三菱ふそう・ローザ
テンプレート:BusModelImage ローザ (Rosa) は、三菱ふそうトラック・バスが製造するマイクロバスである。
目次
概要
三菱のマイクロバスの歴史は、新三菱重工業(現在の三菱重工業及び三菱自動車工業)製の「三菱・ローザ」(B10系)と、三菱日本重工業(現在の三菱重工業及び三菱ふそうトラック・バス)製の「三菱ふそう・ライトバス」(MB720型)に端を発する(当時のブランド名は、新三菱重工業が「三菱」、三菱日本重工業が「三菱ふそう」であった)。
三菱ふそう・ライトバスは三菱・ライトローザへと取って代わられ、2代目の登場まで、三菱ブランドのローザとライトローザの二本立ての陣容であった。
以後、1964年の三菱日本重工業・三菱造船・新三菱重工業の合併による三菱重工業の誕生、1970年の三菱自動車としての独立、さらに2003年の三菱ふそうトラック・バスへの分離を経て、現在は三菱ふそうブランドとなっている(車検証に記載される車名は「三菱」)。
特定バス、小型路線バス、ロケバスのほか、キャンピングカーのベース車としても使われており、マイクロバスでは唯一1987年にグッドデザイン賞を受賞した車両でもある。また、日本のバス専用車としては最も長きに亘って四輪駆動モデルがラインアップされていた(ライバルのトヨタ・コースターには高機動仕様シャシ流用した仕様、日産・シビリアンにはいすゞ・エルフの4WDシャシを流用した仕様が存在した)が2011年のマイナーチェンジで廃止された。
歴史
初代(1960 - 1973年)
B10/B20系
1960年、新三菱重工業(現在の三菱重工業及び三菱自動車工業)製の「三菱・ローザ」誕生。
ローザは中型トラックのジュピターをベースとした関係で、他社製マイクロバスに比べ大きめの車体で、価格も高く、当初からリアダブルタイヤを標準とし、直列6気筒ディーゼルエンジンや、当時の国産マイクロバスで唯一となる全長6m級のモデル(その後7mモデルも投入)を加えるなど、やや営業車向けのポジションであった。
メルセデス・ベンツ L319の影響を強く受けたスタイリングは、「だるまローザ」の異名を持つ。
三菱ふそう・ライトバス(1963 - 1966年)
MB720型
1963年、三菱・ローザとは別に、三菱日本重工業(現在の三菱ふそうトラック・バス 川崎製作所)の生産による、「三菱ふそう・ライトバス」が発売される。
こちらは2tトラックのT720型キャンターをベースとしており、他社同様の体躯で、三菱・ローザに比べ一回り小さい。車体は呉羽自動車製で、フロントまわりにキャンターと共通の意匠が見られる。
1964年、マイナーチェンジ。キャンターに歩調を合わせ、前照灯を丸形2灯から丸形4灯へ変更。
全長5500mm、定員21名、直列4気筒1986ccの4DQ1型ディーゼルエンジン、運転席ドアを持つなど、より自家用向けの内容であったが、バリエーション展開も無いまま、わずか3年でその座を「三菱・ライトローザ」へ譲っている。
三菱・ライトローザ(1966 - 1973年)
B12型/B13A型/B14型/B14A型/B16A型
三菱ふそう・ライトバス(MB720型)の実質上の後継として登場し、B10/20系三菱・ローザとは併売の形をとった。車格的にはこちらが現在のローザの直系の祖となる。
大柄な車体や営業車向けの品質ゆえに高額であったローザは、特に短尺車の販売が思わしくなく、自家用マイクロバス市場では他社の後塵を拝す結果となった。そこで、小型化とコストダウンに主眼を置いたマイクロバスを、乗用車生産のノウハウを持つ三菱重工業が開発することとなった。
外観が垢抜けなかったふそう製のライトバスから一転、トヨタ・ライトバス K170B系に非常に似たスタイルに改められ、寸法もトヨタ・ライトバスとほぼ同じとされた。直列4気筒のKE42型ガソリンエンジン、シングルタイヤ、定員25名と仕様を絞ったことで、価格競争力は十分となった。経済性が徹底的に追求され、定員もほぼ同寸のトヨタ・ライトバスに比べ3名(一列)多い。上級車として直列6気筒ディーゼルのKE63型搭載モデルもラインナップされた。
1969年、マイナーチェンジ。ガソリンエンジンをKE47型へ変更(車両型式はB13型となる)、さらにふそう系の2.4L 4DR1型ディーゼルエンジンや(B14型)、ダブルタイヤ車(B13A型/B14A型)を追加する。直6ディーゼルエンジンは廃止される。
外観では、側面方向指示器が大型化され、前照灯が丸形4灯からコルト1000同様の異型角形2灯となり、フロントグリルも工数の少ないメッシュタイプへ変更された。
1970年、マイナーチェンジ。フロントグリルの意匠変更。同年7月にもう一度マイナーチェンジを行い、ディーゼルエンジンを2.7Lの4DR5型へ変更、前照灯は再び丸形4灯となる。
2代目(1973 - 1986年)
B210系
- 1973年4月 - フルモデルチェンジで登場。車格はライトローザを受け継ぎ、この世代から大小2つのローザが一本化された。エンジンは直4 2.7L ディーゼル・80馬力と、直4 2.3L ガソリン・100馬力の2種類。
- 1973年9月 - 4.0Lの直6 ディーゼル・105馬力を搭載したロング仕様を追加。
- 1979年3月 - 初のマイナーチェンジを実施。外観ではフロントグリルと、テールランプを丸型から角型に変更。2.7Lディーゼルは54年排出ガス規制と同時にクーラー搭載車のコンプレッサーの負荷を考慮し、3.3L・95馬力に変更。また全車フロアシフト化。
- 1983年6月 - ターボ付き3.2L 120馬力ディーゼルを追加設定し、4.0L 6気筒ディーゼルを廃止。
3代目(1986 - 1997年)
- 1986年6月 - 13年ぶりの全面変更で、先にデビューしたMS7系エアロバスのデザインを組む流麗なラインとなる。拡大されたフロントウインドシールドと、左下のセーフティーウインドウ、インパネのデザインと、操作系のレイアウトに人間工学を取り入れ運転環境が大幅に向上。このスタイリングが評価され、1987年に通商産業省グッドデザイン賞をマイクロバスで初めて獲得する。
- 1987年9月 - 最上級グレードとしてシートピッチを国鉄特急車のグリーン車並に拡大し、更にテレビ、ビデオ、冷蔵庫を装備したロイヤルを追加。
- 1988年5月 - フロントにFUSOマークが付く。
- 1990年1月 - マイナーチェンジで全車異型角型2灯式ヘッドランプへ(それまではSTDと幼児車が丸型4灯式)。スタイリングの評価とは裏腹に、乗り心地、操縦安定性、動力性能などがコースターに遅れをとっていたこともあり、商品力を強化。ターボ車は 3.2L から 3.9L に排気量をアップし、120馬力から155馬力に増強。4.2L の新型ディーゼルエンジン(4D33型)、ローザ初のオートマチックトランスミッションと4WDを追加。4WDは、かさ上げされた車高に対応し、乗降口ステップを一段、ホイールアーチにはスパッツがそれぞれ追加されている。車高がかさ上げされた影響か幼児車や特定輸送、80条バスなどで採用されたものの、一般路線バスの採用は南海りんかんバス高野山営業所や濃飛バス下呂営業所など積雪のある山間部でごく少数採用されているのみである。
同時に上級グレードのサスペンションにフロント独立懸架を採用。1992年に空気バネを追加。
- 1995年5月 - 再度のマイナーチェンジ。フロント周りや内装の意匠を変更し、平成6年排出ガス規制(排ガス記号 KC- )適合。ヘッドランプにMS8系エアロバスに準じたプロジェクターランプ(但し一部グレードは規格型角型4灯式)を採用する。
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前期型:有田鉄道
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後期型:杉崎観光バス
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後期型:香港輸出仕様
角形4灯ヘッドライト採用 - Fuso Rosa 003.JPG
後期型:4WD
ドア追加ステップとホイールアーチスパッツを示す
4代目(1997年 - )
- 1997年10月 - 登場。平成6年排出ガス規制 (KC-) 適合。バスとしては珍しく全車異型丸型4灯式ヘッドランプ・テールランプを採用し、丸みを帯びた外観となった。一部に新開発であり、クラス初のDOHC 16バルブ直噴ディーゼルエンジン(4M50系)を搭載する。マイクロバスでは初めて運転席エアバッグが設定された。パーキングブレーキレバーは、この時代には珍しくステッキ式を採用している。マイクロバスとして唯一乗降口が前輪のすぐ後ろに設けられたのも特徴。4WD車は低床化され、ステップ段数がワンステップとなった。
- 1998年9月 - スーパーロングボディを追加。乗車定員30名以上の場合はマイクロバス扱いではなくなり、非常口が設けられる。
- 1999年5月 - 一部改良。平成10年排出ガス規制 (KK-) 適合。
- 2001年5月 - 一部改良。平成12年騒音規制適合。
- 2002年6月 - CNG車追加。
- 2004年10月 - 一部改良。平成15年排出ガス規制 (PA-) 適合。
- 2005年10月 - 一部改良。灯火器規制適合。車名ロゴがROSAからRosaに変更され、位置もフロントから側面に変更。最上級グレード「スーパーロイヤル」が消滅。
- 2007年4月27日 - マイナーチェンジ(発売は7月3日)。フロントバンパーとフロントグリルの変更により、外観が大きく異なっている。フロントブレーキを2リーディングドラムからベンチレーティッド・ディスクに変更。また、平成17年排出ガス規制 (PDG-) に適合するなど、環境面にも配慮。エンジンは、4M50 T4 型 (110kW / 150PS) と4M50 T5 型 (132kW / 180PS) の2種類が設定され、幼児車には4WDの設定も行われた。
- 2008年 - CXのロングボディが廃止され、CXはスーパーロングのみとなる。また、カスタムのスーパーロングが廃止された。
- 2010年6月 - 生産が名古屋制作所大江工場から三菱ふそうバス製造 (MFBM) に移管。
- 2011年8月 - 一部改良。平成22年度(ポスト新長期)排出ガス規制 (SKG-) 適合。平成27年度重量車燃費基準達成。乗員保護規制(ECE規制)対応。エンジンはフィアットグループのFPT社とダイムラー、そして三菱ふそうが共同開発した4P10型 (129kW / 175PS) を採用。排気後処理システムにはDPFに加え尿素水を用いたSCR触媒「BlueTecシステム」を採用。AT車は、バス業界では世界初となるデュアルクラッチトランスミッションであるDUONIC(デュオニック)(6速)を採用。サスペンションは全車フロント独立懸架式、リア車軸懸架式を採用。外観ではフロントプレスラインの変更により大型バスとの意匠の共通化をはかった。ショートボディー、幼児車、4WDが廃止された(発表8月24日、発売8月31日)。また、客席のシートベルトが2点式から3点式に変更。新たに補助席に2点式シートベルトが追加された。
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前期型ショート
わかばタクシー - Sen-en-kotsu-677.jpg
前期型ロング
仙塩交通 - Konan-bus-31801-5.jpg
前期型ロング(灯火器規制適合後)
弘南バス - Moko bus 1983MK.JPG
後期型ショート
関東鉄道
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後期型ロング
ジャパン交通
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後期型ロング
松山観光バス (山形県)
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後期型ロング
香港ミニバス - HK Hung Hom Laguna Verde Shuttle Bus green.JPG
スーパーロングボディ(輸出仕様)
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4WD車
添田町バス - Mitsubishi TPG-BE640J.JPG
TPG-BE640J
岸和田観光バス
ボンネットバス
4代目ローザではフロントエンジンの構造を利用して運転席の位置を後退させ、レトロ調のエンジンフードをかぶせたボンネットバスをCXベースの改造車扱いで設定している。クラシカルなデザインを採用することが多く、主に観光地や古い街並みを走る路線バスに使用されている。平成15年新短期排出ガス規制時に一時販売中止となったが、2008年に平成17年新長期排出ガス規制に適合し販売を再開した(型式はPDG-BE64DG改〈ロングボディ〉)[1]。
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駿府浪漫バス武千代くん
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エンジンフードは前に倒れる
三菱ふそう・ローザBK(1981 - 1986年)
テンプレート:BusModelImage2 BK215F型
- 1981年、7m以下のクラスでありながら1クラス上の中型バスのニーズにも対応できる車種として登場した。ワイドローザ[2]とも呼ばれ、中型トラックFKをベースに2代目ローザの全幅と全高を拡大したスタイルとなっている。ローザのホイールのボルト数は5スタッドだが、ローザBKでは中型トラック同様の6スタッドになっており、エンジンは6D14型エンジン(160PS)が搭載されていた。[3]
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ローザBK 日田バス
リコール隠しの影響
なお、三菱ふそうリコール隠しによる国土交通省の制裁措置により、2004年9月1日から発売が中止されていた。2004年9月28日に型式審査が完了し、国土交通省から販売を許可されたため、同年10月下旬に販売を再開した。
車名の由来
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:自動車 テンプレート:三菱ふそうトラック・バス製のバス車両- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ FUSO History 70周年記念特集
- ↑ 日本のバス 1986 P.40