ゲームセンターあらし

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsゲームセンターあらし』は、すがやみつるによる日本漫画作品。『(月刊)コロコロコミック』(小学館)にて、1978年1979年に2回読み切りが掲載され、1979年から1983年まで同誌に連載された。『コロコロコミック』以外でも小学館の学年別学習雑誌各誌で連載、もしくは掲載された。1982年には、シンエイ動画制作・日本テレビ系放映でTVアニメ化されている。2013年にはぽこぽこにてWeb漫画として原作をほぼそのまま無料で全話読むことができるサービスが行われた。

作品誕生のいきさつ

最初にすがやみつるが『あらし』を描いたのは1978年のコロコロコミック9号。『ブロックくずし』を題材にした漫画を編集部が企画した時、アマチュア無線マイコンをやっていたすがやに白羽の矢が立つ。担当編集者から「先生のオリジナル漫画は、どれも主人公がいい子で大人しい。この作品は『仮面ライダー』(すがやが作画を担当したこともある)みたいに描いてほしい。最後は主人公に空中回転してほしい」と言った。すがやは「テレビゲームは座って遊ぶもの」と思い抵抗があったが、「テレビゲームなど所詮一時的ブームで、単発の読み切りなのでムチャでもいいか」と考え、『ライダー』の新作を意識して、および牛次郎ビッグ錠の名コンビによる『包丁人味平』『釘師サブやん』などの職人対決漫画を意識して、読みきり一本目は描かれた。締め切りまで10日もなかったが編集者が「取材に行こう」と、アシスタントと共に新宿歌舞伎町に繰り出し、一万円札を全て百円玉に替えてテレビゲームをやりまくったとの事。

一本目を発表後「コロコロ」に連載したのは、すがやから企画を出したモータースポーツ漫画『F・1キッド』で、主人公がいい子であった為人気は今一だった。

読み切り2本目は1979年春に『ウルトラマン』シリーズを総集した増刊が出た際、ウルトラマン以外の漫画を2本載せる事になり、このうち1本を『あらし』にしたいとの事で、当時ブームだった『スペースインベーダー』をメインにして描かれた。すると人気投票で全体の8割の票を集めるトップとなり、急遽「コロコロコミック」に当時連載していた『F・1キッド』を終了させ、本誌で『あらし』を連載する事になる。てんとう虫コミックスには、この読み切り2本目が第1話として収録されている。これは、読み切りの1本目と2本目ではキャラクター設定が異なっている点があり、その後始まった連載が読み切り2本目の設定を基本にしているのと、すがや本人が読み切り1本目の原稿を紛失してしまったためである。

連載後もすがやは「これは『ライダー』だ」と言い聞かせて描いたが、アクションシーンにも違和感がなくなるどころか、大胆で非現実な話をうまく描くことができた。この『あらし』の好調ぶりで、すがやは「やっと漫画家として自らを認めた」と語っている。

概要

テレビゲームの攻略を題材とした当時としては画期的なテーマの少年漫画であった。

初期はタイトル通り、ゲームセンターで『インベーダーゲーム』の対決をしたりするもので、100円玉をコイン投入口に投げ入れる技をあらしが見せたりしていたが、当時小学生がゲームセンターにたむろして不良化するという現象が問題になっており、それを考慮して漫画でもあらしが行きつけのゲームセンターに出入りできなくなるという展開になってしまう。駄菓子屋の店頭のミニ筐体でのバトルや、ゲーム大会、二枚目でお金持ちのライバルであるさとるの家のパーティーでの巨大『ギャラクシアン』など、初期の数話を除いては結局ゲームセンターで対決する話はなくなり、舞台も徐々に荒唐無稽になってゆき、スケールアップしていった。

とんでもない秘技(必殺技)もこの作品の売りであるが、最初のうちはゲームに必須な動体視力を鍛える、バランス感や筋力を鍛えるなど現実的なものであったが、次第にエスカレートしていき、「月面宙返り」や、スティックを高速で操作することでプレイヤーのキャラクターが敵からの攻撃を潜り抜けるという「炎のコマ」、静電気でゲーム機の電子回路に干渉して異常動作を発生させて有利に導く「エレクトリック・サンダー」などが登場。これらは実現可能かどうかはともかく、一応ゲームに役立つ理屈がつけられていたり、「理論上は可能」と書かれていたりしたが、次第に派手だけどよくわからない状態の「レインボーバズーカ」や、一生に一度しか使えないとして編み出したが何度も使っていた「スーパーノヴァ」など、理由付けもゲームプレイとの関係も無い技が頻出。一般レベルから逸脱し、それに伴い話のスケールも拡大して、核戦争の危機や異次元からの侵入者をゲームによって解決するにまで至った。

また、この作品のもう一つの売りでもあった実在のアーケードビデオゲームでの対戦も、後半は「戦車ゲーム」などかなり適当でよく分からないゲームで戦うことになり、ゲーム内容よりも派手な舞台や敵キャラクター、秘技への依存が高くなってくる。これはすがやによると、新作ゲームに登場するキャラや設定が記号的なものから、どんどんゲーム独自の世界観が加味されたものになってしまい、『あらし』固有の非現実な世界を描きにくくなったためだという。

単行本はてんとう虫コミックスで全17巻が発売。2000年に太田出版より復刻版が刊行。読み切り1本目に関しては、てんとう虫コミックス版には未収録で太田出版版では「コロコロ」掲載時の校正刷りを元に収録(その為、画質が他の話と比べると荒い)。また、『別冊コロコロコミック』の長編との並行連載の関係で、執筆・雑誌掲載順に収録されておらず、一部ストーリーに辻褄の合わないところがある。

『月刊コロコロコミック』が、『ドラえもん』を核とした雑誌から、現在の少年向け対決物路線に軸足を移していく道筋を付けた作品の一つである。

第28回(昭和57年度)小学館漫画賞児童部門受賞。

派生作品など

  • 派生作品として、あらしのキャラクターを使ってPC-6001BASICプログラミングを解説する『こんにちはマイコン』という漫画解説本刊行。
  • 2002年『トラウママンガマガジン』(英知出版)で『ゲームセンターあらしA』を連載するも、掲載誌の休刊(全3号)により全3話で終わる。
  • 同年12月より刊行されている『MSX MAGAZINE』永久保存版シリーズには『MSXPLAYerあらし』として新作が発表されている。
  • 2003年に発行された別冊宝島のムック『「ゲーセン」最強読本 永久保存版名作ゲームBEST100』では、新作を描き下ろしている。
  • i-revoゲームのホームページではゲームセンターあらしの最新作と冠した「あらしでわかる!i-revoゲーム」を掲載。
  • 2007年8月、『ゲームセンターあらし』の続編である『サラリーマントレーダーあらし』を『コミック・ガンボ』で連載開始。その後、掲載誌の休刊で未完結のままで終了してしまった。2008年4月、『サラリーマントレーダーあらし』は翔泳社のwebマガジン『MONEY(マネージン)』で再連載開始。掲載誌の休刊で未掲載だった「幻の第10話」も掲載した。

ストーリー

基本的な筋は、主人公石野あらしが、ゲームセンターやゲーム大会を舞台に、全国、全世界から集まるライバルたちと熱戦を繰り広げるというもので、ストーリーは基本1話完結。月刊コロコロでの連載は比較的身近な世界を舞台にしており(それでも連載後半になると世界観は肥大化する)、別冊コロコロでの連載は1話約100ページに及ぶ大長編がメインで、最初から世界・宇宙規模の大きな世界観を持ったストーリーが展開された。

登場人物

声優はアニメ版のキャスト。

石野 あらし
- 間嶋里美
主人公。読み切り1本目のみ名前表記が「石野嵐」。1969年(アニメでは1971年)年1月1日生まれ、身長145センチメートル、体重38キログラム(アニメでの設定)。前歯の出っ歯とインベーダーゲーム大会優勝の記念品で常に頭に被っている赤いインベーダーキャップがトレードマーク(読み切り・連載開始当初は当時流行していた「アポロ17号キャップ」を着用)。成績がオール1で運動神経も勉強もからきしダメでだらしない性格だが、テレビゲームに関しては天才的な腕を誇る。読切ではゲームセンターにたむろする仲間が数人おり、「あらしのアニキ」と呼ばれていたが、連載ではさとると一平太がこれに変わっていった。大の風呂嫌いだが、そのたまった垢で命拾いした事も。出っ歯はダイヤモンドよりも硬く、出っ歯が生え変わるエピソードでは体のバランスが一時的に取れなくなってしまった。物語後半になると、単に硬いだけでなく、射出した出っ歯を神経をケーブルとして遠隔操作できるようになった。インベーダーキャップは、最初はタイトーの『スペースインベーダー』のドット絵そのものだったが、1982年にテレビアニメ化を記念する形で、目が星型で出っ歯がついたインベーダーキャップに生まれ変わる。原作では後述の山嵐大作との勝負で燃やされてしまい、あらしの母親によって作り直されたというエピソードが描かれたが、アニメでは第1話から新型を被っていた。このインベーダーキャップは旧型・新型ともに実物が作られ、『コロコロコミック』誌上やアニメを放送した日本テレビで抽選景品としてプレゼントされた。また、アニメの放送時にはキャラ商品として通常の赤色、夏向けの白色のキャップが販売された。その後赤色のインベーダーキャップは再発売されている(現在は販売終了)。
基本的にすがや作品の主人公は大文字さとるのような二枚目タイプだったが、本作では「これまでにない主人公を」ということで、いくつかデザインされた候補の中から出っ歯でブタ鼻の「一番醜いもの」が編集者によって選ばれた。色もデザイナーが臨時に塗ったものがコロコロコミックの表紙になってしまったため、そのまま正式採用になった。[1]
名前の由来は小説家の石津嵐。[2]
大文字 さとる
声 - 山田栄子
中学生であらしの最初のライバル。9月20日生まれ。家柄が良くハンサムで、IQ300の天才でスポーツも万能という抜け目の無い少年。高度なコンピュータ・プログラミングの腕を誇り、スーパーコンピュータ級のマシンを操ることもできる。読み切り2本と連載であらしとの勝負に敗れ、その後は友人となる。基本的に冷静で真面目な少年だが、あらし達とつるむ様になってからは随分と軽い性格になり、巨大なハンバーガーを皆で食い散らかすなど三枚目キャラになっていった。ゲーム馬鹿でしかないあらしと一平太を、頭脳と財力でサポートする事も多い。三段リーゼントという髪型が自慢だが(読み切りのみ四段リーゼント)、ストーリー中盤で髪の毛を剃られてしまうエピソードがあり、それ以降は同じ髪型のカツラを被るようになった。原作の終盤で一時アメリカにゲーム留学をしたこともある。ゲームプレイは論理的思考で行うため、他のゲーム戦士との対決では必殺技を持たないがゆえに劣勢を強いられるケースが目立ったが、終盤ではあらしの「炎のコマ」を使いこなせるようになっていた。一番尊敬する人はビル・ゲイツ[3]
月影 一平太
声 - 緒方賢一
少年をカツアゲしてゲームに熱中していた八本木中学の中学生。8月29日生まれ。配下に多数の手下を持つ大番長で、前出の東京湾でのインベーダーゲーム大会での勝負であらしと勝負して敗れ、その後はあらしと友情を持つようになった。物語の中盤であらしの必殺技である「炎のコマ」も扱えるようになるなど、ゲームの腕前もあらしには劣るが超一流である。学力に関してはあらしとほぼ同程度しかないと思われ、中学校を2年連続で落第するなど致命的な学力で、3度目の落第をしたら即退学の状態まで追い込まれて、その対策の為に学習塾に通った経験もある。プライベートでは人形を沢山収集し、寝る時はネグリジェだったりと少女趣味。原作では白地にインベーダーマーク、アニメでは黄色地に赤で丸の中に「一」と書かれたシャツに腹巻、学ランがトレードマーク。名前の由来は「インベーダー」と「月形半平太」をもじったもの。
石野 ブラシ
声 - 羽佐間道夫
あらしの父で、仕事は秘密諜報員。仕事が多忙の為ほとんど家にいないが、実はあらし以上のゲームの腕前を持つ。秘技も、炎のコマ、ムーンサルト、真空ハリケーン撃ち、グレートタイフーンは作中の描写から使えるらしいことがわかる。ただし、レインボーバズーカやスーパーノヴァについては記述がなく、超スケールの秘技は使えないようだ。ゴキブリが大の苦手。諜報員でありながら武術などはからきしダメ(あらし談)。
石野 ガラエ
声 - 峰あつ子
あらしの母。太っていて、息子には厳しい肝っ玉。あらしの焼けた帽子の灰を使い、徹夜で新たなインベーダーキャップを作った。文部省の差し向けたエージェント「インベーダーウーマン」となって、秘技ノーブラボイン打ちであらしを苦しめた事もある(しかしゲームばかりで将来が心配な息子を思いやっての行動であった)。初期はインベーダーウーマンの正体ということもあり、登場時は常に顔に影がかかったように隠れていたが、中盤以降何の説明もなく普通に登場するようになる。すがやみつるによると影にするのを「忘れていた」ようだ。
石野 とんがらし
声 - 堀絢子
あらしの弟。生まれながらにして天才的な知能と勘とゲームの腕前を持っている。兄同様前歯が出っ歯だが1本だけ。弱点はおもらしで、どんな秘技をかけている最中でも、おしっこを漏らしてしまうとただの赤ん坊に戻ってしまう。炎のコマ、ムーンサルトは生まれてすぐに使えるようになり、あらしが特訓して身につけた真空ハリケーン撃ちも難なく使用し、また、精神力の賜ではあったがスーパーノヴァさえ使用したことがある。
ナンドー会長
声 - 永井一郎
超巨大組織・デーモン社の会長。異常に大きいハゲ頭に青白い顔、小柄な容姿でいつも緑色のスーツを着ている。あらしのインベーダーキャップを奪いたいがためにゲームで勝負を挑むが下手。アニメのオリジナルキャラクターで、原作に登場する「納戸博士」というキャラがモデルとなったと思われるが、容姿は似ていない。変装が得意。「納戸博士」の名前は、原作で一緒に登場した「安藤」や「能登」と合わせて、それぞれ論理素子のNANDANDNOTから来ている(作者HPより)。
エリカ・能登
声 - 高島雅羅
ナンドー会長の美人秘書兼プログラマー(あらしからは『プロ(の)グラマー』と勘違いされる)。変装をしてあらし達の前に現れることもある。スタイル抜群で、あらしに初見で胸をいきなり触られたり、成り行きで裸になったりなど、この作品のお色気担当でもある。アニメのオリジナルキャラクターで、原作での納戸博士の助手「能登」がモデル。あらしの敵という存在ではあるが、山嵐に負けた時にはあらしの手助けをしたこともある。
松本 すみれ
声 - 松原雅子(初登場時のみ横沢啓子)
あらしの同級生で、あらしが通っている小学校のアイドル的存在の美少女。原作では「山口聖子」の名前で1度だけ登場したが、アニメでは名前が変更され、レギュラーキャラとして登場した。あらし達と行動を共にすることも多く、事実上あらしのガールフレンド的な存在。あらしの弟のとんがらしをとても可愛がっている。
銀八先生
声 - 安原義人
あらしの坦任の先生。ネーミングは当時人気のドラマ『3年B組金八先生』から。短足・ガニ股で、あだ名は「インベーダー足」「赤いタヌキ」。あらしとは小学校以来の付き合いである。あまりに成績が悪いあらしにゲームを止めさせようと、5日間かけてデスマッチを挑む。血マメが潰れるほどの特訓を積んだその執念は、生徒への愛ゆえのものだ。最後にはあらしのゲームの情熱を思い知り、自ら負けを認めた。
日本で一番えらい人
時の総理大臣、大平正芳をモデルにした人。実はゲーム好きなのだが、えらいために(首相であるため?)、ゲーム好きを公言することができず、一平太を誘拐同然にしてあらしを誘い出し、ゲームの勝負を挑んだ(当時はテレビゲームは不良の遊びとされ、一般人は好きと公言できない雰囲気があった)。「あー、うー」が口癖なので正体はバレバレだった。
ドクロ大帝
声 - 富田耕生
本名不明。秘密結社「ネオ・ドクロ党」の総帥。あらしを誘拐してゲームを挑み、強力な秘技「超空間ブラックホール」であらしを追いつめた。しかしあらしがグレートタイフーンで対抗したため、自らの技をパワーアップし、その結果あらしと共に超空間に引きずり込まれそうになる。その際、あらしを庇って自らは異次元空間に消えた(原作では後に再登場するが、アニメでは1回きりの登場)。
プリンセス・コブラ
ドクロ大帝の娘。父親があらしに殺害されたと誤解し、勝負を挑む。父親の秘技を強化した「グレートブラックホール」を放つが、あらしのグレートタイフーンとの共鳴によって、父親と同様超空間に引きずり込まれてしまう。そこで父親に再会し、あらしへの誤解を解くと共に、協力して元の世界に戻った。
山嵐 大作
声 - 広瀬正志
中黒にしか見えないような小さな山の字を用い、半ばあらしの名前を騙った「ゲームセンター あらし」名義のゲーム道場を開いて金儲けをしていた悪党。あらしの炎のコマ、ムーンサルト、エレクトリックサンダーをコピーして一度は簡単にあらしを破る。しかもインベーダーキャップをあらしから奪い、精神錯乱にしてしまう。その後、山嵐の師匠によって真空ハリケーン撃ちを覚えたあらしと再戦、惨敗し、道場も壊されてしまう。その後はインベーダーキャップを燃やしたり、あらしとライバルとの戦いに乱入して邪魔をしたりと、嫌がらせを繰り返した。それなりの実力の持ち主だが、その行動のためにあらしとの友情が芽生えることはなかった。
ハンス・シュミット
10歳にしてミュンヘン工科大学の入学試験を満点で合格した天才児。テレビゲーム世界一決定戦で決勝戦まであらしと戦い続けたが、実体戦車ゲームであらしを撃つつもりがそれを庇った一平太に命中。怒り狂ったあらしの体当たり攻撃に冷静さを失い、地雷原に飛び込んで敗退した(生きていた)。その後、A国の誤射した核ミサイルの撃墜作戦にあらしと共に加わり(あらしはA国の要請、シュミットはS連邦の要請による)、見事に全弾撃墜した。以後はあらしの良き親友となる。連射をする時、腕がカギ十字になる。
氷雪之助
大雪山で眠っていた剣士。人間ではないようである。ゲームのことを全く知らず、パックマンを白魔の使いと勘違いし、ゲーム機を一刀両断した。その一撃であらしの最高得点を軽々と破り、それを雪之助の挑戦と受け取ったあらしは対戦を挑む。しかし、秘技「雪華の舞」は強力で、グレートタイフーンさえ破り、あらしを返り討ちにした。あらしは敗北の証としてインベーダーキャップを渡すが、「ゲームに命をかける奴は馬鹿だ」としてキャップを踏みにじった。あらしはゲーマーのプライドを取り戻すために山に篭り、レインボーバズーカを編み出した。リベンジ戦の前半では天候によってレインボーバズーカが使えず再びあらしは敗れそうになるが、グレートタイフーンによって雲を散らしてついに技を発動、雪華の舞を破った。雪之助は素直に敗北を認め、また、あらしにとってはゲームへの情熱が重要なものであることを認めた(自分自身ではその情熱を理解できないと思っていたようであるが)。その後、あらしのピンチの時に助太刀に現れている。
アーサー・ジュニア
声 - 石丸博也
ハリウッドの映画スターで大金持ち。超ハンサムである。メロン王女の結婚相手を決めるゲーム大会で、決勝戦まで残った。ハンサムかつスマートな外見からは想像できないほどパワフルな秘技(「スペースシャトル」)を使う。しかし実力もありスマートな外見を持つにも関わらず、その戦い方はダーティであり、秘技であらしの出っ歯を抜き、出血への恐怖によってあらしの戦意を挫こうとした。あらしは出血をものともせず戦ったが、出っ歯無しでは技が不完全であり、水魚のポーズによって神経を集中しながら秘技を使わなければならず、苦戦した。しかし、水魚のポーズの精神集中によって奇跡的に出っ歯が生え(抜けた出っ歯は乳歯だった)、バランスを取り戻したあらしには歯が立たず、秘技もあらしに破られ大敗した。
ホーク鷹野
翼を背負った謎の人物であり、その翼によって空を飛ぶこともできるらしい(あるいは氷雪之助同様、人間ではないのかもしれない)。ゲームの腕は超一流であり、あらしが一度は敗れた山嵐大作をも簡単に撃破した。フェアな勝負精神の持ち主で、あらしに秘技抜きの勝負を提案していたが、その後、あらしが特訓で片目になると(ミツバチに瞼を刺され、眼帯をしていた)、そのハンデを考慮し、今度はあらしに秘技ありの勝負を提案した。正義感も強く、アマゾンではたくさんのゲーマー仲間を救っている。
ラム・ロム兄弟
巨大なゲーム(コントローラが人の大きさくらいある)であらしと対決した双子の兄弟。名前の由来は「RAM」「ROM」のコンピュータ用語。この名前を聞いたあらしは「アグネス・ラム」のような色っぽい女性をイメージしたがごつい男だった。
余談だが、キャラデザインは意外にも『女犯坊』のオマージュである[4]。また、彼らとの対決はあらしが必殺技を一切用いず、運動神経と持久力のみで勝利を収めた稀有な回でもある。
剣野 玉三郎
棺桶にインベーダーゲームを入れて街中を引いて歩き、賭けゲームで生計を立てている少年。「1勝負1000円、勝った者には1万円!」と書いた張り紙をしている。秘技はケン玉昇り竜。

秘技(登場人物別)

石野あらし
  • 水魚のポーズ
    • ヨガのポーズを取ることで精神統一を図る。
  • 炎のコマ
    • コマを素手で回転させる特訓によって会得。レバーを超スピードでコントロール(原作では、1秒間に200万回以上)し、コンピュータを超える動きを発生させ、自機を消してしまう。後に一平太やさとるもできるようになる。
  • エレクトリックサンダー
    • 腕をすり合わせる摩擦により電気を発生、コンピュータを狂わせる技。
  • グレートタイフーン
  • スーパーノヴァ
    • 全宇宙のエネルギーをその身体に集めて放射する高度な精神技。ちょっとでも気を抜くと身体が木っ端微塵になるため、当初は一生に一度しか使えないとまで言われていた[5]
  • 真空ハリケーン撃ち
    • 体を高速で回転させることでその空気の流れでレバーをコントロールする技。
  • 月面宙返り(ムーンサルト) 
    • 不安定な飛行船でのゲーム対決で登場。アップライト筐体で逆立ちでプレイすることで筐体と一体化し、その発展技として誕生。小学館の写植のガイドラインに沿ってか、漢字部分のみにルビがかかっていたため、「ムーンサルトり」と読む読者もいた。一平太もできるが、あらしほど高く飛ぶことはできない。
  • レインボーバズーカ
    • 空気を集めてレンズを作ってマシンをコントロールする技。晴れの日しか使用できない。 
  • 大回転必殺イナズマ返し
    • 読み切り一本目でのみ登場。
  • インベーダーコンチェルト第一番
  • 必殺UFO落とし つるぎの舞い
  • コスモアタック
  • 出っ歯神経リモコン
  • 月面きりもみ急降下
  • 太陽風コロナ撃ち
  • マンダーラ
  • スペクトル分身撃ち
大文字さとる
  • 水魚のポーズ
  • 炎のコマ
月影一平太
  • 水魚のポーズ
  • 炎のコマ
  • 月面宙返り(ムーンサルト) 
  • エレクトリックサンダー
石野とんがらし
  • 炎のコマ
  • 月面宙返り
  • 真空ハリケーン撃ち兄弟パワー
  • レインボーバズーカ兄弟(ブラザー)アタック
インベーダーウーマン
  • ノーブラボイン打ち
  • 秘技ボインしばり
ハンス・シュミット
  • 鈎十字急降下(ハーケンクロイツ・ダイビング)
ドクロ大帝
  • 超空間ブラックホール(光速より早く手を動かし、四次元空間でゲーム機をコントロールする技)
  • ツインブラックホール(両腕に一つずつブラックホールを発生させる強化版)
  • 亜空間惑星大直列(グランド・クロス)(原作のみ使用)
銀八先生
  • 月面宙返り六段
山嵐大作
  • 炎のコマ(あらしのコピー技)
  • 月面宙返り(あらしのコピー技)
  • エレクトリックサンダー(あらしのコピー技)
  • 山嵐電撃吹雪拳
  • バミューダトライアングルアタック
  • スフィンクス返し
氷雪の助
  • 雪華の舞(グレートタイフーンを破った強力な技)
プリンセス・コブラ(ドクロ大帝の娘、原作のみ登場)
  • グレートブラックホール(父親の超空間ブラックホールのパワーアップ版)

作中に登場したゲーム

『バルーンボンバー』登場の際は「そんなゲーム知らないぜ?」「新製品のホヤホヤだからな!」というやりとりがある。これはすがやがタイトーの工場を見学した鬨、まだ発売されていない新作ゲームを漫画に登場させた事によるもの。しかし取材から雑誌の発売までタイムラグがあり、掲載時には『バルーンボンバー』は既に流通していた。

テレビアニメ

1982年(昭和57年)4月5日から同年9月27日までの放送で、全26話。制作はシンエイ動画。放送局は日本テレビ系。放送枠は月曜日19:00 - 19:30。

当時、シンエイ動画は藤子不二雄アニメの製作に特化していた為、「シンエイ動画初の藤子アニメではない作品」となった[6]。また、藤子不二雄作品以外でコロコロコミックに連載された作品としては初のTVアニメ化作品でもある(「いなかっぺ大将」等過去に別の雑誌に掲載されて、その際にTVアニメ化されたものは除く)。但し、実際のアニメーション制作は土田プロダクションが中心となって行っており(クレジットでは「製作協力」)、シンエイ動画はプロデュースという形で関わっている。

アニメ化に関しては、1980~81年を頂点としたファンの要望・署名活動などによって実現したものだったが、すがやみつる自身は主題歌の作詞をするなどアニメ製作に協力はしたものの、より幅広い層を対象にした作品作りをしなければならなくなり、「コロコロ」のメインである小学校高学年の読者達に受けるネタが作りづらくなって、「自由が利かなくなってしまった。アニメになったことで結果的に「あらし」は死んだかな…」という認識を持っていたようで、後に「アニメ化であらしは終わった」と語るなど、アニメ化にはどちらかというと否定的だった。また、「あらしは国民的なメジャー作品向きでは無く駄菓子屋路線なインディー作品」ともすがやは述べている[7]

当初の放送予定期間は1年間(52話)で、放送開始当日の新聞の新番組紹介でも「52回」と放送予定回数が明記されたが、予定期間の半分の半年間(26話)で終了した。

アニメはあらし達とナンドー会長率いるデーモン社との戦いが話の中軸になっているが、基本的には原作のエピソードを踏襲しており、アニメのオリジナルストーリーは最終話『あらしの敵はあらし!?』の1本のみだった。但し、アニメのオリジナルキャラであるナンドー会長、エリカ・能登、松本すみれの3人がほぼ毎回登場してストーリーに絡んでくるため、原作の登場人物がこの3人に置きかえられたり、細かい話の流れが原作と微妙に異なっているものも多い。更にアニメ放送時に玩具メーカーの「エポック社」がメインスポンサーだった関係で、あらし達が対戦するゲームに『パクパクマン』等のエポック社製の電子ゲームが使われているエピソードがある。実在のゲームを使っている関係で版権問題があったのか、長らくソフト化はされていなかったが、2011年3月30日にDVD-BOX化された(当初は3月23日発売だったが、東日本大震災の為発売が延期された)。

テレビ放送前年の1981年にパイロットフィルムが同じくシンエイ動画の作画で製作された。ラスボスがスーパーコンピューターという内容で、これを基にした1分間の映像がTBSの『おはよう700』の時間帯の『コロコロコミック』のCMとしてほぼ1ヶ月おきに合計3回放送された。基本的に3回の放送は同じ内容だが、それぞれの放送におけるあらしの台詞が少しずつ異なっている。単なるCMであるにもかかわらず、当時の本作の人気を受けて放映の時間帯を誌上で告知するなど大々的な宣伝がされている(「おはよう700」は生放送だったため、「7時○○分ごろ放送」という大まかな放送予定時間が掲載された)。この時のあらしの声は本編と同じく間嶋里美が担当している。このCMの元となったパイロットフィルムも前出のDVD-BOXに特典として収録されている。

スタッフ

主題歌

オープニングテーマ - 『ゲームセンターあらし』
歌 - 水木一郎 / 作詞 - すがやみつる / 作曲・編曲 - 馬飼野康二
エンディングテーマ - 『おいら熱帯低気圧!』
歌 - 間嶋里美 / 作詞 - すがやみつる / 作曲・編曲 - 馬飼野康二
現在は日本コロムビアから発売されているアニメ主題歌のオムニバス盤に両曲とも収録されている。

各話リスト

話数 放送日 サブタイトル 脚本 コンテ 演出
1 1982年
4月5日
ビッグコンピューターをやっつけろ!! 吉川惣司 小華和ためお 原田益次
2 4月12日 超秘技!!炎のコマ 原田益次
3 4月19日 出たぞ!!必殺ムーンサルト 安藤豊弘 小華和ためお
4 4月26日 恋のハートがゲームに燃える 山崎晴哉 岡迫和之
5 5月3日 恐怖の誕生パーティー 吉川惣司 黒川文男
6 5月10日 爆走!!恐怖のブルートレイン 安藤豊弘 北原健雄
7 5月17日 激痛!!虫歯エイリアン 吉川惣司 岡迫和之
8 5月24日 男の勝負だ!!サイの目河原 山崎晴哉 谷田部雄次
9 5月31日 短足インベーダー銀八先生 石崎すすむ
10 6月7日 生きかえったドラキュラ 吉川惣司 岡迫和之
11 6月14日 やったぜ!!真空ハリケーン撃ち 山崎晴哉 北原健雄
12 6月21日 謎のチョコレートを追え!! 吉川惣司 岡本達也
13 6月28日 なぜか気になる超ボイン 山崎晴哉 岡迫和之 河合佐知彦
14 7月5日 カサブタ谷の怪物 吉川惣司 葉住英二 原田益次
15 7月12日 ブラックホールから抜け出せ!! 山崎晴哉
16 7月19日 あらしの出っ歯が抜けた!! 岡迫和之
17 7月26日 とんがらし誕生! 吉川惣司 小華和ためお 河合佐知彦
18 8月2日 大逆転!!サーフィンゲーム 中原朗 岡本達也
19 8月9日 ハンバーガーはもうたくさん 山崎晴哉 原田益次 河合佐知彦
20 8月16日 怪奇!のろい屋敷 吉川惣司 岡迫和之 岡本達也
21 8月23日 夏だ!ゲームだ!合宿だ! 山崎晴哉 葉住栄二 河合佐知彦
22 8月30日 ねらわれた天才さとる 吉川惣司 岡本達也
23 9月6日 とんがらしを救え! 山崎晴哉 葉住英二 河合佐知彦
24 9月13日 天国からのSOS(前編) 吉川惣司 小鹿英吉 岡本達也
25 9月20日 天国からのSOS(後編) 小華和ためお 河合佐知彦
26 9月27日 あらしの敵はあらし?! 山崎晴哉 岡本達也

単行本

  • てんとう虫コミックス『ゲームセンターあらし 全17巻』小学館
  • 小学館コロコロ文庫『ゲームセンターあらし(傑作選) 全3巻』小学館
  • My First BIGコロコロ30周年シリーズ『ゲームセンターあらし 戦え!ゲーム戦士あらし編』小学館
  • 『ゲームセンターあらし(完全復刻版)全4巻』太田出版
  • トラウママンガブックス『ゲームセンターあらし対マイコン電児ラン+こんにちはマイコン完全版 全1巻』英知出版

ゲーム

1999年に発売。ジャンル:サウンドノベル

短編ノベルゲームが複数収録されたオムニバスソフト。表題作は他のタイトルをプレイしてポイントを稼がないと遊ぶことができない。内容は原作の最終回でゲーム伝道のために宇宙に旅立ったあらし達が、地球に一時的に戻ってくるというもので、ポリゴン等の新技術が導入された地球のゲームの進歩に驚くシーンがあった。

その他

エピソードの一つ「ゴキブリ大作戦」は、すがやが『仮面ライダー』を描いていた頃、猛多忙で下宿の自分の部屋に帰る暇もほとんど無いのに、部屋の明かりだけは24時間つけっ放しにしていたため、冬になって下宿じゅうのゴキブリがすがやの部屋に集合してしまい、バルサンで駆除したらゴキブリ(すがやによるとチャバネゴキブリ)がチリトリに山盛り3杯分もいた…という実話をヒントにしている(すがや公式ブログより)。

脚注

  1. 別冊宝島876 「ゲーセン」最強読本
  2. 作者ブログより
  3. 別冊コロコロコミック「ビル・ゲーツ物語」
  4. 作者ブログより[1]
  5. 当初は「一生に一度しか使えない」、すなわち二度目に使うと死ぬと思われていた。しかし劇中で何度も使用するにつれてそのニュアンスも微妙に変化しており、コロコロコミック1981年11月号の特集では「ちょっとでも気をゆるめると、体がバラバラになってしまう」と説明されている。
  6. 実際には前身のAプロダクション時代に何作か藤子アニメではない作品も制作している。
  7. メディアファクトリー『いよいよ最終回! 名作マンガは、こうして終わる! 』(2002年) ISBN 4105392057

関連項目

外部リンク

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