出塁率
出塁率(しゅつるいりつ、英:On-base percentage / OBP)は、野球において打者を評価する指標の一つ。類似した指標としてOPS(On-base plus slugging:出塁率と長打率の和)がある。
目次
概要
出塁率は打者の打撃機会あたりの出塁割合を表し、以下の計算式で求められる。
上記の式で算出された数値の小数第4位を四捨五入して第3位までの値を出塁率として用いる。打率などと同様に、整数部分の0は省略することが多い。打率の計算式で犠飛数は無視されるが、出塁率の計算式では分母に含んでいるため、四死球数より犠飛数が多い場合は打率よりも出塁率が低くなる。
変遷
日本プロ野球ではパシフィック・リーグが1962年から出塁率を採用しているが、1962年から1984年までは犠飛を考慮せず次の計算式を使用していた。
- 出塁率=(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球)
セントラル・リーグは当初、出塁数を採用しており出塁率の概念が存在しなかった(そのため現在でも公式記録として当時の出塁率を計算していない)が、1985年より出塁率を記録している。同年に両リーグとも計算式を冒頭のものに制定・改定し現在に至る。
備考
かつて出塁率は記録として算出する慣習が特に無く、常に打率に比べて評価が低く、タイトル受賞者の選定の際に算出される程度であった。だが、近年セイバーメトリクス(統計学の野球への応用)が盛んとなり、出塁率が打率よりも得点に結び付く要因であることが裏付けされ、出塁率が重要視されるようになってきた。
この出塁率に注目したオークランド・アスレチックスは少ない資金でチームを運営しているにもかかわらず好成績を挙げた。アスレチックスのGM、 ビリー・ビーンは『出塁率は高いが、その他の理由で評価や年俸が高くない選手』を集め、地味だが得点効率の高いチームを作った。詳細はマイケル・ルイスが記した「マネー・ボール」で述べられている。
日本プロ野球
年度別リーグ平均出塁率
年度 | セントラル・リーグ | パシフィック・リーグ |
---|---|---|
1999年[1] | .334 | .334 |
2000年[2] | .325 | .343 |
2001年[3] | .333 | .341 |
2002年[4] | .313 | .317 |
2003年[5] | .327 | .345 |
2004年[6] | .335 | .350 |
2005年[7] | .331 | .328 |
2006年[8] | .320 | .323 |
2007年[9] | .328 | .321 |
2008年[10] | .323 | .328 |
2009年[11] | .316 | .334 |
2010年[12] | .330 | .336 |
2011年[13] | .303 | .308 |
2012年[14] | .310 | .311 |
2013年[15] | .323 | .331 |
最高出塁率
テンプレート:Main パシフィック・リーグで1962年に設立。セントラル・リーグでは1967年に最多出塁数が設立され出塁数で表彰していたが、1985年より出塁率での表彰に変更し、名称もパシフィック・リーグと統一した。
出塁率に関する個人記録
NPB公式サイトやベースボール・レコード・ブック(ベースボール・マガジン社刊)等では通算記録に関する算出は行われていない。シーズン記録も、パリーグで1962年以降、セリーグで1985年以降のみ算出している。
シーズン記録(NPB公式)
順位 | 選手名 | 所属球団 | 打席 | 出塁率 | 記録年 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 落合博満 | ロッテオリオンズ | 右 | .487 | 1986年 | パ・リーグ記録 | |
2 | 落合博満 | ロッテオリオンズ | 右 | .4806 | 1985年 | ||
3 | ランディ・バース | 阪神タイガース | 左 | .4805 | 1986年 | セ・リーグ記録 | |
4 | 落合博満 | 中日ドラゴンズ | 右 | .4728 | 1991年 | ||
5 | 小笠原道大 | 日本ハムファイターズ | 左 | .4725 | 2003年 | ||
6 | ロベルト・ペタジーニ | ヤクルトスワローズ | 左 | .469 | 1999年 | ||
7 | アレックス・カブレラ | 西武ライオンズ | 右 | .467 | 2002年 | ||
8 | ロベルト・ペタジーニ | ヤクルトスワローズ | 左 | .466 | 2001年 | ||
9 | 松中信彦 | 福岡ダイエーホークス | 左 | .4635 | 2004年 | ||
10 | 金本知憲 | 広島東洋カープ | 左 | .4634 | 2001年 | ||
記録はテンプレート:Byシーズン終了時点[16] |
公式記録以前を含むシーズン出塁率
順位 | 選手名 | 所属球団 | 打席 | 出塁率 | 記録年 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 王貞治 | 読売ジャイアンツ | 左 | .532 | 1974年 | セ・リーグ記録 | |
2 | 景浦將 | 大阪タイガース | 右 | .515 | 1937年秋 | ||
3 | 王貞治 | 読売ジャイアンツ | 左 | .500 | 1973年 | ||
4 | 王貞治 | 読売ジャイアンツ | 左 | .495 | 1966年 | ||
5 | 桝嘉一 | 名古屋軍 | 右 | .493 | 1938年春 | ||
6 | 王貞治 | 読売ジャイアンツ | 左 | .490 | 1965年 | ||
7 | 王貞治 | 読売ジャイアンツ | 左 | .488 | 1967年 | ||
8 | 落合博満 | ロッテオリオンズ | 右 | .487 | 1986年 | パ・リーグ記録 | |
9 | 落合博満 | ロッテオリオンズ | 右 | .4806 | 1985年 | ||
10 | ランディ・バース | 阪神タイガース | 左 | .4805 | 1986年 | ||
現行の計算式による[17]。2013年終了時点 |
通算記録
順位 | 選手名 | 打席 | 出塁率 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 王貞治 | 左 | .446 | ||||
2 | 落合博満 | 右 | .422 | ||||
3 | 松井秀喜 | 左 | .413 | ||||
4 | 張本勲 | 左 | .399 | ||||
5 | アレックス・カブレラ | 右 | .398 | ||||
6 | 松中信彦 | 左 | .393 | ||||
7 | 福留孝介 | 左 | .391 | ||||
8 | 小笠原道大 | 左 | .3894 | ||||
9 | 清原和博 | 右 | .3889 | ||||
10 | 与那嶺要 | 左 | .387 | ||||
現行の計算式による[17]。4000打数以上。2013年終了時点 |
メジャーリーグベースボール
通算記録
順位 | 選手名 | 出塁率 | 順位 | 選手名 | 出塁率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | テッド・ウィリアムズ | .482 | 11 | トリス・スピーカー | .4279 |
2 | ベーブ・ルース | .474 | 12 | エディ・コリンズ | .4244 |
3 | ジョン・マグロー | .466 | 13 | フェリス・フェイン | .4241 |
4 | ビリー・ハミルトン | .455 | 14 | ダン・ブローザース | .4233 |
5 | ルー・ゲーリッグ | .447 | 15 | マックス・ビショップ | .4230 |
6 | バリー・ボンズ | .444 | 16 | ジョー・ジャクソン | .422 |
7 | ビル・ジョイス | .435 | 17 | ミッキー・マントル | .421 |
8 | ロジャース・ホーンスビー | .434 | 18 | ジョーイ・ボット | .4193 |
9 | タイ・カッブ | .433 | 19 | ミッキー・カクレーン | .4192 |
10 | ジミー・フォックス | .4283 | 20 | フランク・トーマス | .4191 |
- 記録は2013年シーズン終了時点[18]
シーズン記録
順位 | 選手名 | 所属球団 | 打席 | 出塁率 | 記録年 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | バリー・ボンズ | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 左 | .609 | 2004年 | ナ・リーグ記録 |
2 | バリー・ボンズ | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 左 | .582 | 2002年 | |
3 | テッド・ウィリアムズ | ボストン・レッドソックス | 左 | .553 | 1941年 | ア・リーグ記録 |
4 | ジョン・マグロー | ボルチモア・オリオールズ | 左 | .548 | 1899年 | |
5 | ベーブ・ルース | ニューヨーク・ヤンキース | 左 | .545 | 1923年 | |
6 | ベーブ・ルース | ニューヨーク・ヤンキース | 左 | .533 | 1920年 | |
7 | バリー・ボンズ | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 左 | .529 | 2003年 | |
8 | テッド・ウィリアムズ | ボストン・レッドソックス | 左 | .526 | 1957年 | |
9 | ビリー・ハミルトン | フィラデルフィア・フィリーズ | 左 | .521 | 1894年 | |
10 | ベーブ・ルース | ニューヨーク・ヤンキース | 左 | .516 | 1926年 |
- 記録は2013年シーズン終了時点[19]