富士五湖
富士五湖(ふじごこ)は、山梨県側の富士山麓に位置する5つの湖の総称。下記の5つの湖をさす。堀内良平(富士急の創設者)によって命名された。
いずれも富士山の噴火による堰止湖で、富士箱根伊豆国立公園に指定されている[1]。2011年(平成23年)9月21日に富士五湖の名称で5湖とも国の名勝に指定され[2][3]、2013年6月22日には「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の一部として五湖すべてが世界文化遺産(日本の文化遺産としては13箇所目)に登録された。[4]
地理
自然流出する河川を持つ湖は桂川(相模川)の源流である山中湖のみで、残る4湖は内陸湖である。ただし、水位調整や発電用として河口湖、西湖、本栖湖には、それぞれトンネルによる人工放水路が作られており、中でも河口湖からの放水路は古くから新倉掘抜として下流域に水利権があるため、河口湖は相模川水系の一級河川となっている。
残る西湖、精進湖、本栖湖の3湖およびそこへ流入する河川は二級河川であるが、内陸県に二級河川が存在するのは全国でも、山梨県のこの3湖だけである。西湖、精進湖、本栖湖は、かつては剗の海(せのうみ)という一つの大きな湖であり、水面の標高が連動しているため、地下で水脈を共有していると考えられている。
形状 | 湖名 | 面積 | 最大水深 | 周囲 | 水面の標高 |
---|---|---|---|---|---|
テンプレート:Display none80px | もとすこ 本栖湖 |
4.70 km2 | 121.6 m | 11.82 km | 900 m |
テンプレート:Display none80px | しょうじこ 精進湖 |
0.50 km2 | テンプレート:Display none15.2 m | テンプレート:Display none6.80 km | 900 m |
テンプレート:Display none80px | さいこ 西湖 |
2.10 km2 | テンプレート:Display none71.7 m | テンプレート:Display none9.85 km | 900 m |
テンプレート:Display none80px | かわぐちこ 河口湖 |
5.70 km2 | テンプレート:Display none14.6 m | 20.94 km | 830.5 m |
テンプレート:Display none80px | やまなかこ 山中湖 |
6.80 km2 | テンプレート:Display none13.3 m | 13.87 km | 980.5 m |
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赤池・忍野八海
非常に雨が多く降った時には、最も湖水面積が狭い精進湖の南東に「赤池」という長円形の小さな池が姿を現すことがあり、これを「富士六湖」「富士五湖の6番目」などと言う。ただし、大きさは他の湖よりずっと小さく直径50m程度。近年では1998年、2004年、2011年[6]などに見られた。
富士五湖に含まれない湧泉群の「忍野八海」は、元は山中湖とともに「宇津湖」という一つの湖であったものが、800年-802年(延暦19年-21年)の富士山延暦噴火により二つに分かれてできた「忍野湖」の名残であるとする俗説が流布しているが、学術上では宇津湖の存在は否定されている[7][8][9]。
名前の由来
1927年(昭和2年)、東京日日、大阪毎日新聞(現毎日新聞)は、鉄道省後援で「日本新八景」選定のため国民の葉書投票を企画した。部門は湖沼・河川・温泉・山岳等八部門、富士北麓の各湖はそれぞれの名前で湖沼の部に投票をはじめていた。然しバラバラ投票では効果が上がらなかった。
「富士五湖」の総称は江戸時代の文献には見られず、『富士山麓史』によれば「この時、堀内良平の胸にひらめいたのが『富士五湖』の名であった。(略)良平は新聞社に行き『富士五湖』の新名称で投票することの了解を取るとともに、自社の株主に一株一枚の投票を呼びかけた。締め切りまでに富士五湖に寄せられた票は360万票、湖沼の部日本一となった」とある。審査の結果「富士五湖」は「日本二十五勝」に選定された。
世界遺産問題
富士山の世界遺産登録をめぐり、富士五湖を含めるかどうかについて、意見が分かれていた。
事の発端は、2006年に山梨県が「富士五湖を含めることで検討中」と発したところ、富士河口湖町と観光協会などが反発、これを受け、山梨県は一度は富士五湖を外すことになった。しかし、富士山が世界遺産暫定リストに登録された際、文化庁が「富士五湖を含めないと富士山として不完全」との見解を示したことから問題が再燃している。
富士河口湖町と観光協会が反対する理由として、富士五湖が世界遺産に含まれた場合、観光開発や富士五湖名物であるバスフィッシングやワカサギ釣りを含めた富士五湖の漁業が制限され、住民の生活に支障をきたすおそれがあるからである。
2011年、世界遺産指定の前提としての、五湖の文化財指定申請が行われた[10]。
2013年6月22日には富士山の世界遺産登録が決定。河口湖と山中湖はそれぞれ個別の構成資産として、本栖湖、精進湖、西湖は「富士山域」という一つの構成資産の中の一部として五湖全てが世界遺産に登録された。
脚注・出典
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 2011年(平成23年)9月21日文部科学省告示第141号「名勝に指定する件」
- ↑ テンプレート:PDFlink文化庁
- ↑ ただし、「富士五湖」として一括の登録ではなく、河口湖と山中湖がそれぞれ個別の構成資産として扱われ、本栖湖、精進湖、西湖は「富士山域」という一つの構成資産の中の一部となった。
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 テンプレート:Cite web
- ↑ 富士 表情豊か読売新聞、2011年9月25日、同日閲覧.
- ↑ 出典 : テンプレート:PDF 輿水達司、内山高、吉澤一家 - 地球惑星科学関連学会2004年合同大会予稿集、2013年7月閲覧
- ↑ 出典 : 富士山北東麓古忍野湖の地質と化石 - 国立科学博物館地学研究部 藤山家徳、2013年7月閲覧
- ↑ 出典 : 富士山延暦噴火の謎と『宮下文書』 - 静岡大学教育学部総合科学教室 小山真人、2013年7月閲覧
- ↑ 読売新聞[1]2012年3月10日閲覧