歌劇場
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テンプレート:Redirect テンプレート:Portal クラシック音楽 歌劇場(かげきじょう)は、オペラ及びバレエの上演を目的とする劇場。オペラハウスとも呼ぶ[1]。
概説
劇場内には、舞台と客席の間に低くした部分を設けてここにオーケストラと指揮者を置き(オーケストラピット、略してピット)、円滑な場面転換のために3面・4面舞台を有する。通常の劇場やコンサートホールでも、舞台または客席の一部の床を低くしてオーケストラピットを設けられるように作られているものがある。
楽器の演奏や歌唱の演出に適合するように、音響特性の面で考慮されている[1]。
定義
日本でいう「歌劇場」は厳密な定義に従えば、単にオペラ・バレエが上演可能な「建物」のことだけを指すのではなく、独力で継続的にオペラ・バレエを上演し、それらを運営することの出来る組織を持っているものを指す。現に世界の多くの歌劇場には、音楽監督ないし常任の指揮者、専属のオーケストラや合唱団が設置されている。ウィーン国立歌劇場の専属オーケストラであるウィーン国立歌劇場管弦楽団は特に有名で、このオーケストラの団員がコンサート活動を行うのがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団である。しかし、広義の意味で単に「オペラ団体」(歌劇団、英:opera company)を指す場合もある。「歌劇場」とあった場合、「建物」「オペラ団体」のいずれを指しているのか注意が必要である。
種類
- 「建物」と「オペラ団体」が同一で、専属の「オーケストラ」を設置している。多くの「歌劇場」が当てはまる。
- 「建物」と「オペラ団体」が同一だが、専属ではない「シンフォニーオーケストラ」が演奏を行っている。
- ジュネーヴ大劇場⇒スイス・ロマンド管弦楽団がピットに入る。
- ライプツィヒ歌劇場⇒ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団がピットに入る。
- 「建物」が複数あるが、「オペラ団体」が同一である。
- パリ国立オペラ⇒ガルニエ宮、オペラ・バスティーユの2つの施設を運営し、パリ国立歌劇場管弦楽団がピットに入る。
- ライン・ドイツ・オペラ⇒デュッセルドルフ市、デュースブルク市が共同で運営し、それぞれの市の施設(デュッセルドルフ歌劇場、デュースブルク劇場)とオーケストラ(デュッセルドルフ交響楽団、デュースブルク・フィルハーモニー管弦楽団)で交互に上演している。
- 「建物」と「オペラ団体」が同一だが、専属の「オーケストラ」が無い。
- 新国立劇場⇒東京フィルハーモニー交響楽団を中心に、在京オーケストラがピットに入る。
- ネーデルラント・オペラ⇒ネーデルラント・フィルハーモニー管弦楽団を中心に、オランダのオーケストラがピットに入る。
- 「建物」と「オペラ団体」が別法人である。
- シドニー・オペラハウスとオペラ・オーストラリア。どちらも無理に日本語に訳すと「シドニー歌劇場」「オーストラリア歌劇場」となって全く別物のように見られてしまうが、正確にいえばシドニー・オペラハウスは、オペラ、バレエ、演劇、コンサートを行う総合芸術施設であり、オペラ・オーストラリアはシドニー・オペラハウスで公演を行うオペラ団体である。
- 「建物」でオペラが上演可能だが、特定の「オペラ団体」を抱えていない。大規模な劇場が当てはまる。
- 音楽祭でのオペラの公演を行う「建物」もしくは「施設」。
- いわゆる「オペラ団体」だが、特定の「建物」で上演せず複数の場所で上演をおこなう。
主要な歌劇場
詳細は歌劇場の一覧を参照。
- 新国立劇場(東京都渋谷区)
- よこすか芸術劇場(神奈川県横須賀市)
- アクトシティ浜松(静岡県浜松市)
- まつもと市民芸術館(長野県松本市)
- 富山市芸術文化ホール(富山県富山市)
- 愛知県芸術劇場(愛知県名古屋市)
- 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール(滋賀県大津市)
- 兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市)
- ガルニエ宮(パリ)
- オペラ・バスティーユ(パリ)