信長の野望シリーズ
テンプレート:Redirectlist テンプレート:コンピュータゲームシリーズ 信長の野望シリーズ(のぶながのやぼうシリーズ)は、1983年に株式会社光栄マイコンシステム(後に「光栄」→「コーエー」→現コーエーテクモゲームス)が発売した『信長の野望』を第1作とする、日本の戦国時代をテーマとした歴史シミュレーションゲームのシリーズである。本作により、日本のゲーム市場において「歴史シミュレーション」というゲームジャンルが確立された。
デザイナーはシブサワ・コウ(創業者・取締役最高顧問の襟川陽一)。シブサワ・コウに関しての詳細は同項目を参照のこと。
目次
概要
大名家の当主となり、内政で自国を富ませて軍事力を蓄え、他の勢力を合戦で討ち滅ぼすことで全国統一を果たして戦国の世を終わらせるのが最終的な目的となる。後のシリーズでは、合戦だけではなく外交によって支配下に置くことでも統一できるようになった。
本シリーズの特徴は、作品名に2,3,4…などの数字が付かないという点が挙げられる(同社が発売している「三國志シリーズ」では数字が付く)。2作毎に大きなシステム変更があるのも一つの特徴で、奇数作(1,3,5…作目)で新機軸が打ち出され、偶数作(2,4,6…作目)で奇数作の特徴を生かしつつ、規模を拡大したり、多少の調整を行っている[1]。ただし、第10作『蒼天録』では、第9作『嵐世記』の新要素である「諸勢力」こそ引き継がれたものの、ほとんど別の作品となっているなど、21世紀に入ってからの作品では必ずしもこの原則が当てはまらなくなりつつある。
「信長」というタイトルではあるが、第2作の『全国版』以降は織田信長だけでなく、登場する大名全てをプレイヤーキャラクターとして選択可能(第1作では、2人プレイのときのみ武田信玄が選択可能)になり、また、第3作の『戦国群雄伝』以降では配下武将も登場し、プレイヤーの手腕によって実際の歴史を覆すことが可能となっている。さらに、史実に沿ったゲーム展開を行うと現れる「歴史イベント」も多数用意されている。第4作の『武将風雲録』では、攻め込んだ国の経路によっては古戦場も登場する。しかし、その古戦場は越中の倶梨伽羅峠(源平時代)や、長門の下関(馬関戦争)、薩摩の鹿児島市内と櫻島(西南戦争)など、必ずしも戦国時代の古戦場が出るとは限らない。(四国は阿波=淡路島・讃岐=小豆島・伊予=因島と島が登場する)
『覇王伝』以降では、拡張パックであるパワーアップキットが発売され、同じ作品をより楽しめるようになっている。
作品の特徴
本シリーズで扱われているのは、初期の作品ではタイトル通り織田信長が全国統一への足がかりを掴む、桶狭間の戦いから本能寺の変までの時期、西暦で言うと16世紀中期の戦国時代末期から安土桃山時代初期が舞台だったが、中期以降の作品では信長死後のシナリオや、信長家督相続以前のシナリオも搭載されるようになった。時代考証については、本作は「プレイヤーが自分なりの戦国時代を創る」にあるため、史実よりユーザーの持つイメージを大事にするとしている。以前、小田原城に当時天守閣はなかったので史実通りに天守閣を外したことがあったが、ユーザーから残念がる声が多かったという[2]。
また、史実では蠣崎氏などと対立したアイヌ勢力は、「デリケートな問題[3]」があることを理由にゲームに登場したことはない。島津氏に制圧された琉球王国も勢力として登場したことはなく、尚寧が『嵐世記』のミッションクリア賞品武将として登場したことがあるのみである。
『戦国群雄伝』以降の武将には血縁の概念があり、大名の後継には血縁者を選ばないと家臣の忠誠が激減したり、謀反を起こす家臣が出ることもある[4]。作品によっては、血縁者以外を後継に指名できず、血縁者不在の状況で大名が死亡すると有無を言わさずゲームオーバーになるものもある(その代わり、救済策として婚姻による親族形成が可能になっていたり、姫を武将に登用できる「姫武将」が可能になっている作品もある。また、コンピュータ勢力に限り、「遠縁」という設定の架空武将が跡を継ぐ作品もある。『天道』では、プレイヤー勢力を含め、ランダムで架空の後継者が登場するようになった)。作品によっては一部の武将に父親が設定されているが、父親を武将の生年以前に死亡させても、その武将が登場しなくなることはない。
本シリーズはウォー・シミュレーションゲームのジャンルに分類されるが、戦術より政略・戦略的志向が強く、実際の戦国時代の合戦に近いゲーム設計がなされている。
本シリーズは、常にパソコン版が先行しそれを移植してコンシューマーゲーム版が作成されてきたが、初期の移植では、ハードの性能の問題もあり同じタイトルであっても、一部武将や城が削減されていることが多かった。しかし、PlayStation 2以降は削減はほとんど見られず、むしろ独自要素を追加してパソコン版より改良された内容となっている事が多いようである。また、携帯電話アプリへの移植も行われている。
『烈風伝』以降の作品では、戦国時代よりも過去の日本の武将も登場するようになった。このうちPS版『烈風伝withPK』及びPS2版『嵐世記withPK』では日本の古(いにしえ)武将だけではなく、三國志やモンゴル高原、果てはヨーロッパ等の海外の著名な人物が武将として登場した。また、PS2版『革新withPK』では、大石良雄や堀部武庸等の赤穂浪士や、坂本龍馬や近藤勇等の幕末の志士といった、江戸時代中期以降の人物も武将として登場するようになった。もちろんこれらの武将には、生没年にプラスマイナス数百年の補正がかけられている。
武将の能力値・顔グラフィック
武将を個性付ける能力値は、『戦国群雄伝』では「政治」「戦闘」など4種類と少なかったが、シリーズを重ねるごとに「智謀(知略)」が別個に設けられたり、兵科適性や特技により個性付けられるようになった。作品によっては武将本人の武勇と兵の統率力を別個に評価したり、それ以外の能力値で武将の特徴付けをしているものもある。また、各武将への評価にも能力値を通じて時代の変遷を見て取ることができ、大河ドラマや小説、漫画で主人公、あるいはそのライバルとして取り上げられたため能力値が上がった武将もいる[2]。さらに、それ以外の要因で再評価された武将もいる。例えば、今川氏真はかつては暗愚な大名とされ、政治や戦闘などの能力値は低く付けられていたが、政治的手腕や当時の情勢が考慮されているのか『革新』では政治だけはやや高く設定され、足利義昭は信長包囲網を作り上げた外交能力を評価され政治、智謀が高い謀将となっている。一方、毛利輝元、武田勝頼は初期の作品では各能力は高かったが、作を重ねるに連れ、能力が低下している。
武将の顔グラフィックについては、初期の作品ではドット数・使用色数も少なく、専用のものが用意されているのは大名と有名武将のみで、比較的無名な武将についてはモンタージュのように、いくつかのパターンに髭を足したり目つきを変えたりして違いを付けていた。シリーズを重ねるごとに各武将ごとに精緻な顔の(『天下創世』以降はバストアップも)グラフィックが用意されるようになった。能力値同様ドラマや小説、漫画の影響を受けてグラフィックの傾向が変わった武将もいる。コーエー側は「大河ドラマの役者に、ゲームのビジュアルが影響されることなどはあるか」という問いに対し、「ユーザーのイメージが変わらない限りはほとんどない」としている。
なお、初期の頃には、用意されている専用顔グラフィックが少なかったためか、それぞれ特徴が非常に色濃く出たものであった(『戦国群雄伝』の細川藤孝や風魔小太郎の顔グラフィックが非常に怖い、など)。中期の作品(『烈風伝』など)では、性能の向上でより精密な顔グラフィックの制作が可能になったが、その反面、有名・無名、有能・無能の武将で顔グラフィックの扱いの差が大きかった(織田家が美男子揃いの一方、一条兼定があまりに童顔すぎる、今川義元が公家被れな顔になっている[5]ことなど)。その後、2000年代に入ってからの作品では一時期より差がなくなってきている[2]。
大名家の識別
初代では、地図に表示される大名家名で区別していた。『全国版』から、機種によって大名家別の色塗り地図で区別するようになり、『戦国群雄伝』からは、色数の少ないファミコン版などで家紋による区別をするようになった。『覇王伝』以降は家紋による区別が定着し、色別はあっても補助的な物となっている(『覇王伝』『嵐世記』)。
家紋は、その大名家で実際に使われていた家紋で[6]、たとえば織田家は「織田木瓜」、甲斐武田家は「四つ割り菱(武田菱)」で表示される。しかし、複数の大名家で同じ家紋が使われていた場合も多く、色違いにしたり、替紋や旗指物で代用している[7]。また、無名の大名家は、実際とは違う家紋が使われているケースもある[8]。
また、イメージ優先で設定されることもある。本願寺家の実際の家紋は、西本願寺は「西六条八ツ藤紋」と「西六条藤紋」(「下り藤紋」)、東本願寺は「東六条八ツ藤紋」と「本願寺抱牡丹紋」などを用いるが、本シリーズでは寺院のイメージから「卍」を家紋に設定していることが多い[9]。史実に根拠のある「下り藤紋」になっている作品もあるが、『覇王伝』『蒼天録(PSP版のみ)』『創造』と限られる。「下り藤紋」は他の作品にも設定はされているが、一条家の家紋となっている[10]。
この他、大名としては登場しない武将でも、家紋が設定されていることがある。たとえば南条家の「夕顔」など。通常目にすることはできず、謀叛などで独立しないと見ることができない。同様に、家紋の設定が無い武将が大名となった場合は、汎用に用意されている家紋が自動的に割り当てられる[11]。
作品一覧
パソコンゲーム、家庭用ゲーム機
- 信長の野望(1983年4月発売)
- シリーズ第1作。サブタイトルはなし。
- 信長の野望・全国版(1986年9月発売)
- シリーズ第2作。日本全国50ヶ国モードの搭載。グラフィックおよびシステムもより改良され、複雑化した。
- 信長の野望・戦国群雄伝(1988年12月発売)
- 信長の野望・武将風雲録(1990年12月発売)
- シリーズ第4作。再び全国規模へ。技術や文化、茶器の導入。
- 信長の野望・覇王伝(1992年12月発売)
- シリーズ第5作。従来の国取り合戦から城取り合戦へ。家宝導入。
- 信長の野望・天翔記(1994年12月発売)
- シリーズ第6作。勢力単位でのコマンド実行。
- 信長の野望・将星録(1997年3月発売)
- シリーズ第7作。箱庭内政ゲームへの転換。
- 信長の野望・烈風伝(1999年2月発売)
- シリーズ第8作。威信システムの導入。
- 信長の野望・嵐世記(2001年2月発売)
- シリーズ第9作。国取り合戦への回帰。諸勢力の導入。
- 信長の野望・蒼天録(2002年6月発売)
- シリーズ第10作。城取り合戦への回帰。大名だけでなく、配下の城主プレイも可能に。パワーアップキット版では、シリーズ初となる1495年や1523年など信長誕生以前のシナリオが追加され、(2014年時点で)シリーズ最古のプレイ開始年となっている。
- 信長の野望・天下創世(2003年9月12日発売)
- シリーズ第11作。箱庭内政ゲームへの回帰。城下町の開発と攻城戦の一体化。内政がフル3Dになる。
- 信長の野望・革新(2005年6月22日発売)
- シリーズ第12作。内政や合戦が完全リアルタイム制となり、さらに3D1枚マップとなった。
- 信長の野望・天道(2009年9月18日発売)
- シリーズ第13作。
- 信長の野望・創造(2013年12月12日発売)
- シリーズ第14作。30周年記念作品。シリーズで初めて、PC版と家庭用ゲーム機版(PS3)が同時発売された。
下記の作品は初代をベースにWindows時代にマッチするようインターフェイスを一新。大名の顔や戦略マップに3Dグラフィクスを採用したもの。当時、光栄が展開していたサイクロン(3DCGモデリング&レンダリングソフト)のキャンペーンの一環で三國志リターンズと共に3DCG化され、互いの製品に体験版が同梱されていた。正規シリーズには通常カウントされない。
- 信長の野望リターンズ for Windows(1995年発売)
- 信長の野望リターンズ for Windows 95(1996年発売)
携帯型ゲーム機
- ゲームボーイ
- 信長の野望 ゲームボーイ版 (1990年10月10日発売)
- ワンダースワン
- 信長の野望 for ワンダースワン (1999年3月11日発売)
- ゲームボーイカラー
- 信長の野望 ゲームボーイ版2 (1999年4月9日発売)
- ゲームボーイアドバンス
- 信長の野望 (2001年9月28日発売・サブタイトルは付いていないが『武将風雲録』リメイク)
- ニンテンドーDS
- 信長の野望DS (2006年4月27日発売・『烈風伝』リメイク)
- 国盗り頭脳バトル 信長の野望 (2008年6月26日発売)
- 信長の野望DS2 (2008年7月31日発売・『武将風雲録』リメイク)
- ニンテンドー3DS
- 信長の野望 (2013年9月19日発売・『武将風雲録』リメイク)
- PlayStation Portable
- 信長の野望・天翔記 PSP版 (2005年9月1日発売)
- 信長の野望・将星録 PSP版 (2005年12月22日発売)
- 信長の野望・烈風伝 with パワーアップキット PSP版 (2006年3月23日発売)
- 信長の野望・蒼天録 with パワーアップキット PSP版 (2011年8月4日発売)
- PlayStation Vita
- 信長の野望・天道 with パワーアップキット PS Vita版 (2012年9月27日発売)
- 信長の野望・創造 PS Vita版 (2014年5月29日発売)
オンラインゲーム
- 信長の野望Internet (1998年10月2日発売・通信対戦型シミュレーションゲーム)
- 信長の野望Online (2003年6月12日発売・MMORPG)
- 信長の野望 (2003年配信・携帯電話向け対戦型ゲーム。初代と同じくサブタイトルは付いていないが、ゲーム内容は全く異なる)
- 100万人の信長の野望 (2010年8月26日開始・Mobageによるソーシャルゲーム)
- のぶニャがの野望 (2011年春開始・ブラウザ用オンライン対戦育成シミュレーションゲーム)
コラボレーション
- ニンテンドーDS
- ポケモン+ノブナガの野望 (2012年3月17日発売。『ポケットモンスター』シリーズの番外編。「ランセ地方」の「ブショー」として、信長らをモチーフにした人物が登場する。ただし、「ブショー」のデザインは信長の野望シリーズではなく、戦国無双シリーズ準拠になっている。発売はポケモン)
- PlayStation Portable
- 下天の華 (2013年3月28日発売。女性向け恋愛ゲーム。シリーズ30周年記念作品)
- 下天の華 夢灯り(2014年2月27日発売。『下天の華』の続編)
タイアップ
- パチンコ
- CR信長の野望(2006年・2008年、ニューギン)
- パチスロ
- 信長の野望(2003年、IGT Japan)
- 信長の野望・天下創世(2006年、IGT Japan)
- 信長の野望・天下創世~第二の刻~(2007年、IGT Japan)
- 信長の野望オンライン(2008年、IGT Japan)
脚注
関連項目
歴史三部作
- 三國志シリーズ
- 蒼き狼と白き牝鹿シリーズ
- 3シリーズを合わせて「歴史三部作」の呼称が一時期用いられていた。
関連スタッフ
- 菅野よう子 - 天翔記までの作品の音楽を主に担当
- 新居昭乃 - 戦国群雄伝、天翔記の一部の曲を製作
- 山下康介 - 将星録以降の作品の音楽を担当
- 川井憲次 - Onlineの音楽を担当
- 生頼範義 - 戦国群雄伝から天翔記まで、及びその移植作のパッケージイラストを担当
- 長野剛 - 将星録以降の作品、及びその移植作のパッケージイラストを担当
- 北見健 - 天道のプロデュース担当
- 小笠原賢一 - 創造のプロデュース担当
関連作品
外部リンク
- GAMECITY
- 「信長の野望」30周年記念サイト
- 携帯電話版『信長の野望』公式サイト (サブタイトルは付いていないが、初代とは全く別の作品)
- ↑ http://akiba.ascii24.com/db/review/game/sim/2001/02/10/622972-000.html
- ↑ 2.0 2.1 2.2 月刊誌『サイゾー』2月号 P121でのインタビューでの、コーエー社員のコメントより。
- ↑ 『信長の野望 天翔記事典』蠣崎義広の項目より
- ↑ 作品によっては、血縁者が複数いる場合、後継に選ばれなかった血縁者が不満を持って謀反を起こすなどするものもある。
- ↑ 後の研究により公家の化粧は創作によるものである説が上がっている。義元本人のページも参照こと。
- ↑ 『天翔記』パワーアップキット版のみ、架空の家紋も用意されており、新規作成も可能。
- ↑ たとえば、若狭武田家は、初登場の『天翔記』では四つ割り菱の色違いだったが、『烈風伝』から丸に四つ割り菱(武田菱を○で囲った物)にして区別している。黒田家は「黒田藤巴」を用いたが、本シリーズでは替紋の「黒餅」で代用している。また、滝川家は「丸に竪木瓜」を用いたが、本シリーズでは『革新』までは旗指物に用いた「三つ串団子」で代用、『天道』ではより史実に近い「木瓜」になった。
- ↑ 『蒼天録』に登場した神代家は「三つ巴」「木瓜」を用いたが、本シリーズでは無関係の「山に霞」で表示される。
- ↑ このため、実際に「卍」(正確には「丸に卍」。『嵐世記』では、一向宗・旧仏教諸勢力が一揆で大名となった時に登場)を家紋として使っていた蜂須賀家は、『嵐世記』では同じく使用していた「抱き柏」に近い、「丸に一枚柏」で代用していた。『天道』で、ようやく本来の「丸に卍」となった(『嵐世記』の仏教諸勢力とは色違い)。
- ↑ 『蒼天録』PSP版、『創造』では、本願寺家は一条家と色違いの下り藤紋となっている。
- ↑ 既存大名の後継者として、非血縁武将が跡を継いだ場合は、家紋は変化しない。