ケリ
ケリ(鳧、計里、水札、学名:Vanellus cinereus)は、チドリ目チドリ科タゲリ属に分類される鳥類の一種。
分布
モンゴル、中国北東部、日本で繁殖する。冬には東南アジア、中国南部などに渡るものもいる。日本においては留鳥として、かつては主に東北地方に分布していたが、近年テンプレート:いつは分布が拡大し、現在テンプレート:いつでは中部地方、関西地方を中心とした近畿以北の本州に分布する。最近テンプレート:いつになって中国地方・北部九州など西日本でも繁殖が確認され始めた。
形態
全長約34 cm。雌雄同色。くちばしは短く、黄色で先端が黒い。足は長くて黄色。目は赤橙色で黄色のアイリングがある。また。嘴の付け根には黄色い肉垂がある。雌雄同色[1]。 翼の小翼羽付近には爪があり、爪の大きさや色から雌雄の見当をつけることができる。成鳥の夏羽は頭部から胸上部が灰青色で、体上面は灰褐色で、体下面は白い。胸上部と体下面の境目には黒い胸帯がある。翼は先の方が黒く、基半部は白色と灰褐色で、飛ぶときこれらのコントラストが目立つ。尾は白色で黒い帯が入る。冬羽は頭部からの灰青色がやや褐色を帯びている。雛は淡褐色の綿羽に覆われている。若鳥は頭部からの胸部にかけて灰色でやや褐色を帯びる。胸帯は薄い。また目は褐色で、アイリング・肉垂とも小さく目立たない。
生態
食性は主に動物食で、昆虫類、ミミズ、カエルなどを捕食する。稀に穀類も食べる。
繁殖期は3月から7月。抱卵は3月初旬から中旬に始まり、抱卵・ヒナ養育それぞれ約1ヶ月ほどかかる。クラッチサイズは4卵で、時には3卵、稀に1卵-5卵が確認される。巣は水田内や畦などの地面に藁を敷き作る。よって農作業による影響が著しく大きい。繁殖期中は時にテリトリーを変えるなどして最大3回営巣を試みる。非常に警戒心が強く、テリトリーにトビやカラス、人間などの外敵が近付くと、鳴きながら激しく威嚇し、追い払う。その為、夜でも鳴き声が聞こえてくる場合がある。
非繁殖期には小群で行動する。
甲高い声で鳴き、「キリッ、キリッ」、「ケリッ」、「ケケッ」というふうに聞こえる。この鳴き声からケリという名がついたといわれる[2]。
- Vanellus cinereus front.JPG
正面
- Vanellus cinereus Flight.JPG
飛ぶ様子
- Vanellus cinereus juvenile.JPG
雛
Sibley分類体系上の位置
類縁種
種の保全状況評価
国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[3]。
日本の以下の都道府県で、以下のレッドリストの指定を受けている[4]。2007年8月現在、環境省のレッドリストの指定はない[5]。
- 絶滅寸前または絶滅危惧種(絶滅危惧I類、CRまたはEN) - 福島県、埼玉県、千葉県、高知県
- 危急種(VU) - 青森県
- 準絶滅危惧(NT) - 岩手県、山形県、茨城県、栃木県、神奈川県、富山県、山口県、佐賀県、熊本県
- 注目種 - 宮城県、群馬県、大阪府
ことば
- 「けりをつける」、「けりがつく」の“けり”は助動詞の“けり”から来た語だが、「鳧」の字を宛てることがある。「鳧を付ける」
脚注
参考文献
- 『原色ワイド図鑑 鳥』 学習研究社、2002年、197頁。
- 日高敏隆監修 樋口広芳・森岡弘之・山岸哲編 『日本動物大百科 第3巻 鳥類Ⅰ』 平凡社、1996年、85-86頁。
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関連項目
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