南シナ海
テンプレート:Chinese 南シナ海(みなみシナかい)は、香港、中国、台湾、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアに囲まれた海域の名称。
表記
日本において
2004年現在、日本の外務省の公式文書等では南シナ海と表記され、日本国内では一般化している。第二次世界大戦までは南支那海と表記した。なお、中国語圏において当該海域の名称として用いられている「南海」は、日本国内では近畿南部と四国一帯の歴史的呼称である南海道やそれに由来する企業など(例・南海電鉄)を指す。
その他の国・地域において
- 国際水路機関発行の「大洋と海の境界(第三版)」[1]では、South China Sea (Nan hai) としている。
- 香港ではSouth China Seaと表記しテンプレート:要出典ている。
- 中華人民共和国 - 南海あるいは南中国海と表記する。
- 中華民国(台湾) - 南海あるいは南中国海と表記する。
- ベトナム - Biển Đông(㴜東)と表記する。(東海の意)
- フィリピン - Dagat Kanlurang Pilipinas(西フィリピン海の意)[2]、Dagat Luzon(ルソン海の意)
概要
緯度0度から北緯23度付近まで広がっている熱帯・亜熱帯の海域である。南西部のマレーシア東方付近は大陸棚が広く発達しており、水深200m以下となっている。東部は深く、特にルソン島北西沖にはマニラ海溝がある。太平洋とは主に台湾島、フィリピン諸島、カリマンタン島などで区切られており、バシー海峡など限られた海峡で結ばれているに過ぎない。海域内における大きな島は海南島程度であるが、サンゴ礁も含めて中小の島嶼は多く、南海諸島(南沙諸島、中沙諸島、西沙諸島、東沙諸島)、南ナトゥナ諸島、アナンバス諸島がある。各国大陸棚では石油と天然ガスが採掘されている。
島と海山
200以上の島と礁が知られており、大部分は南沙諸島にある。同諸島は810kmと900kmの広さに及び、最大の島はタイピン島(イトゥアバ)で、長さ1.3km、最高海抜3.8mである。また、フィリピンのパラワン諸島とはパラワン海溝を挟んでリード礁と呼ばれる長さ100kmの海山があり、面積8,866平方kmは環礁として世界最大。いまや水深20mに沈んでいるが7千年前に氷期が終わり海面が上昇するまでは島であった。
領土・権益問題
中国は、他国の海岸線ぎりぎりまで含む「九段線」(または「U字線」「牛舌線」ともいう)を引いて、南シナ海の大部分が中国の領海だと主張している。
南沙諸島(スプラトリー諸島)などをめぐっては7カ国が領有権を主張し合っているが、各国が資源開発を独自に行う姿勢を示したり、共同で資源開発を行うなど様相は複雑化している。先述のとおり、利害が衝突する国の間で南シナ海の呼称が異なっているのには、こうした背景が存在する[3]。
ベトナムとフィリピンの間にあるスプラトリー諸島については、中華人民共和国、中華民国(台湾)は全体の領有を主張し、対するベトナム、マレーシア、フィリピン、ブルネイの4カ国は一部分の領有を主張している。
中国・海南島の南方にある西沙諸島(パラセル諸島)については、中華人民共和国、中華民国(台湾)、ベトナムの3ヵ国が領有権を主張している。
中国とベトナムはトンキン湾、マレーシアとベトナムはタイ湾、マレーシアとフィリピンは東ボルネオ沖を巡って排他的経済水域を主張している。
2010年7月23日、ハノイで開かれた東南アジア諸国連合 (ASEAN) 地域フォーラム (ARF) は、南シナ海問題を重要な議題の一つとして議論した。2002年の「南シナ海行動宣言」を効果的に実施し、法的拘束力のある「南シナ海行動規範」へと発展させることへの支持を確認した。
2011年11月4日・5日、ハノイで南シナ海の安全保障と協力をテーマに国際会議が開かれた。閉会式でセベリーノ(ASEAN元事務局長)は南シナ海の紛争を平和的に解決することを期待するとともに、領有権問題の解決は当事国間の交渉でしか解決できないと述べた。
2014年6月1日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議 (シャングリラ対話) において、中国側代表の王冠中・人民解放軍副総参謀長 (当時) は、「南シナ海は2,000年以上前から中国の支配下にあった」という旨の発言を述べた[4][5]。この発言によって会場からは笑いが起こった[6]。また、王は、名指しを避けながら中国に自制を求めた日本の安倍晋三首相 (当時) に対して、「安倍総理大臣は、遠回しに中国を攻撃し、ヘーゲル〔米国防〕長官は率直に非難した。ヘーゲル長官のほうがましだ」と、「理解できない」(小野寺防相) 発言を行った[5][7]。