知覚・思考活動の対象、移動時の経路を示す。移動の起点経由点も示すが、この場合には到着点を想定していない場合となる。
名詞および名詞に準じる語、動詞の連用形または、連体形などに付く。物体の存在する場所移動目標点および到達点相手に視点を置いたときの相手の動作、対象に対する指向性が感じられるときの動作および状態の対象、主体から相手に対し動作や関係が一方的に及ぶ時の相手、動作や作用の行われるときや終わるとき(ただしを示す名詞が必要)、動詞の連用形の場合の目的、状態の主体(副助詞を後に伴う事が多い)と用法の広い格助詞。上代から用いられており、本来の用法は動作や作用が行われる、あるいは存在する、時間的および空間的な位置範囲
用法が狭く、移動の目標や到達点を表す。「」と区別が曖昧だが、それが物であるときは使いにくい。
共同の相手、作用の結果、引用、並立を示す。
から 動作の主体が経由点としての性格を持つ場合の主体や、物事の移動に視点を置いた場合の動作の起点である相手、移動の起点や経由点(到着点が想定されている場合のみ、「」と共に使用される。)、因果関係を問題とした場合の原因、更には材料から完成品への変化の著しい時の材料原料、状態が始まるときなど、経由および経過に関する意味を持つ。
より 比較の基準に用いるほか、起点を表す用法も備えるが現在後者は、主に文章語となり、「から」と意味の重なっている。
団体も含めた複数時の動作の主体や、動作の起こる場所、動作や作用の行われる時や場所、動作の手段仲介物由来、更には材料から完成品への変化の少ない時の材料原料、動作や状態の継続する期間、継続していた動作の終わるとき、基準境界と用法の広い助詞。

並立助詞

2つのものを並立させる。(格助詞に含める説もある)

並列列挙を示したり、程度がはなはだしい意を表したりする。
格助詞の「に」から転じた用法名詞または、準体助詞「の」に付いて、並列や列挙、添加取り合わせを示す。
体言またはそれに準ずる語に付いて、いくつかの事柄を列挙する。
名詞および準体助詞「」に付き、事物を並列および列挙する意を表す。
やら 体言や活用語の連体形に付き、決定しがたい二つ以上の事柄を並列および列挙する意を表したり、事物を単に列挙したりする意を表す。
いくつかの事物を列挙し、その一つ、または一部を選択するときや、疑い、ある動作と同時進行あるいは、引き続いて、違う動作の行われるときなどに使用される。
なり 例として列挙した中から、どれか一つを選択することを表す。副助詞とするときもある。なお、語源は、断定の助動詞「なり」の終止形。
だの 体言または用言の終止形に付いて、全体の中からいくつかの物事を並列および列挙する。
普通は、「…だの…だの」の形で用いられるが、「…だの…など」の形で用いられることもある。
断定の助動詞「だ」に助詞「」が付いたものが語源。

副助詞

体言副詞、格助詞の後などにつき全体として副詞的に働く。

ばかり 体言または副詞活用語連体形、格助詞の後などにつき、だけと同じく物事や程度原因を該当する範囲に限定したり、くらいと同じく物事のおおよその程度、分量時刻距離を表す。また、動作が完了して、まだ間もないことを表したり、すぐに実行される段階にあることを表す時にも使用されたりする。また、繰り返しが暗示される用法もある。語源は、動詞はかる」の連用形から転成した名詞「はかり」。話し言葉では、「ばっかり」「ばかし」「ばっかし」などを用いることがある。
漢字表記は、「許り」。
まで 名詞や活用語の連体形につき、事柄や動作の距離的または時間的な限度および範囲または到達点を示したり、程度や動作限定に用いられたりするほか、極端な例を挙げ他を類推させる時(格助詞の後にもつく)にも用いる。
漢字表記は「」。
だけ 名詞や活用語の連体形、あるいは格助詞の後につき、分量程度、限度および範囲の限定の際に用いられる。元来は「」の転じた語で、漢字表記もそのまま「」である。
ほど 動作や物事および状態の段階を表したり、許容範囲を示す名詞「」の転じたもので、名詞や活用語の連体形につき大凡の分量や程度、動作や状態の程度、打ち消しの語と呼応して程度の比較に用いる。また、「~ば~ほど」の形で程度の高まりに比例して他の事柄もあがる意味を持つ。
くらい 大凡の分量や程度、基準事態を示した上での程度の強調を表す。元々は名詞「」が転じたもので、漢字表記も「」。
など 名詞および活用語の連体形につき、多くの中の一例を挙げて他のいくつかの物を総括する時や、婉曲表現の時に用いる。
漢字表記は「」。古くは「」とも。
なり 名詞や副詞、活用形の終止形、助詞などにつき他にある適当な物としての例示を示す。
やら 体言または、体言に準ずる語、一部の副詞、助詞などに付き、不確実であるという意を表したり(ただし疑問文または、否定文の場合)、はっきり言わずに、ぼかして言うときや下に打ち消しの語を伴って、いずれとも不定である意を表すときに使用する。語源は、断定の助動詞「なり」の連用形「に」、係助詞「」、動詞「あり」の未然形「あら」、推量の助動詞「む」の複合した「にやあらむ」が変化した語、「やらん」から。

係助詞

ついた語に意味を添えて強調するもの。述語と呼応することもある(古典語では係り結びがあり、現代語では「しか」が否定形に呼応)。(副助詞に含める説もある)

文節活用語連用形などに接続し、ついた語句の範囲を、多くの事柄から一つに限定して提示したものとするような、強調の役割をしたり、題目を提示して、叙述の範囲をきめたり、叙述内容の成り立つ条件に限定を加える事を示す。また、格助詞副詞などに付いて意味語勢を強めるなど、二つ以上の判断を対照的に示すこともある。現在では「わ」と発音する。
類似した事物の提示並列列挙添加程度感動強調不定称の語について全面的な否定及び肯定などを示す。
こそ 文末について強調したり、動詞の仮定形と接続助詞「ば」に付き、強調した上で提示したり何かを強める意を示す。古文では係り結びによって文末の活用語を已然形に変化させる。
でも 断定の助動詞「だ」の連用形に係助詞の「も」が付いたもので、名詞や他の助詞につき、特殊に見えて一般と同じであるときや、一例として挙げるとき、極端な一例を提示し他の場合はましてと言うことを類推させるとき全てのものに該当ことを意味する時に用いる。
しか 名詞や動詞の連体形、形容詞および形容動詞の連用形につき特定の事柄以外を全否定するときに用いられる。
さえ 既存の物にさらに累加する時や強調して例示し他の物は当然であると類推させる場合、仮定表現を用いて条件を示すときに用いる。
だに 「さえ」とほぼ同じ。

接続助詞

文と文の意味関係を表して接続するもの。 主に活用語に付く。

活用語の連用形に付き、動作の前後関係、補助の関係などを表す。
ても
たり
つつ
ながら
活用語の終止形につき、単純な接続逆接を表す。
けれども 活用語の終止形につき、内容の矛盾する事柄を対比させて確定逆接条件前置き本題に接続するときに用いる。また、「あれも好きだけれどもこれも好き」などの様に単純な接続にも用いることがある。現代では接続詞にも変化し、前の事柄を受けて予想される内容と相反する内容を書くとき、すなわち逆接に用いられる。
ところが 形式名詞の「ところ」に格助詞の「が」が付いたもので、過去助動詞「た」の終止形につき、前述の事柄を受けて事態発生事実確認を示したり、逆接の仮定条件を表す。先述の「けれども」同様、接続詞に変化し、前の事柄を受けて予想される内容と相反する内容を書くときに用いられる。
から 活用語の終止形につき、原因や理由を表すほか、終助詞に似た形で、強い主張や決意を表す。
なり
動詞や助動詞「れる・られる」「せる・させる」といった動詞形活用語の終止形に付き、動作および作用が行われると同時に、他の動作や作用が行われることを示す。
のに 内容が矛盾する二つの事柄を意外性不平不満不服を込めた上でつなげる意味を持つ。格助詞(準体助詞)「の」と「に」をつなげた物で、文の終わりに用いられる物は終助詞に分類されることもある。
ので 活用語の連体形につき、原因理由根拠動機を表す。準体助詞「の」に格助詞「で」を加えたもので、明治時代に入って一般化した比較的新しい助詞である。

終助詞

文や句の末尾について疑問禁止感動などの意味を付け加えるもの。

文末にある語に付き、質問疑問反語難詰反駁勧誘依頼など、様々な意味を表す。驚きや感動の気持ちを表すこともある。
かしら 不審疑問の意味を表したり、打消の助動詞「ない」および「ぬ」に付いて願望依頼の意を表したりする。元来は係助詞「か」に知るの連体形がつき、さらに打消の助動詞「ぬ」が付いたかしらんが由来。現在では女性語となっている。
動詞や助動詞の終止形について禁止の意味を表したり、同じく終止形や助詞について軽い断定主張、念押し、詠嘆などの意を表したりする。また、動詞や補助動詞の連用形について命令の意味を表すものもあるが、こちらは補助動詞「なさる」の命令形「なさい」の省略形が由来。
活用語の連体形につき、断定を和らげる意味(こちらも「かしら」同様女性語となっている。)を表したり、質問または疑問、強い命令の意味を表したりする。また、感動の意味でも用いられるが、近年では古風な表現とされる。
とも 活用語の終止形につき、相手に対する強い肯定を表す。
自分および相手に対する考え判断の念押しや、疑問の語と呼応して反語および強調の意味を表す。
形容詞および形容詞型活用の助動詞や助動詞「う、よう」の終止形、または動詞および動詞型活用の助動詞の命令形に付き、同輩および、目下の者などに対して軽く促し、話し手がその事態の実現を望むという気持ちを表したり、軽く言い放つような気持ち、なげやりな気持ちを表すのに用いられたりする。また、疑問や反語の意を表すこともある。
活用語の終止形につき、軽い決意主張詠嘆などを表す。係助詞「は」が終助詞に転じた物で、女性語となっている。

間投助詞

文節末尾について語調を整えたり感動などの意味を付け加えるもの。(終助詞に含める説もある)

口調を調えつつ相手の注意を引き留める意を表す。一部感嘆符の意味がある。
よ(ぜ:ほぼ同義で使われるか) 呼びかけや強調する時に用いる。強調の時は普通、助動詞「だ」や「です」を伴った「だよ」「ですよ」になる。
ね/な/の 語調を調えたり語勢を調えるときに用いる。

準体助詞

「彼に聞くのがいい」「あちらに着いてからが大事だ」というときの「」「から」は、用言の後について体言相当の意味を表す。この機能は形式名詞(「こと」「もの」「ところ」など)と似ているので準体助詞(準体言助詞)と呼ばれる。

他の言語

助詞に相当するものが他の言語にもある。これらは後置詞と呼ばれることが多い。朝鮮語には日本語のとよく似た機能(格助詞・副助詞・係助詞に相当)を持つ助詞がある。そのほかトルコ語ハンガリー語など多くの言語で後置詞が用いられる(格変化語尾に近いものもあり、普通はそれ以外のものを後置詞と呼んでいる)。

英語など孤立語に近づいた言語では前置詞や語順が、屈折語では屈折語尾が、助詞に相当する機能を果たすが、"ago"のように後置詞的に用いられる副詞もある。

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