伊豫豆比古命神社
テンプレート:Mapplot 伊豫豆比古命神社(いよずひこのみことじんじゃ)は愛媛県松山市居相町にある神社である。式内社、旧社格は県社。神紋は十六弁八重表菊。
地元では椿神社、椿さんとも呼ばれている。開運縁起・商売繁昌の御利益がある。
「伊豫豆比古」の読み方については、神社では「いよずひこ」としているが、「いよづひこ」と読んでいる例も多い。本来の意味からいえば「いよ-づ-ひこ」であり、「豆」は格助詞「つ(づ)」であるが、ここでは同神社の表記に従う。
祭神
- 伊豫豆比古命(男神・いよずひこのみこと)
- 伊豫豆比売命(女神・いよずひめのみこと)
- 伊与主命(男神・いよぬしのみこと)
- 愛比売命(女神・えひめのみこと)
『先代旧事本紀』の「国造本紀」によれば、伊与主命は初代の久米国造であり、伊豫豆比古命と伊与主命は同一であるとする説と、伊豫豆比古命を祖神、伊与主命をその後継者とする説がある。
また、愛媛県の県名は愛比売命から名づけられており、都道府県名で神名を使用しているのは愛媛のみである。
由緒
社伝では、孝霊天皇の御代に鎮座したとされ、昭和37年(1962年)には御鎮座2250年祭が、平成24年(2012年)には御鎮座2300年祭が行われた。
延喜式神名帳所載の伊豫豆比古命神社(小社)に比定されるが、名神大社の伊豫神社に当てる説もある。ただし、伊豫神社に比定される有力な論社は伊予郡松前町の伊予神社である。
江戸時代には松山藩主・久松氏の篤い崇敬を受けた。現在では縁起開運の神として、崇敬者は全国に広がるという。
境内社
- 勝軍八幡神社(かちいくさはちまんじんじゃ)
- 祭神は誉田別命(ほんだわけのみこと)、天照大日霊命(あまてらすおおひるめのみこと)。
- 蒙古襲来の折、伊予国から防人(さきもり)として出兵した河野一族が戦勝を記念し、宇佐八幡の神を勧進した神社。「勝軍(しょうぐん)さん」の呼び名で必勝祈願・合格祈願・学業成就の神とされている。
- 御倉神社(みくらじんじゃ)
- 祭神は宇迦之御霊神(うかのみたまのかみ)。
- 居相地区の里神とされる。伊勢神宮外宮の豊受大御神(とようけのおおみかみ)、稲荷神社の祭神と同じで、稲の精霊とされ、五穀豊穣、商売繁盛、家運隆昌を護る神とされる。
- 児守神社(こもりじんじゃ)
- 祭神は天之水分命(あめのみくまりのみこと)、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。
- 水を司る天之水分命と安産母乳の木花開耶姫命の二柱を祀り、子育て、子授りの神とされる。初宮参りの後に夫婦で参拝し、出産のお礼と子供の成長を祈りよだれ掛けを奉納する習慣がある。
- 奏者社(そうじゃしゃ)
- 祭神は潮鳴栲綱翁神(しおなるたぐつなのおきなのかみ)。
- 伊豫豆比古命と伊豫豆比売命が舟山に船を寄せた時、厳頭に纜(ともづな)を繋ぎ、先住民の代表である潮鳴栲綱翁神が迎えられた古事により、万事取り次ぎを頂ける神とされる。伊豫豆比古命神社を参拝する際には先立って、まず奏者社に参拝をする習慣がある。
年中行事
日付 | 祭祀 |
---|---|
1月1日 | 歳旦祭、若水汲みの神事 |
1月中 | 末社・勝軍八幡神社例祭 |
旧暦1月7日~9日 | 椿まつり(春季例大祭・下記に詳細) |
2月3日 | 節分祭 |
2月11日 | 紀元祭 |
春分の日 | 春季皇霊殿遥拝式 |
3月下旬 | 崇敬者大祭 |
4月3日 | 畝傍山御陵遥拝式 |
4月29日 | 昭和祭 |
4月下旬 | 世界平和 和石祭 |
5月1日 | 皐月神御衣祭 |
5月5日 | 端午の節句祭 |
6月上旬 | 石井地区戦没者慰霊祭 |
6月上旬 | 御田植祭(大洲市で斎行) |
7月31日 | 夏越祭(文月大祓式) |
9月中 | 筆塚筆魂祭 |
9月中旬 | 敬老祭 |
秋分の日 | 秋季皇霊殿遥拝式 |
9月下旬 | 抜穂祭(大洲市で斎行) |
10月1日 | 神無月神御衣祭 |
10月6日 | 秋季例大祭 |
10月7日 | 神幸祭、御旅所祭、還幸祭 |
10月17日 | 神嘗祭当日祭遥拝式 |
11月3日 | 明治祭 |
11月23日 | 新嘗祭 |
12月23日 | 天長祭 |
12月31日 | 師走大祓式、除夜祭 |
毎月1日、15日 | 月次祭 |
椿まつり
かつては旧暦正月8日のみ祭礼が行われており、これを「お八日」(おようか)と呼んだ。現在はその前後の3日間(7日~9日)にわたって行われる。「お椿さん」「伊予路に春を呼ぶ祭り」と呼ばれる。期間中、数十万人が参拝し、参拝者の数では四国一の大祭という。
期間中の祭儀は、旧暦7日午前0時に開門、同8日午前9時に春季例大祭、同9日午後6時に後宮祭が行われ、午後0時に閉門される。また、特殊神事として貸銭神事・お忍びの渡御・合せ火が行われる。
貸銭神事は、神社から守り金(20円)を借り、翌年、倍額にして返すという非常に珍しい行事で、誰でも無条件で借りることができる。一年間、生業に励み、少しでも多く返せるように頑張ることを約束する意味があるという。
「お忍びの渡御」は、中日(旧暦1月8日)夜、神社の神輿が北土居町の金刀比羅神社まで渡御する行事である。神輿が社殿を出て楼門を通過するまで、神輿を揺すったり、掛け声を出したりせず、静かに進むところから、「お忍びの渡御」の名がある。
合せ火は五馳走火ともいう。お忍びの渡御の際、その道筋にある家は、その年の正月の飾りを焚いて神輿を迎える。これを合せ火という。
関連項目
- 日尾八幡神社(東道後神社)
アクセス
- 伊予鉄道バス
- 森松・砥部線「椿前」下車(松山市駅から日中15分間隔)、西へ徒歩5分。
- 市坪・はなみずき線「古川横田」下車(松山市駅から日中20分間隔)、東へ徒歩5分。同「椿神社前」下車、すぐ。
- ジェイアール四国バス
- 松山高知急行線「椿宮」下車、西へ徒歩5分。