井上竜夫
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井上 竜夫(いのうえ たつお、1941年11月8日 - )は、日本のお笑いタレントである。本名、井上 龍男(読み同じ)。愛称は、竜爺(たつじい)。
兵庫県尼崎市出身。吉本興業大阪本社所属。主に吉本新喜劇に出演する。
人物・略歴
尼崎市立尼崎産業高等学校卒業。
キングレコード所属で現役歌手の井上実香は実娘。代表曲に「大阪恋みれん」「逃げる月」等がある。彼女は1970年代に「京都の恋」「京都慕情」で一世を風靡した渚ゆう子と親交がある。
尼崎市にスナック「SNACKたっちゃん」を経営。趣味はカメラ収集。
芸歴
- 1959年、高校在学時に、所属の演劇部で全国大会に出場、その後松竹新喜劇・曾我廼家五郎八の元に入門。同年新春座入団、新刃会に所属。翌年、道頓堀中座にて初舞台を踏んだ。その後1963年、吉本新喜劇入団[1]。1971年には同じ新喜劇団員の谷しげると漫才コンビ「ざ・どっきんぐ」を組んだこともあったが、自分に合わないと感じ、結核で長期の入院を強いられたこともあって解散、新喜劇に復帰。1989年の劇団員リストラ「新喜劇やめよッカナ?キャンペーン」を乗り越え、再び新喜劇団員に所属。キャラの濃い人間だらけの中で、舞台の“癒し系”を演じる。
- 最近の役柄は、和服姿で足元がおぼつかないおじいちゃん役(昔は岡八郎や花紀京の専属老人の感があった。)が多いが、時にスーツを着て「会長」「社長」役を演じることがある。変わったところでは悪役、ワケありの従業員、大天使役など。とりわけ辻本茂雄座長回では年齢不相応な役柄(ボディガード、暴走族など)を演じており、本編では途中から点滴や車椅子などの小道具をつけざるをえなくなるトラブルメーカー的立場も担っている。
- カツラは河童の頭のようなカツラをかぶるが、稀にオールバックのようなカツラをかぶることもある。しかし、カツラが違っても、役柄、ギャグに変化はない。なお、地毛は年の割にフサフサでリーゼントのようになっている。本来の見た目は実年齢より若く見える。
- よしもと新喜劇の「セカンド・ラブ」(NGKタイトル「老人ホームはスイートホーム」)ではギャグを一切封印して、無口な画家役を演じた。
ギャグ
- 「おじゃましまんにゃ〜わ」(入場時にほとんどの割合で使われる)
- 「ただいまで、おまん〜にゃわ〜」
- 「では、失礼しまんにゃわ」
- 「おはようで、おまん〜にゃわぁ〜」
- 「ごめんくらはい」
- 来た用事を聞かれ「あれ、何やったっけ、ハハ、思い出せんわ、あ、あぁ〜あぁ〜あぁ〜あぁ〜あぁ〜あ、あ、そうそうそうそうそうそう、え?なに?あ、あぁ〜あぁ〜あぁ〜あぁ〜あぁ〜、あ、ちゃうわちゃうわちゃうわ(この際「違うんかいっ」と突っ込まれる)お〜お〜、傑作や、ホッハッハッハッハッハッハ、はぁ〜あ、ぁ〜、ZZZ」(と、寝たふりをし「寝んな!」とつっこまれ)「三途の川や〜」「きれいなお花畑やったなあ」
- (烏川耕一・川畑泰史など)「渡ったらあかんあかん」
- (辻本)「渡ってしまえ」「レッツゴー」
- (小籔)「渡り〜〜」「やっぱり渡り〜」「〜してから渡って!終わったらナンボでも渡ってええから」
- (内場勝則)「お爺ちゃんわたろっ〜」
- (安尾信之助)「あぁ〜っもうっ渡ろっ?」「渡りましょ」「こっちの方が渡りやすいですよ」
- そのほか、歩いてる途中で頭を叩かれ、「三途の川や」と発言したこともある。
- 突かれると転んでいって半倒立し、「助けてくれ」
- 共演者:「はいはい、(肛門を3回指で突き刺す)ダダダ」
- 竜ジイ:「あ〜、久しぶりの快感」
- 共演者:「なに言うてんねん!」
- なお、井上はこのギャグを「私にしか出来ないギャグ」と豪語しており、例えば「夕焼けの松ちゃん浜ちゃん」では松本人志や浜田雅功、島木譲二も挑戦したが、できなかった。
- どこかへ移動しようとするとき、突然足が固まったふりをする。その後なんとか動こうとして足を引っ張る動作を「ん〜〜〜〜このクソボケカスミソクソ……よいとせの、こらせの、どっこいさのせ〜」などとかけ声と共に行う。そして「ああ、ええ運動になった」と発言して何事もなかったかのように普通に歩いていく。以前は、別バージョンもあり、オチが「この方が早いやないか」と言いながら歩き去るというもの。
- (共演者に「しっかりしてくださいよ」と言われた後)「しっかりでけたら、うっかりせんわい」
- 吉田ヒロから「桃屋のおっさん」とイジられる
- 年の差カップルで出た時に相手のマドンナ役が「私たち結婚します!」と宣言すると共演者から「結婚式終わったらすぐ葬式やで…」っと突っ込まれる。この後マドンナ役から「(結婚)式場を見に行ってからお墓を見に行きましょう…」と言われて嬉々として二人で舞台からはけていくことがある。
老人に実際ありがちなボケ
- 「この鉢(8)洗っといて」「ななはどうしたら?」「数字ちゃう!」
- 寝かされている患者の上に座り、「(患者がいるのは)下や!」「え?」「下や!」「べぇ」と舌を出す。
- 医者役の時、聴診器を逆に付けて「手遅れや。息してへん」「それつけるとこ逆や!頼むでほんまに!!」
- 共演者の言うことが聞こえず、共演者に「このおっさん、ボケとるな」と言われた時、「誰がボケとんじゃ」と怒り出す。
- よぼよぼな外見にも拘らず無茶苦茶強く、悪役の時は制圧にかかった刑事2人が大怪我をする。
TV・舞台
脚注
- ↑ 松竹から吉本に移籍した経緯に関しては、朝日放送「ナンバ壱番館」での今田耕司の質問に対する井上本人の回顧等によると、松竹新喜劇の劇団員があまりにもだぶついてきて出番がおそらく回ってこないだろうというのと、(井上の話では)五郎八のプッシュで松竹でだぶついていた、井上を含めた数名を吉本新喜劇に「余っているから」と言わんばかりにやや押し付け気味に移籍させた、という。