水処理
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水処理(みずしょり、英語:water treatment)とは、水を使用目的にあわせた水質にするための、または、周辺環境に影響を与えないよう排出するための、各種の処理である。
目次
概要
工業の発達や世界的な人口の増加により、水資源の有効利用が求められている。そのため、再利用・段階的利用が行われる。また、砂漠地帯などでは海水の淡水化が行われている。
上水道については、水源の水質汚濁のため、活性炭吸着・膜処理・オゾン処理が必要となっている。また、下水道では、湖沼・河川の富栄養化防止のため、浮遊物質・濁度・有機物の処理だけではなくリン・窒素などを取り除く高度処理が求められている。
工業などにおいては、半導体製造などの工程用・熱媒体体としての循環水の管理、また、排水中の有害物質除去などがある。
水道
用途
- 海水の淡水化 :海水から塩分を除去し、淡水(真水)を得る。
- 食品製造 :微生物や有毒物質に汚染されていない水を得る。
- 半導体素子製造 :洗浄用に不純物のほとんどない超純水が必要である。
- ボイラー給水 :スケールによる熱交換効率の低下や腐食を防ぐため、イオン交換・薬品添加が行われる。
- 冷却塔 :スライムによる熱交換効率の低下やレジオネラ菌による感染症を防ぐため、薬剤添加が行われる。
物理化学的処理
濁度除去
凝集
- 薬剤
- 電気
沈殿分離
浮上分離
遠心分離
イオン交換
物理吸着
ストリッピング :揮発性有害物質を気体を吹き込むことにより気体側に分離する。
電気透析
生物化学的処理
微生物によって有機物を分解・沈殿させる。
好気性処理
- 嫌気性処理
分析技術
適切な水質に処理されているか確認するため、各種分析が必要である。
イオン濃度
有機物
有害有機化合物
重金属類
法規
汚染原因者負担の原則
日本では、水処理に関する法規制は何度も改正を繰り返し、現在に至っている。当時の水質汚濁防止法や関連法規制を守っていても、土壌汚染や地下水汚染さらに底質汚染を引き起こしていた場合には、土壌汚染対策法や公害防止事業費事業者負担法により多額の費用負担を求められる場合があることを理解した上で、水処理を行うことが必要である。
主な水処理機器メーカー
- 日本
- 旭化成 :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、世界シェアの約20%、アメリカ合衆国におけるシェアの約50%を占める(2012年時点)[1]。
- 三菱レイヨン :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、中国など海外へ進出・拡大(2012年時点)[1]。
- クボタ :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、中国など海外へ進出・拡大(2012年時点)[1]。
- 東レ :海水淡水化に使う水処理膜分野で、世界に高いシェアを誇る(2012年時点)[1]。
- 日東電工 :海水淡水化に使う水処理膜分野で、世界に高いシェアを誇る(2012年時点)[1]。
- アクアス、日立造船、荏原製作所、オルガノ、壽化工機、栗田工業、ササクラ、三機工業、タクマ、中外炉工業、月島機械、TFC、トーケミ、西原環境テクノロジー、日鉄住金環境、日本原料、前澤工業、メタウォーター、ユニチカ、リンカイ