戸田運送船
戸田運送船株式会社(へだうんそうせん)は、静岡県沼津市戸田に本社を置き、定期旅客運送を行う海運会社。
戸田港にある乗船場・事務所を兼ねたコンビニエンスストア(ヤマザキYショップ)と船舶給油施設を兼ねたガソリンスタンド(ENEOS戸田給油所)を経営する山崎商事と戸田交通(タクシー業)を束ねる同族企業である。
2007年に小型高速旅客船「ホワイトマリンII」を就航させた。
概要
西伊豆沿岸の沼津港(沼津市)、戸田港(沼津市)、土肥港(伊豆市)を結ぶ。もともと沼津〜戸田間を時速10ノットの在来船「のとろ」「第一ふじ」「第二ふじ(元・伊豆箱根鉄道、第二十七龍宮丸)」「第八ふじ」で運航していたが、1988年7月28日に軽合金製の大型高速旅客船「ホワイトマリン」を就航させた。
もともと伊豆箱根鉄道が1954年から西伊豆航路(沼津〜大瀬〜戸田〜土肥〜松崎)を運航しており、1998年に沼津-戸田間を共同運航化した。
西伊豆航路と競合する戸田運送船は事業撤退を検討していたが、2003年に伊豆箱根鉄道が先に撤退したため事業継続となり、戸田運送船単独による航路となった。土肥町(現伊豆市)などの要請から戸田~土肥間の延伸を伊豆箱根鉄道撤退間際に決定した経緯がある。海水浴などの夏期観光シーズン以外は、地元住民の沼津市市街地への所用(主に通院など)の足として使われている。
2004年に懸案となっていた山崎商事のスーパーマーケット事業の不採算悪化と、ホワイトマリンの利用者低下により実質的な債務超過状態と経営危機が明るみとなり、ホワイトマリンの運航継続が懸念された。
しかし、静岡銀行のベンチャーキャピタル会社静銀キャピタルが、中小企業基盤整備機構と静岡県内の金融機関出資により組成された中小企業再生ファンド『パートナー』の支援で、静岡銀行の貸付債権の買い取り、取引金融機関の金利や債務の減免要請や不採算事業の撤退と資産売却、国民生活金融公庫による新規融資実行といった再生計画を支援し、経営危機は脱した。
一方、燃料費の高騰による収益悪化から2005年頃より乗客の僅少が見込まれる場合は休航させ、戸田運送船の系列会社である戸田交通のタクシーで土肥・戸田市街地から沼津港と沼津駅まで代行運送する措置(航路運賃で利用可)をとっている。ただし2007年以降、ダウンサイジング化した「ホワイトマリンII」の就航により、その頻度は減少している。船舶検査による休航時も代行運送の扱いとなる。
フェリーではないため、車両は積載不可(もともと沼津港発着の定期船舶にはフェリーが就航していない)。
戸田港発着で駿河湾内のクルーズを不定期で行っている。
2012年3月31日付けで航路を廃止することを2011年11月16日に発表したが、その後撤回され現在に至る。
使用船舶
ホワイトマリンII
ホワイトマリンの後継として導入した新造船。燃費向上と船舶検査コスト低減のためFRP製の小型船舶へと大幅にダウンサイジングしているが、航行性能は同等である。納涼船のような宴会に対応した座席配置への対応や、車いすでも入れるトイレや設置スペースを設け、バリアフリーに配慮している。
ホワイトマリン
2008年頃に売船された。 現在、タイ サムイ島「シートランディスカバリー4」として就航中