スイス・フラン
テンプレート:Infobox Currency スイス・フラン(テンプレート:Lang-de(シュヴァイツァー・フランケン)、テンプレート:Lang-fr(フラン・スュイス)、テンプレート:Lang-it(フランコ・ズヴィッツェロ)、テンプレート:Lang-rm(フランク・スヴィッツェル))は、スイスとリヒテンシュタインの通貨。くわえて、イタリアの飛地カンピョーネ・ディターリアの通貨、ドイツの飛地ビュージンゲンの非公式な通貨である。
通貨記号はFr.、SFr.、CHF(ラテン語国名のConfoederatio Helvetica Franc の頭文字)。ISO 4217の通貨コードはCHFで表す。補助単位はそれぞれの言語でラッペン(テンプレート:Lang-de)、サンチーム(テンプレート:Lang-fr)、チェンテージモ(テンプレート:Lang-it)、ラップ(テンプレート:Lang-rm)と呼ばれ、1フランの100分の1に値する。 対円レートは固定相場時代は89→83円、変動相場制になってからは65円 - 150円の間で推移している。
- 1スイス・フラン=102円(2013年2月現在)
目次
概要
スイス・フランは従来より、国際金融市場において、イギリス・ポンド、ドイツ・マルク、フランス・フランと並ぶ重要な通貨であった。欧州連合統一通貨ユーロの誕生後は、ユーロ圏に浮かぶ孤島のような状態になってしまったが、現在もなお、国際社会におけるスイスの地位により、「金よりも堅い」といわれるように、世界で最も安定した通貨として知られており、その重要性はいささかも変わっていない。外国為替市場における取引量はアメリカ合衆国ドル、ユーロ、日本円、イギリス・ポンドに次ぐ取引規模を有し[1]、また国際決済通貨(ハードカレンシー)のひとつであるため、自国の通貨が不安定な国では海外との貿易にスイス・フランが使われることも多い。
歴史
1848年スイス連邦成立の時、各カントンでばらばらであった通貨を統合し、1850年に正式にスイス・フランが制定された。当時のフランス・フランに倣って、品位.900重量5グラム(純銀含有量は4.5グラム)の1フラン銀貨をもって基準通貨とする実質的な銀本位制であった。最初に鋳造されたフラン硬貨は、写真のデザインのもので、現在の硬貨とは違う図案であった。1/2・1・2・5フラン銀貨がパリの造幣局でフランス・フランと同じ仕様で鋳造された(パリ造幣局のAのミントマークが裏面下に刻印されている)。スイスは、その後1865年のラテン通貨同盟に参加し、更に1876年フランスの金本位制採用に合わせスイスもこれに移行。
この通貨同盟の加盟国の一つベルギーは、全ての銀貨の品位を引き下げ、補助貨幣にすることを提案したが、フランスの猛烈な反対に遭い、5フラン銀貨は本位貨幣として残すことになり、実質的には、金銀複本位制の様相を示していた。この決定を受けてスイスも新しいデザインの硬貨を鋳造した。1874年から2フラン銀貨、1875年から1/2フランと1フラン銀貨が鋳造され発行された。この銀貨は品位を.835に落とした補助貨幣であり、そのデザインは現在に至るまで変更されていない。なお、5フラン銀貨は品位.900のまま1928年まで鋳造された。
リヒテンシュタインでは、過去においてはオーストリアと経済的繋がりを持っていたため、通貨もクローネン基準であったが、第一次世界大戦以後はスイスとの関係が強くなり、通貨もフランケン基準となった。1924年までは独自の流通用の銀貨が発行されていたものの、現在はスイスの硬貨、紙幣がそのまま流通し、独自の通貨は記念硬貨や収集家向けの硬貨しか発行していない。
硬貨
スイスの現行硬貨は、5・10・20ラッペン(サンチーム)、1/2・1・2・5フランの7種類。1ラッペンの銅貨は先頃まで、セット販売用に製造されていたが、2007年1月1日に廃止された。かつて存在した2ラッペンの銅貨は1974年で製造が打ち切られ、その後1997年に廃止され、こちらはすでに他額面硬貨との交換が終了していて、通貨としての価値を失っている。
スイスの硬貨は、これまで様々な材質で製造されてきており、これらが長期に渡って流通している。しかし、近年になって自動販売機の普及、銀行のATMでの硬貨の利用の増加などにより、支障を来たすようになった。現在の硬貨は5ラッペンの黄銅貨を除き全て白銅貨である。かつてフラン硬貨は.835品位の銀貨であったが、1971年以降回収が行われ、現在は市中で銀貨を見かけることはない。また、5・10・20ラッペン硬貨のうち、純ニッケル素材の硬貨も、2004年に流通停止になっている。このほか5フラン硬貨も周囲のギザに相当する部分に刻まれた文字がレリーフ状のタイプと彫り込んだタイプが存在し、この彫り込んだタイプも自動販売機の誤作動を招くので流通停止となっている。
現在流通している硬貨のうち、2フラン以下の6種類の硬貨のデザインは、フラン硬貨がヘルヴェティア女神の立像、ラッペン硬貨が同じく頭像で、これらの図案は1870年代から変更されていない。材質こそ銀や純ニッケルから白銅に変わりはしたが、概ね130年以上も同じデザインの硬貨が流通しているような国は、他には全く見当たらない。これは如何にスイス・フランが安定している通貨であるかの裏付けに他ならない。なお、低・中額面硬貨のヘルベティア女神像に対し、最高額面の5フラン硬貨のデザインはウィリアム・テルとなっている。この5フラン硬貨は、広く一般に流通している硬貨においては、日本の500円硬貨と並んで先進諸国の硬貨ではもっとも実質価値の高い額面の硬貨である。
この他の硬貨として、1880年代から10フラン、20フランの本位金貨が流通していた。20フラン金貨はラテン通貨同盟の基準金貨でフランスの20フラン金貨(ナポレオン金貨)と同じ6.4516グラムの重量を有する金純度90%の金貨で、アルプスの少女「ブレネリ」が描かれていた。
スイスの硬貨においては、公用語全てをもって国名表示することが困難であるため、基本的に国名はラテン語名のHELVETIAまたはCONFOEDERATIO HELVETICAの銘が使われている。
通常硬貨の種類
- 1ラッペン
- 1850 - 1941年: 銅貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)
- 1942 - 1946年: 亜鉛貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)
- 1948 - 2006年: 青銅貨(表: 白十字、裏: 麦の穂と額面)
- 2ラッペン
- 1850 - 1941年: 銅貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)
- 1942 - 1946年: 亜鉛貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)
- 1947 - 1974年: 青銅貨(表: 白十字、裏: 麦の穂と額面)
- 5ラッペン
- 1850 - 1877年: 洋銀貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)
- 1879 - 1917年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1918年: 黄銅貨(表: ヘルヴェティア頭像 裏: 花輪と額面)
- 1919 - 1931年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1932 - 1941年: ニッケル貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1940、1942 - 1980年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1981年以降: アルミ黄銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 10ラッペン
- 1850 - 1876年: 洋銀貨(表: 紋章 裏: 花輪と額面)
- 1879 - 1915年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1918 - 1919年: 黄銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1919 - 1931年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1932 - 1939年: ニッケル貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1940年以降: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 20ラッペン
- 1850 - 1859年: 洋銀貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)
- 1881 - 1938年: ニッケル貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1939年以降: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)
- 1/2フラン
- 1850 - 1851年: 銀貨(品位.900、2.5グラム)ヘルヴェティア女神坐像。
- 1875 - 1967年: 銀貨(品位.835、2.5グラム)ヘルヴェティア女神立像。
- 1968年以降: 白銅貨(仕様変更2度)
- 1フラン
- 1850 - 1857年: 銀貨(品位.900、5グラム)ヘルヴェティア女神坐像。
- 1860 - 1861年: 銀貨(品位.800、5グラム)ヘルヴェティア女神坐像。
- 1875 - 1967年: 銀貨(品位.835、5グラム)ヘルヴェティア女神立像。
- 1968年以降: 白銅貨(仕様変更2度)
- 2フラン
- 1850 - 1857年: 銀貨(品位.900、10グラム)ヘルヴェティア女神坐像。
- 1860 - 1863年: 銀貨(品位.800、10グラム)ヘルヴェティア女神坐像。
- 1874 - 1967年: 銀貨(品位.835、10グラム)ヘルヴェティア女神立像。
- 1968年以降: 白銅貨(仕様変更2度)
- 5フラン
- 1850 - 1874年: 銀貨(品位.900、25グラム)ヘルヴェティア女神坐像。
- 1888 - 1916年: 銀貨(品位.900、25グラム)ヘルヴェティア女神頭像。
- 1922 - 1923年: 銀貨(品位.900、25グラム)ウィリアム・テル。
- 1924 - 1928年: 銀貨(品位.900、25グラム)ウィリアム・テル(図案修正)。
- 1931 - 1969年: 銀貨(品位.835、15グラム)ウィリアム・テル(小型化)。
- 1968、1970年以降: 白銅貨(仕様変更3度)
- 10フラン
- 1911 - 1922年: 金貨(品位.900、3.2258グラム)ブレネリ。
- 20フラン
- 1883年: 金貨(品位.900、6.4516グラム)ヘルヴェティア女神頭像(周囲ギザ)。
- 1886 - 1896年: 金貨(品位.900、6.4516グラム)ヘルヴェティア女神頭像(周囲文字)。
- 1897 - 1949年: 金貨(品位.900、6.4516グラム)ブレネリ。
- 100フラン
- 1925年: 金貨(品位.900、32.2581グラム)ブレネリ。
なお、硬貨の裏面に描かれた花輪は、1,2ラッペンが月桂樹、5ラッペンが葡萄、10ラッペンが樫の葉、20ラッペンが石楠花となっている。フラン硬貨には各種の植物の組み合わせの花輪が描かれている。5フラン硬貨にはエーデルヴァイスも描かれている。
スイスの硬貨は最初にも記したが、概ね1875年以降現在に至るまで図案の変更はなく、種類に乏しい嫌いがあるため、収集家は勢い記念硬貨の収集に走るが、通常硬貨を年号別に収集すると膨大なコレクションになるので、一部のマニアのターゲットになっている。
ミントマーク
スイスの硬貨は原則的にベルン造幣廠(現: スイス連邦造幣局)で鋳造されているが初期の硬貨に関しては、パリ、ストラスブール、ブリュッセルで鋳造されたものがある。各々の鋳造硬貨は次の通りである。
- パリ(ミントマークは「A」)
- 1850・1851年: 1Rap.、2Rap.、1/2Fr.、1Fr.、2Fr.(1850のみ)、5Fr.
- 1894年: 1/2Fr.、1Fr.、2Fr.
- ストラスブール(ミントマークは「AB」)
- 1850年: 5Rap.(この硬貨は非常に希少である)
- ストラスブール(ミントマークは「BB」)
- 1850・1851年: 5Rap.、10Rap.、20Rap.
- ブリュッセル(ミントマークは「B.」)
- 1874年: 5Fr.
硬貨にはミントマーク(ベルン造幣廠はB)を刻むのが慣わしであったが、1970年代から80年代の一時期、全ての硬貨からミントマークが削除された時期があった。
記念硬貨
スイスではこれまでに様々な記念の硬貨も発行されてきたが、この中でも1855年から発行されている射撃大会の記念硬貨は希少価値も高くコレクターの注目アイテムとなっている。1970年代以降は、ほぼ毎年各種の記念硬貨が定期的に発行されている他、コレクター向けの地金型、収集型の金貨や銀貨も発行されている。日本ではこれらの収集型金貨は、予約し抽選で購入者が決まる事が多いが、スイスではほとんどの場合、銀行等で誰でもすぐに購入できる。また、造幣局のウェブ通販で海外からも購入できる。各国の記念硬貨の例に漏れず、スイスでも通常仕様のものとプルーフ仕様のものが発行されている。
紙幣
スイスでは、連邦成立後も各カントンの公立銀行で発行された紙幣が流通していたが、これを1907年に創立したスイス国立銀行で一括して発行管理することになり、この年に第1次紙幣を製造、発行した。以後100年の間に8つのシリーズの紙幣が製造されたが、現在流通している紙幣は第8次型である。このうち、第4次と第7次の紙幣は、流通紙幣の予備在庫確保という名目で保管され、発行されることはなかった。第5次までの高額紙幣は非常に大型であり(第5次紙幣の1000フランは横228mm、縦125mm)ほぼA5サイズに近い大型紙幣であったが、現在でも、高額になるほど大きさが大きくなり、また、50フラン以上の紙幣では昔から額面により印刷色が決まっている(50: 緑、100: 青、200・500: 茶、1000: 紫)ので一目で見分けがつく。なおスイスの紙幣には、公用語であるドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語(第5次紙幣まではロマンシュ語を除く3言語)で額面などの標記がされていることは、よく知られている。
スイスの紙幣は概ね20年程度で改定されてきたが、デンマークや日本の紙幣のように第二次大戦後に発行された物が全て法的に有効というわけでないので注意が必要である。現在流通している紙幣以外で法的に有効なのは第6次紙幣(1975年発行2000年流通停止)のみで、他の旧紙幣は全て通貨としての価値を失っている。第6次紙幣については2020年まで交換が保証されている。
スイスには紙幣発行当初から1000フランの高額紙幣があり、現在も発行され流通している。使い勝手の良くないと言われた500フラン紙幣は、現在では発行中止になり、200フラン紙幣に代わっているが、1000フラン紙幣は発行が続いている。さすがに日本円10万円相当の高額紙幣であるために、一般旅行者が手にする機会は無いし、現地でも滅多にお目にかかれないが、スイスは自由通貨国であるので、資産家などが外貨や金を購入する時に使われるようである。10000フランの支払いに100フラン紙幣100枚より、1000フラン紙幣10枚の方が合理的だという考え方が存在するようだ。アメリカではクレジットカードが決済の主要手段であり、現金は50ドル紙幣でさえ受け取りを拒否する店があるようだが、スイスは日本同様現金を重視する国であるので、よほどの田舎や小さな商店でないかぎり、旅行者が支払いで1000フランを出しても受け取りを拒否されることは少ない。この点は同じヨーロッパでも200ユーロ紙幣の受け取りも拒む店の多いイタリアやフランスなどとは異なっている。
第1次紙幣
第1次紙幣は、1907年6月に発行された。50・100・500・1000フランの4種で、デザインは各額面共通。それまでに各カントンの公立銀行で発行されていたものと同じく、表面には左にヘルヴェティア女神の立像、右に天使の像が描かれていた。裏面には帽子を被ったヘルメスの頭像が左右に配されていた。このシリーズは各カントンで発行されていた紙幣にスイスの紋章(白十字)を表面右上に赤色で加刷したものである。1925年6月まで流通し、1945年6月末に通貨価値が消滅している。
第1次紙幣[2] | |||||||||
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画像 | 額面 | 寸法 | 主色 | 図柄 | 年月日 | ||||
表 | 裏 | 表 | 裏 | 発行 | 回収 | 失効 | |||
116px | 116px | 50フラン | 166×103mm | 緑/黄色 | ヘルヴェティア | 装飾 | 1907年6月20日 | 1925年7月1日 | 1945年7月1日 |
128px | 128px | 100フラン | 183×116mm | 青 | ヘルヴェティア | 装飾 | |||
139px | 139px | 500フラン | 199×126mm | 緑 | ヘルヴェティア | 装飾 | |||
150px | 150px | 1000フラン | 215×132mm | 紫 | ヘルヴェティア | 装飾 |
第2次紙幣
第2次紙幣は5・10・20・40・50・100・500・1000フランの額面のものが製造され、1911年から14年にかけて発行されてから、1955年、57年に第5次紙幣に置き換わるまで、比較的長期間にわたって流通した。このうち、10と40フラン紙幣は準備券で発行されることはなかった。また、5フラン紙幣は第2次大戦中に5フラン銀貨を回収し銀を国庫保管するために積極的に使用された。これらの第2次紙幣は、20フラン紙幣は1935年末まで流通し、無効となったのは1956年、50フラン以上の高額紙幣は1958年まで流通し、無効になったのは1978年であったが、5フラン紙幣のみは1980年まで現行紙幣であり、通貨価値が無くなったのは2000年の5月であった。
第2次銀行券では50フラン以上の高額紙幣は表面に女性の頭像、裏面にはスイスの産業を表すモチーフが描かれていた。このうち、50および100フラン紙幣は、スイスの著名な画家フェルディナント・ホドラーが裏表共にデザインを担当していて、50フラン紙幣の裏面には代表作の木を伐る人が描かれていた。この他、20フラン紙幣は兌換金券で紙幣の表には当時の20フラン金貨と同じブレネリの肖像が入っていた。この20フラン紙幣は、第1次大戦中に金貨を引き上げる目的で発行された。また、5フラン紙幣の肖像はウィリアム・テルであり、低額紙幣の裏面は額面と装飾図案のみであった。
このシリーズはイギリスの、ウォーターロー・アンド・サン社の印刷である。
第2次紙幣[3] | |||||||||
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画像 | 額面 | 寸法 | 主色 | 図柄 | 年月日 | ||||
表 | 裏 | 表 | 裏 | 発行 | 回収 | 失効 | |||
104px | 104px | 5フラン | 125×70mm | 緑/茶色 | ウィリアム・テル | 装飾、バラ飾り、額面 | 1914年8月3日 | 1980年5月1日 | 2000年5月1日 |
109px | 109px | 10フラン | 135×82mm | 黄色/茶色 | ヌーシャテルの女性 | 装飾、バラ飾り、額面 | (準備券) | ||
114px | 114px | 20フラン | 163×95mm | 水色/紫 | ブレネリ | 装飾、バラ飾り、額面 | 1914年7月31日 | 1935年12月31日 | 1956年1月1日 |
101px | 101px | 40フラン | 144×82mm | 紫/茶色 | ヴィンケルリード | 装飾、バラ飾り、額面 | (準備券) | ||
116px | 116px | 50フラン | 165×106mm | 緑 | 女性の頭像 | 木を伐る人 | 1911年12月22日 | 1958年10月1日 | 1978年10月1日 |
127px | 127px | 100フラン | 181×115mm | 藍色 | 女性の頭像 | 草を刈る人 | 1911年9月16日 | ||
140px | 140px | 500フラン | 200×125mm | 赤/茶色 | 女性の頭像 | 刺繍する女性 | 1912年12月24日 | ||
151px | 151px | 1000フラン | 216×131mm | 紫/橙色 | 女性の頭像 | 鋳造場 | 1911年9月16日 |
第3次紙幣
第3次紙幣は20・100フランの2額面のみで、第2次紙幣の増刷的性格が強い。1918年に100フラン紙幣が、1930年に20フラン紙幣が発行された。100フラン紙幣の肖像はウィリアム・テルであった。またこの100フラン紙幣にはテルの肖像の異なったものが戦時の準備紙幣として製造されたが発行されることはなかった。また、20フラン紙幣はスイスの紙幣初めての文化人の肖像として教育者のペスタロッチが描かれていた。20フラン紙幣にも他にペスタロッチの肖像の異なるものや、女性の肖像の紙幣が準備紙幣として用意されていたが発行はされなかった。100フラン紙幣は1925年6月まで流通し、1945年6月限りで無効となった。一方20フラン紙幣の方は、1956年3月まで流通し、1976年3月末限りで無効となった。
第3次紙幣[4] | |||||||||
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画像 | 額面 | 寸法 | 主色 | 図柄 | 年月日 | ||||
表 | 裏 | 表 | 裏 | 発行 | 回収 | 失効 | |||
20フラン | 141×88mm | 灰色/青 | フリブールの女性 | 装飾、バラ飾り、額面 | (準備券) | ||||
20フラン | 143×86mm | 青 | ペスタロッチ | スイス十字 | |||||
100px | 100px | 20フラン | 143×86mm | 青 | ペスタロッチ | スイス十字 | 1930年7月15日 | 1956年4月1日 | 1976年4月1日 |
100フラン | 180×115mm | 茶/青 | ウィリアム・テル | 装飾、バラ飾り、ユングフラウ | (準備券) | ||||
126px | 126px | 100フラン | 180×115mm | 茶色/青 | ウィリアム・テル | 装飾、バラ飾り、ユングフラウ | 1918年9月27日 | 1925年7月1日 | 1945年7月1日 |
第4次紙幣
第4次紙幣は1938年にデザインされ、第二次大戦中に発行できるよう準備がされた。50・100・1000フラン紙幣は印刷までされた(特に1000フラン紙幣は1500万枚印刷)が、500フラン紙幣は試作段階で終わっている。各額面の紙幣はいずれも発行されることはなかった。これらの紙幣は表面に女性の頭像、裏面は産業の象徴が描かれていた。(100フラン紙幣の裏面は単なる装飾模様。)
第4次紙幣[5] | |||||||||
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画像 | 額面 | 寸法 | 主色 | 図柄 | |||||
表 | 裏 | 表 | 裏 | ||||||
117px | 117px | 50フラン | 167×96mm | 緑 | 女性の頭像 | 雄牛 | |||
133px | 133px | 100フラン | 190×106mm | 青 | ハスリタールの女性 | 装飾、バラ飾り、額面 | |||
147px | 147px | 500フラン | 210×116mm | 赤/茶色 | 女性の頭像 | 化学 | |||
160px | 160px | 1000フラン | 228×125mm | 紫/青 | 女性の頭像 | タービン |
第5次紙幣
第5次紙幣は低額の10・20フラン紙幣が1956年に、高額の50・100・500・1000フラン紙幣は1957年に発行された。この第5次紙幣では、低額紙幣は表面に著名人の肖像が、裏面には高山植物がデザインされた。一方高額紙幣は表面に女性や子供(公式な発表は無いが、紙幣のデザイナーは、50フランはハイジ、100フランはその友人のペーター少年を意識してデザインしたと言われている。)の肖像、裏面には歴史的故事などが絵画調で描かれた芸術性の高いものとなった。これら第5次紙幣は1980年4月まで流通し2000年4月末限りで無効となった。なおこの紙幣はスイスのオレル・フューズリ社ではなく、英国のウォーターロー・アンド・サン社とトーマス・デ・ラ・ルー社(現在のデ・ラ・ルー社)で印刷された。各紙幣の表肖像下の欄外に印刷所の銘が小さく入っている。
第5次紙幣[6] | |||||||||
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画像 | 額面 | 寸法 | 主色 | 図柄 | 年月日 | ||||
表 | 裏 | 表 | 裏 | 発行 | 回収 | 失効 | |||
108px | 108px | 10フラン | 137×75mm | 茶色/赤 | ゴットフリート・ケラー | ダイコンソウの花 | 1956年10月1日 | 1980年5月1日 | 2000年5月1日 |
104px | 104px | 20フラン | 155×85mm | 水色 | デュフォール将軍 | アザミ | 1956年3月29日 | ||
121px | 121px | 50フラン | 173×95mm | 緑 | 少女の頭像 | リンゴの収穫 | 1957年6月14日 | ||
134px | 134px | 100フラン | 191×105mm | 藍色 | 少年の頭像 | 聖マルティヌス | |||
147px | 147px | 500フラン | 210×115mm | 茶色/赤 | 女性の頭像 | 若返りの泉 | |||
160px | 160px | 1000フラン | 228×125mm | 紫 | 女性の頭像 | 死の舞踏 |
第6次紙幣
第6次紙幣は1976年(100フラン) - 1979年(10フラン)にかけて登場し、10・20・50・100・500・1000フランの6種類。この紙幣で表面に文化人、裏面にその人物に関係のあるモチーフというスタイルが確立され、現行の第8次紙幣に引き継がれた。この第6次紙幣で裏面デザインが初めて縦長となった。2000年4月まで流通し、2020年4月末まで有効である。
第6次紙幣[7] | |||||||||
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画像 | 額面 | 寸法 | 主色 | 図柄 | 年月日 | ||||
表 | 裏 | 表 | 裏 | 発行 | 回収 | 失効 | |||
104px | 104px | 10フラン | 137×66mm | 赤/茶色 | レオンハルト・オイラー | 発電用水車、太陽系、レンズを通過する光線の伝達 | 1979年11月5日 | 2000年5月1日 | 2020年5月1日 |
104px | 104px | 20フラン | 148×70mm | 水色 | オラス=ベネディクト・ド・ソシュール | 山脈、登山者たち、海馬角 | 1979年4月4日 | ||
111px | 111px | 50フラン | 159×74mm | 緑 | コンラート・ゲスナー | ワシミミズク、サクラソウ、星 | 1978年10月4日 | ||
119px | 119px | 100フラン | 170×78mm | 藍色 | フランチェスコ・ボッロミーニ | サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会の頂部とその平面図 | 1976年10月4日 | ||
127px | 127px | 500フラン | 181×82mm | 茶色 | アルブレヒト・フォン・ハラー | 人体の筋肉、呼吸と血流、紫のラン | 1977年4月4日 | ||
134px | 134px | 1000フラン | 192×86mm | 紫 | オーギュスト・フォレル | 3匹のアリと蟻塚の断面 | 1978年4月4日 |
第7次紙幣
第7次紙幣は1984年に第6次紙幣の増備目的に印刷され保管されていたが、セキュリティ対策の進んだ第8次紙幣が製造されることが決定したため、発行はされなかった。10・20・50・100・500・1000フランの6種類で1000フラン紙幣を除いて第6次紙幣と同じ人物の肖像と関連モチーフが表裏面に描かれていた。
この第7次紙幣は機密保持のため、製造後20年以上に渡って詳細が公表されず、図案も50フラン紙幣の表面のごく一部分の写真が公表されるにとどまり、詳細が不明で幻の紙幣であったが、流通させる予定が完全に無くなり廃止となったため、2007年に図案や詳細などその全容が初めて公表された。なお、このシリーズに施されたセキュリティは第6次紙幣と同等のものであった。
第7次紙幣[8] | |||||||||
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画像 | 額面 | 寸法 | 主色 | 図柄 | |||||
表 | 裏 | 表 | 裏 | ||||||
96px | 96px | 10フラン | 137×66mm | 赤/茶色 | レオンハルト・オイラー、多面体、ケーニヒスベルクの橋 | ガンマ関数、計算式、太陽系 | |||
104px | 104px | 20フラン | 148×70mm | 水色 | オラス=ベネディクト・ド・ソシュール、水晶、普通角閃石 | 毛髪湿度計、シャモニーとモンブラン、タキュルに挑む遠征隊 | |||
111px | 111px | 50フラン | 159×74mm | 緑 | コンラート・ゲスナー、サクランボの枝、茂みの葉 | (『動物誌』の木版画を基とした)イヌワシ、動物の変態、ラテン語版『動物誌』によるヒュドラー | |||
119px | 119px | 100フラン | 170×78mm | 藍色 | フランチェスコ・ボッロミーニ、サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂の建築モチーフ | サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会の尖塔、サン・カルロ・アッレ・クアットロ・フォンターネ教会の平面図、鳩とオリーブの枝 | |||
127px | 127px | 500フラン | 181×82mm | 茶色 | アルブレヒト・フォン・ハラー、巣室 | 18世紀の解剖図、X線をあてた胸、『アルプス』による山岳 | |||
134px | 134px | 1000フラン | 192×86mm | 紫 | ルイ・アガシー、貝の表面構造 | パーチの頭・骨格・化石、パーチの鱗、アンモナイト |
第8次紙幣
現在流通しているのは第8次型紙幣で、10・20・50・100・200・1000フランの6種類である。500フラン紙幣に代わって新たに200フラン紙幣が発行されるようになったが、これらの紙幣は世界で最も偽造が難しい紙幣といわれるほど、様々なハイテク技術を使った偽造防止策が施されている。また、縦長のデザインも最近では徐々に採用する国が増えてきたが、先進諸国においては非常に珍しい物となっている。スイスでは先に述べた通り、第6次紙幣の裏面で初めて縦長のデザインが採用されたが、現行第8次紙幣では裏表共に縦長のデザインとなった。
第8次紙幣[9] | ||||||||
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画像 | 額面 | 寸法 | 主色 | 図柄 | 年月日 | |||
表 | 裏 | 表 | 裏 | 発行 | 改訂 | |||
88px | 88px | 10フラン | 126×74mm | 黄色 | ル・コルビュジエ | チャンディーガルの高等裁判所、モデュロール | 1997年4月8日 | 2000年 |
96px | 96px | 20フラン | 137×74mm | 赤 | アルテュール・オネゲル | 『パシフィック231』、機関車 | 1996年10月1日 | |
104px | 104px | 50フラン | 148×74mm | 緑 | ゾフィー・トイバー=アルプ | 『矩形のレリーフ』、『テテ・ダダ』 | 1995年10月3日 | |
111px | 111px | 100フラン | 159×74mm | 青 | アルベルト・ジャコメッティ | 『ロタールII』、『歩く男』 | 1998年10月1日 | |
119px | 119px | 200フラン | 170×74mm | 茶色 | シャルル・フェルディナン・ラミュ | 山、湖 | 1997年10月1日 | |
127px | 127px | 1000フラン | 181×74mm | 紫 | ヤーコプ・ブルクハルト | 古代建築、ルネサンス | 1998年4月1日 |
第8次紙幣におけるセキュリティ
現行の第8次紙幣には、世界の紙幣の中でも最も複雑なセキュリティが仕組まれていると言われている。縦長の紙幣の表面左端にはアルファベットでA - Hまでのマーキングがあり、それぞれの個所に各紙幣の額面の数字が示されている。
- A: パールインク。紙幣の基本色に発色するパールインクで額面を表示。
- B: 漉き入れ。額面の数字の漉き入れパターン。
- C: 深刻凹版。額面が複雑な模様の凹版で表示。
- D: ピンホールセキュリティ。額面の数字のピンホールが開いている。50フラン以下の紙幣には施されていなかったが2000年 - 2002年の間に、100フラン以上の紙幣同様の処理が施された。
- E: メタリックインク。紙幣基本色の濃淡が変化するインクで額面が表示されている。
- F: 紫外線インク。左右に紫外線に発光するインクで額面が印刷されているが、右が黄色に蛍光を放つ一般的な紫外線発光インクであるのに対し、左側は、紙幣基本色の濃い色に発光する非常に珍しいもの。
- G: マイクロ文字フォイル。マイクロ文字の入ったアルミフォイルインクで額面を表示。
- H: 潜像凹版。見る角度により額面表示が現れる。
この他各額面ともに4個所にホログラムパッチが施されているが、内2つ(200フランは3つ)のホログラムは、額面数字がアニメーションする複雑なホログラムである。このホログラムは特に「キネグラム」という名称が付けられている。
スイスの紙幣には最近各国の紙幣に見られる複製防止のためのユーリオン模様は採用されていないが、これに代るものとして、2005年以降に製造された紙幣には電子透かしが埋め込まれているという。
この他のセキュリティとしては、安全線も1本漉き込まれている他、黒透かしも採用されている。なお、表の肖像は日本の紙幣のように手彫りではなく、コンピュータによる彫刻である。
第9次紙幣
スイス国立銀行では、来るべき9次の新紙幣(2010年秋から流通予定だったものが種々の理由で延期になっている[10]が、2013年2月になって、2015年から流通させると発表になった。)のデザインコンペティションが行われ、入賞作品が公開された[11]。このコンペのグランプリ獲得者のデザインにはエイズウィルスなどがモチーフにされており、一部で論議を呼んでいる。実際に流通させる紙幣は、グランプリを獲得したデザイナーの作品ではなく、次点で入賞したデザイナーの作品が基になっており、既にデザインが公開されている。
為替レート
2008年3月14日、アメリカ合衆国ドルとスイス・フランが同じレートとなった。これは歴史上初の出来事である。
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外貨準備
スイス・フランは世界中の国で外貨準備として用いられており、2011年では第5位の通貨である。 テンプレート:COFER