活火山
活火山(かつかざん、かっかざん、active volcano)とは、“概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山”である(日本の火山噴火予知連絡会・気象庁による定義)。この定義による2012年現在の“日本の活火山数は110火山“である。
火山噴火予知連絡会による活火山の分類
ランク | 説明 | 該当火山数 |
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A | 100年活動度、または1万年活動度が特に高い活火山 | 13火山 |
B | 100年活動度、または1万年活動度が高い活火山 | 36火山 |
C | 100年活動度、および1万年活動度がともに低い活火山 | 38火山 |
対象外 | データが不足しているためランク分け対象外となっている火山(北方領土や海底火山など) | 23火山 |
※対象は日本国内の火山に限る
定義の変遷
以前は、現在活動している火山を活火山、活動を休んでいる火山を休火山、活動を止めてしまった火山を死火山と呼んでいた。具体的には、常に噴気活動があったり頻繁に噴火する火山(日本での例:桜島、浅間山など)を活火山、噴火記録はあるが現在は活動していない火山(同:富士山など)を休火山、有史以降の噴火記録のない火山を死火山としていた。
しかし、噴火や噴気活動の間隔は火山によってまちまちであることなどから、活火山と休火山を分けることは難しく、気象庁は昭和40年代から、噴火記録のある火山や活発な噴気活動がある火山はすべて活火山としていた。事実、1968年(昭和43年)に発行された火山観測指針(気象庁職員のための火山観測マニュアル)には、噴火記録のある富士山も活火山リストに掲載されている(一般には休火山と思われていた)。
そういった中、死火山と一般には考えられていた北海道の雌阿寒岳が1955年に、御嶽山が1968年(昭和43年)から活発な噴気活動をはじめたことから活火山に変更され、1979年(昭和54年)に水蒸気爆発を起こしたことから、改めて死火山の分類区分が無意味であることが一般的にも認知された。休火山と考えられていた秋田駒ヶ岳は1970年に、雲仙岳は1990年に入って噴火した。
また、噴火記録の有無は、歴史時代に人が目撃し記録したかどうかに依存することも改めて認知されたことから、1991年(平成3年)に、活火山の定義「噴火記録のある火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を「過去およそ2000年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」に変更し、噴火記録の有無ではなく地質学的な証拠に基づくものと明確化した。
さらに研究が進むにつれて、2000年以上の休止期間をおいて噴火する火山もあることが明らかとなり、国際的には1万年以内に噴火した火山を活火山とするのが主流となってきた。このことから、火山噴火予知連絡会は2003年(平成15年)、「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と再定義し、気象庁もその定義を踏襲することになった。この定義による日本国内の活火山は当初108火山であったが、2011年6月に新たなデータにより3火山が追加され、3火山のうち既存の活火山である樽前山に含まれた風不死岳を除いて計110火山となった[1]。今後も研究の進展により活火山数は増減する可能性がある。活火山をこのように定義すると、頻繁に噴火する火山から数千年の休止期をおく火山まで幅が大きくなるので、火山噴火予知連絡会は同時に、社会的影響度を評価することなく火山学的に評価された火山活動度により、ランクA・ランクB・ランクC(Aが活動度が高い)の新しい3区分の活火山の分類(ランク分け)を定義した。
上記のようにランク分けは社会的影響度を考慮しないものであるため、火山の活動による危険性に直接は結び付かない。そこで気象庁は、2007年12月1日から、火山活動による災害の危険性に応じ、国内すべての活火山について噴火警報・噴火予報を発表するようになった。同時に活動度の高い火山には5段階の噴火警戒レベルを導入し、噴火警報・予報で発表することとした(すなわち噴火警戒レベルと、上記のランク分けは関連するものではない。例えば、2011年1月から活発な噴火活動を始めた新燃岳を含む霧島山のランクは、B = 富士山と同じ = である)。
日本に於ける常時観測対象の火山
2009年(平成21年)6月火山噴火予知連絡会によって、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び、社会的影響を踏まえ、火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山として下表の47火山が選定された。 これらの火山には、気象庁や防災科学技術研究所の火山基盤観測網、大学などの機関により地震計、傾斜計、空振計、GPS観測装置、遠望カメラなどの観測施設を整備している。
選定理由 | 火山数 | 火山名 |
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1. 近年、噴火活動を繰り返している火山</br>
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23 | 雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、秋田駒ヶ岳、吾妻山、那須岳、草津白根山、浅間山、新潟焼山、焼岳、御嶽山、伊豆大島、三宅島、硫黄島、阿蘇山、霧島山、桜島、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島 |
2. 過去100年程度以内に火山活動の高まりが認められている火山</br>
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18 | アトサヌプリ、大雪山、恵山、岩手山、栗駒山、蔵王山、安達太良山、磐梯山、日光白根山、乗鞍岳、白山、箱根山、伊豆東部火山群、新島、神津島、八丈島、鶴見岳・伽藍岳、九重山 |
3. 現在異常はみられないが過去の噴火履歴等からみて噴火の可能性が考えられる | 4 | 岩木山、鳥海山、富士山、雲仙岳 |
4. 予測困難な突発的な小噴火の発生時に火口付近で被害が生じる可能性が考えられる | 2 | 倶多楽、青ヶ島 |
関連画像
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キラウエア火山のマグマ | 阿蘇山西火口・活火山ランクA | 桜島・活火山ランクA | 御嶽山 (長野県)・活火山ランクB |
外部リンク
- 気象庁
- 活火山とは 気象庁
- 日本の活火山分布、過去の火山活動による分類(ランク分け)
- 噴火予報・警報(最近一週間に発表された噴火予報・警報を表示)
- 火山基盤観測網 防災科学技術研究所
脚注
関連項目
- 火山学
- 火山、火山の一覧、火山の一覧 (日本)
- 海底火山、火山島
- 火山帯
- マグマ、火成岩、火山岩
- 火口(噴火口)、カルデラ
- 火山灰
- 火砕流
- ラハール(火山活動によって発生する泥流・土石流)
- ホットスポット
- プレートテクトニクス
- プルームテクトニクス - スーパープルームの火山により生物の大絶滅が有ったと仮定されている。新しい理論。
- 温泉、地熱
- 地震
- イオ(木星の衛星)
- クラフト夫妻
- 火山災害予測図
外部リンク
- 気象庁
- 産業技術総合研究所 地質調査総合センター