キヤノンITソリューションズ
キヤノンITソリューションズ株式会社 (CANON IT SOLUTIONS INC.) は、キヤノングループのシステムインテグレーター(メーカー系)。株式会社アルゴ21とキヤノンシステムソリューションズ株式会社が2008年(平成20年)4月1日に合併して誕生した。東京・名古屋・大阪・甲府に拠点をもつほか、2009年(平成21年)に中国ソリューション事業推進室を設置し、海外事業の強化に乗り出している。 なお、2010年4月1日にキヤノンマーケティングジャパンとの間に中間持株会社であるキヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社が設立され、株主が移転された。[1]
目次
主な事業
業種別のSI
製造業と金融業を中心に、流通・サービス業、公共・公益、医療、文教など、業種別に展開している。また、産業用画像処理製品やセキュリティー製品などのソリューションも扱っている。
エンベデッド
車載機器、携帯電話、産業機器などへの組み込みソフトウエア、ならびに制御システムを開発している。
IT基盤構築
コンピュータネットワークの設計・構築、データベースの構築・サポート、運用管理システムの構築、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境の構築、ディザスタリカバリ対策、24時間365日の運用サポートサービスなどを手掛ける。
iDC
都内2カ所のデータセンター、ならびに子会社のクオリサイトテクノロジーズが運営する沖縄県名護市のデータセンターを用い、ホスティング、ハウジング、ISPサービスを提供している。また、キヤノンが法人向けに展開しているISP・ASPである「Canonet」では、キヤノンITソリューションズがサーバー運用を行っている。
セキュリティ
ファイアーウォールやアンチウイルスソフトウェア、コンテンツフィルタリング製品などのセキュリティ製品を開発・販売している。
ドキュメント
DTPソフトウエアの開発・販売、帳票システムやOCRシステムの構築のほか、キヤノン製複合機・プリンターのアプリケーションプラットフォームであるMEAPに対応したシステム開発を行っている。
ソリューション事業
- ERP/CRM:SAP、Siebel、salesforce、および子会社のSSJが開発するSuperStreamを中心に、システム構築を行っている。また、ビジネスインテリジェンス/企業パフォーマンス管理のシステム構築も行っている。
- EDI:各種規格に準拠したソフトウエアを自社開発している。
- マイグレーション:メインフレーム環境を中心としたマイグレーションを行っている。
- 環境:グリーン調達支援システムやMFCA分析システムを開発・販売している。
- 知的財産:特許情報管理システムを核に、契約管理やライセンス管理などの関連するソリューションもあわせて販売している。
- モバイルシステム:キヤノン電子製のハンディターミナルを用い、製造・金融・流通などの各業種向けシステムを開発・販売している。
研究開発
オブジェクト指向開発技術、開発基盤、オープンソースソフトウエアの研究を行う。また、オペレーションズリサーチ(Operations Research)を用いたシステム開発・コンサルティングを行う数理技術部門を持ち、同技術を活用したソリューションパッケージも開発している。
主な製品
自社開発
- EDICOLOR(国産DTPパッケージ)
- Edian Wing(印刷業・新聞社向けDTPシステム)
- RubyNavigation(形態素解析)
- GUARDIANWALL(電子メール監査、コンテンツフィルタリング)
- NTS(EDIソフトウエア)
- FOREMAST(需要予測・在庫発注補充計画)
- RouteCreator(物流・輸配送・配車計画)
- ALPHASE(生産計画、生産管理)
- SuperMate(アパレル業向けパッケージ)
など。
日本語ローカライズ
- MUSICMATCH MP3 Jukebox
- System Selector
- ESET Smart Security
- ESET NOD32アンチウイルス(上記ソフトの下位版)
- Spybot - Search & Destroy
など。
沿革
2008年(平成20年)
- 株式会社アルゴ21とキヤノンシステムソリューションズ株式会社が合併し、キヤノンITソリューションズ株式会社が発足。同時にアルゴインテリジェントサービスの社名をAISに、アルゴエデュケーションサービスの社名をAESにそれぞれ変更。
- ニイウスコーならびにビックカメラより、ビックニイウスの全株式を取得し、社名をクオリサイトテクノロジーズに変更。
2009年(平成21年)
- キヤノンネットワークコミュニケーションズ株式会社を吸収合併。
- 医療ソリューション事業をFMSに移管し、同社社名をキヤノンITSメディカルに変更。
- 傘下のAISとキヤノンMJの子会社ソリューションサービスが合併し、キヤノンビズアテンダに社名変更。
- 中国ソリューション事業推進室を設置し、現地企業向けのSI事業を本格化。
- キヤノンMJの中堅企業向けシステム営業部門を編入。
- SSJの開発部門を編入[2]。
2010年(平成22年)
2012年(平成24年)
- 傘下のキヤノンビズアテンダが株式会社AESを合併。
- Canon Software America, Inc.を子会社化。
- SuperStream事業を傘下のSSJに統合し、SSJをスーパーストリームに社名変更。
合併前の沿革:アルゴ21
日本ユニバック(現日本ユニシス)に在籍していた技術者を中心に創立された。
1984年(昭和59年)
- 株式会社アルゴ二十一を設立。
1985年(昭和60年)
- アルゴグラフィックスおよびマーテック二十一を設立。
1988年(昭和63年)
- 通商産業省 システムインテグレータ企業に認定。
1989年(平成元年)
- 日本テクノシステム株式会社を吸収合併し、社名を株式会社アルゴテクノス二十一に変更。
1997年(平成9年)
- 株式を店頭公開。
1999年(平成11年)
2000年(平成12年)
- 東京証券取引所1部指定替え。
- 内外データサービスを子会社化するとともに、同社とマーテック二十一とを合併しアルゴインテリジェントサービスに社名変更。
- 社名を株式会社アルゴ二十一に変更。
2001年(平成13年)
- システムインを子会社化し、株式会社アルゴコンサルティングサービスに社名変更
- 株式会社ユニテル(現 Pro-SPIRE)に出資し、同社との協業でITコーディネータ育成教育事業を開始。
2002年(平成14年)
- 住金物産情報システムを吸収合併。
- ユニテルの教育事業を譲り受け、株式会社アルゴエデュケーションサービスを設立。
2003年(平成15年)
- 社名を株式会社アルゴ21に変更。
2004年(平成16年)
- 株式会社アルゴコンサルティングサービスを吸収合併
- デジタルエンジニアリング部門をアルゴグラフィックスに譲渡。
- パソコンの保守サービス事業の一部を日本オフィス・システム株式会社に譲渡
2006年(平成18年)
- NRIガーデンネットワークを子会社化し、ガーデンネットワークに社名変更。
2007年(平成19年)
- 株式公開買い付け(TOB)によりキヤノンマーケティングジャパンの子会社となる。
- アルゴグラフィックスの自社株式買付に応募し、同社との資本関係を解消。
- Pro-SPIREとの資本提携を解消。
- キヤノンマーケティングジャパンの完全子会社となり、上場廃止。
2008年(平成20年)
- ホテル向けソリューション事業をガーデンネットワークに移管。
合併前の沿革:キヤノンシステムソリューションズ
大手鉄鋼メーカー住友金属工業株式会社の情報システム部門及び研究開発部門とその子会社を前身とする。
1982年(昭和57年)
- 住金システム開発株式会社を設立。
1989年(平成元年)
- 住友金属システム開発に社名変更。
1991年(平成3年)
- 通商産業省 システムインテグレータ企業に認定。
1995年(平成7年)
- サンネットと合併。
1997年(平成9年)
- 住友金属工業システム事業部より、ソフト商品開発・販売業務および社内システム開発業務を編入。
- 住金控制系統(上海)有限公司を設立。
2000年(平成12年)
- 住友金属情報システム、住金ソフトウエアファクトリー、住金制御エンジニアリングの3社と合併し、株式会社住友金属システムソリューションズに社名変更。
2003年(平成15年)
- キヤノン販売(現キヤノンMJ)に株主変更、キヤノンシステムソリューションズ株式会社に社名変更。住金控制系統(上海)有限公司を佳能控制系統(上海)有限公司に社名変更。
2004年(平成16年)
- キヤノン販売の基幹SI部門を編入。
2005年(平成17年)
2006年(平成18年)
- キヤノンMJのドキュメントソリューション開発部門を編入。同時に、キヤノン製品向けドライバー開発事業を譲り受ける。
- クボタソリッドテクノロジーからCAD事業(SolidWorks)の販売部門を譲り受ける。
2007年(平成19年)
- キヤノンMJの医療向けソリューション事業を編入。
2008年(平成20年)
- キヤノンMJのハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)事業(旧キヤノン・スーパーコンピューティング・エスアイ株式会社)、環境ソリューション事業、特許ソリューション事業、コンサルティング事業を編入。
関連会社
連結子会社
- 佳能控制系統(上海)有限公司(オフショア開発、ならびに現地企業向けのシステムインテグレーション)
- スーパーストリーム株式会社(ERP SuperStream の開発・販売)
- クオリサイトテクノロジーズ株式会社(Java開発、およびiDCの運営)
- ガーデンネットワーク株式会社(ガソリンスタンド、ホテル向けソリューションの提供)
- キヤノンITSメディカル株式会社(医療システムの開発・販売)
- キヤノンビズアテンダ株式会社(ビジネス・プロセス・アウトソーシングサービスの提供)
- Canon Software America, Inc.(ソフトウェアの開発)
その他の関連企業
- 株式会社ブロードバンドセキュリティ(セキュリティサービスの提供)
- 株式会社ABM(活動基準原価計算の支援サービスの提供)
脚注
関連項目
- ユーザー系 : コンピューターメーカー以外を親会社に持つシステムインテグレータを指す。キヤノンITソリューションズもキヤノングループのIT革新やエンベデッド開発の一端を担っている。
- 形式手法 : ソフトウエア開発手法の一つ。キヤノンITソリューションズの子会社であるAESが、同手法を用いた組込ソフトウエアの技術者育成研修を手掛けている[1]。
- 公立はこだて未来大学 :産学連携による寄付講座として「実践的IT人材育成講座」が開設されており、キヤノンITソリューションズも講演協力を行なっている [2]。
- 日本オペレーションズ・リサーチ学会 : OR理論ならびに手法の研究・開発を行い、経営・行政課題での活用を図る社団法人。キヤノンITソリューションズは賛助会員の1社である。
- 情報サービス産業協会(JISA): 同社相談役の太田清史(NRI出身)が副会長を務める社団法人。
- バーチャルリアリティ : 同技術の一種である拡張現実/複合現実 (en:Mixed reality)を実現する機器(ヘッドマウントディスプレイ)やプラットフォームを、キヤノン株式会社で開発しており、それを用いたシステム構築をキヤノンITソリューションズで行っている。旧キヤノン・スーパーコンピューティング・エスアイで手掛けてきたハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)事業のひとつである。
- TouchUpWeb : 特定のウェブブラウザでの閲覧を前提に最適化されたウェブサイトを、FireFoxで適切に表示させるためのシステム。情報処理推進機構 (IPA) の 2005 年度下期オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業の一環として、旧アルゴ21がMozilla Japanと三菱総合研究所とともに開発した。
- アルゴ船 : ギリシャ神話で、王子イアソンが英雄とともに大海原に船出した船の名前。旧アルゴ21の社名の由来となった。