新人王戦 (将棋)
新人王戦(しんじんおうせん)は、日本共産党の機関紙であるしんぶん赤旗主催の将棋の棋戦。26歳・五段以下の棋士などが参加する優勝棋戦(非タイトル戦の公式棋戦)である。決勝は三番勝負で、例年10月から11月にかけて行われる。優勝者(新人王)はタイトル保持者と記念対局を行う。 新人王が後にタイトルホルダーやA級棋士などの強豪になったケースは多く、有望な若手の登龍門であるとされている。
目次
しくみ
若手の棋士と女流棋士、アマチュア、奨励会員の計40名が参加するトーナメントを行い優勝者を決定する。
2005年秋から始まった第37期(2006年度)より参加資格がそれまでの制度(後述)から大幅に変更され、定員が42名に固定された[1]。特に、プロの参加が30歳以下から26歳以下に引き下げられたことにより、奨励会三段の出場枠は実質的に大きく広がった[注釈 1]。その際に、棋戦名が単なる「新人王戦」から「新人王戦 U-26」に改称された。第39期(2007年度)には再び「新人王戦」に名称が戻された[2]。
第40期(2008年度)には、定員が最大40名(奨励会三段の出場人数は棋士の参加人数以下[注釈 2])に変更された。現在の参加資格は以下のとおり[3]。
- 26歳以下かつ五段以下の棋士 全員
- 26歳以下の女流棋士 4名(成績選抜による)
- アマチュア 1名(赤旗名人)
- 前期の奨励会三段リーグ成績上位者([出場人数]=40名-[上記1・2・3の合計人数])
年齢については開始年(= 年度の前年)の10月1日を基準とする[3]。ただし27歳以上でも四段昇段から1年以内の棋士は1回に限り出場できる。
前期ベスト4以上で参加資格のある者はシードされ2回戦からの参加となる。また、棋士は基本的に2回戦からの登場であり、棋士の参加者数によっては女流棋士や奨励会員の一部も2回戦からの参加となる。決勝は三番勝負を行う。持ち時間は全ての対局で各3時間[3]。
記念対局
新人王戦優勝者とタイトル保持者が記念対局を行う。非公式戦であり、成績は通算記録などに算出されない。
記念対局は、第36期(2005年度)までは公式戦であった。優勝者とその年の名人による記念対局が11月頃に行われた。
先後は振り駒を行わず、新人王が先手となる。ただし1999年の藤井猛、2005年の渡辺明は新人王戦の途中に竜王を獲得し八段まで昇段していたため、特例として振り駒が行われた。
特典
第44期新人王戦で奨励会三段の都成竜馬が優勝したことを受け、新人王戦で奨励会三段が優勝した場合、「進行中の三段リーグ終了時に次点がつく」という規定が新設された(ただし、この次点2つのみで四段昇段はできない)[4][5]。三段リーグにおける次点の詳細な規定については新進棋士奨励会#三段リーグを参照。
第36期(2005年度)以前の制度
第36期以前は棋戦名が単に新人王戦であった。奨励会予選とトーナメント戦により優勝者を決定した。
奨励会予選
奨励会三段の全会員が参加するトーナメントで、6名が本戦に勝ち進めるシステムであった。持ち時間は各1時間。
この奨励会予選は第36期(2005年度 = 奨励会予選が行われたのは2004年)を最後に廃止された。
トーナメント戦
開始年10月1日時点での
が本戦に参加していた[注釈 4]。
トーナメント形式であること、および、決勝が三番勝負であることは、第37期以降と同じであった。持ち時間は各4時間、決勝三番勝負のみ各5時間であり、いずれも第37期以降よりも長かった。
記録
奨励会三段の最高成績
第44期の都成竜馬が奨励会員として初めて優勝を果たした。
なお、第5期の青野照市・第18期の森内俊之・第37期の糸谷哲郎は出場時には三段で、勝ち進んでいる間に四段に昇段して優勝している。
アマチュアの最高成績
第41期では、元奨励会三段の加來博洋赤旗名人が決勝に進出した。1勝2敗でアマチュア初の公式棋戦優勝はならなかったが、アマチュアの公式棋戦準優勝は史上初の快挙であった。
歴代決勝結果
○●は優勝者から見た勝敗。「年度」は、決勝三番勝負が行われた西暦年と同じ。
☆は、出場時は三段であったものの、途中に四段に昇段してから優勝した棋士を示す。
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脚注
出典
注釈
- ↑ たとえば、2006年度と2007年度は17名、2008年度は19名であり、三段リーグの半数強が出場。
- ↑ よって、棋士の参加が17名以下の場合は、総人数は40名に満たない。
- ↑ 第36期から女流棋士の年齢制限が始まったことにより、第35期までは常連であった清水市代や中井広恵ら、女流将棋界の強豪が出場できなくなった。また、上述のとおり翌年の第37期からは、さらに棋士と女流棋士の年齢制限が26歳以下となった。
- ↑ 第36期トーナメント戦の参加者は40名。