チャド湖
チャド湖(チャドこ、テンプレート:Lang-fr、テンプレート:Lang-en)は、チャド、ニジェール、ナイジェリア、カメルーンの4ヶ国にまたがるアフリカ大陸中央部の湖である。
現在、灌漑・気候変動により面積が10%以下まで激減しており、問題になっている。
概要
チャドの西部に位置し、ニジェール東北部との国境をなす。湖の中央部に4カ国の国境線が交差する。面積は大きいが、水深は浅い。最も深いところでも7mしかない。従って雨季と乾期での面積・水深の変化は大きく、特に面積は2倍もの差がある。
湖にはシャリ川・テンプレート:仮リンク・テンプレート:仮リンク(Barh El Gazel Wadi)などから水が流入している。
周辺の国々に居住する2000万人以上の人々に水を供給している。水深が浅いため、漁業は発達していない。湖周辺は雨季には植生が広がり多様な動植物の生息する、アフリカでも重要な湿地帯である。この湿地を利用した農業も行なわれている。
サハラ砂漠周辺地域が湿潤であった1万年前には面積は100万km²であったと推定されているがここ1000年には少なくとも6回は干上がっており、拡大と縮小を繰り返している。歴史的に見ても、面積の変化が大きい。
2001年8月、チャド湖の一部(約16,500km2)がラムサール条約登録地となった。
急激な縮小
ヨーロッパ人による最初の調査は1823年になされた。以来、世界的に見ても非常に大きい湖の1つだったが、ここ40年で著しく面積が縮小している。1960年代には2万6000km²以上の面積があったが、1990年代までに45%の面積を失った。1908年と1984年の2度にわたり完全に干上がったことがあり、現在の平均水深は1.5mである。このままでは21世紀中には消滅するとも予想されている。
原因と問題
チャド湖、及びシャリ川・ロゴーヌ川を利用した周辺諸国での大規模な灌漑があげられる。特にナイジェリアは移住を奨励し周辺人口も増大したが、水の利用効率は極めて低かった。こうした影響で、シャリ川からの流入量は1960年代以前の平均年間400億トンから150億トンに減少している。
加えて砂漠化の最前線に立地しており、近年の気候変動(地球温暖化による)の影響も無視できない。ただし、この点に関しては2001年にThe Journal of Geophysical Researchで発表された研究では否定されている。
また植生地域ができたことで、過放牧が行なわれ湖周辺の砂漠化も懸念されている。
このように消滅の危機に瀕しており、チャド湖流域委員会などによる監視が続けられている。しかし関連諸国の経済事情、政情が不安定などにより有効な対策はとられていない。また、残された水がどの国に帰属するかも問題の一つになっている。
関連項目
外部リンク
- アースショット・日本語版 - 詳細な解説・写真
- 朝日新聞地球異変余録 チャド編(1)、(2) - 2009年掲載のチャド湖現状の写真ルポルタージュ