嘉例川駅
嘉例川駅(かれいがわえき)は、鹿児島県霧島市隼人町嘉例川にある、九州旅客鉄道(JR九州)肥薩線の駅である。
駅構造
単式ホーム1面1線を有する地上駅。無人駅で、単式ホームの向かい側には使用されなくなった島式ホームが残っている。駅前広場は手狭でバスが乗り入れる際の安全上の問題があり、鹿児島県の「魅力ある観光地づくり事業」の予算と霧島市の負担により、駅から約150 mの位置に約1,550 平方メートルの駐車場が整備され、2010年(平成22年)4月25日に完成記念式典が開かれた[1]。
駅舎は開業当初からの木造建築で、鹿児島県内の駅本屋としては大隅横川駅駅舎と並び最古の存在。2004年(平成16年)、旧・隼人町が保護のため買収し、2006年(平成18年)には登録有形文化財に登録されている[2]。駅舎は地元のボランティアによって整備・清掃される。駅ノートが置いてある。
歴史
1903年(明治36年)1月15日に営業を開始した。当時は駅長と出札係兼電信係1名と駅夫5名で運営されていた。駅長の月給は19円80銭であった。
1920年(大正9年)3月30日、当時の皇太子(昭和天皇)が駅から約3キロメートル西にある高屋山上陵参拝のため乗降した。宮崎駅からの臨時列車で午前11時に到着し鹿児島県知事らの出迎えを受け、駅から人力車で山陵へ向かった。東郷平八郎も同行していた。午後0時45分に駅へ戻り、同50分に川内町駅(後の川内駅)へ向けて出発した。小雨の降る中、沿道には出迎えのために4万人以上の住民が集まった[3][4]。
年表
- 1903年(明治36年)1月15日 - 国分(現在の隼人駅)~横川(現在の大隅横川駅)間が開通したのに伴い、鉄道作業局が開設[5][4]。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により九州旅客鉄道が継承。
- 2003年(平成15年)1月 - 開業百周年記念事業が行われる[6]。
- 2006年(平成18年)3月2日 - 駅本屋が登録有形文化財になる[2]。
- 2007年(平成19年)11月30日 - 南九州近代化産業遺産群の物資輸送関連遺産の1つとして選ばれる[7]。
- 2010年(平成22年)4月25日 - 新しい大型駐車場の完成を祝って記念式典を開催[8]。
駅弁
2004年の特急「はやとの風」運転開始後、土・日・祝日に限り、霧島市にある「森の弁当やまだ屋」という業者が製造する『百年の旅物語かれい川』(通称「かれい川弁当」)が発売開始されている[9]。土曜日と日曜日に駅舎内で発売している。
特急「はやとの風」の車内でも販売を行っているが事前予約が必要である。なお、2010年3月現在、「はやとの風2号」のみ鹿児島中央 - 隼人間では販売を行っていない。
内容物は概ね竹の子ご飯(たけのこ、しいたけ、サヤエンドウ)、春巻、なます(大根、人参)、コロッケ、田楽(ナス、かぼちゃ)、がね(天ぷらの一種)で構成されている。
県内外問わず人気が高く、JR九州主催の「九州の駅弁ランキング」では2008年より3年連続で第1位に輝いている。
駅周辺
山間の小駅で、駅の周りには嘉例川にそって小さな集落が開けているのみである。
当駅の南へ約2キロメートルほどのところに鹿児島空港があり、 国道504号に接続する道路(鹿児島県道56号隼人加治木線)も通じている(空港まで約4.8キロメートル)。駅を経由する「温泉バス」は、新川・安楽・妙見温泉に宿泊および立ち寄り湯の交通手段として利用でき、帰りは空港アクセスとしても利用できる。このバスは特急はやとの風に接続する他に数本ある。乗車には1日利用券500円と3日利用券1000円を利用し、追加料金で立ち寄り湯が可能となる。タオルセットも車内販売する。他には駅から東へ約600メートル近くに空港と霧島を結ぶいわさきバスネットワークのバス路線が通り嘉例川バス停があったが,平成25年6月1日より駅構内に乗り入れが開始された。平成26年7月7日現在,鹿児島空港まで運賃は空港まで200円。鹿児島空港行きが1日5便,妙見温泉経由で隼人駅行きが3便,立花上行きが2便.
新川渓谷温泉郷への入口駅の一つともなっている。
- 嘉例川簡易郵便局
- かれい川小さな博物館
- 地域住民たちがかつての農機具や生活民具を持ち寄って展示した住民立博物館。懐かしいだけでなく、嘉例川の生活文化もかいま見ることができる。日曜日のみ開館だが、予め頼めば平日でも開館してくれる。また依頼すれば博物館案内人にガイドもしてもらえる。
利用状況
- 2012年度の1日平均の乗車人員は37人である。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
1日平均 乗降人員 |
---|---|---|
2000 | 33 | |
2001 | 25 | |
2002 | 40 | |
2003 | 40 | |
2005 | 36 | |
2006 | 29 | |
2007 | 30 | 61 |
2008 | 32 | 65 |
2009 | 35 | 74 |
2010 | 39 | 83 |
2011 | 47 | 99 |
2012 | 37 | 80 |
その他
2004年(平成16年)3月13日開業の九州新幹線の経済的な波及効果を高めるために運転される特急列車「はやとの風」が停車する。はやとの風は当駅に約5分間停車するため、停車時間内に駅舎の見学や記念撮影などが可能である。
九州新幹線開業後にメディアなどでも報道され知名度を上げた。名誉駅長委嘱駅である[4]。忌野清志郎のシングル曲『Oh! RADIO』のプロモーションビデオの撮影場所でもある。
隣の駅
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:肥薩線- ↑ 「嘉例川駅に大型駐車場」南日本新聞2010年4月28日朝刊20面
- ↑ 2.0 2.1 JR肥薩線嘉例川駅駅舎 - 文化庁(国指定文化財等データベース) 2012年2月26日閲覧。
- ↑ 『嘉例川駅史』(霧島市立隼人図書館所蔵)
- ↑ 4.0 4.1 4.2 嘉例川駅(霧島市) - 鹿児島県 2012年2月26日閲覧。
- ↑ 『日本鉄道旅行地図帳 12号 九州沖縄』 p.49 新潮社
- ↑ 記念事業の実現に奔走した福本平は2006年(平成18年)4月より同駅の名誉駅長を委属される
- ↑ 近代化産業遺産認定遺産リスト - 経済産業省 2012年2月26日閲覧。
- ↑ JR嘉例川駅に大型駐車場 住民ら馬踊りで祝う/鹿児島県霧島市 - 47NEWS 2012年2月26日閲覧。
- ↑ JR肥薩線 嘉例川駅 - 西日本新聞 2012年2月26日閲覧。