日本永代蔵
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テンプレート:Portal 『日本永代蔵』(にっぽんえいたいぐら)は、井原西鶴作の浮世草子で、町人物の代表作の一つ。貞享5年(1688年)に刊行され、各巻5章、6巻30章の短編からなる。
副題として「大福新長者教」。仮名草子『長者教』に擬え、
金持ちはいかにして金持ちになったか、町民の生活の心得を飾らずに描いた内容になっている。軽妙な文体は、後の太宰治の文体に影響を与えたといわれる。
内容
巻一
- 初午は乗て来る仕合 - 江戸にかくれなき俄分限、泉州水間寺利生の銭
- 二代目に破る扇の風 - 京にかくれなき始末男、壱歩拾ふて家乱す悴子(せがれ)
- 浪風静に神通丸 - 和泉にかくれなき商人、北浜に箒の神をまつる女
- 昔は掛算今は当座銀 - 江戸にかくれなき出見せ、壱寸四方も商売の種
- 世は欲の入札に仕合 - 南都にかくれなき松屋が跡式、後家は女の鑑となる者
巻二
- 世界の借屋(かしや)大将 - 京にかくれなき工夫者、餅搗もさたなしの宿
- 怪我の冬神鳴 - 大津にかくれなき醤油屋、何をしても世を渡る此浦
- 才覚を笠に着大黒 - 江戸にかくれなき小倉持、身過の道急ぐ犬の黒焼
- 天狗は家名の風車 - 紀伊国に隠れなき鯨ゑびす、横手ふしの小哥の出所
- 舟人馬かた鐙屋の庭 - 坂田にかくれなき亭主振、明れば春なり長持の蓋
巻三
- 煎じやう常とはかはる問薬 - 江戸にかくれなき箸削、小松さかへて材木屋
- 国に移して風呂釜の大臣 - 豊後かくれなきまねの長者、程なくはげる金箔の三の次
- 世は抜取の観音の眼(まなこ) - 伏見にかくれなき後生嫌ひ、質種は菊屋が花さかり
- 高野山借銭塚の施主 - 大坂にかくれなき律義屋、三世相よりあらはるゝ猫
- 紙子身代の破れ時 - 駿河にかくれなき花菱の紋、無間の鐘を聞は突そこなひ
巻四
- 祈る印の神の折敷 - 京にかくれなき桔梗染屋、わら人形の夢物かたり
- 心を畳込古筆屏風 - 筑前にかくれなき舟持、蜘の糸のかゝるためしも
- 仕合の種を蒔銭 - 江戸にかくれなき千枚分銅、そなはりし人の身の程
- 茶の十徳も一度に皆 - 越前にかくれなき市立、身は燃杭の小釜の下
- 伊勢海老の高買 - 堺にかくれなき樋の口過、能は桟敷から見てこそ
巻五
- 廻り遠きは時計細工 - 長崎にかくれなき思案者、火を喰鳥も身をしりぬ
- 世渡りは淀鯉のはたらき - 山崎にうち出の小槌、水車は仕合を待やら
- 大豆(まめ)一粒の光堂 - 大和にかくれなき木綿屋、借銭の書置めづらし
- 朝の塩籠夕の油桶 - 常陸にかくれなき金分限、人はそれ/\の願ひに叶ふ
- 三匁五分曙のかね - 作州にかくれなみ悋気娌、蔵合といふは九つの蔵持
巻六
- 銀(かね)のなる木は門口の柊 - 越前に隠れなき年越屋
- 見立て養子か利発 - 武州にかくれなき一文よりの銭屋
- 買置は世の心やすい時 - 泉州にかくれなき小刀屋の薬代
- 身代かたまる淀河の漆 - 山城にかくれなき与三右か水車
- 知恵をはかる八十八の升掻 - 今の都にかくれなき三夫婦をいはふ