モロコシ
モロコシ(蜀黍、唐黍、学名 Sorghum bicolor)は、イネ科の一年草のC4植物・穀物。熱帯アフリカ原産。ソルガムとも呼ぶ。古くテンプレート:いつは中国での呼称であるコーリャン(高粱)とも呼ばれた。主要な栽培食物のひとつであり、穀物としての生産面積ではコムギ、イネ、トウモロコシ、オオムギに次いで世界第5位である。熱帯、亜熱帯の作物で乾燥に強く、イネ、コムギなどが育たない地域でも成長する。
特徴
草丈は、野生種でおおむね3メートルに達するが、栽培用品種では1.5メートル程度のものが多い。葉も長さ1メートル以上で幅10センチメートル程度になり、茎は太さ3センチメートル程度で芯の詰まったものとなっている。夏になると茎の先端に穂が出る。穂は節が10程あり(節は必ずしも明瞭ではないが、複数の穂枝が出ていることから逆に見分けられる)、各節より6本程度の枝が放射状に出ている。各枝は更に数十に枝分かれしており、最終的には一つの穂で3,000程の小さな穂を付ける。なお、実の千粒重は25グラム程度。その色は紫や赤に近い。
歴史と利用
紀元前3000年頃からスーダンやエチオピアで栽培されていたことが知られており、早い時期に北アフリカ、インドへ伝播し、後にはアフリカ、中央アメリカ、中国、東南アジアにも伝播して栽培種となった。日本には15世紀ごろ中国を経由して伝来し、五穀(キビ)の一種としてモロコシ、タカキビ(高黍)という名前での食用栽培のほか、サトウモロコシ、トウキビ(トウモロコシを意味することもある)、ロゾクという名で、糖汁採取目的の栽培も行われてきた[1]。21世紀に入っても依然として、食用として栽培されている国は多い。ひき肉のような弾力とコクがあるので「たかきびハンバーグ」などとして主食の材料にも使われるほか、アメリカ合衆国南部では、濃褐色のシロップが作られ、ビスケットにつけて食べられる。漢名は「蜀黍」(しょくしゅ)だが、現代の中国名は「高粱」(こうりゃん、カオリャン)で、白酒(パイチュウ、中国酒の一種である蒸留酒)の原料ともされる。
満州国(1933年~1945年まで存在した国家)では、国花に指定されていた。1933(大同2)年4月に決定されたとの記録がある[2]。
生産量
2002年時点の世界生産量は5450万トン、アメリカ合衆国 (17.2%)、ナイジェリア (14.1%)、インド (13%) の順であるが、地域別に集計するとアフリカ州、アジア州、北アメリカ州の順となる(FAO Production Yearbook 2002)。
主食として用いる際の注意点
モロコシを主食として用いる場合、その蛋白質中のリシンの少なさとロイシンの過剰に注意する必要がある。特に後者は結果としてナイアシン(ビタミンB3)の欠乏症である、ペラグラを引き起こすことがある。
ホワイトソルガム
品種改良したホワイトソルガムがアメリカで開発され、日本でも流通している。実の色は白く、従来のモロコシが含んでいたタンニンの除去に成功しているとされる。また、小麦粉に含まれるグルテンを含まないので小麦アレルギーがある者でも問題なく食べられる、鉄分・カルシウム・マグネシウム・食物繊維・不飽和脂肪酸などを他の穀物よりも多く含む、などの利点がアピールされている。
出典
- ↑ ソルガムの紹介(長野県畜産試験場)
- ↑ 「建国後三年間の堅実な歩み 満洲国の重要記録」、『満洲日報』1935年(昭和10年)3月1日付