競馬の開催

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テンプレート:国際化 競馬の開催とは競馬が行われることである。この項目では日本において(必要に応じて海外の事例も)競馬が開催されるにあたっての各種事項や開催予定だったのが中止される場合やその事例について取り上げる。

日本における競馬の開催の概要

日本における競馬の開催については、おおよそ次のようなパターンで実施される。

  • 中央競馬 - 原則として毎週土曜日・日曜日に実施[1]。4週8日の日程を1開催(○回東京□日目など)とする[2]。ただし特殊な事情で、週末以外の休日(曜日としては主に月曜日)に予定されている場合が年に1~2度程度ある。具体的な例外開催については次節を参照。
  • 地方競馬 - 地区によって異なる[3]。中央競馬と商圏が重なる地域は主に平日、重ならない地域は土曜日、日曜日に開催することが多い。
    • 南関東では中央競馬と重なる土曜日・日曜日を避け、2~6日を連続、もしくは土曜日・日曜日の休みをはさんだ日程で1開催とする。ただし、ナイター競馬を開催する大井川崎各競馬場についてはナイター開催時は日曜日に開催することも多い(まれに土曜日も開催)。特に大井競馬場では日曜日~金曜日の6日間開催を組む。
    • 同じく中央競馬と重なる兵庫県競馬やホッカイドウ競馬は、火曜日~木曜日までを2週間で1開催で開催する。

中央競馬の例外的な開催事例

  • 東京競馬場の開催について毎年5月5日に同競馬場に近接する大國魂神社で祭事が行われる関係上、競馬開催の土・日曜日と重複した場合でも競馬の開催は行われず、その前後に開催日を振り替えていた。しかし、2007年2012年2013年は5月5日に競馬を開催した[4]
  • 1975年頃までは祝日に開催される代わりに土曜日・日曜日の開催がなくなることもあったほか1989年まで春の天皇賞4月29日天皇誕生日[5]に固定して行っていたため、4月29日が土曜日・日曜日でない場合は開催日を調整していた。なお、1990年は4月29日が暦上たまたま日曜日であった。
  • 2003年11月3日文化の日福島競馬を施行し、同時に地方競馬の大井競馬場で同日に行われたジャパンブリーディングファームズカップ(JBC)の中央競馬所有の一部の施設での発売が行われた。しかし11月3日の福島競馬は例年以上の売上を記録し、一方でJBCの売上は馬券販売所が福島競馬場内にしか設けられなかった事もあり、思ったほど伸びずに地方競馬を喰う形となってしまった。
  • ハッピーマンデー制度の開始に伴い土曜日・日曜日・月曜日の3連休が増加したことから、その対応を2004年より行っている。なお祝日開催は地方競馬の売り上げの観点[6]から影響の少ない範囲で行っている[7]
    • 2004年より成人の日に合わせて年始開催は1月5日に1日のみ開催を行い、翌週の週末は成人の日と合わせた3日間連続開催が多い。
    • 同じく2004年より敬老の日に合わせて9月の3連休の開催を3つの競馬場で日程を調整し、この週は2場開催を3日間行っている。
    • 2007年はさらに体育の日にも開催が行われた。上記の通り2007年から1回の開催日数を8日固定から10場の年間総計288日を超えない範囲であれば調整できるように改正されたため、この日の分の開催は1月の年初の開催を東西1日ずつ削ったものである。そのため2006年までは1回中山及び京都1日は1月5日に固定されていたが2007年は1月6日の開催とされた。開催日が1月5日に固定されていた中山金杯京都金杯も開催日固定の重賞競走ではなくなった。
    • 2008年は成人の日を含めた3日開催が無い代わり、勤労感謝の日とその振替休日11月2324日)を3日間開催とした。この場合も3場での開催なので、日程調整をして2場ずつ3日間とした。
    • 2009年は敬老の日を含めた5連休前半3日分(9月1921日)のみ。
    • 2011年東日本大震災による開催中止の日程埋調整のため体育の日に東京で開催が行われた。2012年は天皇誕生日翌日の振替休日となる12月24日にも中山と阪神で競馬が開催された。
    • 2012年以後はいわゆる第3場(4大主場以外)の開催日程の調整の関係[8]で、敬老の日を含めた3連休の3場分割開催は行わなくなり、関東・関西(この節は中山と阪神が基本)のみの3日間連続開催日程となった。
    • 2014年は3年ぶりに3月21日-3月23日に3連休・3会場分割開催(中山・阪神・中京)が行われた。

代替開催

競馬の開催はほぼ毎年、同じような日程で行われる。しかし競馬場が天変地異などによる被害を受けたり改修工事を行う関係で、所定の競馬場が使えない場合に開催を他の競馬場に振り替えることがある。これを代替開催(だいがえかいさい[9])または振替開催などと呼ぶ。また諸事情により競馬が開催できず翌日以降に開催が繰り越される場合も代替開催と呼ぶが、これに関しては次の節で取り上げる(詳しくは開催を中止した場合の代替競馬・続行競馬を参照のこと)。

開催の中止

競馬は通常天候が悪化した場合でも開催されるが、台風や積雪などの天候災害などで競走が中止となる場合がある。また皇族の死去に伴い喪に服すという意味、さらに公正競馬が実施できないと判断した際、馬インフルエンザ馬伝染性貧血など馬の病気が蔓延した場合、放送機器などの場内設備の故障、また厩務員ストライキによる中止もある。

開催の可否については主催者の開催執務委員が開催当日の天気状況や交通状況などを踏まえて開催当日の早朝に審議し、特に天候の悪化で観客や競走馬の輸送の困難、馬場状態について含有水分が多かったり冬季の場合は積雪・凍結が発生するなど公正な競馬の開催に支障をきたすおそれがある場合には開催の中止を宣告する。また馬券発売を管理するコンピューターの故障や集計データの破損、激しい雷雨などにより人馬が屋外にいることが危険と判断したケースで特定の競走のみ中止になったこともある。

また一旦競走を通常通り開催した後に同様の状況が発生し、レース開催が困難となった場合にも途中でレースを中止(取りやめ)にすることもある。

障害競走は降雪時の障害飛越が滑りやすく危険になるため平地競走に比べて降雪による影響を受けやすく、そのため平地競走は施行、障害競走のみ中止する場合もある[10]。また芝コースに雪が積もると除雪を行ってもコース凍結のおそれがあるため、ダートコースへのコース変更が行われる場合がある。芝コースで施行されるはずの重賞がダートに変更された場合にはグレードが外されて、格付けのない重賞競走として施行される。1998年2月15日のGIIIの共同通信杯4歳ステークスでは芝1800mからダート1600mに変更されたためGIIIが外され、格付けのない重賞競走として施行された。かつてはダートコースに大雨により水溜りが出来たため芝コースへのコース変更を行ったこともあった。

また、積雪を伴う降雪が少ない地域の競馬場では馬場を整備すればレースは可能であったとしても大雪などによる公共交通手段の途絶の可能性や来場者の不慣れな雪道での安全の確保を考慮して、開催が中止・順延になった事例もある[11]

開催を中止した場合の代替競馬・続行競馬

天災地変やその他主催者の責めに帰すことのできない理由により開催が中止になった場合には、開催を後日に振り替えることができる。その日の競走が全て取りやめとなって、振り替えた場合は代替競馬(だいがえけいば[9])と呼ぶ。代替競馬は必ずしも行われなければならないわけでなく、そのまま開催中止にすることもできる(地方競馬に多い)。ストライキによる開催の中止の場合には主催者側にも責任があるため、代替競馬を行うことが出来ない。

代替競馬は通常、当該週の開催最終予定日の翌日[12]が多い。これは開催を順延する場合、同一開催内で開催日のみを順延する場合には各種法的な手続きは不要であるが別の競馬場等に振り替える場合には「事業計画の変更」の手続きが必要であり、中央競馬の場合には農林水産大臣の承認が必要となるためである[13]

いくつかの競走が行われた後、途中で開催が打ち切られて残りの競走を開催する場合には続行競馬サスペンデッド)と呼ぶ。ただし、続行競馬を行うには消化された競走が開催予定の2分の1以下でなければならない[14]

代替競馬や続行競馬が行われる場合、公正確保の観点から出馬投票をやり直して施行される。ただし競馬の施行に支障がない場合には出馬投票をやり直さず、騎乗騎手や枠順などは変更せずに施行される。これは枠順などの変更に伴い、発売された新聞などの扱いなどの混乱を避けるためである。ただし競馬の開催が順延されたことで騎乗できなくなり、騎手変更が行われることはある。競馬の円滑な施行に支障がない場合は、特別登録または出馬投票のやりなおしは行わない。

開催中止となって代替競馬や続行競馬が行われない場合の中止された競走で重賞競走が行われる予定だった場合、その重賞競走は後日の日程に組み込まれ順延される。一部の特別競走も同様の処置がとられる場合がある。

フランスではストライキなどにより開催ができず代替開催をする場合、予定にない開催のために観客を入れずにレースを行う場合がある。

参考

競馬場の馬場状態については、主催者の開催執務委員が実際にレース前(天候が悪化した場合は随時)に馬場を徒歩で調査しコースの含水量を踏まえて決定する。日本の場合は稍重不良の4段階だが海外ではそれを更に細分化して発表するケースもある。詳細については馬場状態を参照。

脚注

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関連項目

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  1. 法令上は土曜日日曜日国民の祝日1月5日から7日までの間で開催可能になっている。
  2. 2006年11月7日の競馬法施行規則の改正により2007年からは1開催につき最大12日設定可能になった。ただし、1年間の延べ開催日数は288日までで現行どおりである。
  3. かつては原則として日曜日、月曜日金曜日、土曜日と国民の祝日、年末年始お盆と規定され例外的に「当該競馬場又は他の競馬場における売得金の額に相当の影響があり、若しくは秩序の維持その他の地方競馬の公正かつ円滑な実施に相当の支障が生ずることが明らかであることその他特別の理由により前号の日取りによつて開催することが困難である地方競馬」(すなわち中央競馬と商圏がかぶる南関東、愛知、岐阜、兵庫)のみ他の曜日の開催が認められていた。しかしながら地方競馬場で中央競馬の場外発売が行われるようになり要件を満たす競馬場が増えたことやそもそもの開催条件が複雑すぎるため、現行法令上は開催1回につき連続する12日間の範囲内の日取りで最大6日間設定可能となっている(例:火曜日~金曜日の4日間と翌週の火曜日・水曜日の2日間の計6日間で1開催を組むことができる)。
  4. これは関東で第3場開催及び関西で開催が行われる場合も同様に振り替えていた。
  5. 後にみどりの日昭和の日
  6. 2003年文化の日の開催の反省点。
  7. 成人の日は年末年始明けの休日である点、また敬老の日、体育の日は秋分の日があり祝日が連続してある点。なお、海の日は1度も対象になったことがない。
  8. 平年の北海道開催が、札幌競馬場改修に伴い9月の第1週目までで終わるため
  9. 9.0 9.1 競馬業界では「代替」を「だいたい」とは読まずに「だいがえ」と読むのが普通。JRA公式サイトの競馬用語辞典にも「だいがえけいば(代替競馬)」として記載がある。
  10. 2003年12月27日に行われる予定だった中山大障害が降雪のため当該レースのみ中止し、2004年1月10日に延期となった。
  11. 競馬と比較して雪に強いとされる競艇でも、この理由で開催が中止になることもある。
  12. 2013年1月14日の中山競馬場の第5競走以後と、同4月21日の福島競馬全競走がいずれも積雪のため中止になった時は、翌日の平日ではなく、翌週の月曜日(前者1月21日、後者4月29日)に移行されている。これは2012年10月から、I-PATや即PATを利用した地方競馬の馬券発売の日程が決まっている(基本的に月曜日は祝日や、予め開催される日程で特例的に発売される場合を除き、電話投票会員の銀行口座の管理のため地方競馬の馬券は購入できない)ことも関連している。
  13. [1]
  14. 例えば全12レース制の開催日だと後半最初のレースである第7競走が成立した後になって途中打ち切りとなった場合、続行競馬は行われない。