トヨタ・カローラII
カローラII (COROLLA II カローラツー) は、トヨタ自動車で生産されていた小型乗用車である。
目次
概要
名前が似ているカローラではなく、ターセル/コルサと共通のプラットフォームを使っている、三姉妹車の中で唯一ハッチバックのみでセダンの設定はない。
実質的に、〝カローラの2番目に、次に”という意向を持って、開発・設定されたという。
歴史
初代 L2#型(1982年 - 1986年)
- 1982年5月、ターセル/コルサのフルモデルチェンジに合わせ、初代がデビュー。カローラ店では、ターセルを扱っていたが、カローラとサイズが近いため、新しくオープンしたビスタ店に譲ることとなった。しかし、1980年代初期において、カローラより少し小さいマツダ・ファミリア・ハッチバック(BD型)の人気が沸騰しており、カローラ店にも対抗できるハッチバック車は置くべきとされ、誕生した。サイズのエンジンは1500cc(3A-U型)または1300cc(2A-U型)を縦置きに搭載するFF車としては珍しい構成だった。最上級グレードである1500SRには可変ベンチュリー式シングルキャブ(3A-HU型)仕様が用意された。
- 1984年1月 チェック模様シートとサイドストライプを装備した1300ウィンディDXを追加(マイナーチェンジでカタログモデルに昇格)(前年限定販売したDX-Sとほぼ同じ仕様) 。
- 1984年8月 マイナーチェンジ。外観ではテールランプのデザインが大きな変更を受ける。1500ccはMT車が可変ベンチュリー式ツインキャブを搭載した3A-SU型(90馬力)に、AT車は従来の3A-HU型(83馬力)が継続して採用された。また1500cc車のグレードはSRのみに、さらに3ドアSRをベースにエアロパーツと60扁平タイヤを装備したSRスポーツパッケージが新たに追加された。
- カローラII専用(ターセル/コルサには設定なし)グレードとして、ビジネスユース向け最廉価モデルの3ドア1300CD(かつての乗用車でいう「STD(スタンダード)」に相当する)が2代目末期の1990年まで設定された。カタログでもオプション・諸元表のみで写真掲載は無し。シートは全ビニールレザーでラジオ、後窓デフォッガーも注文装備。
- Toyota-CorollaIISRrear.JPG
後期型 リア
2代目 L3#型(1986年 - 1990年)
- 1986年5月 2代目にフルモデルチェンジ。初代が縦置きを前提とした設計であるA型エンジンを搭載していたのに対し、このクラスの主力として新たに投入されたE型エンジンに換装されたため、FF車として一般的なエンジン横置きとなる。ボディタイプは3ドアと5ドア、更に3ドアにはこのクラスとしては珍しいリトラクタブルライトを装備したスポーティグレードの「3ドア・リトラSR」を新たに追加し、エアロ仕様であるスポーツパッケージも初代から継続してグレード設定された。
- 同年9月には1500ccSOHC12バルブ インタークーラーターボエンジン(3E-TE型)を搭載した最上級グレード「リトラ・GPターボ」も登場。弟分であるスターレットと同じくHi/Lo切替え可能な2モードターボを採用。Hiモード時で110ps、Loモード時で97psを使い分けられた。歴代カローラIIシリーズの中でガソリンエンジンのターボ車は同モデルのみである。この2代目以降から1.5Lディーゼルターボ(1N-T型)エンジン搭載車も設定される。なおガソリンエンジンは全てSOHC12バルブ。車両型式はリトラがEL31、リトラ以外はEL30となっている。
- 1988年5月 マイナーチェンジ。79psだったキャブレター仕様の3E型に加え、EFIを採用し88psとパワーアップした3E-E型が新設グレードである「リトラ・SR-i」に追加搭載される。更に3ドアの一部グレードにシリーズ初となる電動キャンバストップ仕様が設定される。外観ではリトラグレードのフォグランプ設置位置がバンパー下部からリトラクタブルライト直下に変更される。GPターボは過給圧が見直され、Hiモード時で115ps、Loモード時で105psとなる。リトラクタブル・ヘッドライトの一部採用、ターボ搭載、キャンバストップ、1300cc車に希薄燃焼仕様エンジンの搭載など、歴代のシリーズ中で最もバリエーションに富むと共に、様々な試行がなされたモデルだったが、4WDに関しては3代目以降の採用となっている。カローラIIの5ドアはこのモデルが最後となる。
3代目 L4#型(1990年 - 1994年)
- 1990年9月 3代目デビュー。カローラIIは3ドアハッチバックのみの設定となる。エンジンは4E-FE型1300cc・100馬力と1500cc・105馬力5E-FE型(SR)及びハイパワー仕様115馬力の5E-FHE型(ZS)1500ccでいずれもDOHC・EFIとなった(ディーゼル車は除く)。ディーゼル車は従来どおりの1500ccの1N-T型・67馬力。先代とは一転して丸みを帯びた外観を持つのが特徴。バブル景気の真っ最中に設計されたためか、室内インテリアの質感も高く、低価格車という印象を与えない。先代に引き続いて電動キャンバストップ仕様もラインナップされた。
- 1992年8月 マイナーチェンジ。バンパー、フロントグリル、テールレンズなどの形状を変更。エアバッグのオプション設定、サイドドアビームの追設など。
- 1993年8月 一部改良。エアコンに新冷媒(R134a)の採用。
4代目 L5#型(1994年 - 1999年)
- 1994年9月 4代目デビュー。丸みを帯びた先代とは一転してコストダウンに徹したモデルで、直線・平面基調の外観となった。ガソリンエンジンは先代に設定されていた5E-FHE型が消滅し、4E-FE型と5E-FE型の2種類となった。シャーシはほぼ先代のキャリーオーバーである。
- CMソングに小沢健二の『カローラIIにのって』が使われたのがこのモデルである。
- 1996年8月には、それまでオプションであったABSとデュアルSRSエアバッグが全車に標準装備された。
- 1997年12月のマイナーチェンジではインテリアの質感がアップし、衝突安全ボディ「GOA」にアップデートされ、ABSや助手席エアバッグ、マルチリフレクター式ヘッドランプなどの安全装備の充実が図られている。
- モデリスタがフロントとリヤ周りをクラシカルなデザインに大幅に変更した特装車「モデリスタ PX12ナポリ」も少数ながら存在した。
- 1999年7月 事実上スターレットとの統合後継車に当たるヴィッツの登場により、ターセル/コルサと共に生産終了した。
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前期型(1994年9月 - 1997年12月)
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前期型リア
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PX12ナポリ フロント
姉妹車・派生車
ターセル/コルサとは姉妹車であるが、カローラIIのみ4ドアセダンは設定されていない。L20型をベースとしたステーションワゴンとして開発されたのがスプリンターカリブ(初代のみで2代目からカローラ/スプリンターベースとなる)である。またL40型及び50型のクーペバージョンとしてサイノスが、またL40型を元にガルウィングドアクーペとして開発されたセラが、L50型を元にユニバーサルコミューターとして開発されたラウムが発売された。
改造車
L40型及び50型はEP82/91型スターレットとエンジン及び足回りが共通であったため、スターレットに設定されていた4E-FTE型エンジン(ターボチャージャー付き)やスターレット用の競技用サスペンションを移植された個体も若干存在した。中には5E-FE型エンジン搭載車両をベースに、4E-FTE型エンジンのターボチャージャーを移植した1500ccのターボチャージャー搭載というものもあった。これらターボチャージャー移植車両は、車検証上は「EL4x改」あるいは「EL5x改」と表記された。
車名の由来
カローラの子分、あるいは弟/妹分である、という意味が「II」に込められており、「ランドクルーザー II」などでの例と同様、元の車名のサブシリーズ(格下)の意味である。
コロナの上級車種として生まれたマークIIは単に「II型」を表すもので、意味が異なる。
関連項目
- トヨタ・ターセル - 姉妹車
- トヨタ・コルサ - 姉妹車
- トヨタ・セラ
- トヨタ・サイノス
- トヨタ・ラウム
- トヨタ・ヴィッツ
- トヨタ・デュエット - ダイハツ・ストーリアのOEMでカローラ店専売だった車種。カローラIIの実質的な後継車種との見方も
- トヨタ・エティオスリーバ - 2012年11月現在トヨタの新興国市場におけるハッチバックの主力車種
- カローラIIにのって(小沢健二、1995年)
- カローラIIに恋をした(カジヒデキ、1998年)
- 皇太子徳仁親王妃雅子 - 皇太子徳仁親王との結婚に際してカローラIIに乗っていることが報道され、販売台数が爆発的に増えた。
外部リンク
- GAZOO.com トヨタ カローラII (初代)
- GAZOO.com トヨタ カローラII (2代目)
- GAZOO.com トヨタ カローラII (3代目)
- GAZOO.com トヨタ カローラII (4代目)
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